http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/53690/1320334801/4141-4144
「ガル・・・まさか・・・あなたが・・・信じられない・・・」
私は目の前で起きたことに唖然としていた。
目の前では重量二脚に軽量コアと中量腕部で構成されたACが爆散している最中だった。
そのACに乗っていたのはケルベロス=ガルム。
今まで私のことを守ってくれていた男だ。
それが今、私の前からいなくなろうとしている。
私はこの現実を私は受け止めることができなかった。
ガルムのいない状態で、私は生き延びることができるのだろうか?
『戦う意思のないものを殺す趣味はない。』
ガルムを殺した紫色のACからの通信だった。
『だが次に戦場で会えば殺す。覚えておけ。』
女の声・・・
あの女だけは決して許さない。
例え私の命と引き換えにしてでも、ガルムの仇は討つのだ。
それから数時間、私はガルムを殺した紫色のACに関する情報を重点的に集めた。
しかしあのACは休むことなく戦場を転々としており、なかなかその尻尾を掴むことはできなかった。
それでも情報を集め続けた結果、私はついにあのACが向かう先を入手することができた。
都合のいいことに、私宛てにその場所での依頼も着ていた。
この機会を逃すわけにはいかない・・・
私は迷うことなく依頼を受け、目標地点へと向かう。
今回は頭部を普段使っている"YH14-STING"から内蔵レーダー性能が優れた"YH12-MAYFLY"に変更した。
私の仕事は施設内のデータを回収することだが、そんなことはどうでもよかった。
何としてでもあのACを逃がすわけにはいかない。
まずはレーダーで確実に見つけて、先手を打つのだ。
『緊急避難放送。本施設は3分後に爆破する。』
私が作戦領域であるトライトン環境開発研究所に辿り着いて間もなく、館内放送が流れた。
『施設内に残っているものは、速やかに退避するように。』
レーダーによれば施設の自爆装置を作動させたあのACはまだ施設最奥部にいる。
3分以内に全てを片付けなければ私の身も危ないのだが、これは好都合といえば好都合だ。
私が足止めして施設内から脱出させなければ確実に倒せるのだから。
『レイヴン、聞こえるか?予想以上に本部の動きが早かった。』
雇い主のキサラギ派からの通信だ。
『最低でも1本のデータは確保し、無事に脱出してくれ。』
無茶を言う・・・
だが、任務の成否を左右するデータのことなどどうでもよかった。
あのACを倒す。
私はそれだけが目的でここに来たのだ。
逃げるわけにはいかない。
自らの退路を塞ぐことにもなるが、通路に機雷を撒きながら施設奥部へ向かう。
何としてでも、あのACをこの施設から脱出させるわけにはいかない。
施設中央で、ついにあのACと接敵した。
[敵ACを確認、ファシネーターです。]
[敵は各距離対応の武器を装備、武器変化時の対応が必要です。]
[機動力を生かした戦闘スタイルと予測されます。]
「逃がさないよ。」
聞いているかはわからないが、通信を入れる。
「最後まで付き合ってもらう。」
『こんな時にか・・・』
ややうんざりしたような口調での返答と同時に、迷うことなくマシンガンで応戦してくる。
私はゲート前に立ち塞がり、ロックオンした小型ミサイルを連射しながら左腕のショットガンで迎撃する。
行動が限られた閉所である施設内。
回避行動に回せる空間が少ない環境の中、私の攻撃は確実に敵AC"ファシネイター"の装甲を削り取る。
だがそれは装甲の薄い私のAC"METIS"も同様で、かなり装甲が削り取られていた。
『お前に構っている時間などない、そこをどけ!』
その口調から多少の焦りが感じられた。
施設爆破までの時間もあり、私の足止めでやや動揺しているのだろう。
脱出しなければ死ぬのは私も同様なのだが、そんなことはどうでもいい。
目の前にいるあのACが倒せれば十分だ。
だが、AC操縦の力量差は覆せなかった。
急激に距離を詰められ、レーザーブレードで強引にゲートを破り、通路へ逃げ込まれた。
[コア損傷][右腕部損傷]
ゲートを破る際に私のMETISにも大きな損傷を与えられたが、どうでもいい。
逃がすわけにはいかない、即座に追撃を行う。
「ここからが本当の勝負だ!」
1セットだけ小型ミサイルを撃った後、デッドウェイトとなる両肩のミサイルをパージして軽量化。
距離が離れた状態では無意味なショットガンもパージし、格納された小型プラズマに切り替える。
ファシネイターもこちらにマイクロミサイルを撃った後、両肩のマイクロミサイルとロケットをパージ。
退路が全くない通路に高密度で撃たれたマイクロミサイルを回避することは不可能だ。
だが私はMETISに装備したミサイルジャマーを展開してミサイルの軌道を逸らし、強引にすり抜ける。
もう必要がないミサイルジャマーもパージし、さらにMETISの機動性を上げる。
ファシネイターはマシンガンで引き撃ちをしながら撤退していく。
[AP50%、機体ダメージが増大しています。]
METISに着実にダメージが蓄積されていくが、そんなことを気にしている場合ではない。
被弾を気にすることもなく正確に、弾数が非常に限られた小型プラズマでファシネイターの脚部を狙う。
[敵脚部損傷]
脚部損傷によりファシネイターの機動性が下がり、狙いがつけやすくなる。
ファシネイターはこちらを向きながら引き撃ちしているため、背部の警戒が疎かだ。
そして通路には私が撒いた機雷がある。
そこで2発目以降はわざと回避できるような位置に撃ち込み、機雷への誘導を狙う。
3発は無駄に終わったが、最後の1発で見事に狙い通りに回避して機雷に引っかかる。
[敵脚部破損]
勝機だ。
大幅に機動性が落ちたファシネイターに一気に近寄り、METISの射突型ブレードを振りかぶる。
だが射突型ブレードが突き出されるのが先か、ファシネイターの反応が先か・・・
射突型ブレードが当たる寸前に、ファシネイターがレーザーブレードを繰り出していた。
[敵左腕部破損][右腕部破損]
ファシネイターの左腕部を破壊することはできた。
だが損傷で耐久性が落ちていたMETISの右腕部も、ファシネイターのレーザーブレードに破壊されてしまった。
「強い・・・」
METISの戦闘能力を完全に奪われた私は、立ち尽くすしかなかった。
パージしたショットガンを回収すればまだ勝ち目もあるのだろうが、回収しにいく時間はもうないのだ。
ガルムがいないとやはり私は無力だった。
だがこのままここにいれば、きっと私もガルムと同じ場所へ逝けるだろう。
そんなことを考えながら私は、引き撃ちをしながら遠ざかっていくファシネイターを見守る。
やがて施設の起爆時間になり、騒々しい爆発音と共に私の体は今まで感じたことのない熱に包まれた・・・
~fin~
「ガル・・・まさか・・・あなたが・・・信じられない・・・」
私は目の前で起きたことに唖然としていた。
目の前では重量二脚に軽量コアと中量腕部で構成されたACが爆散している最中だった。
そのACに乗っていたのはケルベロス=ガルム。
今まで私のことを守ってくれていた男だ。
それが今、私の前からいなくなろうとしている。
私はこの現実を私は受け止めることができなかった。
ガルムのいない状態で、私は生き延びることができるのだろうか?
『戦う意思のないものを殺す趣味はない。』
ガルムを殺した紫色のACからの通信だった。
『だが次に戦場で会えば殺す。覚えておけ。』
女の声・・・
あの女だけは決して許さない。
例え私の命と引き換えにしてでも、ガルムの仇は討つのだ。
それから数時間、私はガルムを殺した紫色のACに関する情報を重点的に集めた。
しかしあのACは休むことなく戦場を転々としており、なかなかその尻尾を掴むことはできなかった。
それでも情報を集め続けた結果、私はついにあのACが向かう先を入手することができた。
都合のいいことに、私宛てにその場所での依頼も着ていた。
この機会を逃すわけにはいかない・・・
私は迷うことなく依頼を受け、目標地点へと向かう。
今回は頭部を普段使っている"YH14-STING"から内蔵レーダー性能が優れた"YH12-MAYFLY"に変更した。
私の仕事は施設内のデータを回収することだが、そんなことはどうでもよかった。
何としてでもあのACを逃がすわけにはいかない。
まずはレーダーで確実に見つけて、先手を打つのだ。
『緊急避難放送。本施設は3分後に爆破する。』
私が作戦領域であるトライトン環境開発研究所に辿り着いて間もなく、館内放送が流れた。
『施設内に残っているものは、速やかに退避するように。』
レーダーによれば施設の自爆装置を作動させたあのACはまだ施設最奥部にいる。
3分以内に全てを片付けなければ私の身も危ないのだが、これは好都合といえば好都合だ。
私が足止めして施設内から脱出させなければ確実に倒せるのだから。
『レイヴン、聞こえるか?予想以上に本部の動きが早かった。』
雇い主のキサラギ派からの通信だ。
『最低でも1本のデータは確保し、無事に脱出してくれ。』
無茶を言う・・・
だが、任務の成否を左右するデータのことなどどうでもよかった。
あのACを倒す。
私はそれだけが目的でここに来たのだ。
逃げるわけにはいかない。
自らの退路を塞ぐことにもなるが、通路に機雷を撒きながら施設奥部へ向かう。
何としてでも、あのACをこの施設から脱出させるわけにはいかない。
施設中央で、ついにあのACと接敵した。
[敵ACを確認、ファシネーターです。]
[敵は各距離対応の武器を装備、武器変化時の対応が必要です。]
[機動力を生かした戦闘スタイルと予測されます。]
「逃がさないよ。」
聞いているかはわからないが、通信を入れる。
「最後まで付き合ってもらう。」
『こんな時にか・・・』
ややうんざりしたような口調での返答と同時に、迷うことなくマシンガンで応戦してくる。
私はゲート前に立ち塞がり、ロックオンした小型ミサイルを連射しながら左腕のショットガンで迎撃する。
行動が限られた閉所である施設内。
回避行動に回せる空間が少ない環境の中、私の攻撃は確実に敵AC"ファシネイター"の装甲を削り取る。
だがそれは装甲の薄い私のAC"METIS"も同様で、かなり装甲が削り取られていた。
『お前に構っている時間などない、そこをどけ!』
その口調から多少の焦りが感じられた。
施設爆破までの時間もあり、私の足止めでやや動揺しているのだろう。
脱出しなければ死ぬのは私も同様なのだが、そんなことはどうでもいい。
目の前にいるあのACが倒せれば十分だ。
だが、AC操縦の力量差は覆せなかった。
急激に距離を詰められ、レーザーブレードで強引にゲートを破り、通路へ逃げ込まれた。
[コア損傷][右腕部損傷]
ゲートを破る際に私のMETISにも大きな損傷を与えられたが、どうでもいい。
逃がすわけにはいかない、即座に追撃を行う。
「ここからが本当の勝負だ!」
1セットだけ小型ミサイルを撃った後、デッドウェイトとなる両肩のミサイルをパージして軽量化。
距離が離れた状態では無意味なショットガンもパージし、格納された小型プラズマに切り替える。
ファシネイターもこちらにマイクロミサイルを撃った後、両肩のマイクロミサイルとロケットをパージ。
退路が全くない通路に高密度で撃たれたマイクロミサイルを回避することは不可能だ。
だが私はMETISに装備したミサイルジャマーを展開してミサイルの軌道を逸らし、強引にすり抜ける。
もう必要がないミサイルジャマーもパージし、さらにMETISの機動性を上げる。
ファシネイターはマシンガンで引き撃ちをしながら撤退していく。
[AP50%、機体ダメージが増大しています。]
METISに着実にダメージが蓄積されていくが、そんなことを気にしている場合ではない。
被弾を気にすることもなく正確に、弾数が非常に限られた小型プラズマでファシネイターの脚部を狙う。
[敵脚部損傷]
脚部損傷によりファシネイターの機動性が下がり、狙いがつけやすくなる。
ファシネイターはこちらを向きながら引き撃ちしているため、背部の警戒が疎かだ。
そして通路には私が撒いた機雷がある。
そこで2発目以降はわざと回避できるような位置に撃ち込み、機雷への誘導を狙う。
3発は無駄に終わったが、最後の1発で見事に狙い通りに回避して機雷に引っかかる。
[敵脚部破損]
勝機だ。
大幅に機動性が落ちたファシネイターに一気に近寄り、METISの射突型ブレードを振りかぶる。
だが射突型ブレードが突き出されるのが先か、ファシネイターの反応が先か・・・
射突型ブレードが当たる寸前に、ファシネイターがレーザーブレードを繰り出していた。
[敵左腕部破損][右腕部破損]
ファシネイターの左腕部を破壊することはできた。
だが損傷で耐久性が落ちていたMETISの右腕部も、ファシネイターのレーザーブレードに破壊されてしまった。
「強い・・・」
METISの戦闘能力を完全に奪われた私は、立ち尽くすしかなかった。
パージしたショットガンを回収すればまだ勝ち目もあるのだろうが、回収しにいく時間はもうないのだ。
ガルムがいないとやはり私は無力だった。
だがこのままここにいれば、きっと私もガルムと同じ場所へ逝けるだろう。
そんなことを考えながら私は、引き撃ちをしながら遠ざかっていくファシネイターを見守る。
やがて施設の起爆時間になり、騒々しい爆発音と共に私の体は今まで感じたことのない熱に包まれた・・・
~fin~