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王小龍「――で、あの男はクビ、か」

リリウム「ええ。BFFとしての戦力は落ちましたが、それはリリウムが埋めましょう。
     王大人は、何も心配することはございません」

王小龍「構わんさ。どうせ近いうちに、BFFの位置は磐石となる。
    あとは、自らの足元が覚束ないことに気付かぬ阿呆どもが勝手に落ちるだけだ」

リリウム「……承知いたしました。では、随意に」

若干平静さを欠いたような態度のまま、リリウムは頭を下げて部屋を出た。
ひとり残った王小龍は椅子に深く腰掛け、くつくつと堪えきれない様子で笑う。

王小龍「リリウムめ、あの小僧に相当入れ込んでいた様子だが、
    こうなってはどうしようもあるまい。あれにはまだ椅子に座っていてもらわねば
    ならんでな、これもやむなし――だ」

王小龍「不確定要素は、少しでも少ない方がいい」

///



反論をする余地もなかった。
なぜならそれはまったくの事実で、メルツェルから支援を受けていたことも、実際にあったからだ。
勝負をするから負け犬だった。
負け戦に負けたからといって、何を気に病むこともない。
――だが、何だろう、この虚無感は。
燃え尽き症候群、とかいうやつか。
いや違う。
燃える前に水を浴びせられたようなものだ。
湿気ったマッチは、もう燃えやしない。

トーマ「……つー訳で、恥ずかしながら戻って来ました」

ローディー「いやいい、息災で何よりだ」

ブーメランよりも鋭角なGAへの帰省。
メルツェルのことはGAのブラックボックスとして扱われているため、上層部の僅かな人間しか
俺の急な人事の真相を知る者はいない。
先生も少しは知っているのだろうが、あえて追求はしてこない。

ローディー「君はGAのリンクスとしての登録はされていなかったな。その手続きもあることだし、
      しばらくは休暇だと思って休んでいてくれ。必要なら、新しいネクストも用意しよう」

トーマ「……しばらくは、そういうのいいです。いろいろ考えたいこともあるんで」

メルツェルに絶縁を言い渡し、BFFからも勘当された身である。
そもそも、今更ネクストに乗る意味さえあるのかどうか。

一人で何でもできると、少しだけ勘違いをしていたようだ。

メルツェルのコネで入ったGA。
メルツェルの根回しで異動したBFF。
メルツェルのお陰で乗れているネクスト。

親に頼りっきりのガキかよ、俺は。
家出して初めてありがたみとか感じちゃってんのかよ。

トーマ「――部屋、まだ残ってます?」

ローディー「ん? ああ、そのままにしてある。時間はあるんだ、自分の落ち着く場所で
      ゆっくりと考えたらいいさ」

トーマ「そうさせてもらいますよ」

後ろ手に扉を閉め、息を吐く。
まあ、とりあえずは。

トーマ「カップ麺、か……」

///



トーマ「シィーット」

急に帰ってきたんだもんね。
うん、そりゃ部屋に戻っても備蓄してないよね。

正直ガス欠気味だが、軽油でも灯油でもいいから入れたくなるのが人間だ。
ヒッジョーに不満ながら、社員食堂で食事を取ることにする。

おばちゃん「へいよミートパテお待ちー」ゴッシャアアアア
おばちゃん「何? あんた細っこいねえ。体が資本だよ! もっと食いな!」ドカァアアアア
おばちゃん「ついでだ! ブリトーおまけだよ!」ベシャアアアア

トーマ「おう、あんがとよー」

別におばちゃんが3人いるわけじゃない。
ただし、量はおばちゃん3人分はあると思う。
肉塊という名のミートパイ。
ダブルをダブルでさらにそれをダブルにした量のハンバーガー。
ブリトーと呼ばれているだけで一般常識としてはそうではないもの。
さすがのGAクオリティである。
見れば周りはこれと同じ量かそれ以上の料理を皿に盛っている。
訓練生時代は普通に食えていたが、改めて見るとこの量は異常じゃないかと思う。

トーマ「……ま、食うけどな」

東洋では食べる前に両手を合わせて「イタダキマス」と言わないと飯にありつけないらしい。
そんな薀蓄をリリウムから聞かされたのを思い出しながら、肉塊の一部を口へ運ぶ。

――と。

メイ「おばちゃーん。今日はパスタで特特特。あとチーズバーガーのキングサイズ」

聞きなれた声が響いた。
その声に少しだけ安心しながらそちらを向くと、訓練の後だろう、パイロットスーツの
前を大きく開けたメイがトレイを手に注文をしているところだった。
一瞬遅れて、周囲からどっと歓声が上がる。

社員A「出たァーッ! メイさんの特特特だァーッ!」
社員B「特盛りの3倍の量がある特特特! ついにパスタにまで手が及んだか!」
社員C「今日はバーガーのキングサイズもセットだぞ!? いったい何分で食い尽くされるんだ!?」

メイ「15分! デザートもつかえてんのよ、これ以上はないわ!」

びしっ、とキメたメイの姿に、周囲の歓声が一層高まる。

社員A「KO宣言だァーッ! こいつは期待大だァーッ!」
社員B「しかも更にデザートまで注文する気だぞ! 一体メイさんの別腹は何リットルあるんだ!?」
社員C「さすがメイさん! おれたちに食えない量を平然と食ってのけるッ」
社員A・B・C「「「そこにシビれる! あこがれるゥ!」」」

歓声に浸るメイ。奥では着々と特特特が作られる。
そんなメイとちらりと目が合ったので、「よ」と片手を上げて挨拶をした。

メイ「と、トーマ!? な、な、な、な……!」

トーマ「驚いた、けっこう食うんだな、お前」

メイ「おばちゃん! やっぱ今のナシ! パスタハーフサイズだけに変更して!」

おばちゃん「ええ!? もう作っちまったよ!」

メイ「ウチならいくらでも消化できるでしょ! とにかく、ハーフサイズ!」

ハーフサイズのパスタだけをもぎ取ったかと思うと、メイはこちらにずかずかと歩いてきた。
がたん、と椅子を引き、機嫌の悪い様子で大きな音を立てて向かいの席に座る。

メイ「なんッ……で、あんたがここにいんのよ!」

トーマ「いろいろあってな。それよりお前も、そんなんで足りんのか?」

悪夢だ、と言わんばかりに天を仰ぎ、メイはテーブルに伏せった。

メイ「うっさい! ……お、女の子には、いろいろあんのよ!」

///



整備士「あいむすぃんかーふんふんふんふふーん♪
    あいむしゅーたーふんふんふんふー♪」カチャカチャッ

上機嫌に鼻歌を歌いながら、ガレージで図面を引く整備士。
画面にはしっかりと「スペキュラー」と記されていた。

リリウム「失礼します、メガロさんはおいででしょうか?」コンコン

ガレージのぶ厚い鉄扉をノックするというある意味非常識な行動に面喰らいつつ、
名前を呼ばれたので彼女は作業の手を止めた。

メガロ「おーう? リリウム様じゃないっスか。名前を覚えていただいてたとは、僥倖っス」

リリウム「……アンビエントの最終調整のことでお伺いしたかったのですが、お邪魔でしたか。
     失礼しました、後で出直しましょう」

メガロ「いやいや、調整は終わってるっスよ。暇っス暇っス、超暇っス。
    何かございましたら何なりと」

リリウム「そうですか? それでは――あら? それは……」

リリウムの目が、メガロの手元に止まる。

メガロ「ああ、彼はBFFのリンクスじゃなくなっちゃいましたけど、中途半端って嫌いなんスよ。
    だもんで、これは個人的に、ってことでいいっスか? ああ、もちろん、マズかったら
    すぐに捨てちゃいますけど」

リリウム「GAグループという括りで考えれば、問題はないでしょう。まあ、業務外ということですので、
     それについて給金をお渡しすることはできませんが……

メガロ「いえいえ、あくまで趣味みたいなもんスから。通常業務に支障出ないようにしますし、
    リリウム様はなーんにも気にすることはないっスよ」

リリウム「いつもながらお早い仕事、感服いたします」

そう言いながら、リリウムはメガロのデスクの周りを見渡す。
紙束やメモリの類が散乱しており、早く質のいい仕事の弊害もあるのかもしれないと密かに思う。
よく言えば、一途なのだ。

リリウム「しかし、辞めさせられた後でも気にかけてもらえるとは、彼は本当に人気者ですね」

メガロ「……へ? それは、リリウム様の方じゃないんスか?」

リリウム「私が……人気ですか? そう思ったことはあまりないのですが……」

首を傾げるリリウムに、メガロの表情は引きつった。
どう返したものかとメガロが思案しているうちに、リリウムの方が続ける。

リリウム「やっぱり、そちらの方に没頭したいご様子ですし、私はお暇します。
     頃合を見てもう一度尋ねますので、用はそのときに、ということで」

メガロ「え、ええ。了解しました」

優雅な仕草で手を振り、ガレージを出て行くリリウム。
リリウムの背を見送った後、聞こえないように声を潜めてメガロは呟いた。

メガロ「うわっちゃあ……。こりゃあ重傷っスね……」

///



メイ「バッ……カじゃないの!?」

トーマ「……二十八回めだ」

テンプレートのように罵倒の言葉を投げつけ、眉間にしわを寄せながら説教を垂れるメイ。
合間合間に食料の補給をはさみ、既にハーフサイズとは何だったのかという状況だ。
びしっとこちらにフォークを突きつけ、恨み言のように言葉を漏らす。

メイ「何でそんぐらいで辞めさせられるわけ? わっけ分かんない! バカじゃないの!?
   っつか、アンタもそれで引き下がるとか意味わかんないし! バカじゃない!?」

トーマ「三十回の大台に乗ったとこでいい加減やめてくれんかね。流石にヘコむわ」

メイ「やめない!」

はあ、と溜め息を吐き、下がりかけていたメガネを上げる。
まあこいつには話すしかないよな、と事情を話したところ、凄い勢いでバカバカ言われた。
どうせバカだよ、俺は。

メイ「一番私が怒ってるのは、それを何で最初に私に言わなかったのかってこと!
   私はあの場所にいたんだから、まず話すべきでしょ!? バッカじゃないの!?」

三十一回目、と心中で溜め息を重ねる。

メイ「……バカ」

――三十二回目、とカウントしたところで、メイの怒声が途切れたことに気付く。
恐る恐る顔を上げると、唇を固く結び、うつむくメイの姿があった。

メイ「……私が出てったせいで、バレたようなもんじゃない……」

トーマ「……」

メイ「GAの部隊が出てったから、情報の波が大きくなったのよ。
   それがリリウム・ウォルコットのアンテナに引っかかって、
   そのせいであんたが――」

トーマ「――バァカ」

一回目。

メイ「ば、バッ……はぁ!?」

トーマ「全部まるっきり、悪いのは俺だっつーの。リリウムが悪いんじゃねえ、メルツェルでもねえ。
    んでもってお前でもねえ、俺だ。俺の責任を、勝手に取るなよ」

俺のせいだ。
でもってそこから何も進めないから、むしゃくしゃしている。

メイ「でも、それじゃ私が納得できない!」

トーマ「俺だって未だに納得できないのに、お前が納得する必要なんてねえ。
    俺の問題だ、俺が納得して、俺が解決すりゃいいだけの話だ」

――言葉の途中から、メイの表情が変わるのが分かった。

メイ「んじゃあ、納得、しろッ!」ドカッ!

銀色が鼻の先をかすめた。
目の前のテーブルに深々と突き刺さったフォークを見て、現状を理解する。
さっきまでの殊勝な態度はどこへやら、「フーッ……フーッ……」とメイは獣のように息を荒げる。

メイ「なら、さっさと納得しろこのドヘタレ! いッつまでもぐだぐだうじうじ、女々しいったら
   ありゃしない! 何なの!? あんたは何がしたいの!?」

トーマ「俺だって昨日の今日で、まだ頭ン中まとまってねえんだよ。ちったあ考えさせろ」

メイ「だってあんた、考えてないじゃない!」

トーマ「……あん?」

メイ「考えてるフリしてるだけじゃない! 『仕方ない』とか割り切ったみたいな顔しちゃってさ、
   逃げてるだけじゃない! 考えろ! 納得しろ! 足動かせ!」

トーマ「てッ、てめえに言われることかよ、そりゃあ! 俺のことだ、俺が決めることだろ!」

メイ「じゃあ、決めなさいよ!」

トーマ「決めッ……あァ!?」

メイ「あんた、決めることすらしてないじゃない。進むか留まるか、それすら決めてない。
   ただ何となく行くあてがないからここに来て、何となくここにいるだけ」

図星、だった。
言い訳のしようもなく、完全に。

メイ「あら、ぐうの音も出ないわけ?」

トーマ「ぐ、ぐうッ……」

メイ「何だ、出たじゃない」

そういう意味の「ぐう」じゃない。

メイ「女のカンは鋭いのよ。付き合いのある奴なら、それもなおさら」

トーマ「……いつからお前は、そんなに頭がキレるようになったんだ?」

メイ「具体的には、あんたがBFFに行ってからかしら」

ずこっ、と重い音を立て、深い陥没根を残してフォークが引っこ抜かれる。
それを手の中でくるくると回しながら、メイは言葉を続けた。

メイ「あんた、単純バカなんだから。わっかりやすいのよ、基本的に。
   だーから、私に隠し事とかありえないし、何かあるなら言うしかないわけ」

トーマ「……まったく、女は怖いよな」

メイの剣幕に押されたのか、食堂には既に人の影は見えない。
――恐らく、メイは他に誰かいたとしても俺が口を閉ざすのを許さなかっただろうが。

そうか、俺は結局、逃げてただけだったのか。
どうせ何もできないからと言い訳をして。
仕方ないからと理由づけて。
意味のないことだからと逃げ道を作って。

トーマ「ハッ、リリウムに勘当されても当然だぁな、こりゃ」

メイ「そこでリリウム・ウォルコットの名前を出すあたりが単純バカだっつってんのよ」

トーマ「あん? 何の話だ?」

メイ「……何でもない。それより、あんたこれからどうするわけ?
   腹の底じゃ、どうせ自分のやりたいことは決まってるわけでしょ?」

トーマ「そう――だな……」

やりたいこと。
やるべきこと。

決まってる。

トーマ「……復讐だの何だの、そういうのはまず置いといてだ。
    とにかく、放っておけない奴がいるんだよ。
    1人にすると何するか分かんねえ、危なっかしい奴が」

ジトっとした目で毒を吐いてくるような奴だった。
そのくせすぐにムキになる、ガキっぽい奴だった。
人使いの荒い奴だった。
でも、それでも。

トーマ「俺に何ができるかなんて、正直わかんねえ。
    でも、あいつの『何か』を、『どうにか』してやりたい。
    大丈夫だって言ってカラ元気で気張るあいつに、何かしらしてやりたい」

俺がそう言うと、メイはしばらく黙った後に「へえ」と口を開いた。
視線を逸らして物憂げに溜め息を吐き、言葉を続ける。

メイ「それ、女が言われたいセリフの上位に食い込むわよ。で、それをその人に面と向かって
   言うために、あんたは何をするの?」

トーマ「……だいたい決まった。どうせ一回手の平を返された身だ。
    もう何したって恥ずかしくねえよ」

メイ「よかった。さっきまでのあんたより、よっぽど男前じゃない」

トーマ「お前にも、手伝ってもらうことになるかもしれねえ。――危険だが、いいか?」

メイ「あら、カラードランク18、このメイ様にそれを言うわけ?」

大袈裟に「びしっ」と口で効果音を付け、メイは俺の眉間に人差し指を突きつける。
そして、ずっとこれが言いたかったとばかりに、溜めに溜めて言った。

「気にしないで、同期のよしみよ」

///



トーマ「まずはネクストだ、あっちで使ってた奴はオシャカになっちまったからな、
    こっちで何か都合をつけないとならん。……サンシャインなら在庫余ってると思うか?」

メイ「パーツかき集めれば1機くらいはでっち上げれそうなもんだけどねえ。
   でも、あんた好みのあんた専用機ってのは難しいわよ。所詮寄せ集めだもの」

メイと並び、話をしながら早足で廊下を歩く。
「とにかくガレージを見てみるべきよ」とメイが提案したが、状況は芳しいように思えなかった。
スペキュラーはあくまでアンビエントの支援機だったが、俺の手にはだいぶ馴染んでいた。
ああいう機体が組めればベストなのだが、その希望の光は非常に弱いようだ。

トーマ「動きゃあいい。……が、慣れない武装で戦場には出れねえよなあ……」

メイ「それで死んじゃったら、本当に笑えないわよ?」

トーマ「仕方ねえ、メリーゲートでいい。メイ、あれ、俺にくれ」

メイ「ふざけんな」

前途は多難。
けど、歩く意思があるだけ前よりマシだ。

メイ「ねえ、あれ」

トーマ「あん?」

メイの指が向いた方向に、反射的に目をやる。
そこでは背の高い人影の中でキョロキョロと目を動かす、場違いな女の姿があった。
見学に来た学生のような印象を受けるが、もちろんそうであるはずはない。

ぶ厚いメガネをかけたその女が、こちらに気付いて手を振りながら歩いてきた。

メイ「……知り合い?」

トーマ「いや、知らん」

メガロ「うーわ、リアルでそういうことされると、結構気分悪いっスね。
    メガロっスよ。メガロ・マックス。白衣着てないから分かりません?」

トーマ「メガロ……?」

メガロ「あーもう! 整備士っつったら分かります!?」

トーマ「……ああ! お前か!」

このタイミングで初めて本名を知った。
メガロは「そりゃあ確かに名乗らなかった私も悪いっスけど」と、深く息を吐く。

トーマ「で、何でBFFで整備士やってるお前がGAにいるんだ?」

そう尋ねると、メガロは言いづらそうに少し口ごもった。
――間髪入れずに、メイが口を挟む。

メイ「ちょっとトーマ! 誰よこの女!」

トーマ「……黙ってろメイ。誰ってお前、今整備士っつったろうが」

メガロ「――メイ? メイ・グリンフィールド!? メリーゲートの!?
    うわっ、こんなとこでGAのリンクスに会えるとか超ラッキーじゃないっスか!
    ちょっとあの黒板消しみたいなミサイルの展開ギミックについて詳しく!」

メイ「ちょっとトーマ! 説明しなさいよ!」

メガロ「トーマさん! 紹介してくださいよ!」

トーマ「……うん、なんだ、その、とりあえず落ち着け。な?」

だいぶ疲れていたのでこんなリアクションしかできなかったことを、今はご容赦願いたい。

///



結局食堂へとんぼ返りするハメになったわけで。

トーマ「……おい、そろそろ勘弁してやれ。メイが死ぬ」

メガロ「そんな! まだまだ聞きたいこといっぱいあるんスよ!?」

メイ「あうう……サンシャインヘッドの頭頂部の装甲の厚さなんて知らないわよお……」

涙目になりながらテーブルの天板に突っ伏すメイ。
ご愁傷様、と言う他ない。

トーマ「で、いい加減何しに来たかくらい喋ってくれてもいいんじゃねえの?
    まさか遊びに来たってわけでもねえだろ?」

メガロ「っと、そうでした。GAとBFFの連携事業の一環で、技術のシェア、つまり、
    実験的に二企業の混成機体を作って、そんで汎用性は向上できるのかってのがあるんスよ。
    上のご老人方のプライドがありますんで、途中で頓挫するのが確定してる
    プロジェクトなんスけどね」

自分のとこが一番、って信じたいんでしょうね。
そう付け加え、メガロはメガネをかちゃりと上げた。

トーマ「お前がそれに関わってるわけか。潰れるのが分かってる計画に参加するってのも、
    また酔狂な話だな」

メガロ「ま、整備主任っスから。――んでま、一応草案を練りまして。
    あとはその機体のテストリンクスを探してるとこなんスけど――」

にやりと唇の端を歪め、俺の目の前に一枚の紙を差し出すメガロ。
そこには、BFFとGAのパーツが混成されたネクストが描かれていた。

トーマ「……これは……」

その姿に、視線が釘付けになる。
もちろんまったく同じというわけではない。色も、味気のない金属そのものの色だった。
でも、直感的に、理解できた。
これは、こいつは――



トーマ「――スペキュラー……?」



思わず俺が漏らしたその言葉に、メガロは満足そうに口角の角度を上げる。

メガロ「牛のように堅牢な装甲と力強さをコンセプトにした、プロジェクトコード“D-Bison”。
    いちアーキテクトとして機体に名前を付けさせてもらうなら――」

メガロ「――スペキュラー“アサルト”」

そして、これ以上ないくらいの満面の笑みで、メガロは言う。



メガロ「テストパイロット……探してるんスけどねえ?」




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