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MISSION:5



あたしは普通の人間と少し違う。幼い頃から自覚があった。

「これをご覧になってください」
「100点満点の答案に何か問題が?」
「途中式や計算した跡が一切ありません。クレアさんに聞いてみても要領を得なくて」
「この子がカンニングをしたのではないかと? 馬鹿馬鹿しい」
「あの、お母さま?」

「あなたは1+1の途中式を書けと言われて書けるのですか?」
「仰っていることがよく分かりません。1+1とこのテストは違います!」
「クレアにとっては同じことです」
「娘さんの間違いを認めて、叱ってあげることも必要なんですよ?」
「まるで話にならない。クレア、行きますよ」

「お母さん……」

これがきっかけで担任の教師に嫌われ、それが自然とクラスメイトたちにも伝染した。
幼い頃は泣き虫で内気な性格という、苛めの対象にされやすいファクターを
元々持っていたのも原因だろう。あたしは一時期、酷く苛められた。

子供は純粋で、それ故に残酷だ。加減というものを知らない。
嬲り者にされるのは辛いが、集団の中で孤独を感じるのはもっと辛かった。
当時は「お姉ちゃん」と「お隣のレージお兄ちゃん」だけが心の支えだった。

母親? あの人は……。母性的な愛情なんか微塵も無かった。
あたしは“大切な研究成果”としか思われていなかったのだから。
一時期は普通に産んでくれなかったことを怨むくらいに嫌いだった。
反抗期というやつだったのかもしれない。

でも最終的には母親に感謝することになった。
だって、あたしは彼の力になることができる。
レイヴンになった彼を助けることができる。

普通の人間とは少し違うのだから――



◇庵野塾拠点 デルタ要塞 地下ブロック 独房

簡素なベッドと洗面台、他にはむき出しのトイレしかない。
この薄暗い部屋に閉じ込められてから、どのくらい時間が経ったのだろう。
体感時間は当てにならないので、運ばれてきた食事の回数を思い出してみる。
3日と半日といったところだろうか。外の世界はおそらく今、夜だ。

「なんとかしないと……」
ベッドの隅で小さくなりながらクレアは呟いた。
頑丈にできているおかげで衰弱などはしていないが、焦燥感は募る一方だった。

ガイルという訛り男が訊いてもいないのにペラペラと喋ってくれたおかげで
おおよその状況は把握できている。
(レージを誘き出す餌にされるなんて真っ平ごめんよ。早くここから逃げ出さないと)

庵野塾の活動拠点――デルタ要塞。
この要塞は一風変わった構造をしていて、主要ブロックは全て地下にあり
地上に露出している部分は全て防壁や砲台などの迎撃機構となっている。
規模は大きくないが護り易い、堅牢な作りをした要塞だ。

建造途中で放棄されていたところを庵野 雲が買い取って改修、完成させたという噂。
強力なバックボーンを持たないレイヴンの拠点は秘匿されるのが常だが
デルタ要塞の事は業界でよく知られている。

知られているのに攻められないのは、やはりこの連中が相当に厄介だからだ。
リーダーの庵野 雲は勿論、脇を固めるレイヴンもレベルが高い。
そこにデルタ要塞の堅牢さも加わって、並大抵のことでは攻略不可能になっている。

庵野塾は報酬が高い方に味方する傾向が強く、大企業には報酬を払って利用した方が
利口だと思われているようだ。“支配という名の権力が横行する世界において
何にも与することのない例外的な存在である”を地で行っている組織。

そもそも庵野塾とはどのような組織だったか。
クレアは自分が知る限りの情報を頭の中で羅列してみた。

特定の思想を持たない傭兵集団。特定の組織や企業との関わりも無し。
超実戦派の傭兵育成機関としての側面を持ち、優秀な若いレイヴンを
多く輩出している。また、庵野塾から一度離れたレイヴンは
元同門だろうが何だろうが、全力で潰し合うというイカレ具合で有名。

血に飢えた荒くれ者たちの集まりをイメージしていたクレアは
ここに連れて来られた当初は相当面食らった。
なにせ一部の構成員以外は、ほとんどが年端も行かない子供ばかりなのだ。

鉄格子の外に立って独房を監視しているジャックとンジャムジという名前の少年たちも
見たところ12~13歳くらいだろう。同年代の学校に通っている少年たちに比べて
物腰はしっかりしているが、顔にはまだあどけなさが残っている。
彼らは戦火で家や家族を失った戦災孤児であったらしい。

皆、庵野 雲のことを“先生”と呼び、慕っている様子だ。
それにしても庵野 雲が何を考えているのか分からない。
どうして戦災孤児の彼らを集めて育てているのだろう。
何らかの罪滅ぼし――贖罪のつもりなのだろうか……。

「!?」
思案に暮れていたクレアは不意に自分に向けられる視線に気がついた。
監視を任されている少年たちではない。もっと異質なもの――
鉄格子越しに壮年の男がこちらを見ていた。

人相風体を知らなくても分かる。
(この男が庵野塾のリーダー……)
クレアは直感的に理解した。この男が庵野 雲だと。

庵野 雲は胸の前で腕を組み、クレアにじっと視線を注いでいた。
黙って見られているだけで、息が詰まりそうになる。

沈黙に耐え切れずにクレアが口を開いた。
「あたしに何かご用かしら?」

組んでいた腕を解きながら庵野 雲が言った。
「阿部 玲司は君を取り戻しに来ると思うか?」
「来るわけないでしょ! こんな見え見えの罠に飛び込んでくるほど
 レージはバカじゃないわ。諦めてさっさとあたしを売り飛ばしたら?」

庵野 雲は再びしばらく黙った後、
「そうか、彼は来るか」
一言だけ言い残して、その場を去った。



◇庵野塾拠点 デルタ要塞 地下ブロック 格納庫

アーマード・コアのコックピットは狭い。
パイロットを収めてハッチを閉鎖すれば、中はまさに“ぎゅうぎゅう”だ。
スティックやペダルや計器類に囲まれていて、手足を自由に伸ばすことは難しく
機動戦を想定して調整されたシートは、お世辞にも休息に向いているとは言い難い。
しかし、ガイル・ワーテ・島田は自らのAC――<デスペラード>の
コックピットの中で阿部 玲司の襲撃に備えてずっと待機していた。

<デスペラード>に対して兵器以上の感情は持ち合わせていないが
ガイルにとって、そこは不思議と落ち着く、居心地の良い場所であった。
コックピット生活は既に3日目に突入していたが、全く苦にはなっていない。
即座に出撃できる利点からも理想的な待機場所なのだ。

「ガイルにぃ~~~~~~~~!! いる~~?」
毛布に包まって軽く仮眠をとっていたガイルは外からの声で目を開けた。
ハッチを開放して顔を出すと、<デスペラード>の脚元に人影。
エリーア・大葉が見える。

ガイルの姿を認めたエリーアは<デスペラード>の機体表面の凹凸に
手足をかけて、あっという間にコックピットまでよじ登ってきた。
「猿みたいなやっちゃな」
「女の子にサルは酷いよ」

「サーカスからスカウトされるレベルやぞ。で、何の用や?」
「待機任務で頑張ってるガイルにぃのために夜食を持ってきたんだよ!」
エリーアはコックピットの外枠に掴まったまま上着のポケットから
アルミホイルに巻かれた銀色の球体を2つ取り出した。

「おにぎりです」
「気が利くやないか」
「丸いの好きだったよね?」
「なかなかわかっとるな」

気の利いた差し入れ。何か言いたそうな顔。上着の下に着込んだパイロットスーツ。
受け取った好物を頬張りながら、ガイルはエリーアが来た本当の理由を容易に察知した。
(わっかりやすいやっちゃなぁ~)

じっと顔を見つめられ続けるのも面倒なので、こちらから話を切り出してやる。
「お前、オレになんかお願いでもあるんとちゃうか?」
「ええ~っとね、あの、その……」
「気持ち悪いわ、はよ言え」

「賞金首を殺るのアタシに譲って、汚名挽回したいの!」
「汚名は返上、挽回は名誉の方や。アホ丸出しやぞ」
「そんなのどっちでもいいから、お願いぃぃぃぃ!」

「ホンマ、お前はオヤジのこと好きやのぉ」
「やっぱり、わかっちゃう?」
「色々と若作りしとるけど、オヤジは実年齢かなりいっとるぞ?」

「愛に歳の差なんてノープログラム」
「ノープロブレムな」
「細かい! 細かいよ、ガイルにぃ!」
「同じとこで同じ教育受けて育ったのに、なんでこないなってしまったんや……」

「ねえ、いいでしょ? 譲ってくれるよね?」
「残念ながら却下や」
「ええー!? なんで? どうして?」

「最後にオレと<デスペラード>の戦いを後輩どもに見せたろう思てな」
「さい、ご……?」
「この件が片付いたら卒業する。上がいつまでも居座り続けとったら
 次が育ちにくいからな。お前もほどほどにしとけよ」

「そっか……ガイルにぃ、行っちゃうのか……」
「ここのルールはお前もわかっとるやろ?
 オレらが並んで戦い続けるのはオヤジの願いやない」

「うん……」
「ええ子や、卒業したら戦場でカチ合わんよう祈っとるで」
ガイルは瞳に涙をためてしゅんとなったエリーアの頭を優しく撫でてやった。

(あかんわ、湿っぽいのはかなわんなぁ……)
何か笑えることでも言ってやろうと思った刹那、けたたましいサイレンが
格納庫中に鳴り響いた。サイレンと同時に各所で点灯した警報灯の色は赤。
デルタ要塞では敵勢力の接近を意味する色である。

「やっと白馬の王子様がおいでなすったようやな」



◇庵野塾拠点 デルタ要塞前方 ドゥガ渓谷

<デスペラード>を駆るガイルが真っ白なタンク型ACと会敵したのは
巨大な山々に囲まれたドゥガ渓谷の中ほど。
デルタ要塞の遥か手前に位置する開けた場所だった。

監視班の捕捉が早かったのだろう。万全の状態で襲撃に備えていたおかげもある。
しかし、これでほど要塞から離れた場所で会敵した理由は
単機で現れたタンク型<ホワイトリンク>の無茶苦茶な機体構成に因るところが大きい。

右手にアサルトライフル。左手に投擲銃。
右背にチェインガン。左背にリニアガン。
左右の手の甲に大型グレネード一対。
脚部右側面に無理やり取り付けられた拡散バズーカ、左側面にはショットガン。
開かれた肩部に見えるインサイドロケット。
エクステンションにパルスキャノン一対。
ENタイプのイクシードオービット一対。

積み過ぎ。超積載過多。
<ホワイトリンク>の機動性は明らかに死んでいるではないか。
銃身砲身に覆われて、まるで前面がハリネズミのような様相だ。
どう見てもまともに動ける重量ではない。

「ミスターアベレージ、がっかりやで……」
ガイルは期待していた。追い込まれた阿部 玲司がどう挑んでくるのか。
勝算が無くとも、それなりの意地を見せてくれるだろうと、勝手に期待していたのだ。

様々なタイプのアセンを使いこなせる阿部 玲司には無数の選択肢があった。
にも拘らず――
「悩んだ結果がそれかいな」

『……クレアを返してもらおうか』
「かっこええのぉ~! 映画の主人公みたいや」
『今ならこれまでの損害賠償と半殺しで済ませてやる』

「はっはっはっはっはっ!! なかなかおもろいこと言うやん!
 ミスターアベレージはジョークの才能があるみたいやなっ!
 それとも固定砲台みたいなそれでオレに勝てるとマジに思っとる?」

『聞く気はないんだな……』
「あんたらに怨みはないんやけど、うちはぎょうさん金が必要でな。
 残念ながらこの世は弱肉強食が基本や。レイヴンやっとったら分かるやろ?」

『……よく喋る野郎だ』
「なら、実力で黙らせてみい!」
ガイルが叫ぶのと同時に<デスペラード>は逆脚の跳躍力を活かして
一瞬で空高く跳び上がり、ACの戦闘においても有利な上のポジションを押さえた。

<デスペラード>は軽量の逆脚で、武装は速射型のスナイパーライフルが1つのみ。
あとは補助としてステルスとレーダーを積んだだけの高機動低火力型である。
重装甲高火力のタンク型<ホワイトリンク>とは正反対のACと言えるだろう。

(どう料理したろか)
ガイルは阿部 玲司のレイヴンとしての力量を正確に把握していた。
罠を仕掛ける前に、過去の任務内容やアリーナの記録を徹底的に調べたのだ。

系統の違う様々なアセンを一定のレベルで使いこなすセンスは特筆に値するが
所詮は二流。器用貧乏の域を抜け出せていない。
庵野塾ナンバー2を自負するガイルの敵ではないのだ。

(当てが外れてしもうたな……)
アセンブルで腕の差を少しでも埋めてくるだろうという予想は完全に裏切られた。
あの動けないタンクは鉄の棺桶もいいところ。
全力を出せば、戦闘と呼べるものになる前に終わってしまうだろう。

戦いを楽しむ趣味はないが、今回ばかりはそれでは困るのだ。
これを最後に庵野塾を巣立つガイルは後輩たちに見せなければならない。
庵野塾レイヴンの力というものを、目指すべき目標の高さを。

(――せやのに、このアホはトチ狂いよってからに)
<ホワイトリンク>から放たれる大小様々な攻撃は三次元機動を得意とする
<デスペラード>を捕らえることができずに空を切り続けた。

鈍重。動きが遅い、遅すぎて話にならない。
阿部 玲司は火力増強に執着するあまり、他を疎かにし過ぎているのだ。
どれだけ武装を増やしても、当てることができなければ意味が無いというのに。
様々なアセンを使いこなす男が肝心要の基本を見失っている。
もはや冷静な判断能力を失った憐れな弱いレイヴンでしかない。

<ホワイトリンク>からの一斉射を悠々と躱しながら、ガイルは再び通信を開いた。
「ちょっとパージした方がええんとちゃうか?」
『黙れっ!』

「頑固なやっちゃな、しゃあない――」
ここまで回避一辺倒だった<デスペラード>が唯一の武装である
右腕の速射型スナイパーライフルを初めて構えた。

集中力を高めて、
「オレが軽うしたるわ」
トリガーを絞る。

次の瞬間、<デスペラード>の放ったスナイパーライフルの弾が
<ホワイトリンク>の脚部右側面に取り付けられた拡散バズーカの砲口に
するりと滑り込み――バズーカが内側から爆ぜた。

爆発の衝撃でダメージを負い、大きく揺れた<ホワイトリンク>は
なんとかバランスを取り戻し、持ち得る限りの武装で懸命に応射するが
<デスペラード>にはかすりもしない。

たった1発も相手に被弾させることが出来ないレイヴンと
たった1発で小さな砲口を狙うことが出来るレイヴン。
圧倒的な力の差。

それを認めようとしない声が通信から漏れ聞こえてくる。
『こんな、馬鹿な……ッ』
「まぐれやと思うか? もういっちょいくでぇ!」

ガイルが宣言した直後に<ホワイトリンク>の左腕の大型グレネードが爆発した。
今度は砲身内部のグレネード砲弾に誘爆して、左腕の肘から先が丸ごと吹き飛んだ。
「グレネードに投擲銃、左腕まで逝ったで、一気に軽うなったんちゃうか?」

『くそがああああああああああああああああ――』
「どんどんいこか」

パルスキャノン――リニアガン――アサルトライフル――
グレネード――ショットガン――チェインガン――ロケット。
白いカラスは一方的に羽を毟られ続け、最後にイクシードオービットを
破壊されたところで完全に沈黙した。

度重なるダメージの蓄積で、ついに動けなくなってしまったのだ。

「呆気ないのぅ……」
<ホワイトリンク>は全ての武装を失い、反撃はおろか逃げることすらままならない。
死すべき運命にあるパイロットを収めた鉄の棺桶。既にスクラップだった。

<デスペラード>は動けない<ホワイトリンク>の背面に回りこみ
スナイパーライフルの照準をゆっくりとコックピットブロックに合わせた。
「あんたに怨みはないんやけど、死んでもらうで」

ガイルは阿部 玲司を生かしたまま捕らえるつもりはなかった。
レイヴンズアークがかけた懸賞金はデッドオアアライブ――生死不問だ。
生かしたままアークに引き渡す必要はない。
これが<ホワイトリンク>と阿部 玲司だったと確認さえできれば、それで十分。
余計な事を喋られる可能性はここで摘んでおく。

「怨んでくれてええよ」
至近距離からスナイパーライフルを発砲。
鈍い金属音と共に<ホワイトリンク>のコックピットブロックが歪んだ。

「…………」
スナイパーライフルの弾が装甲を貫通して中がグチャグチャになってしまわぬよう
射角を調整して、再び至近距離から発砲。
コックピットブロックが更に歪んだ。

「…………」
発砲。発砲。発砲。発砲――
立て続けの着弾で<ホワイトリンク>のコックピットブロックは大きく形を変えた。
醜く歪み、もう中にパイロットが無事なまま収まるスペースは残っていない。

「運が悪かったなぁ、ミスターアベレージ」
ガイルは<ホワイトリンク>の潰れたコックピットを眺めながら無感動に呟いた。
じわりじわりと押し潰されて苦しんだであろう阿部 玲司に同情などしない。
レイヴンに身を置く以上、いつ自分の番が回ってきてもおかしくはないのだから。

「オペレーター、聞こえるか? 状況終了や」
『お、お疲れ様です。あの……』
「なんや?」
『ガイルさん、本当に強かったんですね』

「能ある鷹は爪を隠すっちゅうやつや、勉強になったやろ?」
『はい、勉強になりました』
「残骸の回収だけ頼むわ」
『了解しました。すぐに向かわせます』

デルタ要塞との通信を終えてから、ガイルは1人ため息をついた。
「実入りはええけど、しょうもない仕事になってしもうたな……」
そう吐き捨てながら戦場を後にしようと機体を反転させたその時
一条の青い閃光が<デスペラード>を襲った。

青い閃光は<デスペラード>のコアを背部から貫通。
一撃で機体を真っ二つに引き裂き――爆散させた。
閃光の直撃を受けたパイロットは機体が吹き飛ぶ前に蒸発したことだろう。

ガイルは己が身に何が起こったのか理解する間もなく死を迎えた。
何が起こったのか、全てを理解しているのは唯一人。青い閃光の射手――
30キロ彼方の山中で規格外の得物を構えた白い四脚ACの乗り手のみ。



白い四脚ACが構えるエネルギースナイパーライフルは異様に巨大だった。
ACの全長の3倍近い長さを持つ砲身は、超弩級戦艦の主砲クラスのサイズを
誇っている。もはやスナイパーライフルと呼べる代物であるかも定かではない。

メイングリップを右腕で持ち、サブグリップに左腕を添えているが
ACの両腕だけではこれの本体重量を支え切れないのだろう。
砲身下部に太いバイポット(二脚)が取り付けられている。

そして四脚ACの右背部には専用の光学スコープ。
左背部には本体直結型の特殊ジェネレータを積んでいる。
全てが規格外。明らかにACが携行する武装の域を超えていた。

これのベースはミラージュ社製エネルギースナイパーライフルの
MWG-SRFE/8なのだが、もはや完全な別物となっており、全く原型をとどめていない。
とある研究機関の「有効射程と威力をどこまで高められるか」
という、酔狂な実験の為に徹底的な改造を施された実験兵器である。

ACでの運用を考慮されていない上、たった1発で煙を上げて
使用不能になってしまう欠陥品ではあるが、その射程と威力は
想定外の距離から一撃で標的を葬ることを可能とした。

《ヴァイス5、無事か?》

『――なんとかな、機体の方は完全にやられてるが』
《ぎりぎりまで引っ張ってすまない》
『なーに、“自分の力量”だから分かってるさ』
《それもそうだな》

『気にせず行ってくれ。どうせ俺たちはその場凌ぎの急ごしらえで
 元々あまり長くはないらしいからな。それよりも、クレアを頼む』
《ああ、後は任せろ》
『任せたぞ……』

《ヴァイス4より全ヴァイスへ、敵AC<デスペラード>の撃破に成功した。
 ヴァイス5は行動不能。俺は予定通り換装を済ませた後、そっちに合流する。
 庵野 雲以外のレイヴンもかなりの手練だ。全機、気を引き締めろよ》

『ヴァイス2、了解』
『ヴァイス6、了解』
『ヴァイス3、了解』
『ヴァイス7、了解』

『ヴァイス1、了解』




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