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兵器とは、鋼鉄でできたものである
だが数年前、我々が考えもしなかった兵器が発表された

[AMIDA]

面倒な燃料もいらず、餌をやっておけば勝手に繁殖する
口から吐き出す酸は、ACすら腐食させる
まさに、画期的な兵器だった
しかし開発当初、他企業からは、見向きもされなかった
馬鹿な企業の道楽だと、そっぽを向かれた

これは、AC全盛の世において
実現不可能といわれた生物兵器開発に挑んだ、男たちの、ドラマである

(語り:田口トモロヲ)


[変態企業が世界規格を作った
 ~AMIDA、不可能といわれた生物兵器に挑む~]

(BGM:中島みゆき「地上の星」)


アーマードコア
その機体構成には、多くの企業のパーツがある
ミラージュ、クレスト、ナービス……
そしてその中に、[産廃製造所][変態企業]と揶揄された企業があった

キサラギ

ある日、社長は会議室に重役を集め、言った

「ACパーツでは、我々はミラージュには勝てへん
 なら、まったく新しい方向からアピールをかけるしかないやないか」

皆、震えた
武者震いだった

かつて重役だったS氏は、こう語る

「部下に一任したんですよ
 あいつら、酒を飲むと、いつも他企業に負けて悔しい、って涙ながらにこぼすんです
 だったら、他企業に負けないものを作ってみろって、ね
 だから、私の手柄なんかこれっぽっちもありはしません
 みんな、あいつらが発奮したからなんですよ」

しかし、その開発は、苦難の連続だった

開発は、MTから始まった
しかしMTは他企業も多く開発しており、シェア奪還は困難
いくつもの試作機を出した結果、ついに完成した傑作機があった

[ゲルニカ]

背面部にミサイルを搭載
脚部に逆関節、腕部をレーザー砲
頭部にレーダーという隙の無いつくりになっており、開発室は沸き立った
しかし、社長は、顔を曇らせた

「これ、MTみたいやけどACやろ。ごっつうコストかかっとるんやないか?」
「えっ、しかし、ですが………」

部下の戸惑う顔をしっかり見て、社長は言った

「おまはんらが適当な仕事したとは、ワシはこれっぽっちも思っとらへん
 けどな、ウチは企業や
 これはどれだけの収益を産みだせるんや?」
「………」

後に、ゲルニカはとあるレイヴンに売られ、開発資金となった
その日、開発室近くの居酒屋は、荒れに荒れた


○○○年□月―――

万策尽きた
そう言って、研究室を離れるものが後を絶たなかった
その様子を、悲しそうな目で見ている一人の研究者がいた

A、キサラギ研究開発プロジェクト、そのリーダーである

「あの時は、もう真っ白でした
 引き止めたくても、自分には何の案も方法も無い
 自分の無力を呪って、お酒の量も増えましたよ………」

そんな時、部下の一人に映画に誘われた
発見された、大破壊前のフィルムを、公開する映画館があるというのだ
鬱々とした気持ちではあったが、その気分転換にと、付き合うことを決めた


[いたわりと友愛がわしの胸をしめつける。王蟲が心をひらいておるんじゃ。
 そのもの青き衣をまといて金色の野に降りたつべし]
[風の谷まで持てばいい]
[巨神兵が死んじゃった]


―――これだ、と思った


「その後は真っ白でしたね
 でも、以前と違うことは、目的のある真っ白なんです
 無我の境地、って言うんでしょうかね?」

生物兵器
あの映画を見たとき、押し寄せる蟲の群れを見て、Aは閃いたと言う

「できるはずが無い」
「敵は歩兵じゃなく、ACだ」
「よしんば生物兵器ができたとしても、AC相手には的にしかならない」

そんな声が圧倒的多数を占める中、社長は言った

「まずはやってみなはれ。その後のことはその後考えよか」

重役会議の中、Aは、深々と頭を下げた

フォルムは、あの蟲のように緑の楕円形
見た目は可愛く、ペットのように抱きしめたくなる形を求めた
4人ものスタッフが、飛散した蟲の欠片で命を落とした
それでも、Aも、スタッフも、誰も立ち止まらなかった

「命がけ っていうんですか
 もちろん死ぬのは怖い。部下の死に心が痛む
 それでも、私たちはもう止まれないんですよ
 だって、私たちはプロなんですから」

三年の月日が流れ、ついに試作型が完成
名前は、開発部のみんなが既に決めていた

[AMIDA]

開発リーダーであるAと、死した仲間の頭文字を4つ重ねてできた
苦難の結晶だった
攻撃方法は敵機を見つけると張り付き、自爆すると言う画期的なもの
今までに、誰も見たことの無い兵器だった

社長はすぐに研究開発室を訪れ、労をねぎらった
そして社長が帰ってから、Aは誰にも言わずに、今まで共に戦ってきた仲間を集め、言った

「AMIDAは、確かに画期的な、生物兵器の枠を超えた存在となる
 しかし私はAMIDAをこのままにはしておけない
 彼らだって生物だ
 張り付いて自爆するなど、求めているはずが無い!
 諸君らの仕事はここまでだ。しかし、もしも社命にそむいてでも私と共に来てくれる者がいれば、ここにいてくれ
 恨みはしない、これは私の独断なんだから。………一時間ほど、外の風に当たってくる」

人生でもっとも不安な一時間が過ぎ、工場に戻ったAが見たもの
それは、一人も欠けずに残ってくれた従業員達だった

「その時、私は誓ったんですよ
 たとえ死んでも、この素晴らしい部下達を路頭に迷わすわけにはいかないって」

(スタジオ)


国井雅比古「いやぁ……大変な苦労をなさったんですね」
A「そうですね。自爆型のAMIDAで満足できていれば、
  そんなに苦労はしなかったんでしょうけどね」
久保純子「何が一番辛かったですか?」
A「それはやっぱり、仲間の死ですね
  苦楽を共にした仲間が、可愛がっていたAMIDAといっしょにいなくなってしまうのは悲しかったですよ」
久保純子「でも、よく会社の命に背いてまでやろうと思いましたね」
A「ほら、キサラギは変態企業だなんていわれていますよね? だからそういう変な融通は利くんですよ(笑)」
国井雅比古「ははは………そうしてできたAMIDA、じつはスタジオに持ってきているんですよ」

(スタジオの端からカサカサとAにちかずいてくるAMIDA)

国井雅比古「改めて見ると、大きいですねぇ」
A「そうですね、でもこれはまだ子供ですよ。大きくなるのはこれからです」
久保純子「えっ、見ただけで分かるんですか?」
A「当たり前ですよ。私は女房よりも、AMIDAと過ごした時間のほうが長いんですから(笑)」
国井雅比古「おみそれしました」



久保純子「さて、自爆方のAMIDAだけでなく、ここに更なる改良を加えた後どうなるのか
     それを伝え、本日はお別れになります」


公園で遊ぶ子供達
その手には、AMIDA
酸も吐かず自爆もしなくなったAMIDA、今年発売の、キサラギの新商品だ
戦争機械ばかりが先行する企業において、キサラギは早くも市民の心をつかみ出している


Aの開発プロジェクトは、AMIDAの革命をもたらした
自爆をせず、遠距離から酸を吐くタイプは多くのAC・MTを破壊した
また、飛行型などもでき、キサラギ生物兵器の名を一躍轟かせる事になった
しかし、その頃にはプロジェクト全体に、「違う」と言う気持ちが出てきたと、Aは語る

「愛着が湧いてしまったんですよ、私も、彼らも
 だから戦争兵器じゃない、愛玩用AMIDAを今は作っています
 どうです? 一家に一匹、可愛いAMIDAを」

そう話すAの顔は、明るかった


かつて、変態企業と呼ばれた会社があった
その最たるものと言われた研究開発室
そこには今日も、かつて生物兵器だったものと戯れる、研究者の笑い声が響いている―――


(BGM:中島みゆき 「ヘッドライト・テールライト」)




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