もし神が居るかと問われれば、私はたぶん、居ると答えるだろう
しかし、それは私の心の奥底から湧き出てきた純粋な意見ではない
ただ私はそう言うように躾けられ、そう言うべくして存在するように強制されてきたからだ
だが私は本当はそうは思わない、私に微笑んでくれない神なんて私は信じない
しかし一方で私に微笑んでくれる神も居た
最もそれは昔の話だ、今は居ない
ただ純粋に私の為に微笑んでくれて・・・
私の為に?いや、あいつはとんでもないやつだ
僕の誠意を根こそぎ奪い取ってどこかへ消えてしまった
あいつは僕の胸の奥底に燻ぶり続ける、小さな小さなプライドに蹴りを入れて去って行った
そのせいで僕の小さな小さなプライドは余計に燃え盛り、僕という器を焦がしてしまった・・・
いや、違う、違うんだ
私が自分の醜いプライドの為に身を滅ぼしたのは本当だ
だがそれは私の責任で、彼女の責任では無い
そう、彼女に非などあるわけがない
今ここから見えるのは、広大な砂漠だ
サラサラとした砂が全てを覆い隠し、その中で全てを断罪し、全てを赦してくれる
企業はそんな美しい土地を占拠し、破壊の限りを尽くそうとしている
私はそれを止めなければならない・・・
いや、それはただの優等生の回答だ
僕は知っている、ただ君がそれ以外の選択肢が無いという理由でここまで来た事を
あいつ、ファーティマを失った君はもう反体制派の良いように使われるしかなかった
率先して強奪したネクスト機に乗ると言い出したのも、そうしなければ君が自責の念に耐えられないからだ
ただ自分で自分を痛めつける事でしか自分を保てない、君がそんな弱い人間だからだ
自責の念と言ってもそんなに良い物ではない
ただ過去の自分との関係性を断ち切りたくないが為に自責の念を持ち続けているだけだ
本当にファーティマを失った事に関して君は悔いている事があるのか?
そんなのは僕にもわからない、君はいつでもその事を考えようとすると胸を押さえて苦しむからだ
君が苦しめば僕も苦しい、そんな事は僕も望んでない
でも君は自責の念を持ち続けないと、ファーティマとの事がすっかり無かったことになってしまうような気がしている
ただそうなる事が怖い、それだけの理由で君は自責の念を持ち続けている
僕にはわかる、もう君はファーティマの事なんかどうでもいいんだ
ただ過去の自分の精一杯の行動を誰かに否定されるのが怖いんだ・・・
ああ、私は怖いよ、彼女の事も、私の事も、彼女と私の間にあった事も、全てが平凡な事だと言われるのが恐ろしい
信仰を求めて彷徨っていた自分を、掬いあげてくれた彼女の事を、平凡な一組の男女と言われる事が恐ろしい
私の心は生まれた時から穏やかでは無かったよ
絶えず誰かの声がして、全てが不信感に満ちた声だった
それを解決する方法として信仰を求めた私は間違っていたのだろうか
偽りの信仰でも、きっと信じ続ければ真実の信仰になると考えた自分は間違っていたのだろうか
いいや、そんな事はない、断じて間違ってなどいない
ただ私は予想以上に孤独に対して弱かっただけだ
強い信仰を持つには、あまりにも人の温もりを恋しく思い、人に優しくされたいと願い過ぎた、それだけだ・・・
そして行き詰った君は彼女に出会った
手品師も顔負けのスピードとテクニックで自分を騙し、信仰を愛とすり替えて見せた
君は本当に恐ろしい奴だ、何も知らないファーティマを心の中で偶像化したんだから
そのくせ君はファーティマに何も求めなかった、ただ愛する事だけに満足していた
あの頃の君は本当に純粋だったよ、空恐ろしいくらいにね・・・
いや、違う、私は本当に愚かで下劣な男だったよ
心の平穏を求めていた私も、結局は嫉妬と性欲に食いつぶされた
だから彼女は去って行った、醜い私を見たくは無い筈だから・・・
本当にそうだろうか、僕はそうは思わない
ファーティマは君がファーティマを偶像化している事なんて知らなかった
ただごく普通の男女と思っていた
なら嫉妬も性欲も、それが存在するというだけで君を捨てる程の理由になるだろうか?
真相はこうさ、君はただ単純に飽きられた、それだけさ、ごく一般的な男女と同じくね・・・
まあいいさ、私はもうすぐ死ぬ
ネクストに乗って、あの恐ろしい精神負荷に参ってしまう
そして私はネクストと一緒に企業にやられてしまう
アマジークがやられてしまった今、私ではもうこの流れを止める事は出来ない
ただ私に出来る事は、その流れに殉じる事だけだ
死ぬ事は恐ろしい、不十分な信仰しか持たない私は死んだら何もかも失ってしまう
私が死ねば全ては消滅してしまう、ただ何もない世界が永遠の時を刻み続けるだけだ
私という認識者の居ない世界が、ただ蜃気楼のようになりながら私の怠慢を糾弾するだけだ
でも私は死にたいと思っている、それぐらいしか、私から漏れ出す膿を止める方法は無いのだから
これ以上恥という感情が積もり積もってしまったら、私はもう正気で居る事は出来ない・・・
僕はいやだ、自分から率先して死にたいと思う奴なんてどいつもこいつも愚か者ばかりだ
きっと愚か者どものは死に直面して自分の意識が途切れる最後の瞬間になって突然自覚する
自分は死に対する恐怖感をもっと持つべきだったんだと
だがもう遅い、その愚か者の首は既に体から離れてしまっているんだから
どれだけ後悔しても死は訪れる、その時になってやっと愚か者は死という物を認識するだろう
その最後の一瞬を耐えられる崇高な人間なんて、おそらく今まで誰も居なかった
どんな安らかな死に方をした奴でも、最後の一瞬の後悔は表情筋を動かす事すら無く彼を絶望に陥れる
死という物が何かという議論なんて、その絶望の前では、何の意味も持たないさ
そうだ、君はあんなネクストなんて機械と心中しなくて良い
今すぐここから逃げ出すんだ
何も持たず、何も考えず、ただ走り出すんだ
次の事はいつか立ち止まった時考えればいい
ただ今は走るんだ、その事だけを考えればいい
君に微笑まなかった神も、ファーティマも、今なら君を赦してくれるだろう
全てを捨てて逃げ出す者に、罪を科す価値など無いのだから
しかし、それは私の心の奥底から湧き出てきた純粋な意見ではない
ただ私はそう言うように躾けられ、そう言うべくして存在するように強制されてきたからだ
だが私は本当はそうは思わない、私に微笑んでくれない神なんて私は信じない
しかし一方で私に微笑んでくれる神も居た
最もそれは昔の話だ、今は居ない
ただ純粋に私の為に微笑んでくれて・・・
私の為に?いや、あいつはとんでもないやつだ
僕の誠意を根こそぎ奪い取ってどこかへ消えてしまった
あいつは僕の胸の奥底に燻ぶり続ける、小さな小さなプライドに蹴りを入れて去って行った
そのせいで僕の小さな小さなプライドは余計に燃え盛り、僕という器を焦がしてしまった・・・
いや、違う、違うんだ
私が自分の醜いプライドの為に身を滅ぼしたのは本当だ
だがそれは私の責任で、彼女の責任では無い
そう、彼女に非などあるわけがない
今ここから見えるのは、広大な砂漠だ
サラサラとした砂が全てを覆い隠し、その中で全てを断罪し、全てを赦してくれる
企業はそんな美しい土地を占拠し、破壊の限りを尽くそうとしている
私はそれを止めなければならない・・・
いや、それはただの優等生の回答だ
僕は知っている、ただ君がそれ以外の選択肢が無いという理由でここまで来た事を
あいつ、ファーティマを失った君はもう反体制派の良いように使われるしかなかった
率先して強奪したネクスト機に乗ると言い出したのも、そうしなければ君が自責の念に耐えられないからだ
ただ自分で自分を痛めつける事でしか自分を保てない、君がそんな弱い人間だからだ
自責の念と言ってもそんなに良い物ではない
ただ過去の自分との関係性を断ち切りたくないが為に自責の念を持ち続けているだけだ
本当にファーティマを失った事に関して君は悔いている事があるのか?
そんなのは僕にもわからない、君はいつでもその事を考えようとすると胸を押さえて苦しむからだ
君が苦しめば僕も苦しい、そんな事は僕も望んでない
でも君は自責の念を持ち続けないと、ファーティマとの事がすっかり無かったことになってしまうような気がしている
ただそうなる事が怖い、それだけの理由で君は自責の念を持ち続けている
僕にはわかる、もう君はファーティマの事なんかどうでもいいんだ
ただ過去の自分の精一杯の行動を誰かに否定されるのが怖いんだ・・・
ああ、私は怖いよ、彼女の事も、私の事も、彼女と私の間にあった事も、全てが平凡な事だと言われるのが恐ろしい
信仰を求めて彷徨っていた自分を、掬いあげてくれた彼女の事を、平凡な一組の男女と言われる事が恐ろしい
私の心は生まれた時から穏やかでは無かったよ
絶えず誰かの声がして、全てが不信感に満ちた声だった
それを解決する方法として信仰を求めた私は間違っていたのだろうか
偽りの信仰でも、きっと信じ続ければ真実の信仰になると考えた自分は間違っていたのだろうか
いいや、そんな事はない、断じて間違ってなどいない
ただ私は予想以上に孤独に対して弱かっただけだ
強い信仰を持つには、あまりにも人の温もりを恋しく思い、人に優しくされたいと願い過ぎた、それだけだ・・・
そして行き詰った君は彼女に出会った
手品師も顔負けのスピードとテクニックで自分を騙し、信仰を愛とすり替えて見せた
君は本当に恐ろしい奴だ、何も知らないファーティマを心の中で偶像化したんだから
そのくせ君はファーティマに何も求めなかった、ただ愛する事だけに満足していた
あの頃の君は本当に純粋だったよ、空恐ろしいくらいにね・・・
いや、違う、私は本当に愚かで下劣な男だったよ
心の平穏を求めていた私も、結局は嫉妬と性欲に食いつぶされた
だから彼女は去って行った、醜い私を見たくは無い筈だから・・・
本当にそうだろうか、僕はそうは思わない
ファーティマは君がファーティマを偶像化している事なんて知らなかった
ただごく普通の男女と思っていた
なら嫉妬も性欲も、それが存在するというだけで君を捨てる程の理由になるだろうか?
真相はこうさ、君はただ単純に飽きられた、それだけさ、ごく一般的な男女と同じくね・・・
まあいいさ、私はもうすぐ死ぬ
ネクストに乗って、あの恐ろしい精神負荷に参ってしまう
そして私はネクストと一緒に企業にやられてしまう
アマジークがやられてしまった今、私ではもうこの流れを止める事は出来ない
ただ私に出来る事は、その流れに殉じる事だけだ
死ぬ事は恐ろしい、不十分な信仰しか持たない私は死んだら何もかも失ってしまう
私が死ねば全ては消滅してしまう、ただ何もない世界が永遠の時を刻み続けるだけだ
私という認識者の居ない世界が、ただ蜃気楼のようになりながら私の怠慢を糾弾するだけだ
でも私は死にたいと思っている、それぐらいしか、私から漏れ出す膿を止める方法は無いのだから
これ以上恥という感情が積もり積もってしまったら、私はもう正気で居る事は出来ない・・・
僕はいやだ、自分から率先して死にたいと思う奴なんてどいつもこいつも愚か者ばかりだ
きっと愚か者どものは死に直面して自分の意識が途切れる最後の瞬間になって突然自覚する
自分は死に対する恐怖感をもっと持つべきだったんだと
だがもう遅い、その愚か者の首は既に体から離れてしまっているんだから
どれだけ後悔しても死は訪れる、その時になってやっと愚か者は死という物を認識するだろう
その最後の一瞬を耐えられる崇高な人間なんて、おそらく今まで誰も居なかった
どんな安らかな死に方をした奴でも、最後の一瞬の後悔は表情筋を動かす事すら無く彼を絶望に陥れる
死という物が何かという議論なんて、その絶望の前では、何の意味も持たないさ
そうだ、君はあんなネクストなんて機械と心中しなくて良い
今すぐここから逃げ出すんだ
何も持たず、何も考えず、ただ走り出すんだ
次の事はいつか立ち止まった時考えればいい
ただ今は走るんだ、その事だけを考えればいい
君に微笑まなかった神も、ファーティマも、今なら君を赦してくれるだろう
全てを捨てて逃げ出す者に、罪を科す価値など無いのだから