★その55

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愛用の目覚まし時計をそっと止める。
「んん…んんんん…よく寝た。」
やっぱり我が家は落ち着くな。

「いてて…」
何気なく起き上がるだけでも身体が少し痛んだ。

今の俺は何をするにも時間が掛かる状態。
制服に着替えるだけでも手間取った。

実は昨日の夕方退院したばかりだったりする。
医者は自宅養生を薦めたが俺は学園に行くぞ。
家でじっとしてると気が滅入る。
それに学園がどうなってるのか気になるしな。
さあ、1階に降りよう。

「おはよう!」
もう大丈夫だと言う事をアピールながら朝の第一声を発した。
壊れ物のように大切に扱われるのはやっぱり苦手だ、落ち着かない。

「おはよう、洋平。」
「おはよう、兄さん。」
「おはようございます。」

いつも通りの朝。
セレン姉さんは新聞を読みながら、ベアトリスは端末をいじりながら
朝食を口に運んでいる。
いつも通りの風景。

「いただきまーす。」
アイビスの作ってくれた朝食は久しぶりだ。
病院の食事は味気なかったからな。
うん、美味い!ガツガツと平らげていく。

「なあ、洋平…一週間ほど休んでもいいんだぞ?
 休むべき時に休むのも大切な事だ。」
偶に出る姉さんの優しい顔と声。
ギャップ攻撃というやつだ。相当破壊力がある。

「そうよ、休めばいいのに…」
ベアトリスも反対…か…
「賢い選択とは思えません。」
アイビスまで…

心配してくれてるのはありがたい。
でも俺は学園に行くぞ。色々と気になるし、もう決めた事だ。

それに何故か無性に行かなければならないような気もする。
「もう大丈夫だってば、何と言おうと行くからね。」

「ふぅ…誰に似たのかお前は頑固だな…
 仕方が無い。私の車で送ってやろう。」
「ええっ!いいよ…いい歳して恥ずかしいよ。帰りもあるんだし…」
「帰りも迎えに行ってやる。」

この条件を呑まないと行かせてもらえそうにないな、仕方が無い譲歩しようか。
「…じゃあ、お願いします。」

★その56

と、いうわけでセレン姉さんに車で送っもらっているのだが
俺は刑の執行を待つ死刑囚のような心境だ。
助手席に小さくなって収まっている。

どうしてそんな心境なのかって?
今回死に掛けた事に対するお叱りが来そうなんだ。
ちょうど車内にそんな空気が流れている。
逃げ場は無い、覚悟するしかないな…

「洋平。」
き、きた…

「な、なに?」
「勝手に逝くなよ。色々と無駄になる。」
「うん…」

それだけだった。
その後は静かな時間が続いて
正直な所、ガミガミ言われるよりよっぽど堪えた。

「着いたぞ。」
「ありがとう…姉さん。」
「帰りもここで待っているから、遅くなりそうなら連絡しろ。」
「うん、分かった。」

卒業すれば嫌でも心配を掛ける事になる。
在学中ぐらいは大人しくしていようと
姉さんの車を見送りながら心に誓う俺であった。

「ふぅ…」
さて、行こうか。

学園の門を潜るのも久しぶり。
あれから随分時間が経ったような気がする。
実際は数日しか経ってないんだけどね。
不思議な感じだ。

俺は直ぐに下駄箱には向かわず、破壊された校舎の方に足を向けた。
「へぇ~、綺麗に直されてる。」
ここでAC同士が戦ったなんて嘘みたいだ。
そういえば穴だらけだった校庭も綺麗に舗装されているな。

「ほら、あの人じゃない?」
んん、何だ?
知らない女子たちがこっちを見ながらヒソヒソ話している。

「ええ!?あれがそうなの?全然見えないんだけど――」
丸聞こえなんだが…

「多分そうよ、だって凄い怪我してるじゃない。」
「マジ?人は見かけによらないっていうか――」
俺も有名になっちゃったな…

クラスの奴らの反応も気になる所だ。
みんなどんなリアクション取るんだろうな。
さあ、教室に行こう。

 ・
 ・
 ・

ガラガラガラガラ

俺はちょっと期待に胸を躍らせながらドアを開けた。

シーーーーーーーーーン

騒がしかった教室が一斉に静かに…
そのくせ、誰も俺と目を合わそうとしない。
なんだこれ?

「凄かったな、槍杉。」とか「かっこよかったよ、槍杉君。」
みたいなリアクションが待っているのかと思ったんだが…
なんでみんな静まり返っちゃうの?

とりあえず、自分の席に向かおう。

「おはよう、神威。」
「よう、槍杉、ヒャッハー!」
こいつはいつも通りだ。

「おはよう、槍杉君。もう大丈夫なの?」
「うん、もう心配ないよ。エクレールさん。」
彼女も変わりない。
他の奴らの余所余所しさは一体…

ピンポンパンポーン

『これより朝の特別集会を行います。生徒のみなさんは体育館に集まってください。
 繰り返します。
 朝の特別集会を行います。生徒のみなさんは体育館に集まってください。』

「多分、襲撃事件の事でしょうね。」
「行こうぜ、槍杉、ヒャッハー!」
「あ、ああ…」

★その57

体育館で行われた特別集会の内容は大体こんな感じだった。

学園長は今回の不手際を全面的に認め
今後の対応策として教師主導による警備部隊の発足を表明。
クライン先生を筆頭に最高峰のレイヴンたちが名を連ねた。

学園内での争いが禁止されているとはいえ
所属陣営や個人的に対立している教師も多い。
そう、一部教師は非常に仲が悪かったりする。
そんな彼らが協力し合うオールスター部隊。

少年漫画みたいな展開だが、これほど力強い警備部隊は他にないだろう。
今回の件で学園に不安を抱いていた生徒たちを安心させた。

警備部隊は当番制で当番の教師が愛機を学園に持ち込み
非常事態に対応するそうだ。これなら個々の負担も少なくて済む。
色々なプロのACを間近で見る機会が増えるのは個人的に嬉しいね。

そうそう、俺たち4人は表彰されたんだ。
己が身を顧みず、襲撃者に立ち向かった勇気ある生徒として。

ちょっと芝居がかってたけど、悪い気はしなかった。
たとえ生徒の不安を軽減する演出の一環だったとしても…

表彰状なんて貰ったのはいつぶりだろうか?
幼稚園の時に貰った『健康で賞』以来かもしれない。
帰ったら姉さんに見せよう。

学園の運営は学園長の真摯な態度と素早い対応策のおかげで問題なさそうな感じだ。
問題なのはクラスメイトの俺に対する余所余所しさ…

特別集会が終わってから何度か話しかけてみたが
やっぱり気のせいじゃない。
微妙に避けられてるというか、怖がられてる。

こういう扱いに慣れてないからちょっと傷つくんだが…
他の3人に対しては変わらないのに、何で俺だけ…
何でこうなっちゃったんだろう…

「あんまり食欲ないなぁ…」
俺はとぼとぼと学食に向かった。

「おおっ!ミイラ男、来たのか。」
「よう…古王…」
「何だよ、学園を守った英雄様が気の抜けた顔しやがって。」

「英雄ねぇ…」
孤独な英雄より、一般人の方が俺はいいわ…

「どこも洋平君たちの噂で持ちきりだよ?」
「あっそ…」
あまり聞きたくないなぁ…

俺の気も知らないで林檎が噂とやらを話し続けてる。
「―――中でも襲撃者を仕留めた洋平君が凄い噂さ。
 ネクスト用の射突ブレードでACを行動不能にしたのに
 それだけじゃ気が済まなくて、パイロットにとどめを刺しに行ったんだってね。」
んん?最後が全然違うぞ…

「ちょっと待て、そんなこと誰が言ってるんだ?」
「みんな言ってるよ。そういう噂なんだから。違うの?」
おいおいおいおい、勘弁してくれよ。

「ACの爆発に巻き込まれてやっと止まったけど
 一度暴れ出したら手のつけられない危険人物って事で
 付いたあだ名が『バーサーカー』。」
「俺がぁ?」
なんだこりゃ…これ聞いたらクラスの奴らも確かに引くわ…

「ぐぅわぁはははははははは…、洋平がバーサーカーだって?
 腹いてぇよ。あんまり笑わすな。」
古王、笑いすぎだ。

「『やりすぎ王子』とかも呼ばれてるよ。今朝も凄い美人に車で送らせてて
 普通っぽく見えるけど、実は裏の顔があるとか何とか。」
俺は至って普通なのに、一体どんな目で見られているんだ…

「こいつが王子って面かよ。凄い美人ってのもどうせお前の姉貴だろ?
 ありえねぇ。」
そうだよ。彼女すらできた事ありませんよ。そんな人いませんよ。
ルックスもよくありませんよ。

いかんいかん、落ち着け。状況を整理しろ、よく考えるんだ。
姉さんの事は大本の噂にくっ付いて誤解されたんだろう。
問題はその大本、俺が危険人物だって噂の出所は一体どこだ?

………………1人いる。
事件の当事者で一部始終を知っていて
ある事ない事、面白可笑しく話して回りそうな奴が1人いる。
あのトリ頭…

「おい、何をぶるぶる震えてんだ?」
「あんまり力むと傷口が開くんじゃないの?」
許すまじ…

「ちょっと食後の運動に行ってくる。」
「食べ始めたばっかりじゃねぇか。」
「ちょっと、洋平君、どこ行く―――――」

俺の平和は学園生活を脅かす奴が隣の席にいたとはな…
「ふふ、ふふ、ふふふ、ふふふふふ、あっはっはっはっはっはっ!」
打ち首獄門じゃー!

★その58

それから昼休みに神威の首絞めて問いただすと
「あれぇ?パイロットにとどめを刺しに行ったんじゃなかったのか、ヒャッハ?」
なんて惚けるやがるから、久しぶりに人をブン殴りたくなった。

ここからがまた大変。俺は脅えるクラスメイトに事情を説明して回り
神威はクラス外でこの話をした人たちの所に行かせた。

クラスの方は大体なんとかなったが
学園全体で一人歩きし始めた噂はなかなか消えてくれそうに無い。
散々な午後だった。

___バーサーカーの称号を手に入れた!
___やりすぎ王子の称号を手に入れた!
誤解は当分解けそうにない!

「神威、お前は明日も休み時間全部使って噂の訂正に行って来い。」
「もう勘弁してくれよ。疲れたぜ、ヒャッハ…」
そんな上目遣いで見ても俺は許さないぞ、お前がやると気持ち悪いんだよ。

「くだらんな、他人にどう思われようが自分は自分だろう。」
「ジナは他人事だからそんな風に言えるんだよ。」
俺のナイーブなハートは酷く傷ついたんだぞ。

「まあまあ、槍杉君。そんなに怒らないで、神威君も反省してるみたいだし。」
「エクレールもっと言ってくれよ、ヒャッハ…」
「甘い、甘いよ、エクレールさん。」
こいつは全然反省してない。変な噂が完全に消えるまで走り回ってもらう。

「ふぅ…」
怪我を押してまで登校して本当によかった。
無性に学園に行かなければならないような気がしたのはコレのせいだったんだな。
予感的中、こんな噂を放って置いたらどうなっていたことか…

妙な疲労感に襲われて帰ろうとした時にクライン先生がやってきた。
「ちょうどいい、4人揃っているな。お前たちに学園長から話しがある。」

「俺様、この後に予定があるんだぜ、ヒャッハー!」
こいつ…ナインブレイカーに対してもタメ口かよ。本当に怖いもの知らずだな。

「来なかったことを後悔するかもしれんが、構わんのか?」
妙な言い回しだなと思ったが、直ぐに察しがついた。
”特別褒賞”
甘美な響きの単語が脳裏を過ぎる。
俺も結構俗物…

このメンバーに対してこの言い回し、悪い話じゃないのは明らかだ。
俺たちは先生に付いて学園長室に向かった。

コン、コン

「どうぞ、入ってください。」
クライン先生が学園長室のドアをノックすると直ぐに応えが返ってきた。
先生に続いて俺たちも部屋の中に入る。
ここに入るのはこれで2回目、中には豪華な調度品が並んでいる。
壊さないように気をつけないとな…

「学園長、例の4人です。」
「いやぁ、よく来てくれましたね。ささっ、掛けてください。」
勧められるままソファに座った。

学園長の表情、仕草、話し方、どれを取っても
やっぱり人の良い爺さんにしか見えない。
仕舞いには俺たち生徒に出すお茶を自分で入れ始めた。
近所にいる気の良い爺さんと変わらない雰囲気を醸し出している。

全員がお茶に少し口を付け終わってから学園長の話しが始まった。
「今回の件はよくやってくれましたね。改めてお礼を言わせてください。」
頭を下げる学園長に慌てる俺とエクレールさん。
ジナと神威は「御託はいい、さっさと本題を話せ。」ってを顔してる。
不遜な奴らだ。

「君たちが行動してくれなかったら被害はもっと大きなものになっていたでしょう。
 そんな君たちに対して表彰状1枚だけというのも、罰当たりな話。
 功績に報いる特別褒賞を与えたいと思います。」
やっぱりきた!
爆弾MTの時は授業料免除だったからな、今度は何だろう?

「2週間後にコンコード社主催で行われるスペシャルアリーナへの出場権利です。
 一般のアリーナ同様、アリーナ専用弾を使うので実弾よりは安全ですが
 最悪、命を落とす可能性もありますね。」

「何でそんな危ない権利が特別褒賞なんだ、ヒャッハー?」
俺の思ってる事を神威がズバッと言ってくれた。
卒業後の仲介組織によってはアリーナへの参加が義務付けられているのに…
これが褒賞?

「ほっほっほっほっ!まあ話を最後まで聞いてください。
 このスペシャルアリーナは”学生同士を戦わせる”という
 一風変わった趣旨なんですが、勝った場合の見返りがとても大きいんですよ。
 クライン先生、彼らにスペシャルアリーナの資料を。」
「はい。」

「はじめのページをさっと読んでみてください。」
言われた箇所に目を通す。

なになに、地球側の代表校と火星側の代表校から各5名ずつ出場者を選出。
5対5で先に3勝した方が勝ちのチーム戦か。
地球側の代表校がAC学園なんだな。

ほうほう、アリーナで使うACは貸してもらえると。
基本的に貸してもらえるACのアセンは指定できる。
ただし、チーム内で使えるパーツの総価格に制限があり
その額を越えなければ好きなアセンを組むことが可能。
勝った方のチームはアリーナで使ったACをそのまま与えらる。

ええっ!!ちょっと待て、ACをそのまま与えられるだと…
これって勝ったらAC丸々1機が手に入るって事だよな…?

★その59

「みなさん大方読み終わったみたいですね。
 正直、襲撃者のごたごたで、このオファーを断ろうかとも思いました。
 しかしこのようなチャンスはそうありません。」

学園長の言うとおり、確かに凄いチャンスだ…
でもこんな好条件が有り得るのか?
アリーナでの1勝はACパーツひとつ買えるかどうかって額の賞金が一般的。
トップランカーならいざ知らず、俺たち学生は完全なアマチュアじゃないか。

それにアリーナで団体戦っていうのも聞いた事が無い。
せいぜいタッグバトルぐらいだろう。
この話、鵜呑みにしてもいいんだろうか?

「話がうますぎる…そういう顔をしていますね、槍杉君。」
「あっ、いえ、あの、その…すみません。」
見透かされた…また考えてる事が顔に出てたのか…

「ほっほっほっほっ!いいんですよ。その用心深さは傭兵としては美徳。
 でも君はもう少しポーカーフェイスを身に付けた方がいいですね。」
「は、はい…」
この癖なかなか直らないんだよな…

「話を元に戻しましょう。
 今回のスペシャルアリーナが豪勢なのには理由があるんですよ。
 実はここ数年、アリーナの人気が低迷気味でして
 運営を任されている知人もよく愚痴をこぼしていました。
 これはコンコードに限った事ではありません。業界全体に言えることです。」
そうなのか?初耳だな。

「理由は色々とありますが、一番の要因はフォーミュラFの勢力拡大でしょう。
 あちらにお客を取られているんですよ。
 アーキテクトに音楽活動させたり、大人から子供まで楽しめるAC玩具を
 売り出してみたり、大衆を取り込むのが上手い。
 また、無人機同士を戦わせるので血を見るのが嫌な人や子供でも楽しめるのが
 強みですね。」

確かにFFは話題作りを色々としてるな。
我が妹ベアトリスも『T-WINGS』ってユニット名でCDデビューしてたりする。
テレビで妹が歌ってるのを見た時は、開いた口が塞がらなかったもんだ。

「対してアリーナは面白そうなカードをぶつける以外、特に工夫をしてきませんでした。
 なかなか交代しないトップランカーや結果の見えている試合等
 賭けの対象としての魅力も低下。行き詰まりを見せています。」

俺もFFの試合は見に行った事はあるがアリーナを見に行った事ないもんな。
FFは大衆の娯楽、アリーナは富裕層の娯楽ってイメージがある。

「そこでスペシャルアリーナの企画が立ち上がりました。
 若く未知数な学生レイヴンによる団体戦。
 野球におけるプロ野球⇔高校野球のようなものをアリーナでも作ろうと
 計画しているんですね。
 今回はその新しいビジネスモデルの先駆け的な意味合いが強い。
 豪勢な賞品は話題作り、どんなに成功してもAC5機分の費用が出るんだから
 赤字でしょうね。何としてもアリーナを盛り上げたいんですよ。
 納得してもらえましたか?」

そういう経緯があったのか、これは納得だな。
言うなればレイヴン甲子園…それにしても凄い企画だ。

「大変申し訳ないんですが、この返事はこの場で出してもらいたいんです。
 アリーナは2週間後。いやはや、コンコードからせっつかれていましてね。」
ええ!!急すぎる…ど、どうしよう…

「出ます!出場させてください!」
早ッ!エクレールさん早すぎるよ。学園長の問いかけから殆ど間を置いてないぞ。
慎重な彼女らしくないと思ったが、目を見て納得した。
その瞳にはデュアルブレードが、いやデュアルブレードしか映っていない。

「面白い…参加します。」
直ぐにジナが続いた。ACが手に入るかもしれないって事より
強い相手と戦えるって事に興味を示しているんだろうな。
まるで戦闘民族だ。

「俺様も出るぜ~ヒャッハ~!」
こいつはもう何考えてるのか分からん。
その場のノリ?ノリなのか?

「槍杉君、君はどうしますか?チャンスですが無理はよくない。
 傷も癒えていないようだし、君だけ他の特別褒賞も考えますよ?
 よく考えてください。」

アリーナは2週間後、俺の怪我がちょうど治るかどうかって辺りだ。
それに出場者が万が一死亡した場合、アリーナ側は一切責任を負わない
と、小さく資料に書かれていたぞ…
在学中ぐらいは大人しくしていようと誓ったばかり…
だがこんなチャンスが二度も三度もあるとは…

どうする?

⇒《出ます!》
 《辞退します…》

「出ます!」
やっぱり自分のACが欲しい。この欲求には逆らえん。

それにアリーナではそうそう危険は無いはずだ。
―――万が一死亡した場合、アリーナ側は一切責任を負わない
こんなの一応書いてあるだけだろ?大丈夫~大丈夫~!

「全員参加ですね。よい返事がもらえて私も嬉しいですよ。
 ほっほっほっほっ!
 では明日から早速、アリーナに向けて準備を進めてください。
 時間はあまりありませんからね。」
忙しくなりそうだ。

「明日の朝、少し早く教室に集まってもらえますか?
 5人目と引き合わせましょう。」
そういえば5対5のチーム戦だったな…1人足りない。
最後の1人が誰なのか?気になる所、みんな承諾した。

「この件はクライン先生に監督してもらいます。
 分からない事や、困った事があったら先生を頼ってくださいね。
 地球と火星の多くの人々が、注目する事になるでしょう。
 実力を思う存分発揮してください。」
学園長の締めの言葉を聞いて俺たちは学園長室を出た。

「すげぇ事になっちまったな~、今から作戦会議でもするか?ヒャッハ~!」
「5人が揃っていないのに話を進めるのはどうかしら?」
エクレールさんの言うとおりだな。

「今日は解散でいいんじゃないか?」
急展開すぎて気持ちの整理がまだ出来てないし。

「では私は帰らせてもらう。くれぐれも足を引っ張るなよ。」
素直にみんな頑張ろうって言えばいいのに、ジナ…

「じゃあ槍杉君、明日の朝に!」
「じゃあな~ヒャッハー!」
「うん、また明日。」
みんなと別れて校門に足を向けた。

「ふぅ…」
明日から忙しくなるな、バイトを2週間休ませてもらわないと。
一応事情を説明するけど、もうクビかもしれない…

あれ、よく知ってる車が校門前にとまってる。
しまったッ!姉さんが迎えに来てるの完全に忘れてた。
姉さん怒ってるだろうな、そしてSPアリーナの事を言ったら更に…

恐る恐る助手席のドアを開く。
「遅くなるなら連絡しろと言っただろう?」
「ごめん、立て込んでて…ちょっと見てもらいたい物があるんだけど。」
アリーナの資料をそっと姉さんに手渡した。
 ・
 ・
 ・
「まさか、これに出るつもりか?」
「あの…出るつもり、というか…もう出るって言っちゃいました…」

「ハァ………………」
ため息が深い、深いよ姉さん。

「お前という奴は全く懲りていないな…」
すみません、すみません、すみません、でも出たいんです。

「だが傭兵としてはこれぐらいの気概があった方がいい。
 チャンスなんだ。思い切り暴れて来い。」

あれっ?あれれ???
姉さんどこか嬉しそうだぞ。
てっきり怒られるかと思ったんだが。

「勝てよ…洋平。」
「うん。」





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