※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

★その53

「うっ…ううっ…うう…」
ここは…
見覚えのある天井だ。市立病院?

「槍杉君、気がついたのか。僕の事が分かるかい?」
「ブレインウォッシュ…先生…」

「意識もハッキリしてるみたいだね。」
この先生って脳神経外科じゃなかったっけ?
「俺、脳ミソをやられたんですか?
 ううっ…いってぇ…」

「ああ、ああ、急に起き上がろうとしちゃ駄目だよ。
 君は3日間も意識不明だったんだから。」

3日?
今、3日って言ったよな?
前回の記録を大幅に更新してる…

「脳に異常は無いよ。担当医は別にいる。
 僕はちょっと気になって様子を見に来ただけさ。」
そうか、よかった。これ以上頭が悪くなったら流石にヘコむ。

「いや~それにしても君は頑丈だね~!
 ACの爆発に巻き込まれたんだって?
 経緯を聞く限りじゃ、生きてるのが不思議なくらいだよ。」

改めて自分の体を見てみると、頭、腕、脚等いたる所に包帯が巻かれている。
まるでミイラ男じゃないか。本当によく生きていたな…

「爆発に巻き込まれる瞬間、後ろに跳んで衝撃を和らげたんじゃないかと
 推測してるんだけど、どうかな?」
「全然覚えてないですね…」

ガラガラガラガラ

「ヨウヘイさん、目が覚めたんですね。」
病室に入ってきたのはアイビス。おや?ジナイーダさんも一緒だ。

「家族の方と見舞い客が戻ってきたね。
 僕は退散するとしよう。担当医には僕から知らせておくから
 安静にしてるんだよ。」
ブレインウォッシュ先生は行ってしまった。
飄々とした先生だな。

「セレン様とベアトリス様に連絡してきます。
 お2人とも酷く心配されていましたから。」
アイビスも行ってしまった。

ジナイーダさんと2人きりになってしまったな。
何話せばいいんだろう…

そんな事を考えている間に、珍しく彼女の方から話しかけてきた。
「寝過ぎだぞ。」
「ははっ、確かに。様子見に来てくれたんだ。」

「エクレールとモヒカンがどうしてもと言うのでな。」
「2人も一緒に来てるの?」
「今は売店で買い物をしている。直ぐに戻ってくるだろう。」

ジナイーダさんと会話のキャッチボールが成立している。
いつもなら「うるさい!」「黙れ!」「お前に何の関係がある!」
こんな感じで投げた球はまともに返って来ないのに。

「今日は平日だよね?みんな授業は?」
「校舎や校庭が荒れているからな。今週一杯は休校になった。」

「なるほど。」
言われてみればそうだよな。
今回はかなりの大事になっているはずだ。

「そういえばまだお礼言ってなかったね。
 あの時、ジナイーダさんが敵に体当たりしてくれなかったら
 俺死んでたかもしれない。」
「気にするな、槍杉。お前が仕留め損なったら私も危ないところだった。」

何だろうこの違和感…ああ、そうか!
ジナイーダさんに名前呼ばれたの初めてなんだ。
いつもお前って呼ばれてたからな。

「何をニヤニヤしている。気持ちの悪い奴だ。」
「いやね、ジナイーダさんに名前呼ばれたの初めてだな~と思って。」
「そうだったか?気にした事はないな…お前も私の事は好きに呼べ。」

「じゃあ今度からジナって呼ばせてもらおうかな?」
「好きにしろ。」

あれ?冗談半分で言ったのに嫌がらないぞ。
槍杉洋平の人間株価って結構値上がりしているみたいだ。

★その54

その後も神威とエクレールさん、林檎&古王、エイプという感じに見舞い客が続いた。
目を覚ました俺に対する、みんなの反応は想像に任せるよ。
多分想像通りだから…

見舞い客が帰った後に精密検査を受け、怪我は全治2週間という診断結果が出た。
2日間病院で様子を見て、大丈夫そうなら週明けの学園には行ってもいいらしい。
ACの自爆に巻き込まれた割には幸運だったといえる。

セレン姉さんとベアトリスはそれを聞いて安心したのだろう。
俺の軽率な行動に対するお小言をたっぷりと頂いた。
2年になって死にかけたのはこれで2回目…自分でも呆れるよ。

この夜は目が覚めたばかりにも関わらずよく眠れた。
怪我や風邪の時によく眠れるっていうのを聞いた事あるが本当らしい。
体の治癒に全エネルギーを回す為、他へのエネルギーをセーブするとかなんとか。

で翌日の昼過ぎ、アイビスが林檎(アップルボーイじゃなくて本物の方)の
皮を剥いている時に病室のドアがノックされた。

「槍杉、加減はどうだ?」
そう言いながら病室に入ってきたのはクライン先生とポーキュパイン先生の2人。

「ご覧の有様ですが、週明けの授業には出れそうです。
 見た目ほど深刻じゃないみたいで。」
「そうか。」
大丈夫だというとこをアピールする為に元気っぽいポーズを取ってみたが
クライン先生にスルーされてしまった…

「心配したんだぞ、槍杉。俺が演習場を離れた隙にあんな事になるとはな…
 すまなかった。」
「ポーキュパイン先生に落ち度はありません。頭を上げてください。」
先生が頭を下げる必要はないよ、やめてくれ~
襲撃者を迎え撃ったのも、病院送りになったのも、自分で決めた行動の結果。

「責を問われるべきは学園全体だ。お前たち生徒に無理をさせてしまったのだからな。」
「クライン先生………でもみんな無事だったんだからいいじゃ―――」
そうだ、忘れてた。ラナ先生、あの時通信が切れたラナ先生はどうなったんだ?

「ラナ先生は?ラナ・ニールセン先生はどうなったんですか?」
「落ち着け、彼女は無事だ。生徒や教師に死傷者は出ていない。
 死亡した警備員シューティングスターを除けば、お前以外全員無事だ。」
「そうですか…」
警備員さんは合掌だが、ラナ先生は無事か、よかった。

「お前も気になっているだろうから、今分かっている事を話しておこう。
 彼女は?」
「ああ、家のメイドロイドのアイビスです。」

「いつもヨウヘイさんがお世話になっています。」
アイビスは2人に軽く会釈した。

クライン先生はアイビスを真っ直ぐ見据えている。
話しをするのに邪魔なんだろうか?

「アイビス、悪いんだけど少し外してもらえるか?」
「………わかりました。」

アイビスが病室を出てからクライン先生が話し始めた。

「今回の件で学園に出た被害は、訓練用AC1機大破、3機損傷
 校庭、校舎2棟、用務員室が半壊だけだ。」
用務員室を壊したのは俺なんだよな…

「あの状態からよくやってくれたな。学園を代表して礼を言う。」
「ど、どうも…」

「調査の結果、自爆した黄色いACの搭乗者が判明した。
 名前はボス・サヴェージ。破壊活動を特に好むレイヴンで、通称『壊し屋』。
 奴のガレージを突き止めたが、今回の事に関する手掛かりは出なかった。
 今回の襲撃が本人の意思だったのか、依頼だったのかすら分かっていない。」
結局分からずじまいか…

「シューティングスターの事もあって学園の警備は外部委託から
 有志教師による警備部隊に切り替えられる事になった。
 勿論私も参加するつもりだ。週明けに集会が開かれ
 今後の対応策の一つとして発表されるだろう。」

なるほどね。学園教師のレベルは異様に高い。
死んだシューティングスターさんには悪いが、その方がみんな安心するだろう。

「やはり間謀のことも公表するんですか?」
全ての格納庫が開かないという事態は通常では考えられない。
学園長の予想通り間違いなく学園に間謀が潜んでいるのだろう。

「それでは不安の煽るだけで解決には至らないからな…
 格納庫の件は電気系統の故障と発表される。」
流石に無理があると思うけど、他にしょうがないか。

「この話は他の3人にもしていない。すまないが他言無用だ。」
「分かりました。」
歯痒いな…あの時、俺がボス・サヴェージを生かして捕らえていれば…

「2度に渡る工作から学園の安全に関わる操作は学科長以上の権限を持つ者にしか
 行えなくなった。同じ様な事態はもう起こらないだろう。
 後は容疑者を絞り込んでいくだけだ。」
「そうですか。」
容疑者を絞り込むだけって事は調査は結構進んでたのか。
解決に向かいそうな雰囲気だな、よかった。

「私から伝える事は以上だ。他に何か気になっている事はあるか?」
う~ん………そうだ!

「用務員のド・スさん怒ってませんでした?用務員室を無茶苦茶にした上
 大事な射突ブレードを勝手に使ってしまって。」
「私は特に聞いていないが…」

「俺が話した時は怒るどころか、えらく喜んでいたぞ。」
「本当ですか?」
ポーキュパイン先生の口から意外な答えが返ってきた。

「ああ、確か『ハラショー!』とか何とか言っていたな。」
ハラショー!って確かロシア語だよな?そんなに悪い意味の言葉じゃなかった筈だ。
広島弁にロシア語、不思議な人だなド・スさんは…

「他に聞いておきたい事はあるか?」
「いえ、特にありません。」

「そうか…あまり長居するのも悪い。ゆっくりと休め。」
「はい、ありがとうございました。」
そう言ってクライン先生とポーキュパイン先生の2人は病室を後にした。




| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー