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★その32

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愛用の目覚まし時計を勢いよく止める。まだ眠い…
休日にこんなに早く起きるのは久しぶりだな。
学園が休みなのに、何で朝早く起きたのかって?

昨日はセレン姉さん帰ってくる遅かったみたいだし、楽させてあげようと思ってね。
今日は家事を全部引き受けるつもりだ。
たまの休日ぐらい、ゆっくり寝かせてあげたいじゃないか。
1階に降りるぞ。

「とりあえず洗濯機を回して、その間に朝食の用意―――――――!!」
目の前にはあまりにも現実離れした光景が広がっていた。
「なんだ…これは…?」

居間に見たことのない女の子が倒れている…しかも全裸で…
これは夢か?

頬を抓ってみたが、ちゃんと痛い。夢じゃ…ない?
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!大変だーーー!」
とりあえず警察に?いや先ずは姉さんに知らせなくちゃ。
2階に駆け上がって姉さんの部屋のドアを力任せに叩いた。

ドン、ドン、ドン、ドン

「何だ…朝っぱらから、うるさいぞ。」
「姉さん大変なんだ!全裸が居間に女の子で長い黒髪の倒れているんだ。」
「ハァ?」
駄目だ。焦って言葉が上手く出ない上に、セレン姉さん寝ぼけてる。

「いいから来て。」
直接見てもらった方が早い。姉さんを引っ張って居間に連れて行こう。
「一体何だ…」

「ほら、居間に女の子が倒れてる。」
「ああ、これの事か。買ったんだよ。」
買った???まさか人身売買って事?

「買ったの?」
「そうだ、通販でな。安かったんだ。」
「いくら安いっていっても、通販で女の子を買うなんて…見損なったよ、姉さん…」
「勝手に勘違いして見損なうな。これはロボットだ。」

「ロボット?」
「最近仕事が忙しくて家事が疎かになっていたからな。
 思い切ってメイドロボットを買ってみたんだ。
 昨日、これを受け取ってくれたのはお前じゃなかったのか?」

居間をよく見ると隅に昨日の大きな箱が転がっていた。
何だそういう事だったのか。

「よくできているだろう?私も箱を開けた時は少し驚いたが、お前は酷すぎる。
 もう少し落ち着いて状況を確認しろ。」
姉さんに楽させてあげようと早く起きたら、この有様だよ。
「お騒がせしました。」

「昨日の夜に早速動かしてみようと思ったんだが、よく分からなくてな。
 取り扱い説明書が入っていなかったんだ。」
箱の中を確認してみたがそれらしき物は無い。

「洋平、分かるか?」
落ち着いてメイドロボットを見ると、目のやり場に困る。
人間の女の子と同じ姿をしているんだ。
流石に素っ裸は照れくさいというか、何というか…

「とりあえず、何か服を着せてあげようよ。」
「あっはっはっはっはっ!気がつかなかったよ。童貞のお前には刺激が強かったな。」

 《弟になんてこと言うんだよ…姉さん。》
⇒《ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!》

「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」

「何だ、童貞じゃないのか。」
「すいません、童貞です…」
脊髄反射で謝ってしまった。ちくしょう。
何でこんな事、自白しなくちゃならないんだ。

「とにかく、外に出てるから何か服を着せてあげてよ。」
部屋の中から姉さんの笑い声が聞こえる。
もう勘弁してくれ~
俺は自分の部屋に逃げ込んだ。

「もう入ってもいいぞ。」
しばらく経ってから姉さんが俺を呼ぶ声が聞こえた。
恐る恐る居間を覗いて見る。
よかった、ロボ子は服を着せられている。昔、姉さんが着てたやつだ。
「これで文句ないだろう。さあ、見てくれ。」

よく考えてみると、服着せたらロボ子の体を調べられなくね?
結局脱がさなきゃならいんじゃ…
どうしよう。照れくさいのは変わらないじゃないか。

「だだいま~」
この声は!!ベアトリスが帰ってきたーーーー!天の助けだ。
こいつはアーキテクトやってるだけあって機械関係に強いからな。
選手交代してもらおう。

「何これ、姉さん買ったの?」
流石ベアトリス、ロボ子を見ても取り乱さないどころか
既に状況を理解している。

「ああ、家事一切をこなしてくれる優れものらしい。
 でも説明書が入って無くてな、困っていたところだ。」
「へ~、とうとう我が家にもメイドロイド導入ね。」

ベアトリスは楽しそうにロボ子を調べ始めた。
こういうのには何でも興味を示すんだよな。
もうちょっと女の子らしい趣味を持って欲しいとお兄ちゃんは心配しているんだが。
「首の後ろに端子があるだけで、起動スイッチみたいな物は無いわね。」

今度はロボ子が入っていた箱を調べて中から長いコードを取り出した。
「とりあえず充電してみましょ。」
ロボ子が家庭用コンセントに繋がれてる姿は何処かシュールだな。
 ・
 ・
 ・
しばらくするとロボ子の目が開いて、赤い瞳に光が灯った。

「……………………………………………………………システム起動
 おはようございます。私は汎用人型メイドロイド IBISです。」

★その33

「ロボ子が喋った?!」
まあ口があるんだから当然といえば当然か。

「ロボ子じゃありません。IBISです。」
ロボ子は少し不満そうな表情をしている。
ちゃんと会話も成立してるし、最近の家電はよく出来てるな。

「ああ、ゴメン。えーと、アイビス。俺は洋平、槍杉洋平だ。よろしく。」
「あなたが登録されているご家族の1人、槍杉洋平様ですね。確認完了しました。」

「私がセレンだ。」
「アタシはベアトリス。よろしくね、アイビス!」
「セレン様にベアトリス様ですね。確認完了しました。
 みなさん宜しくお願いします。」

ベアトリスは目をキラキラさせている。本当にこういうの好きだな。
「アイビスはどんな事が出来るの?」
「掃除、洗濯、料理等、家事全般をこなせます。」

「メンテナンスは?」
「必要ありません。自己メンテナンスを定期的に行います。
 みなさんが眠っている間に私も休ませてもらい
 自己メンテナンスを行うのが効率的だと思われます。」

「充電式みたいだけど、稼働時間は?」
「家庭用コンセントの場合、4時間の充電で24時間
 省エネモードに切り替えれば72時間稼動可能です。
 残り電力が少ない時に自動で充電を行う許可をいただけますか?」

「許可しよう。お前は手間要らずなんだな、助かるよ。」
「恐縮です。セレン様。」
姉さんスペック知らなかったのかよ。安かったから適当に買ったな。

「ちょっと触らせてもらってもいい?」
「はい、どうぞ。」
今度はアイビスの身体を触りながらブツブツ言っている。

「…ふむふむ、関節の継目も見えないし、ボディーは人工皮膚で覆われてるのね。」
「ベアトリス様、くすぐったいです。」

「くすぐったいとかも分かるんだ。でも、そんな機能いるのか?」
「兄さん知らないの?皮膚感覚って結構重要よ。
 触覚、痛覚、温度覚とか色々あって、どれも自己防衛に役立つんだから。
 アイビスは自分で自分の身を守れるように作られてるのよ。」

「それって凄いの?」
「人間にはあたりまえの様に備わってるけど
 細かく再現するには手間もお金も掛かるわ。」
「そうなんだ…」
妹にモノを教えられる兄貴って、やっぱり情けないな。

「姉さんこの子、本当に安かったの?」
「ああ、安かったよ。台所にある冷蔵庫と同じぐらいだ。」
「そんなに安かったの?!」
メイドロイドの相場は知らないが、ベアトリスの驚き様から推察すると破格みたいだ。

いい買い物だったのかもしれないけど
そこまで安いとなると逆に心配になってきたな。
「掃除や洗濯はいいとして、ちゃんと食べれる物作れるのか?」
宇宙食(※宇宙人の食べ物)の作り手が増えたら堪らない。

「それは聞き捨てなりません、洋平様。私は約70万品目の調理が可能です。
 みなさん朝食はまだのようですし、今から証明してみせます。」

「アタシが手伝ってあげる。」
「「ちょっと待った!」」
姉さんと俺の声がハモる。考えてる事は一緒みたいだ

「言い出したのは俺だし、俺が監督するよ。」
「そうだな洋平に頼もう。」
不満そうな顔のベアトリスを尻目にアイビスと一緒に台所に移動した。

「何か希望はありますか?」
「槍杉家の朝は和食と決まってるんだ。品目は任せるよ。
 冷蔵庫の中身を好きに使ってくれて構わない。」
「承知いたしました。」
AIは曖昧な命令を苦手とするって聞いたことあるけど、この程度は余裕か。

アイビスは手際よく調理を進めている。
その動きには隙がない。
あっという間に作り終わってしまった。

ごはん、味噌汁、おひたし、焼き魚、スタンダードな朝の和食だな。
「どうぞ、召し上がってください。」
「いただきます。」

もぐ、もぐ、もぐ、もぐ

「美味いな。」
「料理上手なのね、アイビス。」
普通に美味しいなこれ、セレン姉さんといい勝負かもしれない。
「認めよう、君の力を」
「恐縮です。」

アイビスは自分の有用性を示せて満足しているように見えた。
本当に変なロボットだなこいつ。

「ふぅ…」
朝からガッツリ食べてしまった。
食後の運動がてら、居間を片付けるか。
「姉さん、アイビスの入ってた箱もう要らないよね?畳んで捨てておくよ。」
「ああ、頼む。」

折り畳んでいる時、箱の隅にロゴを見つけた。
小さく『ARTIFICIAL INTELLIGENCE OFFICE AI研究所』と書かれている。
聞いたこと無いメーカーだな。

★その34

昼はアイビスが洋風の昼食を作ってくれたが、こっちは更に美味しかった。
アイビスは洋食が一番得意らしい。

ちなみにセレン姉さんは和食が得意で、俺は中華が得意だ。
これで槍杉家は和洋中のスペシャリストが揃って磐石となったな。
宇宙食の作り手もいるし、火星人だって持て成せるぞ。

まあ冗談はさておき、冷蔵庫の中身が少し心もとなくなってきた。
買い物をしながらアイビスに商店街を案内してやるか。
食材の買出しも、こいつにやってもらった方がいいだろう。

「アイビス、一緒に夕食の材料を買いに行こう。商店街を案内するよ。」
「店を教えていただければ、1人で行けます。」

姉さんやベアトリスの言う事は素直に聞くのに、何故俺の言う事は聞かない…
まさか、もう槍杉家のパワーバランスを見抜いたのか?

「よく行く店も結構あって、槍杉家の身内だと知ってもらえれば
 少しオマケしてもらえたりするんだよ。お得意様特権というやつだ。」
「分かりました。では、お願いします。」
アイビスは納得してくれたみたいだ。

「近いし歩いて行こうか。」
「はい。」

こうして買い物をしながらアイビスと商店街の中を歩き回った。
どの店でもアイビスのウケは良く、いつもよりサービスして貰った気がする。
こいつは黙ってれば可愛い女の子にも見えるし
ルックスがいいってのは、生きてるだけで徳をするもんだな。
世界は不公平に出来ている…

よし、これで食料品の店は大方回ったな。
「そうだ、最後に花屋も行っとくか。」
「花屋ですか?」

「父さんと母さんの墓参りに行く時、よく買うんだよ。
 それにセレン姉さんが花好きでね、結構利用する機会がある。」
「分かりました。」

『ヴァーナルフラワー』
うちはこの花屋のお得意さんだ。

「あら、洋平君。彼女連れ?とうとう君にも春が来たか。」
このお姉さんはヴァーナルフラワーの看板娘。店に住み込みで働いている。
昔の記憶が無いらしいけど、そんな事を感じさせないほど元気で明るいお姉さんだ。

「洋平様の家でお世話になっているIBISです。よろしくお願いします。」
「洋平君、彼女に様付けで呼ばせてるの?ひどい亭主関白ね。」
凄い白い目で見られてる。

 《はっはっはっ、当然ですよ、お姉さん。》
⇒《いや、違うんですよ、お姉さん。》

「いや、違うんですよ、お姉さん。こいつはメイドロボットなんです。」
「私はメイドロイドです。」
訂正された。細かいやつだな。

「へえ~、そうなんだ。でも凄く可愛い子ね。よろしく、アイビスちゃん!」
人かロボットかに頓着無しって感じだな。器の大きなお姉さんだ。

「今日も何か買っていく?」
「ふらっと寄っただけですから、特には」

「そっか、残念。…そうだ、ちょっと待っててね。」
そう言って彼女は店の中に入ってしまった。

しばらく経ってお姉さんが出てきた。
手に小さな花束を持っている。
「はい、これアイビスちゃんにプレゼント。」

「何も買ってないのに、いいんですか?」
「いいの、いいの。置いててもダメになるだけだから。」

「せっかくだし貰っちゃおうか、アイビス。」
「はい。」

薄い黄色の花だ。菊の一種に見える。
「これはねスプレー菊っていう種類の菊でアイビスっていう名前なのよ。」
「私と同じ名前です。」

粋な事をするな~
「今度は何か買いに来ます。ありがとう、お姉さん。」
「ありがとうございます。」
「また来てね~!」
お姉さん感謝しつつ花屋を離れた。

「そろそろ帰ろうか。」
「はい。」

日が落ち始めた道を家に向かって歩く。
「洋平様、こんなに綺麗な花を頂いてしまいました。」
貰った花を大事そうに持っている。
「よかったな、アイビス。」

「そうだ、『洋平様』っていう呼び方止めてくれないか。」
「いけませんか?一番呼びやすいのですが。」

「様付けは何だか落ち着かない。」
お姉さんみたいに変に誤解する人もいるからな。

「ではヨウヘイさんとお呼びすればよろしいですか?」
何でイントネーションまで変わるかな…

「洋平の部分まで変わってるぞ。」
「変わってません。」

「いや、変わってるから。様で呼んでみて。」
「洋平様。」

「さんで呼んでみて。」
「ヨウヘイさん。」

「やっぱり変わってるじゃないか。」
「そんな事ないです。同じです。」

「様で呼んでみて。」
「洋平様。」

「さんで呼んでみて。」
「ヨウヘイさん。」

「何でイントネーションまで変わるんだよ。変なやつだな。」
「私をからかっているのですか?」
自覚ないのかこいつ。

「まあいいや、ヨウヘイさんでいいよ。様付けよりはマシだ。」
アイビスは不満そうな顔で首を傾げている。
ロボットのくせに面白いやつだよ全く。

こうして槍杉家の家族?が1体増えた。

今月から電気代の桁が2つ増える事を、この時はまだ知らない…




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