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 巨人がそこに立っていた。
 鉄で出来た悪魔の兵器、巨人――しかしあらゆる熱を失って、けだるくまるで死んだよう。
 開け放たれた前面装甲、せり出す操縦席に座った男が咥えるたばこの煙のように硝煙は立ちのぼる。
 違うのは数だけだ。墓標のように乱立するそれは線として伸び、ある一点で爆発的に拡散し周囲に溶け込んでいく圧倒的な灰色だ。
 大気清浄装置がもはや機能を停止しているため、この黒い霧が晴れることはないだろう。
 男の表情は頬まで覆うヘルバイザの能面である。
 口元には、何日も剃っていない不精ひげにまみれている。

 男は――レイヴンだった!
 そう、レイヴンであった――彼は今では企業に飼育される犬《ドッグ》に過ぎない。
 本物の自由奔放たる戦場を渡る大鴉などとっくの昔に絶滅した。
 クローム・アームズテック、ムラクモ・ミレニアム社が倒れ、それに準ずる
 数々の企業が台頭し、倒れ、繰り返される死屍累々の山の中立つのは男、ただ一人。
 かつて隆々であった自慢の身体は歳に準じて衰え、鈍り、強烈な反応速度の遅延を男は痛感していた。

 ピッピッピー!――突然の電子音! 

 《危険! 危険! 危険!》

 男=レイヴンはバイザ内の電探確認表示がエマージェンシィを告げているのを確認する。
 ああ、また始まるのか。今日生き残るのは、おれか――それとも……。
 レイヴンは一気にその煙たい死を肺いっぱいに吸い込むと
 脇のコンソールを操作して、フィルタまでまだあるたばこを指ではじいた。
 彼に指ではじかれた紙巻きは重力に逆らわず放物線に落下し何回か硬く冷たい装甲を跳ね、ひび割れたアスファルトにそのやわらかな火種を打ちつけことごとく弾けさせる。
 それと共に彼の座った操縦席が装甲の奥深くに格納され、前面装甲がその鎧を一度バラバラに分解させ、彼を覆っていく。

 ガキン!――ガッキン!――ガッキーン!! 

 閉じていく、閉鎖される、目の前が、心が!
 ……俺は……兵器だ! 
 殲滅兵器AC《アーマードコア》だ!!!!
 心地よいその金属音とともに、コア下部の吸気口からジェネレータが――レイヴン=ACに纏う大気、その汚れた世界を取り込み、完全燃焼させる。
 温度が無かった鉄の巨人が凍えたような振動を始める。
 爆音が響き、背部ブースタに燃える推進プラズマが発生する。 
 一瞬の無音――そして乱れる死の世界!
 イオン化された大気を切り裂き、ACは跳んだ。

 分厚いかまいたちが発生し、周囲のビルの残っていた窓ガラスは粉砕される。
 粉々に砕け、雪の粒子になったガラスはこのセクションのなによりも美しい輝きを見せた。
 その輝きも一瞬で、周りをとりまく埃と混ざり、その価値は磨耗し、失速し!
 後に残ったのは乾いた血のりと燃え尽きたオイルの粘性だけだ。
 その搾りカスのような存在さえも突如現れた巨大な光球によってその存在を抹消される。
 宙を舞い、間一髪で助かった男は見た!――対AC戦用グレネード特有の球状爆発を!!
 着弾とともに周囲を焼き尽くし、消し炭に変える。
 戦いの悪魔たるACが駆り、己と同等の存在を、そして自らすらを屠ることすら出来る決戦兵器!
 サンシャイン!!――この灰色の世界に一瞬の太陽が出現する。

 《敵ACを確認》

 頭部コムが冷静な口調でそう告げる。
 男は頭部COMに、口頭で命令し、敵の詳細な角度を割り出す。
 瞬滅のきらめき! ――第二射が飛んできた。
 レイヴンはブースタ・バルブを目いっぱい開き、機体を急降下させる。
 空中で盛大な音を立てる人工太陽。その輝きは命を育むことは出来ず、ただ奪うのみ。
 男はアスファルトに足をめり込ませ着地する。
 その電子眼の先、地獄の陽炎とともに現われた要塞。
 圧倒的な淀みによってかつて管理された繁栄を極めた世界――B-ハイブには死が充満してすべて飲み込んでく。
 最早この世界に光さすことは再び無い。
 輝くものは一瞬にして煤けてしまう隔離された地下世界:B-ハイブ。
 二機はたがいに銃口を向け――どちらともつかず引き金が引かれる!
 『『ガオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!』』
 雄たけびが聞こえる――吠える犬は己の痛みを叫ぶ。
 彼らはそして痛みを以て目前の破滅=敵を殺し、力を喰らい、取り込み、生き残る!
 破壊の旋律がリズムによって奏でられるそれは、無限に膨張し、周囲に響き渡る狂乱の時代の唄!


















 (∪^ω^)わんわんお!れ~いゔーん!




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