『轟け!! 装甲機兵テン・コマンドメンツ! 第一話:轟音消波!!迫り来る敵を撃滅せよ!!の巻!!!!!!!!』

 登場人物:

 サイプレス:
 Bランクレイヴン。愛機のACの名前はテン・コマンドメンツ。略してテンコマ。
 連射兵器が好き。大分、体を機械化してる。

 サイソゥ:
 サイプレスのオペレータ。妻子持ち。
 ファンタオレンジが好き 

 あとはいろいろ

本編↓

 俺達の世界はゆりかごだった。その庇護のもとに全ては進んでいった。
 管理者は母だった。全てを規定したとおりに進めるため生まれた機械の神だった。
 神は言った。
 『すべてはわたしに従っていれば、順調にいくだろう。必ずすべては成功する』
 なればこそ、彼女の子供たる人類は従った。
 だが、今はどうだ。子供を無為に殺戮している!
 彼女は狂ってしまったのだ。修正不可能なほど粉々になって。
 母親は狂った。そして子は殺される。管理者よ、あんたの望みはそんなんだったのか。
 おまえが説き、人類に信じ込ませた経典は何だったんだ。嘘だったのか!
 それとも、この状況は予定されていたものなのか。どうなのか!
 たしかに、人は互いに争い、殺しあっている。醜いよ。本当に。
 だが許せない。許せないゼ、マッタクなあ。

 ……感情論だよ、マッタク。畜生。痛いんだよ。
 痛いぜ、マッタクなあ。超痛い。お腹痛い。
 管理者よ、今、あんたはおれにとっての敵だ。
 ああ、そうだ。そうだ。そして、今、闘っているのはあんただ。
 ああ……畜生、こんな風に愚痴っていても、仕方無いか。
 ああ、ああ! 糞痛いぜ、マッタク。痛いよ。苦痛だぜ、マッタクなあ。
 俺の身体のほとんどは最早、機械で構成されている。
 皮膚とか、小型化、人工化できないらしい肝臓とかには血が流れているって知っていたさ。
 だがまさか、自分の体に、これほど多くの生きた血液が流れているとは思いもしなかった。 
 もう出し切った、と思ったらまた吹き出やがる。そういやあさっき飛び出たのは腎臓かもしれないなあ。
 だが、戻って確認する余裕なんてない。おれは、負けたんかなあ。負けたんだよなあ。このざまじゃあなあ。
 ああ、おれは、死ぬのならACにのって死ぬ、って決めてたんだがなあ。
 でも死ねないんだよなあ、おれ。まだやんなきゃあいけないことあるしなあ。約束だしなあ。
 やはり恐ろしかったよなあ。まだAC、追ってきているかなあ。超怖いなあ。超痛いなあ。痛いなあ
 コンソールの破片が、割れたヘルバイザーの中に飛び込んできて、凄く、怖かったなあ……。
 ひぃ、痛いぜ、マッタクなあ。わはは。
 わはは。わはは。

 今より数時間前だ。
 自然区とか、なんでこんな辺鄙なところで、暴れたんだか、気がしれない暴れMTの始末の後だ。
 予想通りそんな強くなかった。
 一息つくおれに、オペレータのサイソゥから、緊急の依頼だと、それをを受諾するか、否か、と質問を受けた。
 その時、おれの愛機、AC:テン・コマンドメンツの損傷は無に等しかった。
 武装は、ハンドガン、ブレード、そしてチェーンガン、でいつも通り。
 ただ、相手がMTであったから、ミサイル迎撃装置は置いてきた。コア標準装備の迎撃銃で充分だった。因みに洒落では無い。
 そうだ、洒落にならないのだ、弾薬費が。おれの好む、連射兵器は大体、金食い虫なのだ。赤字の時もある。
 だけど止められないんだ。あのバルカンの心地よい発射音。そしてぶつかる装甲に食い込む甲高い音。
 ああ、そうだなあ、こういうこと、言うからレイヴンってのはアブナイ輩だらけ、とか言われるんだろうなあ。

 まあ、キチガイだらけなのは事実だけどな。
 

 『レイヴン、緊急の依頼です。第一層:ミラージュ社の研究施設に何者かが浸入、そして破壊活動を行いましたです』
 「それを、おれに倒せ、と」
 『そうです、レイヴン、物わかりが早いです。侵入者の撃滅、が今回の任務です』
 「敵は?」
 『ACです。それも、管理者部隊のAC、であることが確認されていますです』   
 「……! 管理者、だと……?」
 『はいです。ただ、管理者ACは、ただ今は沈黙しているようです。
  粗方中身をぶち壊しましたら、死んだように止まってしまったそうです。
  機関も、停止しているようです。しかしながら、危険です。危ないです。
  誰かが確認して、完全にぶち壊してしまわないと、安心できない、……そうです』
 「マッタク、なんでおれなんだろうなあ。他に、近くにいないのか、レイヴンは」
 『Bランク以上は、周辺にはいませんです。それに第一層まで来るのに、時間が必要です。貴方だけなのです、レイヴン。
  ミラージュは、早くどうにかしてほしい、そうです。報酬も、早くすれば、こんなに貰えるそうです』
 「……ほほほほほほ」
  
 ミラージュの呈示した金額は破格だった。相場の、三倍以上だった。
 
 『レイヴン、行きましょうか。弾薬は、あちらが用意してくれるそうです。
  施設前の倉庫の弾は、全て前払いの報酬としてくれるそうです』
 「わぁい」

 先ほども言ったように、連射兵器にはお金がかかるのだ。
 そうだ、今回も、赤字だった。
 装甲が減らなくても、弾薬は減るのだ。

 最早、言う事はない、絶好の条件だった。
 そして絶好の死亡フラグであった。そうだ、この任務はおれ自身が言う事がなくなるかもしれない任務なのだ。
 おれはBランクレイヴンだ。それなりの場数を踏んできている。いわゆるベテランだ。
 最近、急速に追い上げをかけている、一人のレイヴンがいる。おれのランクに、もう少しで追いつきそうだ。
 そいつが先日、管理者ACと戦い、勝利した、らしい。
 こいつには負けられないし、こいつにやれるのなら、おれにもやれる、 それも楽勝だ、と思った。
 おれは、ブーストペダルを踏み、ただ今の作戦エリアを後にし、次なる戦場へ進んで……、

 
 ……、このざまって、わけだよなあ。畜生。意識が朦朧としてきやがった。頭に血が回らなくなったか。流石に脳味噌までは機械化できないからなあ。
 ああ、そう言えばおれを改造したクレストは、頭と体の循環器系は別にした、と言っていたなあ。
 頭の方も、結構重大な損傷を受けているに違いない。
 ただっぴろい。無限に続くか、に思える通路。そして、おれの身長の十倍以上はある扉。なんか半開きになっている。
 間に、おれが壊したクモ型メカの残骸が挟まっているからだ。試作品だそうだ。
 こいつら、おれを襲ってきやがった。管理者に操られたんだろうな。
 一体一体は弱いが束になってかかってくるものだから、手こずった。
 武装は小型のスラッグガン。反動で固められ、両腕をもがれた。
 だがなんとか片を付けて、問題の部屋に入ったら、沈黙していた筈の管理者のACが再起動した。
 恐ろしく、強かった。たぶん、おれが全快状態でも勝てるかどうか、だ。
 それで、この現状だ。死に損いの出来上がり、っていうわけだなあ。


 逃げ延びる先は、おれが壊した緑色のクモ型メカで一面埋まっていた。不燃性オイルの甘い臭いが鼻を突く。
 赤々と、未だ灼熱する沸騰した装甲がたんたんと。そしてひときわ大きな、統轄用女王グモ型メカ。
 こいつを壊したら、全部止まった。こいつを見つけられなかったら、おれはこのクモどもに山のようにたかられて餌になっていただろう。
 サイソゥに感謝だ。彼が見つけてくれなかったら、おれは最悪に嫌な死に方をしていた。
 だけど、こんなにでっかいの、なんで見逃してしまったんだろうなあ……、マッタクねぇ。

 温い床に寝そべって、そんな事を考えていると、女王グモがビクビク、と痙攣を起こした。
 おれは咄嗟に飛び上り、杖として使っていた鉄パイプを構えた。
 だが、その後、女王グモは、崩れ落ちた。おれはそのそばに駆け寄った。近くで見ると、ものすごくでかかった。
 いつもはACに乗っているから、小さく見えるのだ。こんな、生身で見るなんてことは無かった。
 おれはなぜか女王グモによじ登って、入口を探していた。無意識だ。気がついたら血が止まっている。便利なものだ。
 ああ、あった。入口があった。入口を鉄パイプでこじ開けて、中に入った。中は意外とやられていない。
 そして、コクピットもあった。試験用の簡易なものだが。おれはイグニションスイッチを押し、機関の再始動を試みる。
 

 脈動する。電機の命、血流たる電子が張り巡らされた電工血管を駆け巡る。
 しめたぞ。やはり、まだこいつは動ける。まだ生きている!
 おれは、コンソールを叩き、こいつが未だ管理者の支配を受けているか問い合わせた。結果はNOだ。
 「今、こいつはフリーだ」
 おれは確認すると、その端末から、サイソゥにコールした。

 『れいぅ・ザザ・・xれィ……レイヴン! レイヴン! です?』
 「ああ、おれだ。生きてるぞ」
 『ああ、良かった幽霊じゃあありませんです。良かったです、本当に。ああ……、レイヴン、貴方はどこから此処に?」
 「さっきのクモメカの中のひときわ大きいやつからさ。すべての子グモメカの管制塔になっている。
  こいつら、試作機だという。だからもしかしたら、コクピットはついてはいないか、と思ってだな。……まあ、殆ど考えが飛んでるんだが」
 『……通信再開と同時に送られてきた、貴方のバイタル、最悪、ですね。……このままでですと』
 「死んでしまうってか」
 『はい、残念です』
 「じゃあ、死なないように気合いを入れる。そのかわり、お前にやってほしいことがある」
 『やってほしいことですか! はい、がんばるです。死んでもらっては、こちらとしてもこまるですので……』
 「うん、いい返事だなあ」

 おれはサイソゥに作戦を伝えた。まだ諦めてはいないのだ、おれは。
 エネルギ機関は順調に回り、そしてレッドゾーンを突破する。
 
 『レイヴン、こちらからコードを送信しましたです。全て順調です』
 「上出来だ」

 おれは、サイソゥから合図をもらうと、再びコンソールを叩いた……。
 機関の回転が加速され、また、子グモ達がカタカタと震え、蘇り始める……。

 サア、反撃開始だ。

 仮面の奥底、四つの瞳。明るく燃ゆる、その瞳。
 彼女は濃紺の甲冑身にまとい、その手に持つは巨大な盾と盾。
 背に負う巨砲はくろがねの色、砲口の先は煤に焼け、次なる獲物を捉えるのみ。 
 彼女の全てを支える巨艦はタンク。靭帯が金属の床を削り取る。

 ――キシキシキシキシ!!!

 通風口から、音がする。キシキシと。そして飛び出る。何匹も、何十匹もの子クモ達!
 クモ型メカ『トライロバイト』の試作機達だ。なぜだ、と彼女は、思った。
 彼女は巨砲を向けた。そして放つ。爆炎が、通路を走る。通風口を焼き尽くす。
 それでもトライロバイトは生きていた。何匹も、何匹も、仲間の死骸を踏み越えて、やってくる。
 全ては女王の為、全ては中枢の為、全ての個は全てを統べる母の命を聞く。
 そんな、そんな筈では……! 彼女は焦った。トライロバイトが身体に取りついたのだ。
 そして取りつく先からスラッグガンを発射する。何発も、何発も!
 自分が行った方法だ。あのオレンジのACにも同じことをしてやった。それをやられている。
 やはり生きていたか、あのレイヴン。私が、殺し損ねた。そして私は同じ方法で殺されようとしている。
 だがぬるいぞ。

 ジェネレータの周波数が高くなる。そして閃光。蒼い稲妻が炸裂する。
 防御スクリーンを転じた、電撃攻撃。纏わりつくトライロバイトがこれえ切れず爆発する。
 だがその爆発で、彼女の機体はダメージを受けた。
 ダン! ダン! ダン! 何重にも重なる大爆発。
 しかし彼女は生きていた。全ては使命のため。そして、自分の為。自分の存在意義の為。
 私は、破壊するために生まれた。だから破壊しなければならない。そのためには壊れることは許されぬ。
 ……死にたくない! 死んでしまいたくない!
 ……いや私はきかいだ。死ぬ。なんて、使わない。そうだ壊れるだ。
 私は壊れない。……壊れたくないよぅ! 


 ゴウゴウと管理者ACは進撃する。追撃する!
 獲物は絶対逃さない。一度狙った獲物は討たねばならない!
 そう、彼女は教え込まれた。そして実践している。あのオレンジの機体から転げ落ちた肉塊を。
 ズッタズタのミンチにしてやらなくては、そう、強迫観念が、彼女の脳を駆け巡る。

 巨砲の炎にクモは微塵に焼かれ、電撃によって駆逐される。
 しかし剥がれおちる我が装甲。
 無残に焼け爛れ、既に持ち上げることすら出来ない、ぶら下がっているだけに過ぎない両腕。 
 次第に諸手は千切れ、超重の盾がクモどもを押しつぶす。
 そして爆発。爆発。爆発。爆発! 脅威だ。恐ろしい。もはや、もはや、……死ぬーーーーー! 
 
 忌まわしき人間よ、私は電子なるぞ。
 精巧なるダレ御機械わたしは。大母神があたしは精巧なる回路に誰よって精巧何なのに組み上げられ知りたいた精巧なる歯車なるぞ。
 狂っ肉てなるものか。精巧なる肉塊?ぞ。ああ、わたしは、あたしは肉。。。あたしは人!……私は。
 
 あたしは、だれ?
 あたしは、いったい、なんなの……?


 モニターに映る、うな垂れたAC。最早全ての装甲は剥がれおち、フレームが剥き出しになっている。
 おれはクモ達の動きを止め、女王グモを操作し、ACに近づく。
 すると、コクピットハッチが開いた。中から何かが、転げ落ちた。
 
 『……人、ですか。いや、管理者ACは無人機の筈……です?』
 「……」
 『レイヴン、ハッチを開けて、どちらにです』
 「助ける」
 『助けるって……』

 ハッチを開けたとたん、熱気によって、押し戻された。だが、行かなくてはならない。
 この灼熱に、生身が長時間持つはずが無い。そうだ、管理者ACから転げ落ちた、あの影。
 あれは人間のシルエットだ。そしてその顔には見覚えがあった。

 「そんな……そんな筈は……」


 そうだ、そんな筈はない。転げ落ちた、この子。彼女は、俺の知っている彼女はもういないのだ。
 だからこの子は別人だ。ああ、そんなはずは無いんだ……。
 とりあえず、女王グモのコクピットに運ぼう。
 彼女を抱きあげ、おれは女王グモメカを駆け上がる。
 コクピットハッチを閉めた所で、管理者ACが大爆発を起こした。
 女王グモメカを激震が襲う。

 「ぐぅうう……」
 
 おれは彼女をぎゅっと抱きしめた。この振動でどうにかなってしまわないように。
 そして、もう、絶対に失いたくはない、という一心で。
 彼女にはまだ、息があった。温度がある。生きている温度がある。
 別人だって、分かっている。だけど抱きしめずにはいられない。
 それほど彼女は、おれの妹に、似ていた。



 気がついたら、震動が、納まっていた。外部カメラも全て吹き飛んで、モニタにはもう、何も映っていない。
 だけど、彼女は離さなかった。彼女に目立った外傷はない。
 命に別条はないと思う。
 ああ、急に意識が、朦朧としてきたなあ。ぼうぅ、と血が無くなっていく感覚。
 傷口が開いていた。ダクダクと流れ出ている。
 まあ、今まで良くもったと思う。
 ガンガンとハッチが叩かれている。救援だろうか。
 まあまあ、どうでもいいや、もう、彼女は、すくえたんだから、ね……。

 目の前が真っ暗になった。
 そして夢に堕ちていく。永遠に消えない、罪だ。
 もう変えることは出来ない過去のことだ。

 続く。

 次回
 『轟け!! 装甲機兵テン・コマンドメンツ! 第二話:轟熱突破!!迫り来る敵を打ち倒せ!!』 に続く!!!





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