『クレスト社から依頼がきてます』
「内容は?」
『ミラージュ専属AC撃破です、敵のACは実行部隊所属の高火力・・・』
「あーすいません断っておいて下さい」
『話の途中で・・・あなた・・・」
「ごめんなさい、これから別の仕事もありますんで」
『今日はフリーの日じゃないですか!』
「ごめんなさい、とにかく今回はパスです、じゃあ!」
『あ・・ちょっとこれで何回目ですか!?ちょっと待ちn(プツッ)ツーツーツー・・・」

(はー・・・だって専属って強そーなんですもん)


オペレータからの回線を強制的に閉じひとりごちる
実際ミラージュという大企業の専属をするくらいだ、「強い」という予想に間違いはないだろう
だがそれとは別に自分のオペレータは非常に優秀である、きっと彼が自分に依頼を持ってくるという事は勝算はあるのだろう

それはオペレータの主観のみでなく客観的な立場から見てもそうなのだろう
自分はアリーナに登録されたレイヴンの中で上位に名を連ねた者しか得られないランカーなのである

過去のアリーナはレイヴンとして登録されたものは自由に参加する事のできたのだが
アリーナの主催者側の管理体制が変わった事により、新人や才能ない者の泥仕合のためにアリーナを提供する必要なしと見られ
現在ではレイヴンとしての任務を重ねその実力を認められた者のみしか参加する事は許されない

また例外としてミラージュやクレストの様な大企業の推薦
もしくはアリーナで名を馳せる上位ランカーによる推薦によって参加を認められる事がある (ちなみに自分はその後者である)

と、まぁとにかく決して今回の依頼が遂行不能というわけではない、では何故断るのかというと

(お金まだ困ってないしなー)
(相手がもし予想以上に強かったら困るしなー)
(桁違いの人が増援とか来たら死ぬしなー)
(はー・・・だる・・・)

こーいう性格だからである

だが別の仕事と咄嗟についた嘘(オペレータにはバレてるが)でする事は何もない
だからといって元から依頼を受ける気はないし、外出する気にもならないのでとりあえずダラダラ過ごす事にしよう、そうしよう
そんな駄目人間状態のまま、携帯端末を使い新たなアセンを妄想したり、なんとなく鼻から吸えない煙草を吸って咽ていると
手に持っていた端末から来訪者を告げるブザーが鳴った

『こんにちはー?』
「こんにちは?」
『あ、逃げてなかったんですね』
「どーいう事です?」
『今お姉ちゃん、こっち向かってますよ?』
「え!?何で!?」
『回線閉じられて連絡つかないって怒ってました』
「あーあー・・・あ!」
『どうしました?』
「逃げなきゃ!!」
『あはは、とりあえず入れてもらえませんか?」
「あ、今開けますよ」
『お邪魔しまーす』
「今ガレージの方です」
『はーい』

そして数分待つと声の主がやってくる
まだ成人を迎えていないであろう幼さの残る見た目17~8そこらの少女である

「相変わらずこのお家広いですねー・・・」
「相変わらず不便だよ」
「あはは・・・贅沢ですね」

少し怒気を孕んだ声で笑う

「あー・・・えっと、それでどーしたの?」
「あ、そうだそうだ、ちょっと手を見せてもらえませんか?」
「手?」
「はい」
「?、どうぞ?」
「あ、もうちょっとまっすぐ前に」
「うん?」

カチャン、と音と共に手首に金属の冷たい感触が伝わる

「かちゃん?」
「はい」
「・・・え?」
「それでもう片方をこっちに」

カチャン、と更に同じ形状「金属輪」を彼女自身の手首につける

「かちゃん」
「はい」
「・・・手錠?」
「はい」
「・・・何で?」
「お姉ちゃんが1cあげるから逃がさないでね、って」
「あー・・・って!駄目だよ!早くはずして!!」
「えー・・・怒られちゃいますもん」
「俺だって怒られてしまいますよ!?」
「知ってますよーあははw」
「ひ、ひとでなしー!!」

実は彼女は自分の専属オペレータの妹なのである
状況を分析するに先の会話から閉じっぱなしだった連絡回線に業を煮やしたオペレータが直接こちらに向かっていて
そして直接訪問した所で自分が逃走を測るであろうと予想し、それを防ぐ為に予め伏兵を送ったのであろう
さらにその目論見は成功し、さすがに若い娘ッ子一人だとしてもそれを抑え逃走する事は困難である、ていうか手錠つけて外出れないし

つまり、自分はここでオペレータを待ち、説教される運命にあるという事である

「まったくあなたは!これで何回目ですか!!」
「ごめんなさい・・・」
「例え依頼を断るにしても一方的に回線を閉じたら緊急時の連絡がとれないでしょう!?何度言えばわかるんですか!?」
「次からは気をつけます・・・」
「次からとは言いますけど!あなた今何回連続で依頼を拒否しているかわかってますか!?」
「12回・・・」
「14回です!!次の依頼を拒否したら一体いくら違約金を払うと思っているんですか!?」
「えっと・・・」
「1000cです!1000c!!ランカーのあなたには軽い金額に見えるかもしれませんがあなたはこの一ヶ月で既に2000cも払っているんですよ!?」
「で、でもお金なくなったらアリーナで・・・」
「絶対勝てるだなんて思っているんですか!?そもそもあなたはお金に対して無頓着過ぎる所があります!この間だって弾薬費も考えずミサイルをバカバカバカバカと!!」
「ごめんなさいおかーさん・・・」
「誰がお母さんですか誰が!!真面目に話しているのにいっつもそうやって不真面目に聞き流して!!」
「うう・・・足が痛いよう・・・(メソメソ」
「泣きたいのはこっちです!!!いいですか!?あなたは・・・・!!!!!!!」

先のひと悶着から少しするとオペレータが到着し、額に血管を浮かべてやってきた
自分の顔見つけるとすぐさま手に持っていた書類で頭を全力で叩かれ正座を強要され、そして既に一時間はそのまま体勢でこの様な説教をされていた
そしてそれからもう一時間程立ってから再び様子を見に来た妹になだめられて解放してもらったのである

「お礼は言わない、だって逃げられなかったの君のせいじゃん」

声に出して言ったら二人にもう一時間説教された
結局許してもらうのに「次のミッションの依頼は絶対に引き受ける、次にまた回線を閉じたまま忘れたら罰金+ミッション一回」という誓約書を書かされる事となった

あぁ・・・できれば簡単な警備とかのミッションが来ますように、今は祈る事しかできない自分が歯痒かった





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