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「皆、ちょっといいか?」

 バーテックス本部、会議室では定例の会議が開かれていた。
 会議と言っても作戦や戦略に関する話題は少なく、ほとんどレイヴン同士の談笑で終わっている。
 そんな中、会議もそろそろ終わりとなる間際に、ジャック・Oが妙に改まった口調で口を開いた。

「とりあえず、……まずは皆に謝らなければならないことがある」

 世間話をしていたバーテックスのレイヴン達は会話を打ち切り、次いで揃ってジャックへと視線を移した。
 ジャックは顔の前で両手を組み、戦士達の視線を一身に受けながらも言葉を次いだ。

「これまで、皆を騙していたことについて、だ」
「……なに?」

 途端に会議室の空気が変わる。そこに、先程までの平穏な雰囲気はない。レイヴン本来の殺伐とした空気が、一瞬でその場を満たした。

「騙していた?」
「どういう意味だ」
「……ジャック……なにを……言ってる……?」

 急に重苦しくなった空気の中で、その場の主であるジャックは一度溜息を吐いた。

「実はな」

 意を決して言おうとするが、その次の言葉を発することが出来ない。

「実は、だな」

 二度も同じような台詞を繰り返す自分を、ジャックは心底情けないと思った。

「言ってしまえ」

 助け舟を出したのは、ジャックの一番の理解者とも言える烏大老だった。烏は皆の気持ちを代弁するかのように言った。

「アライアンスに宣戦布告までしたお前だ。今さら何を言っても私達は驚かんよ」

 他のレイヴンも烏と同意見のようであり、ある者は首を頷かせ、またある者は賛同の沈黙を守っていた。
 ジャックは、皆を侮っていた己を嗤う。

「……そうか。それでは、今度こそはっきりと言わせてもらう。みんな、驚かずに聞いてくれ」

 一度、息を吸う。彼は今度こそ躊躇わずに言った。

「実は私、男に興味ないんだよね」

 このジャックの宣言によって、その場は一気に騒然となった。

「なんだってぇぇぇええ!!」

 一番最初に大声を上げたのはライウンだった。烏大老がそれを宥める。

「う、うろたえるんじゃあないッ! 強化人間はうろたえないッ!」

 ざわ・・ ざわ・・

 皆、ジャックの今言った一言が理解できていない様子だった。
 批判するようにジャックは言う。眉を傾け、口を「3」にして。

「……驚かないって言ったじょのいこ」

 Ωは机を強く叩いて席から立ち上がった。椅子が倒れるが、気にせずジャックに迫り、顔を突き付ける。

「な、何を言ってるんだ、ジャック! ……ど、どうしてだ!? どうして今になって急に……」
「どうしてって言われてもな。……べつに、最初から男には興味なかった」
「……なぜそれを今まで私達に言わなかった!」
「だから初めに言っただろう、騙して悪かったと」
「ぐ……!」

 言い淀むΩ。ジャックはたたみかける。

「それにな、ゲイゲイ言われる身にもなってみろ。結構、精神的に辛いんだぞ」

 その場にいる皆が揃って同じ思考に達する。

――この目の前の男は、本当にあのジャック・Oなのだろうか?

 少なくとも、彼らが知っているジャック・Oでないのは確かだった。彼らが知るジャックは理知的で、何事にも動じず、弱くて、そしてゲイだ。
 変わり果てたジャックは、更に暴走を続ける。

「いや、まあ確かに、スレでは思いっきりゲイキャラ演じてるが、でもそれはスレの住人が勝手にやってることだろう?」
「ちょ、身も蓋もない事を……」

 口を挟むG.ファウスト。ジャックは渋い顔をしながら矛先を彼に向けた。

「そうだな。……なんなら私のゲイ属性をお前に明け渡してもいい」
「え!?」

 いきなりお鉢を回されたG.ファウストは戸惑う他ない。
 ぶっちゃけそんなもん渡されても困るだろう。貰って喜ぶ奴も中々いない。

「お前って結構影が薄いだろ……? このオプションパーツをつければ少しはキャラも立つと思うのだが」
「いや、俺は……」
「そうだ! いいこと思いついた。お前、この際改名してGAY.ファウストにしろ」
「わ、悪いが遠慮させてもらう。……やはり、その称号はお前と、あのゲドとかいうやつにこそ相応しい……」
「だからぁ! 私は男は好きじゃないって言ってるだろうッ!」
「す、すまない……」

 加速度的にジャックのキャラが崩れていっているような気がするのはもはや気のせいではない。

「全く……何の因果で野郎の堅い尻でヤラなきゃならん?」

 終には最後の箍まで外れるジャック。
 だ、駄目だこいつ……早く何とかしないと……。

「大体な、私は幼女が好きなんだよ! 幼女がッ!」

 コ・・・

「野郎の尻より、幼女の○○○かい○○○○に○○○を○○○○ほうが数千倍楽しいだろうがッ!」

 コレガ・・・・・・






 ・・・ヒワイナント・・・



―――――――――――――――――



「うわああぁぁぁああああ!! 変態!! 変態!! 変態!! 変態!!」
「ど、どうしたんですか、隊長!?」

 自分の叫び声と、部下のトロットの呼び声の両方によってエヴァンジェは目を覚ました。

「……ハァ……ハァ……」

 息を荒げながらも周囲を見渡す。
 ここは、どうやらアライアンス戦術部隊の兵舎。仮眠室のようだ。

「ゆ……夢落ち? ……にしては、妙に生々しかったような……」
「……は?」

 その後、隊長のジャック嫌いは一層増した。




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