敵の砲弾。貫かれる装甲。全身を襲う衝撃。それにより固められる機体。
そして敵の第二派。それは容易に、動けないACアルルカンの四本の足を吹き飛ばし、各部に重大な損傷を及ぼした。 !……《機体熱量,許容おーばー》……!
上昇する熱は限度を知らない。 ENゲージが見る見るうちに下がる。 !……《しすてむ,だ,う,n,;.,....》……!
訪れる沈黙は最後のバッテリー残量も底を尽いた事を示す。千切れた足の痙攣も止まった。 ・・・ 敵機の機銃によってバラバラに剥がされる装甲。
機銃が当たるという事は敵機が近づいているということ。 その証拠に、重い無限軌道の音が、アスファルトを抉り、突き進んでくる。
「頭で考えるのと体感するのじゃ、大違いだった」 そうコルレット呟く。考えるほど死は怖くなかった。だが……、 「死ぬのはいやだな。もっといきたい」
死ぬのは嫌だ。もっと生きたい。 しかしそれは思うだけ無理な話。 戦場では時が来れば、確実に死は訪れる。そう、時が来れば。
彼、は笑った。からから、と。渇いた笑い。 その時、彼の体は少し浮遊感を感じていた。ああ、これから天国か。いや地獄か。
無限軌道の回転が止まり、アスファルトが宙に撒きあげられた。 一瞬の静止。 その静止は巻きあげられたアスファルトが地に落ちた所で終った。
ACアルルカンは、無常にも、破壊された。 ・・・ 世界。 いや、この宇宙というものは、それぞれすべての宇宙が、連なり重なり、並行、垂直。
つまり、パラレルワールドが束になったもので出来上がっている。 その並行宇宙では我々の住む世界とは違う時間、法則によって支配されている。
生きる人、動物、無機物、すべてが似通っていたり、違ったり。そもそも存在しない事もある。 そして、あるはずの宇宙自体が存在しない時もある。その逆も、然り。
存在の否定。否定された存在は否定される、つまり、無。 だが、否定されても、否定されても、変わらず其処に存在するものが在る。
在る筈の無いもの。存在することを否定されてもあり続けるもの。それは、神の置き土産、、、、、 ―――管理者。 ・・・ 狭い部屋。太鼓の音。
鼻を衝く、香。灯りはムラサキの蝋燭のみ。 入り口は見当たらない。 部屋には、三角のかぶりものをかぶった数十人の人間。
彼らは真ん中の祭壇に立つ祭司に放射状に向かい、解読不可な呪文を呟く。 音が、――どんつくどんつく。匂いが、――ぷ~んぷ~ん。
そして、光が―――ぴかっ!!。 そのまばゆい光は暗い一室を明るく照らす。 壁には幾つもの幾何学的な図形が描かれており、それが幾重にも重なっていた。
そんなことよりも重要なのはその中心。其処から光は放たれていた。 彼らはその光に向かって、頭を下げ、最後の口述。
「「「「「「「「「「「「ブバババヴブビ」」」」」」」」」」」」 その直後、世界はその一室に詰まり、其処から世界の情報が書き加えられた。
追加されたのは一人の男の存在。 レイヴンコルレットの存在だった。 ・・・ ――同時刻、同時空、同室。―――
そこでは照明が点き、男たちがえんやえんやと騒いでいた。 「うほっ。これはやりました。成功ですぞ!!」 「エイジロウ殿。やったでござるん!!」
リーダー格だと思われるエイジロウと言う男が、 その部下と思われる小男どもに話し掛けられる。その他は、もろもろ。 エイジロウは腕を振りかざし、皆に云う。
「メディカル班よ。すぐさま彼を収容、そして治療セヨ!!」 その突如、何処からやってきたか分からない、あきらかに場違いな、救急服姿が四人現れ、
祭壇中央に寝ているコルレットをタンカにのせ、慎重に運ぶ。
彼らの肩には、長方形を縦に置き、左斜めに向けて、それを丁度6つに区切ったような図形が描かれていた。
明るくなり、落ち着いてみると小さいながらも元から部屋に居た者たちの三角帽にも描かれているのが分かる。 図形には我々が知る文字に似たものが書いてある。
それは『KISARAGI』と読めた。 「……総員。至急、管轄に戻れッ!!」 そう各員に聞かせるエイジロウ。
命令を承知した各員は速やかに黒いローブを脱ぐ。 すると彼らは皆、白衣を着ていた。 胸のプレートには、キサラギの印。 彼らはそうして部屋を出る。
残ったのはエイジロウ、唯一人。 エイジロウは右手を、血が滲むほど強く握る。 それからは彼の何かへの憎悪がつよく感じられた。
「これで、我々にも勝機が……?」 彼は怒りを混めた呟きを残して、その部屋を出た。 ・・・ 物語は、我々の知らないパラレルワールドを舞台に、
一人の異次元人と多くの現地人による、 地球が燃え尽きる日までへのカウントダウンの物語……。 ――最期の日まで、あと九ヶ月。――
―――いまはまだ、死ぬときでは、無い――。 つづく つもりだった 編集モードもまちがったしにたい
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