彼女の左手の親指から手首にかけて、亀裂が走った。
 亀裂からは、だくだくと血が流れた。痛い。
 右手には、造形用ナイフ。机の上には作りかけのプラモと臭いもりパテとアラユル色したランナー屑の山。
 彼女はナイフを放り投げ「あびゃあ!」――と叫んだ。
 そして開いた右手で傷口を抑えながら、「これは面倒な事になった」と言った。

 彼女――エネはプラモデルを作った居たのだが手元狂って部品を支えている左手に右手の持つデザインナイフが突き刺さり、
 余りにも良く出来すぎて調子に乗っていたものだから突き刺さる勢いがハンパではなく、まるで軌道をまわるステーションが地上に落下して、
 ズサッーーーと滑るような勢いでまともに突き刺さったものだから、これが痛いのなんのってモンじゃあなく、ものすごい痛いのだった!

 さて「イタイヨィウウィー」とエネが叫んでいたら彼女の部屋の襖を、バンッと開け放って、その部屋の臭いにくらくらして倒れそうな男がありけり。
 その者の名を、オペ男と言う。何を隠そう、彼はレイヴンのオペレータである。
 なお、その彼にオペレートされるのが何を隠そう、エネである。
 エネはフリーのレイヴンである。だがもともとは、ナーヴスコンコードの所属だった。
 だが、物凄いごたごたで、記録がいろいろ紛失してしまったので、
 これはいいやとさまざまなレイヴンたちが独立の名乗りをあげて、独立していったのだ。
 今やこれは『第二次独立ブーム 武装勢力もあるよ!』と呼ばれる出来事であり、
 最新の教科書にはちゃんと出て来ていて学校の試験にも出るので要チェックする必要がある。
 なお、「第一次独立ブーム 企業合併もあるよ!』は三十年戦争の最中に起こった事なので、
 単語は出てくるがそれほど内容は重視しなくてもOKだ。
 さて、授業を続けるかしら……ってこれは授業じゃあないな。ふぅ……気を取り直して、続きから。

 「どうしたんです、エネ!」
 オペ男はエネに向かって言ったが、
 「見りゃわかんでしょ、血よ、血! 英語で言えばブラッドよ! わかる? どぅーゆーあんだすたん?!」
 「はっはっは分かりますとも。この俺がふざけている?――莫迦言ってんじゃないよ。そんな場合じゃありませんよ」
 「だったら早く……」
 「はいはい……ではいただきます」
 オペ男は床に這いつくばって流れ落ちた血液をちゅるちゅると舐め始めた。
 おいしいおいしいと鼻息をふんふん鳴らせてとてもきもかった。
 


















































| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー