番外編 月曜病の方々に捧ぐ

 ふぁふ、と漏れたあくびにアイラは体中の神経が弛緩しているのを感じ、手にしたパーツのガイドブックを投げ捨ててシルフィの改造計画を打ち込んでいたコンピュータの電源を落とした。こんな身の入っていない姿勢で思考を続けたところで後で一から修正するのが関の山だし、わざわざ気を締めなおすほど大切な用件でもなかったので、後回しにすることに決めたのだ。
 これは問題の先送りではない、作業の効率化を図るために勤労と休息の順番を入れ替えたのだ。などと言い訳することもなく、迷いもなければストレスも感じずに当然のごとくスケジュールを変えてしまうのが彼女の凡人と異なることだろう。普通の人間ならば、身勝手な予定変更など相応に正当な理屈なしには不安を煽るだけの効果しか残らない。
 ともあれアイラは退屈を持て余していた。先週に出撃したミッションが比較的容易な内容だったので、ほとんど無傷で完了させてしまい、ACの修理や改善の展望作成などの事後処理も一日と置かずに終わってしまったのである。チーム・ルークスカイは余程の事態でない限り、フェイが作成した日程表に基いてスケジュールが進むので、次のミッション予定日である六日後まで仕事がぽっかりと空いてしまい、こうして既に私室同然のコックピットの中でぼうっと時間の流れに浸っているわけだ。
 ハッチは開けっ放しにしてあるので、外からの音が耳に届く。今日はサムのアナザーワンが出撃しているので、電動ドライバーの回転音や塗装スプレーの噴射音などいつもの騒音はなく、聞こえてくるのはもっぱら束の間の休息を楽しんでいるスタッフによる歓談の声だった。
 昼時なので食事でも取っているのか、詰め所を初めあちこちのスペースで三、四人が固まっているらしく、耳を澄ませると様々な内容の会話が和音となって鼓膜に響く。これまた並の人間ならば声が混ざり合って只の騒音にしか聞こえないのだろうが、アイラの脳は自動的にそれらを一人一人の声に分解してしまい、また五つか六つくらいの話ならば同時に処理してしまうどこぞの摂政のような能力を自覚なく使っていたために、結果として現場一帯の会話を全て傍聴していることになった。
 会話の内容は、ウィンがやたら陽気な態度で同じ日程で働いているスタッフを飲みに誘っていたり、別の一団では彼の後輩にあたる者たちがなそんな誘いに陰口を叩いていたり、ともあれ平和な雰囲気を見せていた。
 アイラはそんな様子を楽しみながら、のんびりとしていたが現場の鉄扉が開いて足を踏み入れる音が聞こえてきたので体を起こした。ウィンが来訪者の肩に引き寄せながらくだを巻いているのを聞き取るまでもなく、現場で安全靴でない革靴の足音を鳴らすのはフェイ以外にいない。そして彼がここに足を運んだと言うことは、十中八九が自分に関わる用件だろう。次の依頼を選択するにあたっての相談か、少し前にミッションを放棄したことへのクレームがついたのか、何にしろ退屈しのぎにはなりそうなので悪い気分はしなかった。
 間もなく、予想通りにリフトのアームが作動する音が聞こえてくる。下で人が乗り込むだけの時間を空けた後に、動く足場は再びコックピットの前へと上ってきて、長身だが骨格のせいでスリムに見える、見慣れた青年の顔が現れた。
「うっ…!」
 もとい、青年の顔は全然見慣れたものではなかった。誤解の無いように言えば顔の造形ではなく顔色が。
 白人種の血が濃いために元々青白い頬は完全に血管が透けて見えるほどこけており、そのくせ随所でうっ血しているのか黒ずんでいた。瞼は腫れ上がって目のほとんどを覆い隠し、まるで白目を剥いているように見える。挙句の果てには眉毛がところどころ禿げており一目ではわからないが髪の毛もあちこちが抜け落ちているようであった。
 これははっきり言って尋常ではない。どれくらい尋常でないかと言えば、あのアイラ・ルークスカイが思わず声を漏らしたのだから本当に尋常ではない。大切なことなので三回言いました。
「忙しいんだ」
 どうしたと尋ねることもなくアイラは結論を述べた。いくら彼女が綺麗に任務を終えたところで、それが仕事量に直接影響するのは現場の人間だけだ。事務職や、彼のように営業とマネージメントを兼任する者にはあまり関係がない。普段から忙しいものは変わらず忙しいのだ。
 アイラも、サムがチーム入りしてから仕事量が倍加したはずなのに音沙汰がないのでおかしいとは思っていたのだが、どうやら激務を整理することなく抱え込んでしまったようだ。
 フェイはぱたぱたと手を振りながら、
「大丈夫大丈夫、調子はむしろ良いくらいだ」
 と、ちっとも大丈夫じゃない様子で答え、「一本貰うぞ」と言ってコックピットの缶コーヒーラック(保温機能付き)に手を伸ばそうとした。
 それに対し、アイラははふ、とため息を一つつく。普段から彼女の動向に気を遣っていた影響か、その様子が気になってフェイがそちらを振り向くと、シートに座ったまま肩を捻りこむだけで回転を生み破壊力を増した掌底がその顎を撃ち抜いた。
 長身のフェイは細身であっても相応の力と頑丈さを持っており、性別の差もあってアイラと言えど真っ向から殴ったところで大したダメージを与えられないだろうが、声の一つもかけずに相手が全くの無警戒であれば話は別で、的確に急所を捉えられたフェイは激しい脳震盪を起こし、ダメージを抑えるためにそれは機能を停止させた。要するに気絶した。
「強がりだったらまだマシなんだけど」
 狭いコックピットの中で倒れこむフェイを、悪いところを打たないようにアイラは抱きかかえて支えた。
「本気で笑っているんだからどうしようもないわ」
 そして先ほどまで自分が座っていたシートに、乱暴に投げつける。コックピットの中は常温に保たれているし、放っておいても風邪を引くことはないだろう。不自然な姿勢なのでどこか寝違えるかもしれないが。
「そこでちょっと寝てて」
 と、言い残すとアイラはリフトに下り立ち、フェイを残してコックピットの扉を閉めた。
 下では二人のやり取りを面白そうに見物する野次馬が集まっていたが、アイラがそちらを一瞥すると隠れるように引っ込んだので、彼女は無視してガレージを後にした。

 アイラがやって来たのは地下ガレージの最下層、第一会議室に隣接する一室だった。早い話がアリスが使用している専用室である。
 ノックもせずに足でドアを蹴り開けると、中では人目もないと言うのにきっちりと肌に合ったスーツを着こなして事務作業に没頭するアリスの姿があった。
 突然の、しかもこの上なく無礼で乱暴な来訪にも彼は動じることなく、書類に半を押してはコンピュータにそれを入力していた。
「物騒だね? 何の用かな」
 アイラのように両方を同時に処理する能力は備えていないが、話しながら手を動かす程度ならば難しくないようで、仕事を休めないままに落ち着いた声色でそう尋ねた。
「フェイがだいぶヤバくてさ」
 つかつかと無遠慮にデスクの前まで歩み寄ったアイラは、特に意味もなくアリスの打ち込んでいるコンピュータの画面を覗き込みながらそう言った。用件を説明するにしては簡潔に過ぎる表現だったが、「ああ」とアリスは頷く。彼の現状は把握していたので、言わんとしている大方の内容は簡単に推測がついた。
「本人の希望なしには休ませられないよ」
「わかってるって」
 出勤を命じることは出来ても休暇を命じることは出来ない。契約上前者は義務で、後者は権利であるためだ。休みの無理強いは論理的に欠勤の強制を許してしまい、不当解雇の温床となりうるためである(残業分の休みを貰うことは出来ても強制されることはないということ。だけど有給はきっちり消化しないと働かせ過ぎだって上司が怒られるんで実際には圧力かけられます。余裕のあるトコだと残業の穴埋めとして振り替え休日作らされます。嫌がる人が少ないからあまり問題にされないけど)。
 フェイは仕事上明確な労働時間が存在しないが、非出勤日まで連日就労しているのしているのでその気になれば一月を越える休暇を取得することも出来る。しかし当の本人がそれを望まず、非公式に無休の労働を続けているのだから、誰にも止められないのである。
「休みたがるようにすれば良いんでしょ?」
 アイラは勝手に書類の一枚を手に取り、これまた勝手に手近にあった赤ペンで修正を入れてアリスに手渡した。
「出来るようならお願いしたい。他人の世話は苦手でね」
 アリスはそれに大きく×をつけてアイラに返す。
「だろうね」
 彼女は用紙を八重に折り、力任せに破り捨てた。
「私から言い出したことだけど、命令になるから報酬は頂戴」
 紙くずとなった書類を改めてアリスに渡すと、彼はやれやれと言いながらそれを受け取り、
「こう言えば良いのか?」
 アイラに求められた返答を送る。
 彼女はそれを聞くとにっこり笑って、「了解しました」とわざとらしい丁寧語で答えると、用は済んだとばかりに清々しいまでにあっさりした態度で立ち去った。
 アリスはそれを見送ると、紙くずと化した書類を廃棄ボックスに捨て、コンピュータに廃案のマークを一つ打ち込んだ。

 耳に届くはカモメの鳴き声。
「…カモメ?」
 暖かな風には潮の香りが混じる。
「…潮?」
 たった二点ではあるが、寝惚けた頭でも自らが置かれた場所を推測するには十分だろう。少なくとも、機械油や工具が散乱するガレージに存在する要素ではない。
「海!?」
 心の叫びをあげながら、フェイは飛び起きた。正確には飛び起きようとして、体に巻きつけられた固定ベルトに思い切り引っ張られシートに叩きつけられた。幸か不幸か、いや完全に不幸なことにその衝撃で目は覚めたが、それでも何故海などに連れて来られているのか、判断には少々の時間が必要だった。
 とりあえずベルトを外して、コックピットから身を乗り出して外の様子を確認する。自分が立っているのは気絶する前と変わらずシルフィの中で間違っていなかった。機体は雨よけすらない野ざらしの簡易ガレージに、脚部だけ固定されて立っている。フェイの眼下には海沿いに発展した貿易の町が広がっており、三角州に網の目上に広がる無数の川に浮かんだイカダの上に、木々で組まれた住居が並んで露店を営んでいた。どこからどう見ても典型的な海辺の町だ。
 少しずつ状況が掴めてきたフェイは、とりあえず全ての原因に違いない機体の主を待つことにした。
 程なくして主はリフトすら使わずに、機体をよじ登って彼の前に現れ、
「ああ、やっと起きたんだ」
 あっけらかんと言い放つと、右肩に担いだ麻の袋をコックピット内に下ろした。見た目からして結構な重量があるようで、彼女はこれを持ったまま10m近い高さのACを片手で登ったわけだが、フェイはもうそれくらいで驚かない。コイツは非常識と言うか何でもアリなのだ。作業着のままロッククライミングに挑んでいても、結構強い日差しの中をシャツ一枚で出歩きながら何故か瑞々しい肌を保っていても、吹き出した汗が長い黒髪をシャワーを浴びた後のように濡らしているのに嫌な臭い一つ発しないのも、もう不思議とも思わない。
「またACでお買い物か」
 袋に顔を近づけると、焦げた臭いが鼻についた。
「今年のアラビア種は良いらしくてね」
 良い買い物が出来たのか彼女は上機嫌だった。てきぱきと袋のコーヒー豆を真空パックに詰め替え、戦闘兵器に詰まれた戦闘とは全く関係無い冷蔵庫に収めていく。
 フェイはその買い物に何故自分が付き合わされたのか、などとは問わなかった。彼女は公私を問わず独断で動き続けるが、群れることが嫌いというわけではなく、外出に誰かを連れることは珍しくない。地球に降りてからはシルフィに予備シートを取り付けるほどそれが顕著になり、お供は専らフェイの役割とされていたのである。
 ただ、今の彼は、
「まだ仕事残っていたんだけどな」
 と、最低限の愚痴をこぼさずにいられなかった。
「諦めて」
 冷蔵庫に体を突っ込みながら断じたアイラに向けて、フェイは嘆息を漏らしながらネクタイを緩めるのであった。

 その後、二人はいい加減ボロくなってきたフェイの一張羅の替えを探したり、良い具合に夜も更けてきたところでアイラの『勝負』が始まりやっぱりボロ勝ちしたりして、ガレージに戻る頃には朝日が昇るほどに騒いだのだが、書いていると何かムカついてきたので描写はカットします。詳細は妄想で!

 すっかり朝帰りとなった(一般的な朝帰りじゃないぞ! 断じてないぞ!! ねーっつってんだろゴルァ!!)フェイは、ガレージでアイラと別れると一人自室へと足を向けた。
 連日の過労に徹夜は応え、さすがにこれ以上の活動は無理と判断した彼は、アリスに連絡して午後からの出勤を伝えると、そのままベッドに倒れこみ泥のように眠ってしまった。溜まった仕事が心配ではあったが、明日も徹夜して睡眠時間をスライドさせた形にすればこなせるだろうと、自分を安心させながら。
 次の瞬間には昼の十二時を回っていた。眠ったことも気付かないほどに熟睡していた割に、きっちりと目を覚ますあたりに熟練を実感するがあまり嬉しいとは思えなかった。
 ろくに着替えずに眠ったので服が皺だらけになっていた。昨日買った服が早速役に立つな、と思いながらフェイがベッドを降りようとすると、その全身を異様な虚脱感が襲った。疲れているのはいつものことだし、眠いのも仕方のないことだが、その感覚は睡眠不足のそれとは異なり、動こうとする気力ごと刈り取っていくものだった。
 うめき声をあげながらもう一度ベッドに突っ伏す。出来ることならばこのままもう一度意識を失ってしまいたかったが、ここで諦めるともう追いつかなくなるほどに仕事が遅れてしまう。
 気を入れなおすために頬を一発張って、よろよろと立ち上がったその時である。
「おはよ」
 全室のキーを持つアイラが扉の前で、ジーンズにランニングシャツ一丁と私服でもラフなスタイルで立っていた。
 フェイは挨拶を返そうとしたが、唇まで重さに負けたのかもごもごと呟くだけで言葉の形を呈していなかった。
「今日も仕事するの?」
 アイラは珍しく疑問形を口にして、フェイに答えを要求する。その表情は顔を上げられないフェイには確認できなかった。
「しないと、まずい」
 フェイが思ったままのことを口にすると、アイラは「ふーん」と言って部屋の中に入ってきた。
 テーブルの上に腰を下ろし、フェイの顔を覗き込むと、棒状の何かをポケットから取り出してその眼前に突きつける。
「じゃあ、やらなくても良かったら?」
「え?」
 意外な言葉にフェイが顔を上げると、目の前には銀色のフラッシュメモリが差し出されていた。よくわからないままにそれを手に取ると、再びアイラは立ち上がって、
「終わってるのは事務仕事だけだけどね。依頼は選んでおいたし、連絡もつけておいたから中に入っているメモの通りに担当者と話せばそれで終わり。三日くらいはサボれる」
 そのまま立ち去ろうとした。
 扉を開けて出て行くまでおよそ五秒、フェイは全力で自分の心に問いかけ、
「一日休むことにする」
 正直な答えを口に出した。
「わかった。これからアリスのところに行くから伝えておく」
 アイラは後ろ向きのままそう言い部屋から足を踏み出して、
「じゃ、おやすみ」
 最後に首から上だけ振り返ると、そのまま後ろ手にドアを閉めた。
 フェイはそれを見送ると、肩の荷が下りたせいか体が軽くなった気がしたが、長期間続いた緊張はすぐには解けず、ベッドに体を預けているのにまだ営業先で依頼人を待っているような感覚が抜けず、何度も休みなんだと自分に言い聞かせてようやく楽になったことを実感できるようになった。
 このままもう一度寝ると今度こそ服が駄目になるなどとどうでも良いことが気になり、それならその時だと開き直ったところでやっと、意識して目を閉じることが出来たのであった。

 次の日、フェイがノリが効き過ぎて体に馴染んでいないスーツを纏い、依頼を送った担当者に会うべく基地内の移動用シャトルの発着場に向かうと、機体の横手から伸びたチューブ状の出入り口の前でアイラとアリスの二人が待っていた。
 思わぬ顔触れにフェイは面食らったが、すぐに気を取り直して、
「豪華な見送りだな」
 と軽口を叩き、余裕が出てきたことをアピールした。
「元気出たじゃん」
 アイラが冷やかしても、
「いや、まだだるいし正直面倒くさい。でもまあ、あんまり任せると後が怖いしな」
 軽快に答える様子には無理を押している風に見られなかった。

 フェイがシャトルに乗り込んで飛び立った後、アリスは顎に手をやって何やら考えるそぶりをしながらこう一人ごつ。
「完全に疲れが取れたわけじゃないみたいだ」
 フェイの瞼に浮かんだ隈は取れたわけではなく、二人の存在を確認した後こそ背筋を伸ばしてはきはきと歩いていたが、それまでは両肩が落ちていていかにもだるそうな格好であった。このまま同じペースで働き続ければ、遠くないうちに再び限界を迎えることだろう。
 だが、アイラはあくまで前向きに「問題ない」と断言する。
「活動するんだからだるくなるのは当たり前だっての。動き続けているうちは、気が昂ぶってそれを忘れているだけなんだから」
「むしろ問題なのは調子が良いと思い続けていることの方か。なるほど、面倒を面倒と言えた今ならば限界をわきまえることも出来るわけだ」
 アリスが小さく笑いながら言うと、アイラは「そういうこと」と答えながらも何か変わったことはないか探しているように、付近一帯に視線を散らしていた。
「平気な顔をしている方が危険で、つらいと思っている方が安全とは皮肉なものだな」
 それはつまり、人が生きていくには常につらい思いをし続けなければいけないと言うことだ。
「つらいならつらいんだからどうでも良い。それで潰れても逃げても私の知ったことじゃないけど」
 アイラは言う。
「自分を騙しちゃうのは止めてほしいよね。それじゃ助けられないから」
 そうまとめたアイラは、またどこに行くつもりなのか足を前に出し始めた。
 一方アリスは立ち止まったままで、彼女を引き止めるかのように一言加える。
「でも、あまり担当者が入れ替わるのは感心しないな。僕の仕事が増える」
「アンタは上司なんだからそれくらいやれ!」

 こうしてアイラは再び退屈な生活に戻った。
 報酬と称してアリスから譲り受けたフェイの抱えている案件は相当数に上り、本人が望むのならばもう数日は休ませられる態勢にあったのだが、さすがに若いだけあって頑丈なのか、最短の時間でほぼ理想的な回復を見せたので不要な手回しとなった。
 港町で仕入れたコーヒー豆をこれまた新たに購入したミルで挽きながら、ふとコックピットの外に意識をやると、今度は休憩時間でもないのに何人か固まってシルフィの方を向きながら話し合っているのが聞こえてきた。
「おい朝帰りだってよ朝帰り」
「マジかよー。白人のお偉いさんはやっぱ手を出すのはえー!」
「俺なんか昨日も主任と飲み会だぜ? 何が悲しくて休み前の夜をおっさんと過ごさないといかんのだ」
「何かありました?」
「おお、新人の坊主。聞けよ、実はな…」
「お前ら何やってんだ!」
 何の発展性もない噂話と愚痴に華を咲かせながら、ウィンに追い立てられて彼らはしぶしぶ仕事に戻っていく。
 アイラはそんな喧騒を背景に淹れたコーヒーの香りを楽しみながら、
「あいつらの世話することは当分ないなぁ」
 と、平和な一日に満足するのであった。






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