僕の家族は殺された。
目の前で、圧倒的な暴力で殺された。
「…そうか、命はこうして亡くなるんだ」
泥の味に噎せ返る。嫌な味だ。
目の前で、圧倒的な暴力で殺された。
「…そうか、命はこうして亡くなるんだ」
泥の味に噎せ返る。嫌な味だ。
泥の味と、死の概念。それが数少ない思い出だ。
しかし、欠落した感情では、何も感じなかった。
だがこれだけは言える。
しかし、欠落した感情では、何も感じなかった。
だがこれだけは言える。
「殺す側に回れば、きっときっと楽しいんだろうな」
そういって、焼け野原を見上げた。
そういって、焼け野原を見上げた。
『今この場を借りて、アライアンス襲撃を宣言する』
ジャック・Oが高らかに声をあげる。
兵士達が意気揚々と拳を振り上げる。
それを何気なしに眺めていた。
何が楽しいのだろうか、何でそんな大声をあげるのだろうか。
この世は『殺す側』と『殺される側』しかいないと言うに。
兵士達が意気揚々と拳を振り上げる。
それを何気なしに眺めていた。
何が楽しいのだろうか、何でそんな大声をあげるのだろうか。
この世は『殺す側』と『殺される側』しかいないと言うに。
泥の味を思い出した。
兵が集う場所を後にする。ここは、俺の居る場所ではない。
はやく戦場へいかねば。
焼け焦げる鉄の臭い、肉が焼ける香り、砕け散る兵器。
その全てが俺を癒し、満足させてくれる。
兵が集う場所を後にする。ここは、俺の居る場所ではない。
はやく戦場へいかねば。
焼け焦げる鉄の臭い、肉が焼ける香り、砕け散る兵器。
その全てが俺を癒し、満足させてくれる。
「Ω。どうした、何を、している」
片言で話しかけてくる男。ンジャムジの奴か。
「ひどく、辛そうな顔を、していた。薬草、もってくる、か?」
片言で話しかけてくる男。ンジャムジの奴か。
「ひどく、辛そうな顔を、していた。薬草、もってくる、か?」
どうやら、泥の味が自分の形相を自然と険しくしていたらしい。
このような殺し屋の団体に、こんな気遣いが出来る男がいるとは。
「…大丈夫だ。気にするな」
このような殺し屋の団体に、こんな気遣いが出来る男がいるとは。
「…大丈夫だ。気にするな」
ぽん、とンジャムジの肩を叩き、部屋へ向った。
「死相、出てる。気をつけろ、オメガ」
ンジャムジの予言は、彼には届かなかった。
ンジャムジの予言は、彼には届かなかった。
『Ωよ。貴様はここで敵ACの相手をしろ』
「…了解」
「…了解」
そういって、ジャックからの通信が切れた。
心が躍る。今すぐ、このトリガーを弾きたい。
とにかく、とにかく、とにかく何かを殺したい。壊したい。
心が躍る。今すぐ、このトリガーを弾きたい。
とにかく、とにかく、とにかく何かを殺したい。壊したい。
「は、ははは。楽しい、楽しい。
今日は絶好の殺人日和だ。はやくこい、はやくこい、はやくこい!」
今日は絶好の殺人日和だ。はやくこい、はやくこい、はやくこい!」
ゲートが開く。
そこには、見慣れないACが佇んでいた。
そこには、見慣れないACが佇んでいた。
(きた、キタきたキたきたきたキた!)
砕け散る理性の破片を、少しずつかき集める。
呼吸を整え、とにかく相手を殺すことだけを考える。
砕け散る理性の破片を、少しずつかき集める。
呼吸を整え、とにかく相手を殺すことだけを考える。
「そこまでだな」
完全に、自分が消えた。泥の味が消えた。
完全に、自分が消えた。泥の味が消えた。
殺すか殺されるか。
この瞬間こそ、僕/私が求めた瞬間だ。
この瞬間こそ、僕/私が求めた瞬間だ。
知りたいことは二つだけ。
殺す側の気持ちと、『殺される側の気持ち』だ。
十分に味わった殺す側の気持ち。
あとは、もう片方だけで満たされる。
殺す側の気持ちと、『殺される側の気持ち』だ。
十分に味わった殺す側の気持ち。
あとは、もう片方だけで満たされる。
「やすやすとここを明け渡すわけにはいかない」
さあ、試してみよう。
また相手を殺す高揚感が味わえるのか。
それとも、いまだ感じたことの無い殺される側の絶望を味わえるのか。
また相手を殺す高揚感が味わえるのか。
それとも、いまだ感じたことの無い殺される側の絶望を味わえるのか。
楽しみは、これからだ。
終