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レイヴン。
渡りの意を持つ彼らだが、
バーテックス設立と共に、彼らは羽を休める巣を得た。
もちろん、バーテックス以外に留まる者もいる。
アークが崩壊した後、レイヴン達の選択肢は広まったのだ。


今日は、バーテックスの日常を覗いて見ようと思う。
これは極秘潜入任務だ。
情報収集にも命をかける、それがこの俺、エド・ワイズのやり方だ。


一つ目の部屋は、表札に会議室と書かれている。
恐る恐る覗いてみる。
なぜか、この部屋だけ障子で区切られていた。
他は全て全自動ドアだと言うに、この局地的技術劣化は何なのだ。


人差し指を舐め、障子に穴をあける。
穴の先の景色には、小奇麗な和室が広がっている。


どうやら、バーテックスのお茶会に遭遇できたらしい。



「さて、今回の議題だが」
渋さの中にどこか甘さを持つ声が響く。
座る位置は、かけじくの前。
なるほど、こいつがリーダーのジャック・Oらしい。

ジャックを囲むように、
数人の男達が座っている。

戦車のような肉体をした男が手を上げる。
こいつは何者だろうか。

「なんだ、ライウン」
ジャックが口にした名前。
どうやらあのガッチリした男がライウンらしい。
なんとも、機体と肉体がそれ相応な奴だ。


「何故、バーテックスには女子レイヴンがいないのだろうか」
声色もソレ相応だった。
まさしく、兵隊のような男らしい声だ。


「ふむ」

ジャックが顎を撫でながら、溜息をつく。
それより、これは何の会議なんだ。


すると、ライウンの隣に座る男が手を上げた。

「なんだ、パンツ」

障子の裏で、軽くずっこけそうになった。
レイヴンの中で、そんなエロチカルな響きの男はいただろうか。
いくら脳内の記憶を漁っても、全く出てこない。


「・・パンツではない。というか、それは機体の名称だ。
いい加減、私の扱いをソレ相応のレイヴンのモノにしてもらいたい」

ああ、なるほど。
どうやら、こいつがパンツァーメサイアを駆る、G・ファウストらしい。
きっと、どれを取っても地味な存在だからか、
あだ名だけでもインパクトを出したかったのだろう。
ジャックめ、なかなか優しいじゃないか。


「ふむ。だがなパンツよ。
貴様の機体では、拠点制圧も難しいだろう。
前も、炉心警備の時だったか。
MTに火炎放射を誤射され、早々に帰還してきたではないか。
いい加減、高火力な武装を施してはどうだ」


ジャックの意見はもっともだ。
あのような旧式アセンブルでは、
せいぜい独立勢力のムーム程度しか倒せないだろう。
ガルムと常に行動を共にしているのだ。
片方倒せても、残りに喰われてしまうだろう。


「・・金が、無いんだ」

瞳に涙を浮かべるパンツ、もといファウスト。
目頭を押さえながら、呼吸を乱す。
隣に座る初老の男に肩を叩かれ、同情されている。


レイヴンにも、格差があるようだ。
バーテックスも資金調達には苦労しているようだな。
給料もまともに出ていないようだ。


泣くパンツと励ます爺さんをよそに、
ライウンが懲りずに手を上げていた。


「なんだ、カミナリマン」


「バーテックスにも華を」
どうやら、先ほどの質問を繰り返しているらしい。
それほど女に飢えているのだろうか、この男は。


「ふむ」

また、顎を撫でため息をつくジャック。
気苦労が耐えないな。部下がこれでは。


パンツを落ち着かせたのか、
初老の男が手をあげる。


「どうした、ウーさん」

なるほど、あの人間が出来てそうな爺さんは、
バーテックス前線指揮官の鳥大老だったのか。
なんとも納得である。渋い。

「ポケベルに連絡があったのでな。
ンジャムジからだ。
どうやら、アライアンス前線基地の破壊に成功したようだ」

おお、と一同声をあげる。
ンジャムジと言えば、
明らかにACを操縦するような感じでは無いにも関わらず、
優秀な成績を叩き出す男だったか。

言語中枢と身体機能は別物らしいな。

「ふむ、先手は取れたな。
これからが大事なところだ。
よし、ンジャムジにご苦労と伝えてくれ。
戻ったら一杯やろう」

ぬおお、とまた一同声をあげる。
どうやら、バーテックスは飲み会好きらしい。
まあ、面子を見れば大体予想は出来るがな。おっさんだらけだ。


「して、オメガの奴はどうしたか。
確か、保管区の警護に行っていたな」

茶をすするジャック。
強化人間でも、茶を飲むらしい。

ライウンが手を上げる。
「なんだ、ピザ」

「・・女子を」

ジャックはライウンを黙殺。
どうやら、これが日常茶飯事らしい。
楽しげだな。


「オメガから連絡である。
『・・・独りでここの警護は、淋しすぎる』だそうな」


「・・・」

「・・・」

「・・・」


一同、なんとなく察してしまったらしい。
茶室に冷たい風が吹きぬけるような感じがした。
気のせいか?


立ち上がるジャック。
何か思いついたらしい。


「オメガを呼び戻せ。
ンジャムジもそろそろ戻るだろう。

いいか諸君。
今回のミッションは、居酒屋の確保だ。
寂しがりやのオメガのために、
ミッションを成功させたンジャムジのために、
アライアンス本格進行前夜祭を開始するぞ」


渋く甘い声で饒舌に喋るジャック。

全員、もう有頂天だ。
ライウンはすでに、コンパニオンに電話を始めた。
パンツは鳥と肩を組んで、拳を天につき出している。
ジャックは手を組みながらも、不敵に笑っている。


こいつら今年で幾つになるんだ。

「よし、いくぞ。
パンツ、館内全域に連絡しておけ」

「サー。イエッサー!」

立ち上がるバーテックス陣。
まずい、俺としたことが。
奴らの行動があまりに予想外だったからか、
逃げることをすっかり忘れちまってたぜ。

おまけに、長時間の無理な体勢のおかげで、
足の痺れで動けやしねえ。


障子が勢いよく開く。


がたん、と音をたてて、前方に転んでしまった。
なんと情けない。


恐る恐る上を見上げる。
ジャックと目が合った。
まずい、殺られるか!?

「いい男だな。よし。
私の部下として相応しい男か、試させてもらうぞ」

その後、エドは深刻な出血を強いられることになったのは、
言うまでも無い。






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