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特攻兵器の襲来、およびそれに伴う三大企業をはじめとする各企業の弱体化は、旧ナービス領地域のレイヴン達に莫大な影響をもたらした。
ひとつは、レイヴンズアークの崩壊。
金と力を追い風に、鉛の嘴と灼熱の爪で獲物を狩る鴉達が、曲りなりとも羽を休める“巣”の消滅は、否が応にも鴉達に独立を促した。
ふたつは、企業秩序の崩壊。
アークが“巣”ならば、企業はレイヴンにとって羽ばたくために不可欠な“風”。
風がなければ飛ぶにも飛べず、風に逆らえば吹き飛ばされる。
その“風”を起こす企業が力を弱めることは、鴉達が思いのままに空を馳せる絶好の凪をもたらす結果となった。
三つ目は、恐慌にはつきものの治安の悪化。
裁くべき“法”を執行するべき二つの力――アークと企業が共にその社会的地位を減退させた結果、ナービス領は“Power is Justice”――力こそが法となる世界と化した。
これにより、レイヴン達は己のこなした依頼によって買い集めた数多の恨みのツケを請求する借金取りに追われる羽目となり、戦場以外に安全な場所を見出せなくなった。
この三つの変化がもたらすもの――それは、レイヴン達が互いの肉を喰らい合う修羅場。



そこには道理も秩序もなく、怨恨も報復も意味をなさない。
あるのはただ、“生きる”という至上にして唯一の目的のみ。
その目的の前では、誰もが正義となり、誰もが悪となる。
誰が加害者で誰が被害者かもわからぬまま、鴉達は殺し合い、生き延びたのは22人。
己の復権と過去の秩序の再構築を望む企業連合体、“アライアンス”に属する者。
“レイヴンによる秩序”を謳う、旧アークを主宰したカリスマ、ジャック・O率いる“バーテックス”に己の信念を見出した者。
己の利、あるいは譲れぬ意地の下、独立不羈を標榜する独立武装勢力達。
そして、何者にも属さぬまま、ただ己の翼のみを頼りに戦場を渡り歩く者。
彼らの思惑が複雑に絡み合い、混迷を極めながらも、刻一刻と、決戦の時は近づいてゆく。

「――同志諸君」
アライアンス戦術部隊、ブリーフィングルーム。
金色の三角形を模したエンブレムを背に負い、そこに集ったレイヴン達を束ねる男――エヴァンジェはやおら口を開いた。
「愚かなるジャック・Oが予告した襲撃時刻まで、直に24時間を切る。 予定に変更はない、すべて想定どおりだ」
居並ぶ歴戦の猛者達を前に、レイヴンとしてはまだ雛鳥と言っても過言ではない男が臆する様子もなく堂々と言葉を紡いでゆく。
そして、彼の前に立つレイヴン達全員が、彼の言葉に静かに耳を傾けることによって、彼こそがこの鴉達の群れを束ねる長であることを暗黙のうちに了承していた。
「本日06:00をもって、我々は状況を開始する」
静かだが、力強い言葉でもって、エヴァンジェは宣言する。
その言葉に一切の迷いはなく、わずかの躊躇さえ感じられない。
それが、口にされない彼の断固たる決意を如実に示していた。
「勇敢なる同志諸君――」
不意に瞳を揺らし、視線を地に落とす。
その声は、先ほどの“宣告”とは打って変わって、抑えきれぬ何かが溢れ出るかのように揺れていた。
「……我々にとって、サバス、ダ・ルーイン、コープス・フールは、かけがえのない戦友だった」
食い破られた唇から、一筋の紅が伝う。
それを拭いもせぬまま、こみ上げる衝動を叩きつけるようにエヴァンジェは吼える。
「鎮魂の灯明は、我々こそが灯すもの、亡き戦友の魂をもって、我々の銃は“復讐の女神(NEMESIS)”となる。 アライアンスの正義の下、各々が落とす撃鉄でバーテックスの顎を食い千切れ!」
『――応ッ!』
長の雄叫びに呼応するかのように、鴉達は咆哮する。



――バーテックス、襲撃予告時刻まで、残り24時間。




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