その世界は、ただ一つのものによって管理されていた。
あらゆる出来事は、そのものによって決定され、
そこに住む人々は、管理される事を当然のものと受け入れていた。
「管理者」の庇護の下、人々は約束された繁栄を謳歌し、
やがて、力を持つ者<企業>が生まれた。
企業はより大きな力を求め、互いに争いを始めたが、
その争いすらも、管理者の掌の上の出来事であった。
そこに住む人々は、管理される事を当然のものと受け入れていた。
「管理者」の庇護の下、人々は約束された繁栄を謳歌し、
やがて、力を持つ者<企業>が生まれた。
企業はより大きな力を求め、互いに争いを始めたが、
その争いすらも、管理者の掌の上の出来事であった。
全てが管理されるこの地下世界に存在する、唯一の例外。
彼らは、「レイヴン」と呼ばれていた…
彼らは、「レイヴン」と呼ばれていた…
人類が地上を追われ、第二の楽園と化した<箱舟>…レイヤード。
管理者と呼ばれるコンピュータに、全てが管理された世界。
そんな世界に身を置こうとも、人類は争いを止めるような優れた生物ではなかった。
管理者と呼ばれるコンピュータに、全てが管理された世界。
そんな世界に身を置こうとも、人類は争いを止めるような優れた生物ではなかった。
銃弾の嵐を浴び、一機、二機とMTが崩れ落ちる。
この二機が、最後のMT部隊。あとは戦闘ヘリを残すのみとなった。
機銃を乱射しつつ、頭上をかすめて行くヘリに、冷静にミサイルの照準を合わせる。
並んだ形の陣形を組み、一機が本命のミサイルを放ち、もう一機がフォローに回る。
この二機が、最後のMT部隊。あとは戦闘ヘリを残すのみとなった。
機銃を乱射しつつ、頭上をかすめて行くヘリに、冷静にミサイルの照準を合わせる。
並んだ形の陣形を組み、一機が本命のミサイルを放ち、もう一機がフォローに回る。
一機が黒煙を上げ、墜落。
操縦席を損傷し、コントロールを失ったもう一機は、
ビルの壁面を破壊しながら、墜落していった。
操縦席を損傷し、コントロールを失ったもう一機は、
ビルの壁面を破壊しながら、墜落していった。
(…敵戦力、ACが二機、か。)
コンソールを操作する手が、操縦桿へと移る。
コンソールを操作する手が、操縦桿へと移る。
「敵勢力の全滅を確認…?え、AC!?」
ミラージュの援軍。敵は大胆にも空中から接近。
ミラージュの援軍。敵は大胆にも空中から接近。
二機のACのマシンガンが吼える。
しかし、空中を漂う敵ACは奇妙にも、空中に浮いたまま、変則的に動く。
放たれた銃弾は、建物を抉るのみに留まった。
(何故、空中であんな動きが?まさか…)
エクステンションブースタの開発力においては、ミラージュがやや勝っていた。
恐らく、新型のEXブースタ。それもこれまでに無いタイプの物。
しかし、空中を漂う敵ACは奇妙にも、空中に浮いたまま、変則的に動く。
放たれた銃弾は、建物を抉るのみに留まった。
(何故、空中であんな動きが?まさか…)
エクステンションブースタの開発力においては、ミラージュがやや勝っていた。
恐らく、新型のEXブースタ。それもこれまでに無いタイプの物。
(クソッ!当たらない! …ッ!あれは、まずい!)
クレストのACに、敵ACとは全く違う方角から、銃撃。
二つの銃弾は、一機の片腕を武装ごと剥ぎ取っていった。
クレストのACに、敵ACとは全く違う方角から、銃撃。
二つの銃弾は、一機の片腕を武装ごと剥ぎ取っていった。
…一機目のACは、囮だった。
目の前に、大胆にも降り立つ二機のAC。
散開するクレストACに対し、ミラージュACは各個撃破の形を取る。
目の前に、大胆にも降り立つ二機のAC。
散開するクレストACに対し、ミラージュACは各個撃破の形を取る。
(なんて装甲だ、畜生!)
マシンガンを乱射しつつ、後退するクレストAC。
降り注ぐ銃弾に対し回避行動を取らずに、ミラージュACはEOを展開した。
コアの背面から飛び出した二つのオービットから、光が走る。
素早く機体を物陰にすべりこませ、回避。
光が走る度にビルの破片が宙を舞う。それ程までに、EOは高出力なのだろう。
マシンガンを乱射しつつ、後退するクレストAC。
降り注ぐ銃弾に対し回避行動を取らずに、ミラージュACはEOを展開した。
コアの背面から飛び出した二つのオービットから、光が走る。
素早く機体を物陰にすべりこませ、回避。
光が走る度にビルの破片が宙を舞う。それ程までに、EOは高出力なのだろう。
(畜生!残った武装で、奴を仕留められるのか?)
焦燥が、レイヴンを包みこんでいく。
焦燥が、レイヴンを包みこんでいく。
枝分れした道に沿う様に、二機のACが進む。
先程から鳴り止まないロックアラートは、いつまでもこのレースが続くものでは無い事を意味していた。
分かれた道が再度一つになる直前。
上昇する敵ACの代わりに、降り注ぐ多弾頭ミサイル。
クレストACのレイヴンは、咄嗟に緊急加速装置…OBの起動レバーへと、手を伸ばした。
先程から鳴り止まないロックアラートは、いつまでもこのレースが続くものでは無い事を意味していた。
分かれた道が再度一つになる直前。
上昇する敵ACの代わりに、降り注ぐ多弾頭ミサイル。
クレストACのレイヴンは、咄嗟に緊急加速装置…OBの起動レバーへと、手を伸ばした。
急加速する自機の頭上をかすめる、ミサイルの雨。
OBの急激な加速によるG(加重)は、レイヴンをも痛めつける。
OBの急激な加速によるG(加重)は、レイヴンをも痛めつける。
(目だ!目をやるしかない!)
敵の頭部カメラを破壊すれば、圧倒的な装甲と武装の差を何とかできるかもしれない。
僅かな希望に全てを賭け、ACを飛翔させる。
敵の頭部カメラを破壊すれば、圧倒的な装甲と武装の差を何とかできるかもしれない。
僅かな希望に全てを賭け、ACを飛翔させる。
飛び出すように現れたクレストACから、銃弾が降り注ぐ。
コアからやや上方に昇ってゆく銃撃は、頭部メインカメラを捕らえた。が…
ミラージュACの放ったバズーカは、クレストACの頭部その物を粉砕した。
コアからやや上方に昇ってゆく銃撃は、頭部メインカメラを捕らえた。が…
ミラージュACの放ったバズーカは、クレストACの頭部その物を粉砕した。
(やる!…くッ、クソ、このままじゃ…!)
左腕部と頭部を失い、満身創痍のクレストAC。
「いい判断だ。だが、少々遅かったな」
メインカメラが破壊された時には、既にFCSが敵ACを捉えていた。
「キサラギの新型…試してみるか」
試作型、両肩装備のオービットキャノン。
「あんなACに使うには少々勿体無い気がするが、まあいい。試し撃ち…ッ?」
左腕部と頭部を失い、満身創痍のクレストAC。
「いい判断だ。だが、少々遅かったな」
メインカメラが破壊された時には、既にFCSが敵ACを捉えていた。
「キサラギの新型…試してみるか」
試作型、両肩装備のオービットキャノン。
「あんなACに使うには少々勿体無い気がするが、まあいい。試し撃ち…ッ?」
目の前のACが、息を吹き返したかの様に後退した。
「逃がしは…う!?、あああぁぁ!」
後退したクレストACから、凄まじい数のミサイルが襲い来る。
「逃がしは…う!?、あああぁぁ!」
後退したクレストACから、凄まじい数のミサイルが襲い来る。
(…ここは?廃工場?……ッ!)
上空からの奇襲。レーザーライフルが敵の主力兵装だったのが、幸いした。
接近戦では、クレストACのマシンガンに分がある。
連射されたマシンガンが、ミラージュACのレーザーライフルを破壊した。
(まだ、やる気か…?)
主兵装を失い、この狭い廃工場を舞台に、勝てる見込みは薄い。
上空からの奇襲。レーザーライフルが敵の主力兵装だったのが、幸いした。
接近戦では、クレストACのマシンガンに分がある。
連射されたマシンガンが、ミラージュACのレーザーライフルを破壊した。
(まだ、やる気か…?)
主兵装を失い、この狭い廃工場を舞台に、勝てる見込みは薄い。
ミラージュのレイヴンの決断は、恐ろしく素早かった。
レーザーブレード以外の不要な武装、パーツをパージし、突貫。
一撃目が、コアを抉り、敵ACは素早く、二激目を振るった。
レーザーブレード以外の不要な武装、パーツをパージし、突貫。
一撃目が、コアを抉り、敵ACは素早く、二激目を振るった。
(うう…ッ!)
襲い来る光の刃に対し、クレストACが取った行動は、いなし。
ブレードが装備されている左腕部を、こちらの腕部で逸らし、いなす。
(良し、後は…!)
右腕部のマシンガンを、ありったけ敵ACに叩き込む。
左腕部のレーザーブレードが破壊され、さらにコアと頭部に弾の嵐。
襲い来る光の刃に対し、クレストACが取った行動は、いなし。
ブレードが装備されている左腕部を、こちらの腕部で逸らし、いなす。
(良し、後は…!)
右腕部のマシンガンを、ありったけ敵ACに叩き込む。
左腕部のレーザーブレードが破壊され、さらにコアと頭部に弾の嵐。
崩れ落ち、動かぬ敵ACにマシンガンを向けたまま、クレストACは立ち尽くす。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ…」
戦いの終わった戦場には、勝利者の荒い呼吸だけが、残った。
その世界に、空は無かった。
――ARMORED CORE 3――
――ARMORED CORE 3――