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「各機、地の利はこちらにある。冷静に対処しろ」

ナービスが事実上崩壊してから数日。
私たちナービス残党はルガ峡谷を、ミラージュの追撃部隊と戦闘しながら撤退していた。
向かう先は、一足先に同志たちが向かった都市。

私はMTパイロットとして、この部隊に参加していた。
かつてはナービス最強と呼ばれたこの部隊も、すでに生き残りはわずかだった。
援護はない。補給もない。
私を含め、皆が正気を保っているのが不思議だった。

――全て分かっていた。あの採掘場での敗北のときから。
私たちナービスは、新資源を手にしたとはいえ新興企業。対するミラージュは長い歴史を誇る大企業。
力が、違いすぎた。

しかし、もうそんな生活も終わりそうだ。
ACが来た。ミラージュがついに本気で私たちを潰しに来たのだろう。
目的地まではあとわずかだが、ここまでだ。
が、しかし。
ナービスの威信にかけて、せめて華々しく散ってやろう。

私たちはガードメカを前方に展開し、遠距離からMTによる狙撃を行う戦術をとる。
「各機、位置についたな」
隊長機から通信が入る。彼とも長い付き合いだった。

私の乗るMT、CR-MT83RSのレーダーに、輸送ヘリの反応。レイヴンズアークのものだろう。
まだ狙撃できる距離ではない。
どうやらACが投下されたようだ。かなりの早さでガードメカの反応が消えていく。

見えた。漆黒の中量二脚型AC。
幸い、遠距離武装は搭載していないようだ。
隊長からまた通信。
「各機に告ぐ。万に一つ、もし可能ならば、生き残ってくれ。
……それが、私が隊長として出す、最後の命令だ」

敵ACが射程内に入った。すかさず一機がスナイパーライフルを放つ。
これは簡単にかわされる。だが、こちらも当てるつもりではない。
かわした先に、スナイパーライフルの弾が集中する。
被弾の反動で一瞬動けない敵ACに、さらに攻撃。
しかし、接近してきた敵ACのマシンガンも火を噴く。

私たちの使用しているMTは、狙撃に特化している。
つまり、接近されたら負けということ。
そして、死を運ぶ鋼鉄の巨人は私の前にいた。もうどうにかなる距離ではない。
「……ここまでか」
そして、右手に構えたマシンガンが――撃たれなかった。
「何故?」
見ると、敵ACの肩から火花が散っている。同時に、上に新たな反応。

そこにいたのは、ACだった。バズーカを持っている。
一瞬止まっていた敵ACも、突然の乱入者に攻撃を仕掛ける。
先にACを潰そうと考えたのだろう。
だが、その判断は私たちに時間と、未来を与えた。
私たちは撤退を始める。そう、「生き残る」ために。

私は戦場を離脱しつつ、回線を開く。
聞こえていなくても良い。あのレイヴンに、一言だけ。

「レイヴン、感謝する」




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