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 「知っているかい、俺のナを!
  俺の名はオールドキング!
  傭兵団体リリアナの元・主宰だ!
  そうだ、元なんだぜ!
  もう、リリアナは存在しない!
  何故なら壊滅したからだ!
  一人のレイヴ……否、リンクスによって作戦行動中に粉砕された!
  俺は、違うセクションのクレイドルを落としていたから、助かったがな!
  
  あっはっはっははは!
  あっはっはっはははは!
  はははははははははははははは!

  組織が壊滅して、俺の拠り所が無くなった!
  オルカの連中も、俺を追放しやがった!
  残った数少ない仲間も、翌日になっていたら、消えていた!
  俺は一人だ!
  俺は……何のために、戦うんだ……!」

 《照明が落とされ、古き王の独演は終る。》
 《幕が閉じられ、皆拍手。》
 《幕が再び上がると、古き王の隣には、山猫が一匹……》

 「こいつが俺の、相棒だ!」
 「…………」

 ――古き王は再び、演じ始める。
 ――本当の親友と共に階段を二個飛ばしで歩み始める。
 ――血塗られた前人未踏のヴァージンロードを土足踏みつけ、駆け抜ける!

 「なんて事の無い依頼だ。……やるか?」
 「…………」
 オールドキングに誘われ、途中躊躇したが、彼――リンクスは、依頼を快諾した。
 「そうこなくっちゃナア、相棒!」
 リンクスは、いきなり相棒呼ばわりされたが、彼は素直に嬉しいと感じた。
 自分には、相棒が居ないから。
 相棒と呼べる、人が居ないから。
 この依頼を承諾し実行に移したとき『彼女』はきっと彼に失望するだろう。
 だが、そんな事、モウ関係ない。
 彼女も彼を操り利用しているに過ぎないのだから……。

 だから、依頼を承諾したのだ――環を断ち切るために!
 彼自身を絡めとり締めつけアラユル養分を吸い取っていく首輪の鎖を断ち切るために!

 山猫《リンクス》に、首輪は要らない。 
 解き放たれたリンクスは鎖を断ち切り、砥がれた爪で元・飼い主をズタズタに引き裂く時を心待ちにする。

 呪縛から開放されたリンクスは、己を信じそして、仲間を信じる。
 たった独りだった仲間《リンクス》を、彼を解き放ってくれる機会を与えてくれた、山猫を!

 「さあ、殺戮《パーティ》の始まりだぜ……」

 オールドキングが、作戦開始の合図を彼に送った。
 爆砕ボルトが空中に弾け飛び、クンッ、という独特の慣性を機体に与え、VOBは竹の割れるがの如く爆砕した。
 二体のネクストは別々のクレイドルに降り立ち、次々とジェネレータを壊し始めた……。
 そして、爆発する――コジマが流出し、辺りが緑色のホタルに包まれる。
 が、ソレは高速で後退し、すぐに晴れ渡り、そしてそれが、それが、それが繰り返され、最期に爆炎を上げ、地上へ落ちていく、雨のように!
 残酷な劇だ。猛烈な殺戮。もはや戦場ではない――劇場――舞台の上で催される、たんなるお遊戯会!
 ノーマルはネクストに触れる事無く、ましてや一撃も弾丸を浴びせる事無く、塵《ゴミ》のように死んでいく。
 もはや虫だ。そうだ、蟲なんだ、人間じゃあない、こんな人間いるものか!
 人間など何処にもいないのさ……。連中は単なる小蝿なのだ。無視しても問題は無い単なる標的。

 「くるなくるなくるな!」――叶わぬ戯言だ。
 「なんでなんでなんで!」――理由は無いのだ。
 「しねしねしね……」――死ぬのは当然ノーマルのお前等だ。

 さあ、落ちる。落ちる。落ちる。落ちるのだ。墜落するぞ!
 二千万、四千万、……八千万……、一億!
 クレイドル03は完全にこの空から消えた。

 二人は見た。
 地上へ墜落し、地面に接触したクレイドルの盛大なフィナーレを。
 花火を数万倍に大きくした、コジマ爆発が見えたのだ。
 それはまるで、そのクレイドルの住人が、地上へ墜ちて、這い上がれなくなった人間の魂だ。
 知恵のミを食べて楽園から追放された、アダムとイブ。
 だが彼等をそそのかした蛇は居なかった。
 ただ居たのは彼等を強襲して一瞬で殺戮した二匹山猫――解き放たれたリンクス二人だけだ。
 
 二人は飼い猫から自由な烏になった。
 世界を渡り、戦場の嵐を吹きつける、ワタリガラスになった!  

 古き王、そして彼。
 どちらが死んでも、問題は無い。
 二人の目的は同じなのだ。
 ただ一つだから、問題は無いのだ!
 ダカラ謳う――賛美歌を、謳う!
 
 「アイマシンカーとぅーとぅーとぅとぅー……なんだったけな。なあ、相棒、このあと、しってるかい?」
 相棒は肯く。そして教えた、歌の続きを……。

 『I'm thinker.《おれはおれを信じるぜ》
  I could breaking down.《その為に自分だって壊す事が出来るんだ》
  I'm shooter drastic. Baby.《おれは徹底主義の殺戮者だ。なあ、相棒!》

  Touch the jumper.《ヤツラを落とす為なら天球に届くまで飛んでやる》
  Feeling in the will.《出来ない事は無いと思うぜ!》
  Encounter about world kiss you with me.《何故ならおれはリンクスなのだから!》

  Deep think. Is love at. Forever.《なるほど深い。が、果たしてソレは愛か? ならばソレは永遠だ!》
  Hold your eyes, was thinking over.《思いを越して逝っちまっても、ロックは外さない》
  I'm change is thaw now with her.《人類を解き放つため、おれは変わっちまうも辞さないぜ》
  Thought me may can't fly alone.《なぜならおれには一緒に空で戦う相棒がいるからな!》』
 「……」
 「…………」
 「……プッ、ふはははは! 何だその訳はよう?」
 
 嗚呼、オールドキングとその相棒、解き放たれたリンクスとその相棒。
 彼等は二人同時に笑う。しかし、そして、いつか、彼等は同時に笑う事が出来なくなる。
 しかし、二人は、永遠に、繋がっている。
 なぜならそれは、二人は永遠に相棒だから……。

 殺人者は忌み嫌われる存在だ。
 だが彼等は一人ではなく複数を殺した殺戮者だった。
 そしてそういうヤツラは、称賛される時も在るそうだ。
 だが当の彼等は持った爪と牙で相手の頚動脈を引き裂き顔面をズタボロに掻き雑ぜるそんなヤツラだった。
 だから誰も彼等を英雄と呼ばなかった。

 彼等は悪魔だ。
 山猫の俊敏さを持って烏の様に大空を翔け抜け、かつて関係を持ったすべてを殺して、AFをも数分で葬り去る威力の武器をもった最兇の怪物。
 彼等は、後の世紀まで、語り継がれる事となる。
 人類の災厄、人類の天敵……。
 ――彼等はかつてあった永遠の最強として、歴史に名を残したのだった……。

 【了】





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