アナトリアの傭兵。―
わたしは戦場にいた。
戦場。生死を掛ける。それは戦い場所。
わたしはその中にいた。いつも。
額から流れる血液が目に染みる。酷く咽喉が渇く。死ぬ。死ぬ。
わたしの番が来ただけだった。次はわたし。わたしが殺した、あいつらのように。
目の前のモニタに映る光景がやけに綺麗。これが戦場……悪くない。
ただいえる事は、まだ死にたくは無い、とかそういうことではない。
一言だけ。そう、そっと一言、呟いた。力強く。凍えるような、鋭さで。
その言葉を聞いた相手は少しわたしを撃ち抜くのを躊躇ったがすぐ殺した。
自然に出てきた最期の断末魔。ひしゃげかけたコクピット内の大気を振動させた。
ここでわたしは死んでしまう。
物語の歯車は此処で一旦、停止する。
カツリ、カツリと靴底が硬い廊下の床を叩く。
それは二人の人間が鳴らす音。
当人は、背の高い男と瘠せたの女。
「はい。彼は目覚めましたが……、しかし!」
男へ反論するは女。女の名はフィオナ。
反論されるはエミール=グスタフ。〈コロニーアナトリア〉の最高権力者だ。
「けけけけけ。やすやすとアレを返却するわけにはいかない。あのネクストACは私の物だ」
彼は笑っている。ぎらりんと眼を輝かせている。壊された未来。それは修復されるのだと、企んでいる。彼を……あのレイヴンを使って。
「しかし……彼は、意識が在りません。それでは人形です!!」
拾われたレイヴンは死にそうだった。そして、魂だけ死んだ。
体は生きている。
これが本当に生きているということなのか……それは解らない。
「AMS適正はあったのだろう。それに彼はレイヴンだ。そうだ、きっと……」
「依頼するというのですか!?」
「ああ。私の為……このコロニーアナトリアの未来の為。彼には 協 力 してもらう」
「……卑劣な」
「くけけけけけ。こ、これでアナトリアは、……全世界は、私の物だ。あっはっはっはっははははははは!!!」
物語の歯車は再び動き出す。
ぎりぎりと高鳴り、操る者をひき潰しながらぐるぐるぐるぐる。
全てを愚図愚図に引きちぎる為に。
鋼鉄の歯車は止まらない。
―――死は怖いものだ。それが恐怖だからこそ、人は生きていける。
コンコン……彼女の柔らかなこぶしは硬い扉を叩く。
「入るわね?」
返事は無い。フィオナは躊躇いがちに閉ざされた扉を開ける。
レイヴンのかすかな吐息が病室の支配者だった。
レイヴンはベッド仰向けに寝かされていた。
医療器具は粗方取り外されていた。
反射なのだろう。レイヴンは此方に首をぐるりと、捻った。
開いた口から涎が零れる。
「ごめんなさいね……起こしちゃった?」
目は開けているが何も見てはいない。
「テレビ点ける?……それとも……」
首筋にAMSジャックが埋め込まれているのが見えた。
彼女の目尻から涙が流れた。
「ごめんね。……ごめんね!!」
全ては時代のせいなのだ。 生まれた時代が悪かったのだ。
意識の無いレイヴンにフィオナから依頼が伝えられる。
その始終、レイヴンの顔は微しも動かなかった。だが……
「……ということなの」
彼は彼女の説明を聞いていたのかは分からない。
だが、レイヴンは立ち上がった。
「……ぁ……。」
首は相変わらず捻れていた。
レイヴンの口は何かを、意味ある言葉を紡ぎ出そうとしていた。
しかし、無常にも言葉にはならずに、空気が吐き出されるだけで終わった。
音が鳴る。喧騒。それとは。違う音。貴様を。何か、機械が蠢く音。高い音。今度は。低い音。響く音。鈍い音。音。わたしが。音、・・…音!!
その全てが。殺す。圧し掛かり、締め付け、わたしを・。・。、。」。::。、・
レイヴンの頭にノイズが走った。だがすぐ消える。
それは生前の記憶の痕。今のレイヴンにはそれを感じ取れない。
頭に”判りません”との文字が出る事も無い。何も解らずに、消えていくのだ。
しかし唯一、彼の頭にこびりついて離れないものが在った。それは意思ではなく、意地。
レイヴンであった彼の根本の根本。
『 依頼・・・・ ヲ、、 完璧・・…に・・・スイコウ…・・・ス、スルッ!! 』
これだけは譲れない。絶対に消えない。消されない。唯一つ残された信念。
だからこそ、レイヴンは空を駆けることが可能である。
レイヴン
―――アナトリアの傭兵が往く。――
いいところだが、 中 略 !
続いて最終章↓
重ねて言うが、アナトリアの金のなる木と言わんばかりのイェルネフェルト教授がおっ死んだのは、
国家解体戦争で御国がみんなふっとんで終結してそれからおよそ四年の月日が経った頃だった。
彼はネクスト技術を提唱し、その技術を様々な分野に置いて発展させた人物だ。
彼はアナトリアで生まれた生粋のアナトリア人である。アナトリアの発展のために尽力まことに尽していた。
しかしちょっと頑張りすぎたのか、過労で死んでしまったのは先述の通りである。
そうして彼の居なくなったコロニー・アナトリアはまことに困った。
しかも大半の技術をアスピナに持っていかれてしまっていた……。
アナトリアは、教授の研究の成果を企業陣営に売りつけて、そうしてコノ危なげな世界のナカ、
非常に脳足りんな莫迦みたいな顔で安寧を過ごしていたのであった。
日日研究をする教授も教授で阿呆な顔して、けんきゅうたのしいれすけんきゅうたのしいれすと微笑んでいた。
でも死んだ。死んだのだ。あっけなく。朝起きたら、死んでいた。過労死だった。いい顔していた(合掌)。
だからして、――困ったのだ!
教授が死んだから、売る物が無い。これは面倒になった!
そうしてアナトリアも一応国であるからして、お金は切り詰めてもいっぱい使うからして、
国家の財布の中身もだいぶ寒くなってしまって、もう農業国として食っていくしかない、と誰もが思っていた。
でも実際農業国としても食っていけそうだったのである、アナトリアは。
気候だかナンダカの影響で、大気汚染もほとんど無く、土壌も良く肥え地下水もおいしくいただけた。
だがエミール・グスタフは不安であった。企業の後ろ盾がなくなるのだ。このまま攻め込まれるかも知れんのだ。
企業価値の薄いどーしょーもないひなびた農村に、まさに鬼のようなメリケン企業の団体さまがご入場なさったら、
国家の危機的運動会はモー大変な事になり、そうしたら企業陣営管轄包囲地域であるパックス・エコノミカ状態になる――これは実に厭だ!
だから頑張っていた。残った研究員達にほんとうに頑張れと言い回っていた。
――のだが、ソレももう限界であった。
――アナトリアの財布が爆発《デンジャラス》したのだ!
企業は着々とアナトリアへ魔の手をのばす。
みどり美しき避暑地としてならアナトリアは絶好の場所だから壊したくは無いのだ。
エミールは企業に、もうちょっと待っていてもらえんでしょうかと粘ったのだが、
企業はわらじむしのような顔をして、ダメダメヨーひなびた温泉旅館つくるよ(つくるよ!、としか言わんだった……。
そんなときである――救世主が現われるのは!
その救世主はイェルネフェルト教授の娘、フィオナがいろいろナニカに使おうと、拾ってきたレイヴンだった。
因みにだがそのナニカとは禁則事項である!
拾ってこられた彼はそれから意識が戻っては居らんが、命令どおり――指示通りに動けた。
自分の意志――魂を戦場のどこかに落っことしてきたのだ。
AMS検査を受けさせたらなんとかネクストを動かせる程度のレヴェルであった。
ナントカウゴカセルレヴェルといへども、それはものすごくすごい事である。
だからエミールが彼に唾つけることをしないわけ無いのだった。もうぺろんぺろんである。
――彼を傭兵に仕立てて、お金を稼がせよう!
――そうして企業から良きかな信頼を得てやろう!
――終いには世界を……くききききー!
そーして、拾われてきたレイヴンは意識は無いので示された通りに動くまこと素直なコンバット・マリオネットとして、
アナトリアのふところの温度を刻一刻と順調に暖めつつあったのだった!
しかしだ、エミールにも予想外だったのは、これほどまで彼が活躍したという事だった。
――彼のはまさに留まる所知らず。
――まずは悪者たむろするグリフォンを再制圧は序の口に。
――ホワイト・アフリカのイレギュラー、アマジーグさえも彼に落とされてしまった。
企業はこぞってつぎつぎアナトリアの傭兵《レイヴン》に仕事を依頼し始めた。
だが喜んで居られなんだった。
彼の撃破したホワイト・アフリカの反勢力の残党が、なんとアナトリアにまで攻め入ってきたのである。
まさに敵討ちである。
そして、今にいたるのだった……。
大きな図体に似合わずな、地下格納庫の鉄の扉は、モーゼのヤりしコトの如く、くぱぁと割れ、
ゴンドルワナー・エレンベータリアがせり上がり、その中央には、装甲機兵《ネクスト》が仁王立ちしていた。
その御姿にコジマ粒子は纏っておらず、あの蒼く耀く光の粒子《プライマル》は周囲どこにも漂っては居なかった。
その代わりにネクストは四肢から熱い蒸気を噴出し、水素パルスジェネレータの激烈な圧力を少し弱めた。
『――水素プラズマ化完了――極限臨界パルス状態に移行――ジェネレータ出力安定』
『コジマ粒子の存在を否定――プライマル・アーマーのデータを圧縮格納――』
『――ギアをDに設定、シフト開錠――全部位へのエネルギー供給の安定を確認――』
『ネクスト――アナトリア・ゼロマックス――出撃準備万端……』
機械的な声音で、全ての機器のチェックとを終えた。
だが相変わらず顔はキチガイのそれである。
だらりと力ない首、垂れ下がる涎/洟、ウツロで空虚な瞳――ヤハリ彼には意志が無かった。
アナトリアでネクストを稼働――コジマ粒子を放出すれば汚染は深刻的にヤバい。
気候的に、他からの汚染は排除されるが、内側からの汚染には弱いのだった。
だから今回、彼が登場するネクストは、心臓部をコジマジェネレータから、
多目的核融合エンジンを応用した水素パルスジェネレータへ換装してある。
これもイェルネフェルト教授の技術を使用していた。
したがって、汚染の心配は無いがしかし、本来ネクストに備わっているバリヤーとも言わんべき
プライマル・アーマー(以下PA)を張る事が出来ないため、装甲に不安がある。
しかも、今回の機体は、レイレナード製のアーリヤEXX《イグズエックズ》のフレームに
GAのバズーカと腕部用ガトリング、背中に連発ミサイルといった、
フレームの特性を生かしきれない装備であった。
いやはや!
それは、何故か――!
ホワイト・アフリカの残党の進攻は予想以上に早かったのだ。
いやもう、予想すらしては居らなんだし。
――先の任務の直後であったのだ!
何時もお馴染みのGA製のサンシャイン≠L《ノットノットレェンダマン》の損傷は激しく、
膝関節は両とも高いところからの落下で粉砕されて腕は既にもげ落ちて、
達磨のような身体で唯一つ損傷の少ない頭部がちょこんと座っていたのが実に滑稽で、
整備士は皆皆あーへあーへと笑いころげてしまい、一向に作業が進まなかったのだった!
幸い、研究用に保管してあった機体アーリアEXXを代用し、
このたび出撃せむとしていたのだった……。
人々は湯気立つとぐろ……いや、渦まく緊張の中、コノ機体で大丈夫だろうか、とか重量過多だろうか、とか動いたら爆発するんじゃあないだろうか、
とかいろいろ考えていたが、当のレイヴンはそんな事考えなかった。
――彼は依頼されたことだけを、指示されたとおりに動く。
――彼は戦闘用傀儡……。
――コンバット・マリオネットであった!
管制室が、敵影を捕らえた。
敵の数は多数……いや、これは何だ!
敵の数が次々増えて行く――そしてまるで機関銃の弾丸のように敵機は此方に突っ込んでくるではないか!
シャキーン! その通りだった、彼等は弾丸であった――コロニー・アナトリアの索敵範囲ぎりぎりの際《きわ》にとまっているのは、
無限軌道砲台《ダークエクスデスバックラー》であったのだ!
無限軌道砲台は次々とカプセルを――力の限り、同志たちを、ブッ飛ばす。
しかし、彼女もアナトリア本部の感知によって花と散った――いつの間にか制御できるようになったアサルトセルの重爆によって消え去った……。
――しかしその時、彼女はその身に強いた任を全うしていたのだ。
コノ地上より消え去る前に、親愛なる仲間――我が子達の乗ったカプセルは、
すべて憎き悪しき抹殺すべき仇待つ戦地へ送り届け終えていたのであった!
ホワイト・アフリカの戦士たちは、まさに弾丸だった。
金属たる身体も、火薬たる心も、――深淵の淵に立たされた信念も!
――愛する我が良き狼の戦士――そのバルバロイの弔いに架けて。
――その御身の仇を、今こそ十字架へと磔とせんとな!
ヒュルリ――ヒュルリー……風きり音と共に地面に着弾し割れ爆ぜる外装。
レンジで暖めた卵が破裂するように、彼等は皆皆踊り出た!
町を壊し、ビルを薙ぎ倒し、アスファルトを抉る。
逃げる人々を踏み潰し、悲鳴を上げる女を踏み潰し、泣き喚く少女を踏み躙り殺した。
見る者すべてをスカッとさせる、見事な皆殺しだった。
だがしかし、黙ってみている事は無かった。
到着したレイヴンは着弾した直後の動かぬ一寸《ちょっと》した隙を狙い、MTどもをバキバキにした!
――その右手から撃ち出されるは必滅の手甲弾。
――その左手から噴射される弾丸を受けたものは一瞬で分子のレヴェルで蜂の巣である。
――背中の多連装ミサイルは次々と着弾し敵を粉微塵にし春風と共に吹き飛ばす。
まるで下水道で爆発が起き、爆風でマンホールがぽんぽんするのと同じような感じでMTどもが蹴散らされていった!
レイヴンの攻撃を回避することの出来るノーマルのドライバーはそのライフルで、
宿敵の乗ったアナトリア・ゼロマックスへ攻撃する。
だが余り効果は無かった……。
何故なら、無敵の追加装甲と言うべきPA在らずとも、
ネクストにはソレと共に殊更に特筆すべきもの――クイック・ブースト(以下QB)があった。
バフンバヒュン――ヒュルリーバン!
施錠の回転を醸すライフル弾を交わし、右手のバズーカを棄て、格納のレーザーブレードを装備した。
ネクスト=アナトリア・ゼロマックスはレーザーブレードを振り上げ頭上から叩き込む――!
打! 打! 打! 打! 打! 打!! 打打打打打打打打打打打打打打打打打!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
隣へ隣へとスライドしながらの攻撃で、ノーマルは縦に横に斜めに――ソレこそ縦横無尽にブッ殺した!
――だが……、
ちゅどおおん……だがあああああああああああぁああああああああッああああああああああぁああああああだあああああああああああああんんん!!!!
――吹き飛んだ山陰から黒煙が盛り上がる!
長大な三連装カノン砲、太陽背にして、陽炎たなびかせ、純粋なる破壊《ジェノサイダー》がやって来た!
――最前列には小さな自立メカが何体も居た。
その涙滴型の体、どれも腕がドリルと化している――それは、穴掘りの為に!
彼等が多脚砲台を地下から侵入させたのだった。
致命的な一撃を見舞われ、PAが無いネクストのコアがグチャグチャに拉《ひしゃ》げた。
しかし機関部の損傷は軽微だったので、機体は動く。でもネクストは動かなかった。
アンテナをやられたのだ――レイヴンへの命を下す電波を受信できなくなったのだ。
だから動かない。ラジコンは、操作をされないと、動けないのだ……。
そんな彼に、あだ討ちの戦士達は言う、
『この程度だったか』
『、殺してやるぞ、殺してやるころして、』
『SOれでHA・・・・死ねぁええええええええ!』
ノーマルどもは紅蓮に燃える怨鎖をライフル砲弾に。
その銃口をネクストへ、ガチャリと相向ける……。
『レイヴン……レイヴン! どうしたの。応答して!』
フィオナは他の副オペレータの居ない司令室で彼に呼びかけていた。
もっとも、魂の無い人形の彼は応答する事は元より無いのだが……だが……だが!
――だからこそ必死だったのだ!
――フィオナは彼が好きなのだ。
――動機が不順でもいいじゃあないか。
――愛と云うモノは、真実に逆鱗に、逆光をもてはべりて、殊更に自由ナノダモノ!
『レイヴン……私は……』
フィオナは、諸手を胸の前で合わせて祈った!
『私は、貴方を、この世界で……一番、愛しています!』
その瞬間――世界が震えた……。
コノ思いが、宇宙を震撼させた。
なればコノ地球上の出来事などまさに、自在だ。
――レイヴンの光を失った複眼に――在るべきモノが無い空虚に――かつて失われた魂が宿った!
まず、アナトリア・ゼロマックスのQBが火を噴いた!
ノーマルの放った弾丸は、あさっての方角へと飛んでいった!
ネクストはその勢いのまま、ノーマルの一機へと突っ込み、倒し、反動をつけて、
別のノーマルの頭上でブレードを展開し、そいつを切り捨て、次々鬼神の如く立ち回り、
手当たりしだい近辺の敵の抹殺を開始した。
だがそれは一瞬で終った――愛の力で!
最後に残った、山の巨兵部隊へ向き直る。
太陽をバックに、破壊の化身たる彼等は恐れを知らない。
ズンズンと進みつつ、ありったけの砲撃を加えてきた。
アナトリア・ゼロマックスはそれを華麗に避ける!
其れは本来のアーリアEXXの全身全霊を掛けて先鋭化された華麗な機動である。
そしてガトリングの砲撃でドリルメカを壊滅させる!
火の点いた爆竹の終いの如く爆裂する小人など目にもくれずに、ネクストは多脚砲台《サイファーガ・アリエンダー》ヘ銃口を向ける。
一秒間に300000000000000000000発もの一発で地球を一億万回粉砕せしむる威力をもつ弾丸。
だがその次元連結攻撃――過去、未来、違う現在、違う過去=違う未来のすべてのアナトリア・ゼロマックスの一斉攻撃にも、
多脚砲台には一つの傷も付ける事は出来なかった!
ある失われた伝説によると、人類以前よりも昔、それ以前よりも遥かな時代の事だ。
泥形《どろがた》と呼ばれていた(と云われる)者らが、
破滅的な広さと古さを持つ永劫の宇宙からの侵略者により絶滅の危機を回避するために建造したのが、
その多脚砲台《サイファーガ・アリエンダー》であると……。
そして、その建造は、間に合わずに彼等は絶滅したが、何時だったか未完成のままのソレが発掘されたらしかった。
ソレが、今、目の前に燦然と慄然存在し、まるで恐怖を齎《もたら》さない菩薩的な貫禄を持つ、窮極よりてからの装甲機神《ゴッド・オブ・ネクスト》であると!
――だが、愛の前には、ソレすらも終末を迎える運命なり……。
機械の神は、人の目にさらされ、すでに形骸化された――最早神ではない!
だから、代わりに、彼と、彼女が、新しい神になった!
女神フィオナは云う、『滅びよ……』
そして、――古き神の末裔は、古き世界と共に滅びた――……。
続いて、大宇宙主宰レイヴンは云う、『再生せよ……』
そして、――滅びた世界は急速に集まりて、凝縮し、ビックバンを起こした。
そして月日は流れる……。
とある青年が交通事故に遭い、その時の保険金で会社を作った。
なぜなら、入院中に夢を見たのだ――そう、神の夢を――神話を……!
彼はそれを、ただの夢だよと笑したが、一向に頭にこびり付いて離れなかった。
ただ、こびり付いたのがおもしろい事だったので、それを容《カタチ》にしようと思ったのだ。
――だから会社を作った。
ゲーム製作のノウハウを養い、神話を再現できるハードが出るのを待った……そして遂にソレが完成した!
ソレこそ、我が手元にある、『 アーマードコア フォーアンサー 』である。
定価¥6900くらいですが、もしかしたらお店によって更に安くなるかもしれません。
さあ、ハードを持って居らなんだと言う人は至急それを買って来て、必ず、当ゲームをお求め下さい。
勿論、遅かった私は元より特別な奥の施設を破壊するドミナントとの約束の『ンン゛ギモンヂィィ』だ!!
《おわり》
エンディングテーマ:エンドワルツオブダイレイヴン
ダイレイヴーーン! ダイレイヴォォオオオオン!
超窮極のーけつえんっをー
戦士のたましいをーちからにその身にーひぃめってぇええええ!
たたかえ、メガ! メガ! メガアァアアアア!
電子 船 体 メェガァアアレン・・ぱたん(←聖書を綴じる音
('A`)
('A`)!
シコシコシコ・・・
('∀`)=3ンマイハー
わたしは戦場にいた。
戦場。生死を掛ける。それは戦い場所。
わたしはその中にいた。いつも。
額から流れる血液が目に染みる。酷く咽喉が渇く。死ぬ。死ぬ。
わたしの番が来ただけだった。次はわたし。わたしが殺した、あいつらのように。
目の前のモニタに映る光景がやけに綺麗。これが戦場……悪くない。
ただいえる事は、まだ死にたくは無い、とかそういうことではない。
一言だけ。そう、そっと一言、呟いた。力強く。凍えるような、鋭さで。
その言葉を聞いた相手は少しわたしを撃ち抜くのを躊躇ったがすぐ殺した。
自然に出てきた最期の断末魔。ひしゃげかけたコクピット内の大気を振動させた。
ここでわたしは死んでしまう。
物語の歯車は此処で一旦、停止する。
カツリ、カツリと靴底が硬い廊下の床を叩く。
それは二人の人間が鳴らす音。
当人は、背の高い男と瘠せたの女。
「はい。彼は目覚めましたが……、しかし!」
男へ反論するは女。女の名はフィオナ。
反論されるはエミール=グスタフ。〈コロニーアナトリア〉の最高権力者だ。
「けけけけけ。やすやすとアレを返却するわけにはいかない。あのネクストACは私の物だ」
彼は笑っている。ぎらりんと眼を輝かせている。壊された未来。それは修復されるのだと、企んでいる。彼を……あのレイヴンを使って。
「しかし……彼は、意識が在りません。それでは人形です!!」
拾われたレイヴンは死にそうだった。そして、魂だけ死んだ。
体は生きている。
これが本当に生きているということなのか……それは解らない。
「AMS適正はあったのだろう。それに彼はレイヴンだ。そうだ、きっと……」
「依頼するというのですか!?」
「ああ。私の為……このコロニーアナトリアの未来の為。彼には 協 力 してもらう」
「……卑劣な」
「くけけけけけ。こ、これでアナトリアは、……全世界は、私の物だ。あっはっはっはっははははははは!!!」
物語の歯車は再び動き出す。
ぎりぎりと高鳴り、操る者をひき潰しながらぐるぐるぐるぐる。
全てを愚図愚図に引きちぎる為に。
鋼鉄の歯車は止まらない。
―――死は怖いものだ。それが恐怖だからこそ、人は生きていける。
コンコン……彼女の柔らかなこぶしは硬い扉を叩く。
「入るわね?」
返事は無い。フィオナは躊躇いがちに閉ざされた扉を開ける。
レイヴンのかすかな吐息が病室の支配者だった。
レイヴンはベッド仰向けに寝かされていた。
医療器具は粗方取り外されていた。
反射なのだろう。レイヴンは此方に首をぐるりと、捻った。
開いた口から涎が零れる。
「ごめんなさいね……起こしちゃった?」
目は開けているが何も見てはいない。
「テレビ点ける?……それとも……」
首筋にAMSジャックが埋め込まれているのが見えた。
彼女の目尻から涙が流れた。
「ごめんね。……ごめんね!!」
全ては時代のせいなのだ。 生まれた時代が悪かったのだ。
意識の無いレイヴンにフィオナから依頼が伝えられる。
その始終、レイヴンの顔は微しも動かなかった。だが……
「……ということなの」
彼は彼女の説明を聞いていたのかは分からない。
だが、レイヴンは立ち上がった。
「……ぁ……。」
首は相変わらず捻れていた。
レイヴンの口は何かを、意味ある言葉を紡ぎ出そうとしていた。
しかし、無常にも言葉にはならずに、空気が吐き出されるだけで終わった。
音が鳴る。喧騒。それとは。違う音。貴様を。何か、機械が蠢く音。高い音。今度は。低い音。響く音。鈍い音。音。わたしが。音、・・…音!!
その全てが。殺す。圧し掛かり、締め付け、わたしを・。・。、。」。::。、・
レイヴンの頭にノイズが走った。だがすぐ消える。
それは生前の記憶の痕。今のレイヴンにはそれを感じ取れない。
頭に”判りません”との文字が出る事も無い。何も解らずに、消えていくのだ。
しかし唯一、彼の頭にこびりついて離れないものが在った。それは意思ではなく、意地。
レイヴンであった彼の根本の根本。
『 依頼・・・・ ヲ、、 完璧・・…に・・・スイコウ…・・・ス、スルッ!! 』
これだけは譲れない。絶対に消えない。消されない。唯一つ残された信念。
だからこそ、レイヴンは空を駆けることが可能である。
レイヴン
―――アナトリアの傭兵が往く。――
いいところだが、 中 略 !
続いて最終章↓
重ねて言うが、アナトリアの金のなる木と言わんばかりのイェルネフェルト教授がおっ死んだのは、
国家解体戦争で御国がみんなふっとんで終結してそれからおよそ四年の月日が経った頃だった。
彼はネクスト技術を提唱し、その技術を様々な分野に置いて発展させた人物だ。
彼はアナトリアで生まれた生粋のアナトリア人である。アナトリアの発展のために尽力まことに尽していた。
しかしちょっと頑張りすぎたのか、過労で死んでしまったのは先述の通りである。
そうして彼の居なくなったコロニー・アナトリアはまことに困った。
しかも大半の技術をアスピナに持っていかれてしまっていた……。
アナトリアは、教授の研究の成果を企業陣営に売りつけて、そうしてコノ危なげな世界のナカ、
非常に脳足りんな莫迦みたいな顔で安寧を過ごしていたのであった。
日日研究をする教授も教授で阿呆な顔して、けんきゅうたのしいれすけんきゅうたのしいれすと微笑んでいた。
でも死んだ。死んだのだ。あっけなく。朝起きたら、死んでいた。過労死だった。いい顔していた(合掌)。
だからして、――困ったのだ!
教授が死んだから、売る物が無い。これは面倒になった!
そうしてアナトリアも一応国であるからして、お金は切り詰めてもいっぱい使うからして、
国家の財布の中身もだいぶ寒くなってしまって、もう農業国として食っていくしかない、と誰もが思っていた。
でも実際農業国としても食っていけそうだったのである、アナトリアは。
気候だかナンダカの影響で、大気汚染もほとんど無く、土壌も良く肥え地下水もおいしくいただけた。
だがエミール・グスタフは不安であった。企業の後ろ盾がなくなるのだ。このまま攻め込まれるかも知れんのだ。
企業価値の薄いどーしょーもないひなびた農村に、まさに鬼のようなメリケン企業の団体さまがご入場なさったら、
国家の危機的運動会はモー大変な事になり、そうしたら企業陣営管轄包囲地域であるパックス・エコノミカ状態になる――これは実に厭だ!
だから頑張っていた。残った研究員達にほんとうに頑張れと言い回っていた。
――のだが、ソレももう限界であった。
――アナトリアの財布が爆発《デンジャラス》したのだ!
企業は着々とアナトリアへ魔の手をのばす。
みどり美しき避暑地としてならアナトリアは絶好の場所だから壊したくは無いのだ。
エミールは企業に、もうちょっと待っていてもらえんでしょうかと粘ったのだが、
企業はわらじむしのような顔をして、ダメダメヨーひなびた温泉旅館つくるよ(つくるよ!、としか言わんだった……。
そんなときである――救世主が現われるのは!
その救世主はイェルネフェルト教授の娘、フィオナがいろいろナニカに使おうと、拾ってきたレイヴンだった。
因みにだがそのナニカとは禁則事項である!
拾ってこられた彼はそれから意識が戻っては居らんが、命令どおり――指示通りに動けた。
自分の意志――魂を戦場のどこかに落っことしてきたのだ。
AMS検査を受けさせたらなんとかネクストを動かせる程度のレヴェルであった。
ナントカウゴカセルレヴェルといへども、それはものすごくすごい事である。
だからエミールが彼に唾つけることをしないわけ無いのだった。もうぺろんぺろんである。
――彼を傭兵に仕立てて、お金を稼がせよう!
――そうして企業から良きかな信頼を得てやろう!
――終いには世界を……くききききー!
そーして、拾われてきたレイヴンは意識は無いので示された通りに動くまこと素直なコンバット・マリオネットとして、
アナトリアのふところの温度を刻一刻と順調に暖めつつあったのだった!
しかしだ、エミールにも予想外だったのは、これほどまで彼が活躍したという事だった。
――彼のはまさに留まる所知らず。
――まずは悪者たむろするグリフォンを再制圧は序の口に。
――ホワイト・アフリカのイレギュラー、アマジーグさえも彼に落とされてしまった。
企業はこぞってつぎつぎアナトリアの傭兵《レイヴン》に仕事を依頼し始めた。
だが喜んで居られなんだった。
彼の撃破したホワイト・アフリカの反勢力の残党が、なんとアナトリアにまで攻め入ってきたのである。
まさに敵討ちである。
そして、今にいたるのだった……。
大きな図体に似合わずな、地下格納庫の鉄の扉は、モーゼのヤりしコトの如く、くぱぁと割れ、
ゴンドルワナー・エレンベータリアがせり上がり、その中央には、装甲機兵《ネクスト》が仁王立ちしていた。
その御姿にコジマ粒子は纏っておらず、あの蒼く耀く光の粒子《プライマル》は周囲どこにも漂っては居なかった。
その代わりにネクストは四肢から熱い蒸気を噴出し、水素パルスジェネレータの激烈な圧力を少し弱めた。
『――水素プラズマ化完了――極限臨界パルス状態に移行――ジェネレータ出力安定』
『コジマ粒子の存在を否定――プライマル・アーマーのデータを圧縮格納――』
『――ギアをDに設定、シフト開錠――全部位へのエネルギー供給の安定を確認――』
『ネクスト――アナトリア・ゼロマックス――出撃準備万端……』
機械的な声音で、全ての機器のチェックとを終えた。
だが相変わらず顔はキチガイのそれである。
だらりと力ない首、垂れ下がる涎/洟、ウツロで空虚な瞳――ヤハリ彼には意志が無かった。
アナトリアでネクストを稼働――コジマ粒子を放出すれば汚染は深刻的にヤバい。
気候的に、他からの汚染は排除されるが、内側からの汚染には弱いのだった。
だから今回、彼が登場するネクストは、心臓部をコジマジェネレータから、
多目的核融合エンジンを応用した水素パルスジェネレータへ換装してある。
これもイェルネフェルト教授の技術を使用していた。
したがって、汚染の心配は無いがしかし、本来ネクストに備わっているバリヤーとも言わんべき
プライマル・アーマー(以下PA)を張る事が出来ないため、装甲に不安がある。
しかも、今回の機体は、レイレナード製のアーリヤEXX《イグズエックズ》のフレームに
GAのバズーカと腕部用ガトリング、背中に連発ミサイルといった、
フレームの特性を生かしきれない装備であった。
いやはや!
それは、何故か――!
ホワイト・アフリカの残党の進攻は予想以上に早かったのだ。
いやもう、予想すらしては居らなんだし。
――先の任務の直後であったのだ!
何時もお馴染みのGA製のサンシャイン≠L《ノットノットレェンダマン》の損傷は激しく、
膝関節は両とも高いところからの落下で粉砕されて腕は既にもげ落ちて、
達磨のような身体で唯一つ損傷の少ない頭部がちょこんと座っていたのが実に滑稽で、
整備士は皆皆あーへあーへと笑いころげてしまい、一向に作業が進まなかったのだった!
幸い、研究用に保管してあった機体アーリアEXXを代用し、
このたび出撃せむとしていたのだった……。
人々は湯気立つとぐろ……いや、渦まく緊張の中、コノ機体で大丈夫だろうか、とか重量過多だろうか、とか動いたら爆発するんじゃあないだろうか、
とかいろいろ考えていたが、当のレイヴンはそんな事考えなかった。
――彼は依頼されたことだけを、指示されたとおりに動く。
――彼は戦闘用傀儡……。
――コンバット・マリオネットであった!
管制室が、敵影を捕らえた。
敵の数は多数……いや、これは何だ!
敵の数が次々増えて行く――そしてまるで機関銃の弾丸のように敵機は此方に突っ込んでくるではないか!
シャキーン! その通りだった、彼等は弾丸であった――コロニー・アナトリアの索敵範囲ぎりぎりの際《きわ》にとまっているのは、
無限軌道砲台《ダークエクスデスバックラー》であったのだ!
無限軌道砲台は次々とカプセルを――力の限り、同志たちを、ブッ飛ばす。
しかし、彼女もアナトリア本部の感知によって花と散った――いつの間にか制御できるようになったアサルトセルの重爆によって消え去った……。
――しかしその時、彼女はその身に強いた任を全うしていたのだ。
コノ地上より消え去る前に、親愛なる仲間――我が子達の乗ったカプセルは、
すべて憎き悪しき抹殺すべき仇待つ戦地へ送り届け終えていたのであった!
ホワイト・アフリカの戦士たちは、まさに弾丸だった。
金属たる身体も、火薬たる心も、――深淵の淵に立たされた信念も!
――愛する我が良き狼の戦士――そのバルバロイの弔いに架けて。
――その御身の仇を、今こそ十字架へと磔とせんとな!
ヒュルリ――ヒュルリー……風きり音と共に地面に着弾し割れ爆ぜる外装。
レンジで暖めた卵が破裂するように、彼等は皆皆踊り出た!
町を壊し、ビルを薙ぎ倒し、アスファルトを抉る。
逃げる人々を踏み潰し、悲鳴を上げる女を踏み潰し、泣き喚く少女を踏み躙り殺した。
見る者すべてをスカッとさせる、見事な皆殺しだった。
だがしかし、黙ってみている事は無かった。
到着したレイヴンは着弾した直後の動かぬ一寸《ちょっと》した隙を狙い、MTどもをバキバキにした!
――その右手から撃ち出されるは必滅の手甲弾。
――その左手から噴射される弾丸を受けたものは一瞬で分子のレヴェルで蜂の巣である。
――背中の多連装ミサイルは次々と着弾し敵を粉微塵にし春風と共に吹き飛ばす。
まるで下水道で爆発が起き、爆風でマンホールがぽんぽんするのと同じような感じでMTどもが蹴散らされていった!
レイヴンの攻撃を回避することの出来るノーマルのドライバーはそのライフルで、
宿敵の乗ったアナトリア・ゼロマックスへ攻撃する。
だが余り効果は無かった……。
何故なら、無敵の追加装甲と言うべきPA在らずとも、
ネクストにはソレと共に殊更に特筆すべきもの――クイック・ブースト(以下QB)があった。
バフンバヒュン――ヒュルリーバン!
施錠の回転を醸すライフル弾を交わし、右手のバズーカを棄て、格納のレーザーブレードを装備した。
ネクスト=アナトリア・ゼロマックスはレーザーブレードを振り上げ頭上から叩き込む――!
打! 打! 打! 打! 打! 打!! 打打打打打打打打打打打打打打打打打!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
隣へ隣へとスライドしながらの攻撃で、ノーマルは縦に横に斜めに――ソレこそ縦横無尽にブッ殺した!
――だが……、
ちゅどおおん……だがあああああああああああぁああああああああッああああああああああぁああああああだあああああああああああああんんん!!!!
――吹き飛んだ山陰から黒煙が盛り上がる!
長大な三連装カノン砲、太陽背にして、陽炎たなびかせ、純粋なる破壊《ジェノサイダー》がやって来た!
――最前列には小さな自立メカが何体も居た。
その涙滴型の体、どれも腕がドリルと化している――それは、穴掘りの為に!
彼等が多脚砲台を地下から侵入させたのだった。
致命的な一撃を見舞われ、PAが無いネクストのコアがグチャグチャに拉《ひしゃ》げた。
しかし機関部の損傷は軽微だったので、機体は動く。でもネクストは動かなかった。
アンテナをやられたのだ――レイヴンへの命を下す電波を受信できなくなったのだ。
だから動かない。ラジコンは、操作をされないと、動けないのだ……。
そんな彼に、あだ討ちの戦士達は言う、
『この程度だったか』
『、殺してやるぞ、殺してやるころして、』
『SOれでHA・・・・死ねぁええええええええ!』
ノーマルどもは紅蓮に燃える怨鎖をライフル砲弾に。
その銃口をネクストへ、ガチャリと相向ける……。
『レイヴン……レイヴン! どうしたの。応答して!』
フィオナは他の副オペレータの居ない司令室で彼に呼びかけていた。
もっとも、魂の無い人形の彼は応答する事は元より無いのだが……だが……だが!
――だからこそ必死だったのだ!
――フィオナは彼が好きなのだ。
――動機が不順でもいいじゃあないか。
――愛と云うモノは、真実に逆鱗に、逆光をもてはべりて、殊更に自由ナノダモノ!
『レイヴン……私は……』
フィオナは、諸手を胸の前で合わせて祈った!
『私は、貴方を、この世界で……一番、愛しています!』
その瞬間――世界が震えた……。
コノ思いが、宇宙を震撼させた。
なればコノ地球上の出来事などまさに、自在だ。
――レイヴンの光を失った複眼に――在るべきモノが無い空虚に――かつて失われた魂が宿った!
まず、アナトリア・ゼロマックスのQBが火を噴いた!
ノーマルの放った弾丸は、あさっての方角へと飛んでいった!
ネクストはその勢いのまま、ノーマルの一機へと突っ込み、倒し、反動をつけて、
別のノーマルの頭上でブレードを展開し、そいつを切り捨て、次々鬼神の如く立ち回り、
手当たりしだい近辺の敵の抹殺を開始した。
だがそれは一瞬で終った――愛の力で!
最後に残った、山の巨兵部隊へ向き直る。
太陽をバックに、破壊の化身たる彼等は恐れを知らない。
ズンズンと進みつつ、ありったけの砲撃を加えてきた。
アナトリア・ゼロマックスはそれを華麗に避ける!
其れは本来のアーリアEXXの全身全霊を掛けて先鋭化された華麗な機動である。
そしてガトリングの砲撃でドリルメカを壊滅させる!
火の点いた爆竹の終いの如く爆裂する小人など目にもくれずに、ネクストは多脚砲台《サイファーガ・アリエンダー》ヘ銃口を向ける。
一秒間に300000000000000000000発もの一発で地球を一億万回粉砕せしむる威力をもつ弾丸。
だがその次元連結攻撃――過去、未来、違う現在、違う過去=違う未来のすべてのアナトリア・ゼロマックスの一斉攻撃にも、
多脚砲台には一つの傷も付ける事は出来なかった!
ある失われた伝説によると、人類以前よりも昔、それ以前よりも遥かな時代の事だ。
泥形《どろがた》と呼ばれていた(と云われる)者らが、
破滅的な広さと古さを持つ永劫の宇宙からの侵略者により絶滅の危機を回避するために建造したのが、
その多脚砲台《サイファーガ・アリエンダー》であると……。
そして、その建造は、間に合わずに彼等は絶滅したが、何時だったか未完成のままのソレが発掘されたらしかった。
ソレが、今、目の前に燦然と慄然存在し、まるで恐怖を齎《もたら》さない菩薩的な貫禄を持つ、窮極よりてからの装甲機神《ゴッド・オブ・ネクスト》であると!
――だが、愛の前には、ソレすらも終末を迎える運命なり……。
機械の神は、人の目にさらされ、すでに形骸化された――最早神ではない!
だから、代わりに、彼と、彼女が、新しい神になった!
女神フィオナは云う、『滅びよ……』
そして、――古き神の末裔は、古き世界と共に滅びた――……。
続いて、大宇宙主宰レイヴンは云う、『再生せよ……』
そして、――滅びた世界は急速に集まりて、凝縮し、ビックバンを起こした。
そして月日は流れる……。
とある青年が交通事故に遭い、その時の保険金で会社を作った。
なぜなら、入院中に夢を見たのだ――そう、神の夢を――神話を……!
彼はそれを、ただの夢だよと笑したが、一向に頭にこびり付いて離れなかった。
ただ、こびり付いたのがおもしろい事だったので、それを容《カタチ》にしようと思ったのだ。
――だから会社を作った。
ゲーム製作のノウハウを養い、神話を再現できるハードが出るのを待った……そして遂にソレが完成した!
ソレこそ、我が手元にある、『 アーマードコア フォーアンサー 』である。
定価¥6900くらいですが、もしかしたらお店によって更に安くなるかもしれません。
さあ、ハードを持って居らなんだと言う人は至急それを買って来て、必ず、当ゲームをお求め下さい。
勿論、遅かった私は元より特別な奥の施設を破壊するドミナントとの約束の『ンン゛ギモンヂィィ』だ!!
《おわり》
エンディングテーマ:エンドワルツオブダイレイヴン
ダイレイヴーーン! ダイレイヴォォオオオオン!
超窮極のーけつえんっをー
戦士のたましいをーちからにその身にーひぃめってぇええええ!
たたかえ、メガ! メガ! メガアァアアアア!
電子 船 体 メェガァアアレン・・ぱたん(←聖書を綴じる音
('A`)
('A`)!
シコシコシコ・・・
('∀`)=3ンマイハー