ここはネストが経営するカフェだ。なんとも名は、からすの巣。。そのまんまである。
 ネスト系のレイヴンたちでいつもにぎわっているのだった。
 そして今日も、バルタザールは定位置の窓際に座っていた。外が良く見えた。
 天井には、一切の雲が掛かっておらず、晴れわたっていた。

 「やったよう。やっちまったよう!!」

 ニヤニヤが顔に張り付いたバルタザールは向かいの席の神威瑞穂に言った。

 「撃破数が一位になっちまったよう!!」
 
 そう、本日のミッションにて、彼は、総撃破数一位の座を我が物にしたのだった。
 彼は正真正銘のエースだった。
 そんな彼に、瑞穂は、

 「おまえみてぇな、まっちろい顔のエースなんざ、いたってなんも恐くはないわな。
  そんなんじゃ、この先生きのこれないぜ・・・」

 瑞穂の顔もニヤけていた。
 彼も内心、親友であるバルタザールの行幸を、喜んでいるのだ。

 「まあ、四足なんぞ使っているうちにゃ、俺にはかてないだろうな」
 「なんだとぅ! ファフニールを莫迦にするのか? 貴様なんぞのAC、ボコボコにしてやんよ!」
 「くききき。 おまえそんなこといって、俺にかったことあったか、あん?」
 「・・・あったぜ! ・・・・・・きっと、あったような気がする」
 
 瑞穂は、そうだろぅそうだろぅと、腕組してふんぞり返った。
 実際に、バルタザールが彼にかった事はなかった。エースなのに。
 
 「へんだっ、どーぅせアリーナでのことだ。 戦場じゃあ機動力が物言うんだ!
  おまえのタンクなんか、靭帯切って起動輪どっか飛んでいってしまうといい!」
 「お、おまえこそ、・・・後ろ足二本取れてずるずると闇人甲式になってしまえってんだ!」
 「やみ・・・びと・・・?」
 「昔むかし、そんなやつが出てくるゲームがあったんだ」
 「へえー・・・」
 「ゆとり乙」

 そう言って、彼らは笑った。いつまでも、そうしていられればと思っていた。
 しかし、そうは行かないのが、レイヴンの常である。気さくな青年神威瑞穂は死んだ。
 後に、エースのバルタザールも死んだ。そしてネストも、機能を停止した。


 ネストが崩壊した今日になっては、アレほどにぎわっていたここにも、人はいない。
 だからもうコロンコロンと、入り口の鐘が鳴ることは無いのだ。
 だが、ドームの天井に投影される、にせものの空だけは変わらずに、店内を照らしていた。

 もとよりレイヴンたちには、帰る巣など無かったのだ。
 

 「了」

 --装甲核的脳汁垂流短編--





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