薄暗いガレージ。照明は落とされ、人の姿は見えない。
床には乱雑に機材がほっぽり出され、まだ電源が入ったままの機材まである。
しかし、ガレージには誰もいない。あるのは機材と、一体のACだけ。
「そうか……間に合わなかったか……」
「ええ、そのようです」
コクピット内部で、男は倒したシートにもたれ掛ったまま天を仰ぐ。
「一つの時代が、また終わる……」
コクピットの外、正確にはガレージの外から、何かの衝突音や爆発音が聞こえてくる。
一つや二つという訳ではなく、いくつもの音が連続して。
「未確認兵器は把握できているだけでもアーク管轄領域全域に被害を及ぼしているようです」
「だろうな……だがまだ広がるはずだ」
「アークはどうなるのでしょうか……」
「どうにもならんさ。このまま壊滅するだけだ。アークだけでなく、この世界全体がな」
「……助かる道は……」
「あるさ」
男が即答する。シートを起こし、目の前のコンソールパネルを操作し始める。
「我々ならできる。レイヴンも、ACも、このときの為にあったのだ」
一際大きなボタンを押すと、コクピット内の計器に命が宿る。
そして一体のACが、その眼に黄金の光を灯す。
「戦闘モード起動、ベイロードシティを防衛する」
「な……!駄目です、敵の数は無尽蔵なんですよ!?太刀打ちできるはずがない!」
「わかっている、だが、やらねばならん」
「あなたには他にやるべきことがいくらでもあるはずです!止めてください!」
ガレージの扉が大きな音を立て、ゆっくりとその口を開き始める。
一歩、重厚な音とともにACが歩き出す。
「ジャック!あなたはアーク総主として――」
「私はレイヴンだ。それ以上でも以下でもない……」
「ジャック……!」
カチリ。通信機のスイッチを押し、オペレーターとの通信を切る。
扉が開き切る。ガレージの外へジャック・O の駆るフォックスアイが一歩踏み出す。
途端、一機の赤い未確認兵器がフォックスアイへ突っ込んできた。
ハイレーザーライフルの銃口を向け、いとも簡単に撃ち落とす。
同時に空を見上げたジャックは、思わず声を上げた。
「空が……」
真っ赤な未確認兵器の群れは巨大な渦を形成しながら空一面を覆い尽くしていた。
世界の終わりを示唆するかのようなそのおぞましい光景は、見る者全てを恐怖させるだろう。
「あれが全て降り注ぐか……」
フォックスアイを確認した兵器群は小さな渦を作り、その後一度に目標へ向かって飛来する。
赤い塊はフォックスアイの左腕から射出されたグレネードの爆風によって一掃されるが、すでに第二波が来ようとしていた。
「何度でも来るがいいさ。追い詰められた人類が何をするか、見せてくれる……!」
ハイレーザーライフルを構える狐の目は、一層金色に輝いて見えた。
床には乱雑に機材がほっぽり出され、まだ電源が入ったままの機材まである。
しかし、ガレージには誰もいない。あるのは機材と、一体のACだけ。
「そうか……間に合わなかったか……」
「ええ、そのようです」
コクピット内部で、男は倒したシートにもたれ掛ったまま天を仰ぐ。
「一つの時代が、また終わる……」
コクピットの外、正確にはガレージの外から、何かの衝突音や爆発音が聞こえてくる。
一つや二つという訳ではなく、いくつもの音が連続して。
「未確認兵器は把握できているだけでもアーク管轄領域全域に被害を及ぼしているようです」
「だろうな……だがまだ広がるはずだ」
「アークはどうなるのでしょうか……」
「どうにもならんさ。このまま壊滅するだけだ。アークだけでなく、この世界全体がな」
「……助かる道は……」
「あるさ」
男が即答する。シートを起こし、目の前のコンソールパネルを操作し始める。
「我々ならできる。レイヴンも、ACも、このときの為にあったのだ」
一際大きなボタンを押すと、コクピット内の計器に命が宿る。
そして一体のACが、その眼に黄金の光を灯す。
「戦闘モード起動、ベイロードシティを防衛する」
「な……!駄目です、敵の数は無尽蔵なんですよ!?太刀打ちできるはずがない!」
「わかっている、だが、やらねばならん」
「あなたには他にやるべきことがいくらでもあるはずです!止めてください!」
ガレージの扉が大きな音を立て、ゆっくりとその口を開き始める。
一歩、重厚な音とともにACが歩き出す。
「ジャック!あなたはアーク総主として――」
「私はレイヴンだ。それ以上でも以下でもない……」
「ジャック……!」
カチリ。通信機のスイッチを押し、オペレーターとの通信を切る。
扉が開き切る。ガレージの外へジャック・O の駆るフォックスアイが一歩踏み出す。
途端、一機の赤い未確認兵器がフォックスアイへ突っ込んできた。
ハイレーザーライフルの銃口を向け、いとも簡単に撃ち落とす。
同時に空を見上げたジャックは、思わず声を上げた。
「空が……」
真っ赤な未確認兵器の群れは巨大な渦を形成しながら空一面を覆い尽くしていた。
世界の終わりを示唆するかのようなそのおぞましい光景は、見る者全てを恐怖させるだろう。
「あれが全て降り注ぐか……」
フォックスアイを確認した兵器群は小さな渦を作り、その後一度に目標へ向かって飛来する。
赤い塊はフォックスアイの左腕から射出されたグレネードの爆風によって一掃されるが、すでに第二波が来ようとしていた。
「何度でも来るがいいさ。追い詰められた人類が何をするか、見せてくれる……!」
ハイレーザーライフルを構える狐の目は、一層金色に輝いて見えた。