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K.Kというアーキテクトがいる。元イクバールのリンクスで、射突型ブレード――通称とっつき――を使うリンクスとしてその名を(主にネタの意味で)馳せた。
リンクス戦争を(とっつきではなく運で)生き残った彼は、リンクスからアーキテクトに転職し、ネクストを駆る者から創る者になった。
――が、独立した者にとって現実は厳しかった。
K.Kはとっつきらーである。それはカラードでも知られた事実だ。
そしてそのとっつきらーという認識が、カラード内で根も葉もない噂を立てていたのである。
――K.Kに図面を頼むと、両手にとっつきを乗せられる――
普通のブレードでさえ操る者が少ない昨今、誰が好き好んでとっつきなど使うだろうか。いたとしてもどこぞのKYな解体屋ぐらいだろう。
そんなわけで、その根も葉もない噂のせいでK.Kは仕事が無くて困っていた。
「両手にとっつきって……アホか……」
自分以外には誰もいない事務所で、一人ごちる。
「片腕に装備したとっつきを確実に当てるために、もう片腕の武器があるんだろうが……」
片腕に乗せる気は満々であった。

ある日のことである。やることもないので事務所の椅子でくるくる回っていたK.Kのところに一人の来客があった。
「……邪魔したかのう」
「!!? い、いや、そんなことはない!やることがなくて暇していただけだ!」
「ほ、ほれならええんじゃが……わしはテクノクラートのオペレーターで、ムスビというんじゃ。以後仲良うしてやってつかあさい」
「あ、ああ。よろしく……」
見れば見るほどムカつく顔だな、と思ったが大切なお客様なのでそんなことは言わない。
しかしテクノクラートか……あのロケット会社、まだ生きてたんだな。
「ネクストの設計を頼みたいんじゃが、ええかの?」
「設計!?ええもちろん!任せてください!」
「ほうか!それは助かった!ネクストに乗るリンクスはわしがオペレーターを務める奴でな。ド・スというんじゃが……」
「ド・ス?」
聞いたことのない名前だった。少なくともリンクス戦争のときはいなかったし、最近出てきた新人にもそんな奴はいなかったはずだ。
「テクノクラートの新参リンクスじゃ。ようやっと確保した唯一のリンクスで、大場のアニキも大喜びじゃ」
「……オーバノアニキ?」
「あ、今のは何でもない。忘れてつかあさい」
「あ、ああ。わかった」
このとき、K.Kは確信していた。やはりテクノクラートは変人しかいないと。
あのハラショーもそうだったが、なんだこいつの喋り方は。理由はよくわからんがヤク漬けにして殺してやりたい。

「……で、どんな機体を組めばいい?」
とっつきを装備していない機体、と答えられたら即刻追い出そうと思っていた。
「それがわしも隆tじゃなかったド・スもようわからんけぇ、K.Kさんに任せるよ」
「……せめて脚部とか、軽量級がいいのか重量級がいいのかとか……」
「さあ、ようわからん」
「…………」
いよいよK.Kはこの依頼を断りたくなってきた。
任せるということはとっつきを乗せてもいいということだが、脚部も重量もよくわからないオペレーターのリンクスなんて、はたしてまともに操縦ができるのだろうか。
こんな奴に機体を渡してその日のうちに大破されたのでは、K.Kのアーキテクトとしての名に傷がつかないだろうか。
そんな心配ばかりが頭をめぐるようになってきた。
「……報酬は?」
「テクノクラートは、200万コームを提示しとる」
「にひゃ……!?」
馬鹿だ!オペレーターが馬鹿ならそれを雇った会社もやはり馬鹿だ!図面1枚に200万も出すやつがどこにいる!?
そんな金があるなら新作作ってどかんと儲けろテクノハラショー!
「……わ、わかった。引き受けよう……」
正直気は全然進まないが、200万コームの報酬は魅力がありすぎる。
1対4でネクストとやりあってもこんな報酬は貰えないだろう。
「ほ、ほんまか!!ラわーい!!うれしいのう、早速帰って隆太に報告じゃ!」
隆太って誰だよ、と思ったK.Kだったが、もうそれを訊く気力もなかった。
「……3日後にまた来てくれ。その時に図面を渡す」
そのことを伝えるとテクノハラショーのおむすびころりんは東京ブギウギヤー!とか叫びながら帰って行った。
「……やっぱ断ったほうがよかったかな……」
この依頼を受けたこと、ひいてはアーキテクトに転職したことに、後悔の念を隠しきれないK.Kであった。

翌日一本の電話があった。昨日のオペレーターだった。
「ド・スから伝言じゃ」
「伝言?」
「“おどれ、もしふざけた機体作りやがったらちnぽ逆向けにしてシゴウしたるぞ”だそうじゃ」
「…………」
「要件はそれだけじゃけぇ、がんばってつかぁさい」
――ツー、ツー、ツー……
「……無茶だろ……」
シゴウってのがなんなのかはよく分からんが変なもん作ったら命が危ないということはなんとなくわかった。
だったらどんなネクストがいいのかもうちょっと細かく指定しろと一言言ってやりたいK.Kだったが、そんな勇気も彼にはなかった。
「……よし」
道は二つだ。とっても無難な機体を作ってとっつきらーとしての誇りより命をとるか、はたまたその逆か。
「……いや待て、とっつきが受け入れられないなんて確証はどこにもない」
そうだとっつきは素晴らしい武器だ。あれが受け入れられない人間なんて全人口の2割ぐらいだろう。
おそらく今まで俺をとやかく言ってた奴はその2割のクソどもに違いない。
「よし、そうと決まれば話は早い。とっつき職人K.Kの腕前を見せてやるぜ!」
そんなわけでアルゼブラに特注のとっつきの制作を頼むまでに意気込みを見せた。

で、期日。昼過ぎにおむすびはやってきた。
「ほら、できてるぜ。ネクスト:スタルカだ」
「……これは……」
右腕に装備された最新型射突型ブレード、KIKU。他の武装はこのKIKUを最大限に活かすためだけに存在する。
……ネタでつけたロケット以外。
「マシンガンに“最新型のブレード”、ミサイルにロケットとバランスよく武装をチョイスした。均整のとれた機体だと思う(大嘘)」
「…………」
相手は何も言わない。ミスったか。ちnぽ逆向けの刑か。K.Kはそれなりに自分の息子のことを案じた。
中々のエーレンベルクであるというのに可哀そうに。
「……す」
「?」
「すばらしい出来じゃ!ギャーかっこよすぎてわしゃ小便ちびりそうじゃ!」
「あ、ああ……それはよかった……」
マジで漏らした時のために傍にあったガラス製の灰皿を握りしめるK.K。灰皿ナッコゥ準備OK。
「帰って早速隆太に見せてやらんといかん!報酬は後で振り込んでおくけえ、じゃあの!」
さよなら三角またきて四角、などとムカつく歌を歌いながら帰っていくハラショーオペ。
「……はぁ」
疲れた。どっと疲れた。今日はもう寝よう。惰眠をむさぼって明日からに備えようそうしよう。
その日見た夢は、スタルカが雪原で「東京ブギウギヤー!」などと歌いながら飛び跳ねている夢だった。
起きたら汗びっしょりだった。




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