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ジリリリリリリリリリリリ!!!!

「うるせぇなぁ…まだ8時…ってぇぇぇぇ!?何で9時なんだよ!?待てよ、落ち着け俺…
駅までここから片道20分、横浜まで電車で27分、ガレージまでバスで10分…OK今すぐ着替えて出れば間に合う筈…!」

昨晩、脱ぎ捨てたスーツに急いで着替え、携帯電話・PDA・財布を小さいリュックサックに詰め込み、
朝食も摂らずに急いでアパートを飛び出す。ドアはオートロックなので問題無い
アパートの前に停めてある自分の自転車に飛び乗り、前のカゴにリュックサックを入れると
全速力で駅に向けてペダルを漕ぎ出した

「間に合ったか!?」

駅前の無法状態になってる駐輪天国に突っ込み、リュックを持って自転車から飛び降りて改札に駆け込む。
定期券は期限が切れていたがパスネットと呼ばれるカードを持っていたので問題無い

改札を通って左側のホームに続く階段を駆け上がると、丁度電車が来た所であった
ホっと安心して胸を撫で下ろし、朝の時間帯でもガラガラな電車に乗り込む

「ふう…危なかったな…さて、空いてる席は…無いか。新横浜にでも着けば少しは空くだろう…」

辺りを見回しながらボソッと呟く。
元々主要会社の線路と線路を繋いでるに過ぎない赤字のローカル線である
どこぞの渋谷と中央林間を繋いでるような線路や首都圏の主要各駅を繋いでグルグルグルグル回ってるだけの
線路とは違って直ぐに何処かの席が必ず空く
実際、彼の予想通りに新横浜駅で国鉄に乗り換える人間が多数で3駅と経たずに席は空いた
すかさず、彼はドア際の席を確保する

「ねむ…少しぐらい寝たって、構わないよな…」

頭を手すりに預け、電車の振動を感じながら段々と眠りに落ちていく
深く…深く…不覚


「で、それが遅刻した理由だと言うんですか?」
「…」
「これから命のやり取りをするかもしれないっていうのに…時間を守れない兵士は直ぐに死ぬ。
レイヴンでなくとも、時間厳守は常識ですよ?まったく…立って下さい、貴方のガレージまで案内します。仕事の話はそれからです」

新横浜で席に就く事が出来た彼はそのまま寝てしまい
横浜を寝過ごし、気が付いたのは桜木町
急いで逆方面の電車に乗り換え、横浜に辿り着き、
バスに乗り、バス停から走ってガレージに辿り着いたのだが
ガレージの正門前には既に金髪を短く首元で切り揃え、
スーツに身を包んだ女性―――彼女がセシリア・芝村だ―――が
胸の前で小型のノートPCを抱えながら、鋭く、彼を睨みながら待ち構えていた
昨晩のメールに添付してあった彼女の写真を思い出し、謝罪も兼ねて一声掛けようとすると
「30分の遅刻ですね♪」とあからさまに作った声でニッコリと微笑みながらプレッシャーを掛けて来たのだ
それから1時間程地面に正座させられて守衛さんに物珍しそうに見られながら
たっぷりと説教された。そして、今現在に至るという訳だ

「中身が今のじゃなきゃ可愛いのに…」

実際、セシリアはかなり可愛い
ハーフだからであろう、綺麗な金髪にシャープな整った小顔
若干吊り目がちな青い瞳
今の説教と固い性格が無ければ完璧だ
宗治はそう思うと共に、フッと口に洩らした

「何か、言いましたか?」

微かに独り言を聞き取ったセシリアが引き攣った笑みを浮かべながら
ある建物の前で足を止めて振り向く
「いや」と返すと「そうですか」と素っ気無く切り返して来た

「ここが貴方のガレージです。入りましょうか」

どうやら、着いた建物はガレージらしい
セシリアに着いて行くとガレージは半分地中に埋まっているらしく
見かけによらず広い空間が其処にあり
これから乗る事になるACもハンガーに静かに立っていた

「あちらがVRシミュレーター、そしてシャワー室とトイレ、その隣が簡易キッチン。コレが貴方と私とトリオを組むAC、ARMORED COREです」

ACを見上げ、誇らしげな顔をしながらセシリアが宗治にACを紹介する
最安価の第1世代パーツで構成されたいかにも兵器という形をした武骨な機体だった
右手にはライフル、左手には高熱のエネルギーを線状に形成するエネルギーブレードが
肩には単発式のミサイルランチャーとシンプルなレーダーが付いている

しばらくACを眺めていて、気が付くとセシリアが手をパタパタとさせている
よく見るとワイシャツの首元に汗が滲んでいる
確かに、今日は暑い。それに長時間日の下で待たせてしまった

「えーっと…シャワー、使用可能ならどうぞ」
「え…いいんですか?」
「いや…今日は遅刻して待たせてしまったし。せめて罪滅ぼしぐらいはしようと思ってさ…この程度で許してくれるとは思わないけど」

宗治がそう言うと、セシリアはフッと微笑み

「それでは、有難く使わせて頂きますね」

背伸びしながらシャワー室に向かった
どうやら使用方法は事前に把握していた様であった

「さて…覗きは我慢するとして、OSのセッティングをしなきゃいけないのかな」

宗治はハンガー横の梯子を上ってハッチの開いていたACに乗り込むと
レイヴン試験を思い出しながら一つ一つスイッチを入れていった

【システム起動、スロットにIDカードを挿入して下さい】

画面に光が灯り、音声と共にIDカードを要求する

「スロットはここか…次は何だっけ」

IDカードを差込み、反応を待つ

【データを読み込み中…登録番号10889 RN:ノートゥングを確認。ACネームを設定して下さい】
「ACの名前か…そうだな、ヴェレスタ。お前はヴェレスタだ」

ふと脳裏を過ぎったゲームの戦闘機の名前をそのままACネームにする

【ACネーム登録完了。ようこそ、ACシステムへ】

ACネームを登録し終え、サインアップが終わると外からセシリアが呼び掛けて来た

「シャワー有難う御座いましたー。サインアップが終わったならお昼ご飯にしましょー」
「分かりました。今降りますね」

ACの外部マイクで返答すると上部のハッチを開いて
ハンガーの梯子からゆっくりと下に下りる
下ではシンプルなパイプテーブルに黒い三角形の物体と500mlのペットボトルがいくつか入った
ビニール袋が置かれていた

「コンビニのおにぎりですが、御好きな物をどうぞ」
「…じゃ、シーチキンと昆布を」

サンドイッチ派の俺はせめてサンドイッチの方が欲しい
そう思ったが声には出さなかった

「明日から明後日には本部から簡単なミッションの斡旋がされると思います」

おにぎりを頬張りながらセシリアがこれからするであろう事を話す

「簡単で生存確率の高いミッションである程報酬は低いですが、本部から最初に支給される
10万ドルと合わせれば十分に機体の内装や一部の外装を換える事は可能です。
パーツのカタログは各社、常に取り揃えていますので御自由にご覧下さい。
ちなみに、まだ新人なので斡旋されて来たミッションを5回以上パスすると
違約金として10万ドル徴収となりますのでご注意を」
「了解…です。最初は何換えたらいいんですかね、やっぱり武器かジェネレータになるんでしょうか」
「そうですね…この機体は古いタイプのパーツを使用していますが
装甲は最新鋭の重装型に負けない位十分にありますし、
簡単な構造なので最新鋭のハイテク機よりも信頼性も高いです。
だからこの場合はジェネレータとブースターを換えれば出力の向上で機動力の強化
武器の交換で全体的な火力の向上が正解と言えると思います」

セシリアは驚く程機体を把握していた
それは一応機械工学部を出て来た宗治を驚かせる程精確な指摘で
このACの構成パーツの特徴――単純な構造――を活かす案であった

「…意外と詳しいんですね」
「好きなもので…すいません」

少し照れながらそう返される
何故か自分まで照れ臭くなってしまう――宗治はそう感じた

「さて、これからVRシミュレーターを使って実戦形式で操縦の練習をして頂きます。
VRと言っても、衝撃は実際と同等レベルのモノが加えられますので注意して下さい。」

ペットボトルのお茶で5個目のおにぎりを流し込みながら
彼女が次の予定を告げる

(…模試って所か。戦闘なんてレイヴン試験以来だぞ…)

レイヴン試験以前に戦闘を体験した事がある学生はまず居ないだろう

「唯のゲームじゃ済まないそうですね…」
「ですね。過去の例だと衝撃で脊髄を傷めてしばらく動けなくなったレイヴンが居たそうです」
「…」

一抹の不安を抱えながらお茶を飲みきり
VRシミュレーターに目を向けると
そこにはある筈も無い不穏なオーラを漂わせながら
ゲームセンターにあるような形をしたVRシミュレーターが鎮座していた




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