一体彼女は何がしたいのでしょうか
アライアンスを唯一の秩序と信じ、その為に戦うジャウザーにとってプリンシバルのことを理解できずにいた。
正義があるということでもなく、一人で戦うこともなし。
バーテックスが全面攻撃を勧告した後でもその姿勢は変わることは無かった。
今回の出撃も本来プリンシバルに降りた任務で、ジャウザー自身には本来関係は無い筈だった
「無理・・言っちゃったかな?ごめん・・」
「いえ、仲間として助け合うのは当然の事ですよ」
偽りは無かった。実際にACが1機でも失うワケには行かない。プリンシバル自身が無理だと判断して助けを求めるなら協力しよう
「それでは早速作戦内容を確認しましょう」

「なるほど・・・ウォルター資材保管区ですか」
確かにあの保管区を押えることが出来れば戦況はアライアンスにとって有利になるだろう
情報によれば(常に変化し続ける戦場では大した信憑性ではないが)護衛はMTと自動砲台のみとなっている
恐らくはACによる増援が予想されるが、この程度の警備部隊なら殲滅後に2機で迎え撃つことも出来そうだ

作戦領域に到達するとすぐに二手に分かれる
ジャウザーは警備を薄い方をプリンに行かせて、自身は正面より突入する
エネルギータイプのマシンガンは立ちはだかるMTの装甲を溶解し、機関部を破壊する
「敵が多いですね・・・」
ジャウザーは地上を滑るように敵の波状攻撃を避けながら狭い通路に逃げ込む
―敵はあの通路の奥だ。逃げ場は無い。蜂の巣にしてやれ!―
暗い通路を進むと行き止まりだった。確かに逃げ場は無かった
既に砲火は機体を叩き始めていた。
「バーテックスは本当に下らない兵隊ばかりですね・・・」
通路に押し寄せたMTにキャノンを撃ち込む。戦闘のMTが爆散するとその爆風に呑まれて次々粉々になってく
3発目のキャノンでMT部隊が全滅したのを確認する。
レーダーを見るとプリンシバルの方も敵部隊を制圧し最深部まで到達したようだ
最も近いバーテックスの施設からは機動特化のACでも10分はかかる
援軍が来るにしてもまだまだ時間はある。とりあえずはプリンシバルと合流しよう
マップでプリンシバルの位置を確認するジャウザーにオペレーターから通信が入る
「サンダイルフェザー。敵ACと交戦状態に入りました」
なんということだ。既に敵はいたのだ。それをジャウザーは気づかなかった。
警備の薄いところを攻めていたプリンシバルが先に奥についてしまった。
いや、そもそもACがいたから警備が薄かったのだろうか。
「そんな事より早く行かなくてはッ!」

敵ACを確認。ClownCrownです
(制圧が終わったと思い込んでいた。私の誤算だったわ。)
デッドウェイトであるミサイルをパージし、フロートの機動力を最大限まで引き出しグレネード弾を確実に避けていく。
―サンダイルフェザー。データよりも機動力があるな。ま、いつまで保つか、楽しみだな―
マシンガンとマシンガンとの撃ちあい、機動力のあるプリンシバルの方が確実にダメージを稼いでいく
(これは・・勝てる!)
マシンガンの集中砲火によりClownCrownの左足を破損させる。もはやまともな機動力を出せないだろう
あと一押し。勝利を目前にしても不用意に距離を詰めずに同様の距離を維持しつつ撃ち合う。それが彼女のAC戦での必勝スタイルだった
少なくともアリーナではそうやって勝って来た。しかしだ彼女の必勝スタイルはアリーナでの話しだった。アリーナであれば戦闘エリアにMTの残骸は落ちてはいない筈だ
「・・・ッ!」
強烈な振動と共に機体が急停止する。ひっかかってしまった。ブーストの排気音だけが高く響きはするが、微動だにしない。
迫ってきたチェインに脚を破壊されてしまった。
「しまった!!」
唯一の武器となりえた機動力が失われてしまった
―終わりだな。女―
ミサイルのロックアラートがサンダイルフェザーの中で鳴り響く
「・・ヒッ・・・だ、誰か助けて。ジャウザー。ジャウザーはどこなの」
コクピットのシートが暖かく湿る。よりにもよって殺人狂のΩと戦わなきゃならなかったなんて。ツイてない人生だったもんだ。
「させませんッ!」
無数のレーザー光が間を割って入る

全てがギリギリのところで間に合った。
サンダイルフェザーのフロートの機関部にMTの残骸が巻き込まれている。脚部自体も損傷が酷く破損と言っても差し支えなかった。
狂気の集団であるバーテックスの中でも特に危険な男がいたとは、驚かされるものだ。
敵の動きは鈍くなっている。プリンシバルも善戦していたようだ。
それだけ分かればいい。距離を詰めてキャノンを撃ち込む。
ゼロ距離で放たれたキャノンはClownCrownの頭部を完全に破壊した。被弾の硬直で後ろに仰け反るClownCrown
ClownCrownの肩でチェインガンが空転しはじめる。まだ反撃する力があるのか
すぐにブーストを吹かし横に回りこん時には、さっきまでいた場所にチェインガンが火を噴いていた
相手の行動を先読みした完璧な回避だった。自分に関しては。
その先にいるプリンシバルのことを忘れていた。凶弾はサンダイルフェザーを豪雨にされされた様に叩き続ける。
サンダイルフェザーは踊り狂う人形劇の人形の様に舞いながら倒れた。倒れた後も雨は降り続けた。豪雨に打たれ倒れた子犬に構わず降り注ぐ雨のように。
「貴方は・・・ッ!」
ClownCrownのコアに深々とブレードが突き刺さる。ラジエーターを貫きジェネレータを貫きコクピットを貫いた。悲鳴すら上げる暇もなく。
時を同じくして2機のACは爆散する。レーダーに生体反応は、無い。
「これが・・この戦いが・・一体どこに正義があるというのでしょう・・」
震える声を絞りだしながら自らに言い聞かせる
「バーテックスの下らない計画など、絶対に実現させませんッ!」
―バーテックスの予告時刻まで後20時間―





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