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『グリッド1、行動不能。グリッド2の勝利です!』

強硬なタンクACに正面から突っ込み、僅か数秒で黒煙を吐き出しながら上半身が消し飛び、原型を留めていない四脚ACをモニターごしに見て溜息をついた。


―あぁ、また負けてしまった。


僕がB級ライセンス取得し、憧れのアーキテクトになりそろそろ半年になるが、勝ち星に恵まる気配がない。
Bリーグにデビューしてから、ほとんど勝利したことがなかった。
夢と現実がこれほど遠く離れているとは。


特に今回の負けかたはひどい。
これにはさぞかしスポンサーもご立腹であろう。
…もともと負け込んでいるからいつもご立腹だが。

そろそろ解雇されるだろうな…勝てないアーキテクトを置いておくほど、企業も甘くはない。
契約は一年だが、解雇通達を出されるには充分すぎる“戦果”だ。
明日の報告を思うと頭が痛い…
ミラージュやクレストのようにパーツや資金も有り余るほどの支援が無いとはいえ、スポンサーがついてなければ基本的にアーキテクトは活動できない…自分の場合は生活もままならなくなるが。

「君自身が一番分かっているとは思うが…君の成績は非常に悪い。」
「…はい。」
「上層部も、“これ以上の我慢はできない”と。」
「…はい。」
「よって、今日付けで君を解雇処分とする。」
「…はい。」

当然の成り行きであろう。スポンサーの解雇通知。僕のアーキテクト人生はこれで幕を降ろすわけだ。
明日からは路頭に迷う人生が始まるまけか。

――今時、ごみ箱に食える物なんか入ってるかな?

そんなこれからの事を考えて青ざめてた僕に、スポンサー側は意外な事を言い出した。


―――スポンサー側の担当とのやりとりはこんな感じだった。

「上層部は我が社のイメージダウンを懸念して、フォーミュラFに参加すること自体を断念しようとしている。こうなればフォーミュラFの担当をしている私のクビも危うい。」
「はぁ。」

スポンサー企業の地方支部にある狭い応接室、そこに僕とスポンサー側の担当者が向かい合わせに座っている。
普通はお客に対して茶の一杯も用意してくれると思うのだが、親切心が足りないのか気が利かないのか話だけ進んでお茶はこない。
負け越しているとはいえ、僕は契約している身なのだからお茶くらいだしてくれてもいいじゃないかと思うのだが、とてもそれをいう状況でもない。

「そこでなんとか上層部を説得して、最後のチャンスをもらえる事になった。次の試合から勝ち進めばフォーミュラFに対する支援は継続してくれるそうだ。」
「・・・聞くまでもないと思いますけど、負けたら場合はどうなるんですか?」
「即刻チームは解散、当然アーキテクトは解雇、私のキャリア街道も水の泡だ。」

あなたのキャリア街道は関係ないからどうでもいいですよ、という言葉出掛かったところを飲み込み、代わりに気になることを聞いてみる。

「つまり僕は解雇されないんですか?今のところは。」
「今のところはね。だけど君を解雇することは今すぐにでもできる。だが次のリーグ戦までに新しいアーキテクトを雇うほうが時間もかかるし、契約金の関係もある。君に頼むのが一番マシだと思うのでね。」

確かに次のリーグ戦までは4日後とかなり期間が狭い。この短期間に僕を解雇して新しくアーキテクトを探してくるのは難しいだろう。

「頼む、私もクビが掛かっている、私のためにもがんばってくれ!頼む!!」
よほどキャリア組から脱落するのが嫌なのだろう、両肩をガシッと掴み涙目で懇願してきた。
「・・・わかりました。連敗続きの僕は言うのもなんですが、僕も生活が掛かっています。最善を尽くしましょう。」
「そうか、やってくれるか!頼む、期待しているぞ!」

・・・何が期待している、だ。誰もあなたの未来だのなんだのの為になんかやってないっての。僕も解雇されてしまうと路頭に迷うだけ。それにせっかく憧れのアーキテクトになったのだ。
アーキテクトになり、リーグのトップの座を夢見て今まで生きてきた。

その夢を・・・叶えるまで諦めてたまるか・・・



―――――――――――――――
そんなわけで、僕の崖っぷちの戦いが始まった。
僕はこれから勝ち続けなければならない。負けた瞬間、僕は解雇処分、アーキテクトとしての道を諦めなければならない。それだけはなんとしても避けたい。




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