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特攻兵器の飛来が始まったあの日。赤い大群が世界中を埋め尽くし、全てを壊して行った。
その半年後、ジャック・O率いるバーテックスと、企業複合体アライアンスとの間で大掛かりな戦いが始まるのだが…
その半年の間に、様々な物語が生まれていたのはあまり知られていない。



砂漠を砂煙を上げつつ移動する2機のAC。
『本当にこの辺りなのか?』
『アライアンスからの依頼内容によるとそのようだが…』
『俺のレーダーには敵性反応はまったく見えてこねえぜ?』
『喚くな。このザーム砂漠は広い。お前の広域レーダーの範囲より広いんだぞ?』

夜の砂漠に赤と青の二人のレイヴン。彼らはとある依頼で、目的の相手を探していた。

『しかしさ・・・この依頼文も曖昧だな。「ここを通るときによく輸送隊が襲われる。恐らくレイヴンだろう」って。』
『まあ襲われるときの攻撃が単一であることと、あと残っていた映像に映っていた弾頭がACが装備するロケットだったって話らしいしな。』
『じゃあ、相手はレイヴンってわけか。』
『たぶんな。』

無言でしばらく砂漠を移動する。
砂漠は先ほどとまったく変わらず、相変わらず冷たそうに無言のままだ。

無言に耐えられなくなった赤いタンクACのレイヴンがしゃべりだす。

『そういえばおまえんとこ、今度子供が生まれるらしいじゃないか。』
『あぁ、なんだ知ってたのか。』
『まったく…よくやるよなぁおまえは。大手企業の上役令嬢を誘拐しちまうんだからなぁ。』
『誘拐とか言うな、あれは本人の同意に基づいた行動だ。』
『レイヴンを雇われて追いかけられなくてよかったな。』
『追われたら追われたで、そいつを叩きのめすだけだ。それにあの頃はそれどころじゃなかったはずだしな。』
『そうだな…ちょうどクレストが内部で揉めていた頃か?』
『ああ。そのあとクレストが撤退、すぐにナービスが事実上崩壊、そしてミラージュの突然の壊滅、その後キサラギが見つけた古代兵器。そして…』

思い出したくも無いあの日。無数の「赤」が降り注いだ世界崩壊の日。

『…お互い、よく生き残れたよな。』
『まったくだな。』

あの日の事を思い出したからなのか、二人とも黙ってしまった。


無言でしばらく砂漠を移動して、今度は青いACの男が我慢できなくなって話しかける。

『…なあ、この砂漠はかなり広いよな。二手に別れて探さないか?』
『そうだな…よし、いっそのことどっちが先にそのレイヴンを仕留めるか、勝負しないか?』
『いいだろう。お前のACには広域レーダーがあるとはいえ、タンクだ。勝ち目は中量二脚の俺のほうが高いだろうしな。』


そして、赤のタンクと青の二脚のACは、二手にわかれた。
この冷え切った砂漠で、既に遥か遠くから見られているとも知らずに。

―――――――――――
赤いACと別れ、ずっと南へやって来た、青い二脚ACを駆るレイヴン。

あたりを警戒しながら進む。

「それにしても…夜の砂漠っていうのは気味が悪いな…」
ひっそりと静まり返った砂塵、動く物もなく空には輝く満月が冷めた砂漠に不気味な光を降り注いでいる。
確かに――不気味だ。

「この砂漠には、何人の屍が沈んでるかも解らないんだよな…あまり長居はしたくない――」

その時だった。突然横殴りの衝撃をコアに受け、ACが砂漠の壁にめり込んだ。
「ッ!なんだ?何処から撃ってきやがった!?」
咄嗟にレーダーを見る…反応が無い。そもそもロックアラートすら出ていなかった。
だが攻撃は続いている。次々と太い弾頭が高速で飛んでくる。

機体を持ち直し、ブーストフル稼働、その場を移動してロケット弾頭を回避、モニターで注意深く弾頭が飛んで来た遥か先を見る。

――居やがった!

弾頭が飛んでくる遥か先…黄土色の二脚のACがこっちに向かって何かを撃ってきている。
「アラートが表示されない…ロケットで射程外からの攻撃か!」

敵ACはロケットで遠距離から砲撃しているようだ。距離1000はありそうな場所から、精確に機械のようにロケットを撃ち込んでくる。

「そう言えば輸送隊もロケットでやられたって話だった…」
どうやら当たりのようだ。
ACを左右に大きく揺さ振りながら、遠くにいる敵ACへと接近していく。
その間もロケットの砲撃は止まない。回避した弾頭が砂の中に飲み込まれ、その度に水しぶきのように砂を巻き上げさせる。

いくら弾速が速くとも所詮はロケット。ロックできない物が早々当たるものでは無い。

――彼はそう考え、中距離接近戦を試みる。その考えは間違いであったとすぐに気付くことになる。


距離約500まで近づき、青いACは敵に向け両手に持つライフルを撃つ。
近づき、ライフルの銃弾でいつものように追い詰めていけば勝てる、楽勝だ。あいつには悪いがさっさと終わらせよう。
「おい、見つけたぞ!」
『マジか?畜生、おまえ今どこだよ?』
「お前の正反対、南のほ――」

ガクンッ!と鈍い音と共に、何かが引き千切られて飛んだ。その直後に複数の衝撃。
突然の事にパニックを起こしそうになる彼に、頭部COMが何が起こったのかを伝えた。

『右腕部破損、AP50%機体ダメージが上昇しています。』

いつの間にかすぐ頭上まで迫っていた黄土色のACが、砲弾をこっちに向けているのが見える。
その肩にあるのは拡散ロケット。

「近付いたら、拡散ロケットばらまいてきたわけか…最初の単発ロケットはおびき寄せるためのフェイクだったのかよ…!」

至近距離でロケットを発射、頭部、脚部が爆散した。青いACは、後ろの砂塵へと崩れた。
そのコアの上を、着地した敵ACが片足で踏み潰した。

「クソッ…俺はこんなとこで・・・ここまでか…あとはまかせたぞ…」
『おい、どうした!なにがあった!!』

通信の向こうで騒いでる奴の声が薄れていく。頭を強くぶつけたらしい、生暖かい感触が顔を滴る。
もうだめだな俺は…生きることを諦めて目を閉じようとしたとき、相手のACのインサイドから、赤い砲弾が飛ぶのを見た。

――おい、ちょっと待て…!―
自分は、このまま静かに死ぬ。そう思っていたが違うらしい。
赤い砲弾がコアに着弾した瞬間、地獄の業火が青いACを包み込んだ。
ナパームロケット。

「ウギャァアアアアアアアアアア!!!!」

夜の砂漠に響く断末魔の叫び声と共に、青いACは火ダルマと化し、やがて消えた。


「ふん、この程度か。」

黄土色のACは、もう一機の敵レイヴン抹殺するために、ブーストを燃やし、空を翔る。



赤い炎に視界埋め尽くされ、自分が嫌な臭いを出しながら燃えているのを感じる。

…全身をロケットで…武装……あのAC…昔どこ…か…で……

男の命はそこで止まった。


―――――――――――
「畜生ッ畜生ッ!」
赤いタンクACのレイヴンは相棒の所へと急いでいた。
彼はさっきの断末魔を聞いた。たぶん・・・もう生きてはいまい。

青いACのレイヴンとは昔からの腐れ縁で、アークに所属後、偶然再会した。
特攻兵器の飛来後、奇跡的に助かった彼等はお互いを信じ合い、今日まで戦い抜いて来たのだ。

そのあいつが簡単に…信じたくはなかった。


「畜生ッ!お前が死んだら…嫁さんや生まれてくる子供に、なんて言えばいいんだよ!!」

彼は泣いていた。信じたくないが、自分の相棒は、もう・・・

『敵ACを確認、該当データがありません。南に距離1000。』

レーダーには既に敵ACが表示されていた。
砂塵の山の上、そこに青ざめた月を後ろに、青白い光を受け不気味にそびえ立つACの姿――


奴は通信で言い放った。

『タンクだと…?そんな機体で俺と戦うつもりか、舐められたものだな。』


その一言を引き金に、戦いが始まった。
黄土色のACは夜空を、赤いACは砂を撒き散らせながら大地を行く。
赤いACがミサイルを放つ!
連動ミサイルとマイクロミサイルが一同時に、相手のACへ白煙を吐きながら襲い掛かる。
が、敵は軽々機体を空中で操作し、空を舞いミサイルを避ける。
2発命中したが、その動きが止まるわけでもなく、精確な角度で拡散ロケットを地上へ発射、だがそこは強固な防御力を誇る重タンクAC。命中してもびくともしない。

ロケットが当たったが、赤いレイヴンは冷静だった。
地上へ降りる敵に対し、赤いACがすかさず左腕部からバズーカとインサイドロケットを発射した。
バズーカとロケットは精確に敵ACの着地硬直を狙い、そして・・・

―命中。


――もう少しだ。もう少しで…

敵はバズーカとロケットを喰らい、よろめいている。
着地に失敗し、同時に撃ったロケットは砂へと消え、砂のスクリーンを作りだした。
彼は、左腕から発射するまえから、ミサイルのロックオンをしていた。そのミサイルは、非常にロックオンタイムが長い。
それが――今完了、敵ACにロック完了のロックオンマーカーが表示された。

「うぉおおおおおおおッ!テメェは消えろおぉぉぉッ!!!」

トリガーを引く。赤いACの右肩から大型ミサイルが射出された。




――瞬間に、赤い砲弾が砂のスクリーンから飛び出して来た。


――…俺は悪夢を見ているのか?

赤い砲弾は、発射する大型ミサイルに命中炎上、大型ミサイルはその場で大爆発を起こし、さらに右肩の残りのミサイルにも引火…と凄まじい熱爆連鎖を起こした。

爆裂が終わった後、赤いACは右肩から下を完全に失った。
頑丈なタンクと強固なコアは何とか耐えたが、ほとんど死に体と変わってしまった。

『右腕ぶ…ハそ…えーピーひゃくごじゅっぱーザザッ敵はろケッ…サイルを装備…一定にきょきょッ距離を…ハソンガッザザー…』

衝撃で頭部COMが壊れたらしい。だが彼はそんなことを気にする余裕がもはや無かった。

彼は目が離せない。砂のスクリーンが消えた先にある、敵ACの、モノアイの、黄色い光を。
スローモーションのように敵ACが動くのが見える。

――敵左肩の大型ロケットが、自分に向かってその標準を合わすのが見えた。

まるで死刑宣告のように。

「うわぁああ!うわぁあぁああ!!ウワァアアアアァッ!!」
絶叫した彼は、必死になって残った左腕のバズーカのトリガーを引く。
がさっきの大衝撃で故障したのか、無情にも左手はダラン、と下へぶら下がったままだった。
恐怖と苦痛から、彼の精神が…飛んだ。
「アーーッ!アァアァァあッフヒヒヒヒぃぃ」
『敵は、ザザッ間合いヲ…離れ…近づキザザー離れテ…接近した…すたイル…』

赤い鉄屑と化したタンクACは、コアの中では混沌の世界が構築されていく。
彼自身のアドレナリンの過剰分泌による…死への世界を。

大型ロケットが「ボフッ!」と乾いた音と共に発射された。

避ける術が無い赤いACは、命中と共にその機体を炎上させた。


『防御りょク低下…作戦チュうだん、帰還しま…』

レイヴンはその言葉を最期に耳にし、先程焼けた友の元へ…逝った。



―――――――――――
「…恐怖で頭のネジが飛んだ、か。そんな事で、よく今まで生き残れたな。」
黄土色のACは、他に敵性反応が無いことを確認する。

『レイヴン、他に敵勢力の反応はありません。帰還しましょう。』
「了解…アモー、リビングデッドボム、これより帰還する。」




――ふん、俺は死の世界を一度体験したのだ、二度と死ぬわけが無い。
俺はまだ死ねない…アークのアリーナで二度も俺が負けた“奴”を・・・この手で息の根を止めるまでな!


―――――――END―――




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