時刻…03:00 ギエンクレーター
作戦開始時刻。四機のACがクレーターへと接近する。
ガンナー3の広域レーダーに無数の生体反応が現れ、赤い光点で埋め尽くされる。
一定時間ごとに増える反応は、『母体』が存在し、生産活動を行っている証拠だ。
最も反応の強い、クレーター中心部の光点が、今回の排除対象、『デストロイヤ・フリー』だろう。
増え続ける『スカウタ・フリー』を無視し、中心部の母体を叩かなければならないが…
あまりの『スカウタ・フリー』の数に、一行はクレーター内側へと突入する事が困難である事を悟る。
「どうする?滅茶苦茶いるぞ?あんなに居たんじゃ、折角の大口径レーザー砲も撃つ前に溶かされちまう」
『CR-WBW98LX』両肩用大口径レーザーキャノン。
現行のAC用兵装では、最も高い火力を誇るキャノン。
敵母体用にコルトのガンナー2に搭載された今回の『切り札』である。
作戦開始時刻。四機のACがクレーターへと接近する。
ガンナー3の広域レーダーに無数の生体反応が現れ、赤い光点で埋め尽くされる。
一定時間ごとに増える反応は、『母体』が存在し、生産活動を行っている証拠だ。
最も反応の強い、クレーター中心部の光点が、今回の排除対象、『デストロイヤ・フリー』だろう。
増え続ける『スカウタ・フリー』を無視し、中心部の母体を叩かなければならないが…
あまりの『スカウタ・フリー』の数に、一行はクレーター内側へと突入する事が困難である事を悟る。
「どうする?滅茶苦茶いるぞ?あんなに居たんじゃ、折角の大口径レーザー砲も撃つ前に溶かされちまう」
『CR-WBW98LX』両肩用大口径レーザーキャノン。
現行のAC用兵装では、最も高い火力を誇るキャノン。
敵母体用にコルトのガンナー2に搭載された今回の『切り札』である。
「…なあ、敵の反応、瞬間的に高度が上がっては下がる…ってのを繰り返してるじゃねぇか」
レーダーを見つめ、ふと浮かんだ疑問を口に出す。
レーダーに浮かんだ光点が一瞬青、つまり時機より高い所にいるが、次の瞬間には元に戻っている。
赤→青→赤→青…と、まるで点滅するかのように。
「ラッシュ、スカウタ・フリー…つまり子蟻みたいな奴はな、
『跳ねる』習性があるんだ。ピョン、ピョンとな」
自らの知識をやや得意げに披露してみるものの、へぇ、と感想が帰ってくるだけ。
「跳ねるぅ!?そんなんじゃ余計に照準が狂うじゃねえか!
『母体』を跳んで守る可能性もあるんだろ?」
今回の作戦で最も重要な『母体』の破壊を務めるコルトにとっては重要な事だが。
レーダーを見つめ、ふと浮かんだ疑問を口に出す。
レーダーに浮かんだ光点が一瞬青、つまり時機より高い所にいるが、次の瞬間には元に戻っている。
赤→青→赤→青…と、まるで点滅するかのように。
「ラッシュ、スカウタ・フリー…つまり子蟻みたいな奴はな、
『跳ねる』習性があるんだ。ピョン、ピョンとな」
自らの知識をやや得意げに披露してみるものの、へぇ、と感想が帰ってくるだけ。
「跳ねるぅ!?そんなんじゃ余計に照準が狂うじゃねえか!
『母体』を跳んで守る可能性もあるんだろ?」
今回の作戦で最も重要な『母体』の破壊を務めるコルトにとっては重要な事だが。
時刻…03:01 ギエンクレーター
『母体』を破壊する為には子蟻の防衛網を突破する必要が有る。
その方法を摸索する一行に、敵ACが接近する。
ガンナー3の広域レーダーがその反応を捉える。
「――ッ!敵だ!皆、警戒態勢を!」
(何だ?…今一瞬、下に反応が…?)
ガンナー3を囲む様に陣形を形成。敵に備える。
高速で接近する青と黄色のACイーヒィーゲ。
多弾頭ミサイルを発射しつつ接近して来るが、動きは単調だった。
一直線に突っ込んでくるその起動に合わせ、ガンナー2、3がハンドミサイルを発射、
ガンナー1が突撃し、中距離からプロウセイルが援護する。
『母体』を破壊する為には子蟻の防衛網を突破する必要が有る。
その方法を摸索する一行に、敵ACが接近する。
ガンナー3の広域レーダーがその反応を捉える。
「――ッ!敵だ!皆、警戒態勢を!」
(何だ?…今一瞬、下に反応が…?)
ガンナー3を囲む様に陣形を形成。敵に備える。
高速で接近する青と黄色のACイーヒィーゲ。
多弾頭ミサイルを発射しつつ接近して来るが、動きは単調だった。
一直線に突っ込んでくるその起動に合わせ、ガンナー2、3がハンドミサイルを発射、
ガンナー1が突撃し、中距離からプロウセイルが援護する。
――ガンナー1のブレードが閃き、イーヒィーゲの左肩武装を切り裂いたその刹那、
プロウセイルの足元…地中から黒いACと共に青い閃光が走る。
「――なッ!」
右腕部と頭部が黒煙を上げながら宙を舞い、爆散する。
黒いAC、アントリオンは、砂の下に潜んでいた。
ガンナー3のレーダーが一瞬捉えた地下の反応の正体は、AC。
プロウセイルの足元…地中から黒いACと共に青い閃光が走る。
「――なッ!」
右腕部と頭部が黒煙を上げながら宙を舞い、爆散する。
黒いAC、アントリオンは、砂の下に潜んでいた。
ガンナー3のレーダーが一瞬捉えた地下の反応の正体は、AC。
ブースタを最大出力で吹かし、離脱を試みる。
後方に下がりつつ、肘から下を失った右腕部の電源供給をカット。
炸薬により強制的にコアから右腕部をパージする。
「残った武器は、ブレードと、デュアルミサイルのみ…くそッ」
頭部を失った事により、時折レーダーの機能が停止する。
その上、生体反応センサーは機能を完全に停止。目標と戦う前に、『目』を奪われてしまった。
「仕留め損ねたか…」「そら見たことか!やはり、主役は俺だ!」
後方に下がりつつ、肘から下を失った右腕部の電源供給をカット。
炸薬により強制的にコアから右腕部をパージする。
「残った武器は、ブレードと、デュアルミサイルのみ…くそッ」
頭部を失った事により、時折レーダーの機能が停止する。
その上、生体反応センサーは機能を完全に停止。目標と戦う前に、『目』を奪われてしまった。
「仕留め損ねたか…」「そら見たことか!やはり、主役は俺だ!」
「クソッタレがッ!」
マシンガンを乱射しつつ、青と黄色のACへと突撃するガンナー1。
両肩の追加ブースタを加えた速度は凄まじく、そして荒々しい。
イーヒィーゲもブレードを展開させるが、ガンナー1の強化ロングブレードが間合いの外から迫る。
二本の閃光が両機の間に走り、イーヒィーゲの左腕部が弾け飛ぶ。
「バカな!…だが、勝つのは俺だ!」
空間が一瞬、歪んで見えた。オーバードブーストを作動させ、ガンナー1から離れる。
「逃がすかよッ!こいつは任せろ、おっさんを頼むッ」
マシンガンを乱射しつつ、青と黄色のACへと突撃するガンナー1。
両肩の追加ブースタを加えた速度は凄まじく、そして荒々しい。
イーヒィーゲもブレードを展開させるが、ガンナー1の強化ロングブレードが間合いの外から迫る。
二本の閃光が両機の間に走り、イーヒィーゲの左腕部が弾け飛ぶ。
「バカな!…だが、勝つのは俺だ!」
空間が一瞬、歪んで見えた。オーバードブーストを作動させ、ガンナー1から離れる。
「逃がすかよッ!こいつは任せろ、おっさんを頼むッ」
後方に下がりつつ、ミサイルを準備するが、敵機は易々と捕らえられない。
連続で放たれる閃光が、確実にACの装甲を溶かして行く。
他のACを無視し、完全にプロウセイルのみを狙ってくる敵AC。
牽制さえ出来なくなった自機を仕留めるつもりだろう。
連続で放たれる閃光が、確実にACの装甲を溶かして行く。
他のACを無視し、完全にプロウセイルのみを狙ってくる敵AC。
牽制さえ出来なくなった自機を仕留めるつもりだろう。
――彼は気付いていない。目を奪われたACで、解かる筈も無い。
敵ACは、ただ追って来るだけではなく、『ある地点』へと誘導している事を。
敵ACは、ただ追って来るだけではなく、『ある地点』へと誘導している事を。
「畜生ッ!なんて動きだ!ありゃ普通じゃ無いぞ!」
敵ACの『ACの限界を超えた』機動性。
(あの機体…乗っているのはまさか…)
ACが戦場で実用化されてから二世紀余り。
人体を強化しACの性能を限界まで引き出せる存在、
『プラス』の研究と実験は今も、止まる事無く続いている。
改良を重ね、進化して行くACと共に、強化人間技術も共に進歩してきた。
(強化人間だなんて、何だってこんな所に…!)
単独で敵ACを追撃したラッシュの動きをレーダーで捉えつつ、目の前の黒いACに対応する。
『母体』の破壊の為、腕部武装のみで対応しなければならないガンナー2。
有効射程にすら入れない。それほど、黒いACの動きは凄まじい。
敵ACの『ACの限界を超えた』機動性。
(あの機体…乗っているのはまさか…)
ACが戦場で実用化されてから二世紀余り。
人体を強化しACの性能を限界まで引き出せる存在、
『プラス』の研究と実験は今も、止まる事無く続いている。
改良を重ね、進化して行くACと共に、強化人間技術も共に進歩してきた。
(強化人間だなんて、何だってこんな所に…!)
単独で敵ACを追撃したラッシュの動きをレーダーで捉えつつ、目の前の黒いACに対応する。
『母体』の破壊の為、腕部武装のみで対応しなければならないガンナー2。
有効射程にすら入れない。それほど、黒いACの動きは凄まじい。
(くそ、どうする?このままじゃ、確実にお陀仏だ…)
機体の様々な箇所が悲鳴をあげている。
ブーストの稼働時間も限界へと迫っていくが、敵の追撃は…止まらない。
機体の様々な箇所が悲鳴をあげている。
ブーストの稼働時間も限界へと迫っていくが、敵の追撃は…止まらない。
「終わりだ」
敵ACが右腕のレーザーライフルを棄てると同時に、急加速。
オーバードブーストを起動させ、瞬時にプロウセイルの懐へ。
敵ACが右腕のレーザーライフルを棄てると同時に、急加速。
オーバードブーストを起動させ、瞬時にプロウセイルの懐へ。
「おっさんッ!」
次の瞬間、黒いACがプロウセイルを『蹴』った。
グワアァン…と鈍い音がコクピットに響き渡り、衝撃が全身を襲う。
敵ACに『蹴』られたプロウセイルは、クレーターの内部へと吹き飛ばされる。
つまり、敵生体兵器の射程内へと。
(脱出を…!)
敵ACに『蹴』られたプロウセイルは、クレーターの内部へと吹き飛ばされる。
つまり、敵生体兵器の射程内へと。
(脱出を…!)
デストロイヤ・フリーから、巨大な熱線が放たれる。
大破寸前だったACが耐え切れる筈も無く、ACから『鉄屑』そして、その鉄屑すらも、蒸発。
大破寸前だったACが耐え切れる筈も無く、ACから『鉄屑』そして、その鉄屑すらも、蒸発。
単機、イヒィーゲを追っていたガンナー1。そのレーダーから味方機の反応が一つ、消失する。
「誰だ?誰が…ッ」
踵を返し、味方機の元へと向かう。無論、イーヒィーゲはそれを追う。
「急に逃げてんじゃ…ねーよ!」
「誰だ?誰が…ッ」
踵を返し、味方機の元へと向かう。無論、イーヒィーゲはそれを追う。
「急に逃げてんじゃ…ねーよ!」
後方からのアラートを無視し、ガンナー3へと通信を入れる。
反応が無ければ、やられたのはトーマスという事になるが、
破損していたプロウセイルの可能性が最も高い。
「トーマス、聞こえるか?」
「…ザザ、…ッシュ?おっさ…ザザ、やられ…」
ノイズの混ざった音声だったが、ガンナー3が健在な事から、消失した反応はプロウセイルの物だと判断する。
「クソッタレがぁッ!」
ガンナー1の左腕から伸びた青い光が、黒いACへと振り下ろされる。
前回の戦闘では、出力の違いから敗北した接近戦だが、今回は違う。
高出力の腕部に換装し、力の加え易い、上方からの攻撃。
敵ACのブレードを貫くが、ACに致命傷を与える事は出来なかった。
「ちィッ!」
インサイドオービットメーカーを展開し、その場を離れる。
フロートACをロックし、水平四連ミサイルを発射しようとした瞬間、後方からグレネードが直撃。
「このッ、邪魔すんじゃねぇよ!」
味方機である、イーヒィーゲの放ったグレネードだった。
誤射をした味方に罵声の一つも言わず、体勢を整える。
反応が無ければ、やられたのはトーマスという事になるが、
破損していたプロウセイルの可能性が最も高い。
「トーマス、聞こえるか?」
「…ザザ、…ッシュ?おっさ…ザザ、やられ…」
ノイズの混ざった音声だったが、ガンナー3が健在な事から、消失した反応はプロウセイルの物だと判断する。
「クソッタレがぁッ!」
ガンナー1の左腕から伸びた青い光が、黒いACへと振り下ろされる。
前回の戦闘では、出力の違いから敗北した接近戦だが、今回は違う。
高出力の腕部に換装し、力の加え易い、上方からの攻撃。
敵ACのブレードを貫くが、ACに致命傷を与える事は出来なかった。
「ちィッ!」
インサイドオービットメーカーを展開し、その場を離れる。
フロートACをロックし、水平四連ミサイルを発射しようとした瞬間、後方からグレネードが直撃。
「このッ、邪魔すんじゃねぇよ!」
味方機である、イーヒィーゲの放ったグレネードだった。
誤射をした味方に罵声の一つも言わず、体勢を整える。
「一機目は譲ってやったんだ!残りは俺が落とす!」
アントリオンの頭上を飛び越え、リニアライフルを乱射する。
しかし、当たらない。巧みに回避行動を取るガンナー1に全て回避されている。
「ちょこまかと…!」
ビーアウトは機体を前進させ、距離を詰めようとしたが、既にかなわぬ夢と化していた。
「…何だ?動かねえ…?」
アントリオンの頭上を飛び越え、リニアライフルを乱射する。
しかし、当たらない。巧みに回避行動を取るガンナー1に全て回避されている。
「ちょこまかと…!」
ビーアウトは機体を前進させ、距離を詰めようとしたが、既にかなわぬ夢と化していた。
「…何だ?動かねえ…?」
――背後から接近したアントリオンが、イーヒィーゲを両断した。
左腕部の『月光』から伸びる美しさと、威力を兼ね揃えた破壊の光が疾走り、
ジェネレーターの爆発音が、上半身と下半身の別離の悲痛の音を、奏でる。
ビーアウトは、自らが味方に斬られた事を認識する間も無い内に絶命した。
左腕部の『月光』から伸びる美しさと、威力を兼ね揃えた破壊の光が疾走り、
ジェネレーターの爆発音が、上半身と下半身の別離の悲痛の音を、奏でる。
ビーアウトは、自らが味方に斬られた事を認識する間も無い内に絶命した。
「所詮『スペア』はこんな物か。予備弾倉程度の存在だな」
破壊したイーヒィーゲの右腕部からリニアライフルを引き剥がし、自機の右腕に接続する。
「接続完了。…いや、『スペア』としては良い出来だった…のかもしれんな」
くくく、と狂気を瞳に浮かべながら笑う。
彼にとって、イーヒィーゲは自らの『スペア』でしか、無い。
破壊したイーヒィーゲの右腕部からリニアライフルを引き剥がし、自機の右腕に接続する。
「接続完了。…いや、『スペア』としては良い出来だった…のかもしれんな」
くくく、と狂気を瞳に浮かべながら笑う。
彼にとって、イーヒィーゲは自らの『スペア』でしか、無い。