ネオ・アイザック郊外の巨大ACガレージ兼居住施設。
レイヴン三銃士、又の名を『ARMORED GUNNERS』本拠地
「…へえ。おい、お二人さん」
端末を操作していたトーマスがカードをしている二人に声を掛ける。
「ちょっと面白そうな依頼が来てるぞ」
「どんな?社長令嬢救出作戦とか?」
「いや、スペシャルアリーナの参戦依頼だろ?二週間後の」
コルト、ラッシュが己の願望のような依頼を期待している。
「どっちもハズレだ。正解は…
『ディソーダー』の排除、でした」
「でぃそーだー?」
「それって、火星の無人自己進化型テラフォーミング用メカが、
本来の目的からはぐれちまった、いわば暴走体だろ?」
「へぇ、意外と物知りなのね、コルト」
『ディソーダー』先程コルトが言った通りの生体無人兵器である。
人類が大破壊によって生活の場を大地の底へと移す以前、
火星への移住計画によって送り込まれた無人自己進化型テラフォーミングメカ。
人類が再度地上へと進出し、その生活の場はテラフォーミングの完了した火星にも移って行く。

『火星』LCC直属の特殊部隊「フライトナーズ」
火星での日々激化する企業間の争いを重く見た地球政府が火星へと送り込んだAC部隊。
その隊長「レオス・クライン」による地球政府への独立宣言クーデター。
ある一人のレイヴンにより、解決した『過去』の事件である。
「…結構前の話だぜ、そろそろ半世紀ぐらいは経つんじゃねえか?
なんだってそんな昔のシロモノが今出て来るんだよ」
「その通り。…だがよ、何で今更出て来たのか、知りたくないか?」
「…あんま興味ねえ。」「俺も」
あっさりと否定され、半ば諦めたように端末へと視線を戻す。
「…ラッシュ、二週間後のアリーナ、出たいのか?」
「モチのロンさ。今回はチーム戦らしいじゃねえか。
チーム戦で俺達に勝てる奴なんかいやしねえ。賞金もがっぽりだぜ?」
嬉しそうに語るラッシュ。
「…アリーナのチケット、取れるぞ」
「マジかよ!?そういう事ぁ、早く言えってんだ!」
「…なら、ディソーダーのお掃除だな」
「へ?」

「…何処まで行っても砂、砂、砂…
こないだは雪原で今回は砂漠かよ」
ザーム砂漠を南下し、バロウズヒル近辺のギエンクレーターへの道のり。
砂と残骸が広がる世界を、三機のACがやはり低速で進んでいる。
「ぼやくなって。報酬はおまえさんが一番欲しがってたじゃねえか」
「砂嵐も殆ど無いし、楽な方だと思うぞ」
「…あいよ。で、この作戦は俺達、何すりゃ良いんだ?
依頼主から詳細、聞いてんだろ?トーマス」
「簡単な話さ。ディソーダーの排除と、
それを邪魔をする存在を消せ…ってさ」
それを邪魔する存在…自分達とディソーダー、それ以外の第三者が現れる可能性がある。
クライアントであるジオ・マトリクス火星支社はそう言っていた。
「ふ~ん。とりあえず出て来た奴を片っ端からぶちのめしゃいいんだな」
「ま、そういう事になるな」
「けどよ、排除を邪魔する奴らがいるかもしれないってのは、
俺達がディソーダーを片付けちまうと都合の悪い奴らがいるって事か?
随分と物好きな連中だね。出てくるとしたら」

ギエンクレーターへと到着。
AG-3のレーダーに生体反応が表れる。
「生体反応だ。本当にいるぞ。データ照合開始…」
素早くCPUのデータベースへデータを送り込む。
「アーマイゼタイプだ。しかし、強化体のビーネはいないようだな、
…妙に反応が弱いな。衰弱しているのか?」
レーダーには、反応の弱い機影が8体。
周辺に他の反応は無い。第三勢力は現れない様だ。
「よし、一気に片付けるぞッ!」
AG-1を先頭に、三機のACがクレーター中心部へと突入する。
背面の追加ブースタを加えた機動力で、AG-1が駆ける。
左腕部から伸びた青い光が一体のアーマイゼを両断する。
「何だこいつら?全然抵抗する気配が無いぞ?」
仲間の一体が破壊されたというのに、
周りのアーマイゼは足をふらつかせるだけで、抵抗する様子は無い。
「好都合だ。ラッシュ、全部ぶった斬ってやれ」
「省エネって事か?まあいいや、任せとけ!」
無抵抗の無人機に弾薬を使う必要は無い。
AG-1のブレードのみでアーマイゼを駆逐する。
「…八つ目。これで終わりか?あっけねえ」
一分足らずで全ての目標を排除完了。

やや拍子抜けだが、作戦終了。
「これでアリーナの出場権獲得!だな」
浮かれるラッシュ。しかし次の瞬間、全機のコクピットに警告音が響く。

「――上ッ!?それも、大気圏外から!?どういう事だ?」
遥か上空から、大量の突入カプセルが降ってくる。
最も地上に近いカプセルが割れる。
そして、上空から光の矢が降り注ぐ。
「――ッ!A、AC!?」
『敵ACを確認。コンコード所属、アントリオンです。
敵はレーザーライフルを装備、被弾時の熱暴走に注意して下さい』
AG-3のコクピットに解析結果を伝える電子音が鳴り響く。
凄まじい連射速度と爆風で、辺りに砂塵が広がる。
「っきしょう!いきなりかよ!」
AG-3のレーダーを注視するトーマス。
敵機らしい反応がAG-2へと接近して行く。
「コルト!正面だ!」
「真正面かよッ!いい度胸だ!」
機体を後退させつつ、肩のリニア砲の照準を合わせる。
「もらったッ!」
一発、二発と着弾するも、敵ACの勢いは止まらない。
三発目を発射した瞬間、視界から敵機が消える。

「アーマイゼは全滅…一足遅かったか。
まあ、今更ディソーダーなど必要無い。
俺は『こいつ等』を『蒔く』事が仕事だ」
「あの機体が頭の様だな。あいつを叩けば…終わる」
AG-3へと的を絞り、オーバードブーストを機動させる。
接近しつつ、水平四連ミサイルを発射。
「くそッ!俺を狙う気か!」
チャフを起動させつつ、回避行動を取る。
AG-3の武装では敵ACの突撃を止める事は、出来ない。
「ガンナー3!今行くぞ!」
腰だめにマシンガンを乱射しつつ、AG-3の援護へと向かう。
しかし、敵ACは止まらない。多少の被弾は無視し、一直線にAG-3へと突撃する。
チャフで撹乱し切れなかったミサイルが被弾する。
「くそッ、何とか距離を離さないと…」
目前に迫る敵AC。オーバードブーストを発動させるAG-3。
敵ACに対して正面からすれ違う様に距離を離す。
「オラオラッ!何だってんだテメエ!」
後方からマシンガンを乱射しつつ、AG-1が迫る。
アントリオンとAG-1、両機の左腕から光が伸び、閃光を放ちながら、交わる。
鍔迫り合いの形となった両機。しかし、AG-1のコクピットがアラートを放つ。
『左腕部、出力限界まで、後…』
「ちっきしょう!パワーは奴の方が上かッ!」

体勢を立て直し、AG-1の援護に向かうAG-2。
「ラッシュ、今行く、待ってろよ!」
突如、AG-2の周辺に機影が現れ、レーザーを放つ。
「うわッ、何だ?オービット!?」
凄まじい連射速度でAG-2の装甲を剥ぎ取って行く。
ブーストを全開させ、オービットを引き離そうとするが、
速度に劣るAG-2では振り切れない。
「ちっきしょう、これじゃジリ貧だ。
何とか敵ACの動きを止めないと…ッ」
オービットから逃れる事を諦め、リニア砲の照準を合わせつつ、ハンドミサイルを撃つ。
「よーし!くらえぇッ!」
リニア砲とミサイルを連射する。
衝撃で機体のバランスが崩れる。怯んだ隙にAG-1のブレードが閃く。
「チイッ!」
アントリオンがOBで離脱するのと同時に、
AG-3に依頼主から撤退命令が出される。
「…皆、撤退だ。俺達の役目は終わり…だそうだ」

ザーム砂漠の合流地点へと向かう道中。
「…で、依頼としてはどうなるんだ?」
やや疲れた表情でコルトが訊ねる。
「ディソーダーの排除事態は完了している。報酬は全て払う…とさ」
「…納得いかねぇが、お偉いさんの指示じゃ仕方ねえか」
暫くの静寂の後、コルトが口を開く。
「…空から降ってきた連中、何が目的だったんだろうな」
「一応、あのAC以外のカプセルから出て来た奴、映像だけは撮っておいたんだが…」
トーマスの言葉が一旦止まる。
「だが?どうしたんだよ」
「ああ、小さくてよーわからんのよ。ガレージで解析してみないと。
ただ、あのACが火星仕様であることは間違い無さそうだ。
所属も、コンコード社になっている」


『火星』ディソーダーの発生元でもある人類のもう一つの大地。
『火星』で生まれた排除対象と、それを回収しに来たと思われる
『火星』のレイヴン。そして、依頼主はジオ・マトリクス
『火星』支社。


火星と地球で何が起こっているのか?
そして、火星から降りて来た『なにか』とは?

次回!『俺達レイヴン三銃士』第七羽!内容は未定だけど、ヨロシクゥ!





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー