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人の操りし道化、レイヴン。
人では無き存在の道化、パルヴァライザー。

『力』を求めし探求者、エヴァンジェ
『己』を求めし探求者、ジナイーダ
『生』を求めし探求者、ブレッド

舞踏会の舞台はサークシティ地下、『インターネサイン』。
果たして、カーテンコールを飾りし者は人か、それとも…

機甲救世主G.ファウスト 最終章 

再起動を果たした旧世代の遺産、インターネサイン。
その外部端末機体、パルヴァライザー。
集いし三名の探求者は、自らの求める物の為に舞う。
人類の明日を掛けた舞踏会が、ひっそりと幕を開けた。

サークシティ地下へと向かうエレベーターに、一機のACが佇む。
「これが最後の戦いになる筈よ。必ず…生きて帰ってきて」
いつもの現金な雰囲気が感じられないシーラの声に、つい口元が緩む。
「当たり前だろ。…俺は生きる為に戦うんだ。死にそうになったら逃げるさ」
(逃げれるかどうかは、別だけどな)

「地下にACの反応があるわ。…照合完了。
 ACパンツァーメサイアを確認。エドは逃げたんじゃないか、って言っていたのに…」

都市動力炉の作戦の後、確かにG.ファウストは隠れていた。
戦いから逃れる為ではなく、戦う為に。

エレベーターが止まり、地下へと到達した事を示す。
目の前のゲートが開き、一機のACが視界へ飛び込んでくる。
(…!あの時の、AC…)

「その武器は…そうか。お前がジャックの…」
ブレッドのAC、モンブランの左腕部に、巨大な砲が装備されていた。
ジャックに認められた証…そして、ジャックの愛用する武器の左腕用が。

「そこをどいてくれ!俺は生きるんだ!その為に…」
中核を破壊し、インターネサインを止めなければ、人類はパルヴァライザーによって滅ぼされる。
常に成長し続け、戦闘力を増していく尖兵を止めるには、頭を破壊するしかない。

死ぬ為にレイヴンになったのでは…無い。
ブレッドの言葉は、死に行く運命に身を委ねようとしている己の心に、突き刺さる。
(…若いな。そして真っ直ぐだ。彼の望む未来なら、あるいは…)
(老兵の最後にしては贅沢過ぎる…ジャック、礼を言うぞ)

「素通りさせる気は無い。お前の力、一瞬でいい…見せてくれ!」
アサルトライフルの轟音が、戦闘の合図となり、響く。

「わからず屋がッ!」
二機の間に銃声が轟き、弾丸が飛び交う。
重いハイレーザーライフルを装備しているにもかかわらず、最小限の動きでこちらの攻撃を避ける
(あの機体構成なら…E兵器に弱い筈だ!)
右アサルトライフルで牽制しつつ、左腕武装の狙いを定める。

敵ACの動きに合わせ、照準を絞り込んでいく。
戦いはこれだけで終わる訳では無い。後の事を考えると、無駄弾は避けたかった。

次の瞬間、敵ACが真っ直ぐに迫ってきた。
(今だ!)
左腕部のハイレーザーライフルが轟音を唸らせ、光の矢を放つ。
一発、二発、と次々に命中するが、敵ACは止まる様子は無い。
(何故?…ッ!?しまった!)
目の前に光輝く刃を左腕から伸ばした敵機が迫る。

機体への直撃は避けたものの、右腕部のライフルが二つに切り裂かれた。
素早く残骸をパージし、体勢を整えようとした瞬間、シーラの声が機体に響く。
「ブレッド、上空に未確認反応よ!おそらく、パルヴァライザー…」

(この展開…これだ、私が求めていた物…)
素早くパルヴァライザーへとロケットを撃ちつつ、モンブランへと通信を入れる。
「中心の施設に入り口がある。お前の、向かうべき場所だ」

ロケットでパルヴァライザーを牽制しつつ、モンブランを導く。
自機の右腕とアサルトライフルの接続を解除し、モンブランへと手渡す。
「弾は十分にある筈だ。持って行け」

先程まで敵だった筈のACが、自分を導き、果ては主武装までも託される。
最初に出会ったキエラ都市動力炉でも不可解な行動を取っていた目の前のACに対し、言葉が出ない。
主武装を欠いたACでパルヴァライザーを倒せる筈が無い。…死ぬ覚悟は出来ている、という事だ。
「どうして…」
ただ、それだけしか頭に浮かぶ言葉が無かった。

レイヴンになって、既に50年以上経っただろうか。
今、この瞬間にあのサイレントライン攻略戦以上に胸が躍っているのがわかる。
レイヴンになってずっと追い求めていた物が今、目の前にある。
自分も、一人の探求者と化していた。

『これに生き残れば!』
『試験の中止は認められない』
『待たせた』
『気をつけろ!こいつは手ごわいぞ!』
『クライゼンか』
『お互い生きていれば、また会うとしよう』

緑色のACが前進から黒煙を上げ、崩れ落ちる。
「そんな…私は…」
赤い迷彩色のACが、動けなくなった緑のACの胴体へガトリングガンを突きつける。
「俺のコピーにしては出来が悪いな」
トリガーに指をかけつつ、ゼロが呟く。
「…殺せ…」
「ん?」
「早く殺せ!私は、負けたんだ!仇を討てないまま…だから、早く…」
「…ツラを見せな。ACから降りて銃口の前に立て」
言われた通りに、銃口の先へと立つカラードネイル。
このまま、生身で死んで逝く己の無力さを嘆きながら。
「…貴様、女か?…ククク、ハハハハハ!そうか、女か!…面白い…ククク」
中性的な顔立ちからは判断できないが、パイロットスーツの胸部は、目の前のレイヴンが女性である事を意味していた。
「…何をしている!さっさと撃て!殺せぇッ!」
自らを殺さず、先程から嫌らしく笑うゼロへと怒りの声を上げる。
「貴様は殺さんよ。…まだ利用出来る物を、簡単に棄てる様な男では…無い」

――一部始終を見届けたパンツァーメサイアが、その場から離れた。

目の前の若者にライフルを託し、パルヴァライザーへと目を向ける。

まるで走馬灯の様に、レイヴンとして生きた記憶が脳裏を駆け巡った。
長い間、レイヴンとして生きた老兵が、その歴史を閉じようとしている。
閉じ行くゲートの向こう側から、声が聞こえる。
『…どうして、あんたは!』
自らには既に関係無いが、人類の明日を背負いし若者に全てを託し、機甲救世主は飛翔する。
自分のACに名付けた『名』が、最後の時を迎えてようやく、意味を持った。

幼かった…青かった頃の自分との約束を…小さな約束をようやく果たせる。
これ以上の幸福は無いだろう…自らの人生は、最高の形で幕を閉じようとしている。
舞踏会の裏方は、舞台に上がる事は無い。ただ、去るのみ。

『…どうしてッ!』

「やってみたかったのさ。最初で最後の、『正義の味方』って奴を」


  パンツァーメサイア
 『機 甲 救 世 主』
   G.ファウスト       

    THE END




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