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私が意識を取り戻すと固いシートに座っていて、
様々な計器類が混雑していて、
目の前のスクリーンには景色が高速で流れている。
そこで私は何かのコクピットに一人で座っていたことが分かった。

『気がついたか。』
何処にあるのか分からないスピーカーから聞こえる声。
私はそのスピーカーを探す。
どうやら、足の方にあった。
『元気か!』
私はもう死んでいるのだと思い始めた。。
念のため後ろを振り返ってみたが誰もいない。
あるのは張り巡らされたケーブルと空調のみ。
ますます自分は死んでいるのだという思いが強くなる。
『君は何を探しているのだ。』
「……」
『目の前にいるではないか。』
「………」
『だから目の前…。』
「……ぁぁあぁあぁああアアアアアアアアアアああああっぁああああああッ!!」
私は叫んだ。もう堪えられない堪えられない。
しんだのだしんだのだ、私は死んだのだ。
「ぁああぁああぁああぁあぁぁぁ………」
ここは何処だ、どこだどこだ。
『此処はわたしの中だ。』
「ァあ……ぁあ?」
『ここは私の中だ。君は生きている、死んではいない!』
「あ……」
『ゆっくり休むのだ、少女よ。』
「」
私は答える事も無く再び眠りに落ちた。



再び目覚めたのはあの夜から三日後の朝。
腕に巻いた時計で確認したから間違いない。
もっとも時計がくるっていれば終わりだが。
私はメインスクリーンに目を向ける。
何も映ってはいない。
『外を見るか?』
私は肯く。
ぶぅんという音を立てながら、
メインスクリーンに映像が映る。
そこは森だった。
地上にこんな所があるなんて知らなかった。
もうこんなところ無いとさえ思っていた。
『此処は地下だ。』
驚いた。
此処が地下だなんて驚いた。
凄く驚いた。
『君が眠ってしまってから少したった頃、砂山に大きな穴を見つけてな。
そこに入ったら、こんな、だったってわけだ。』
鳥は見当たらないが小さな虫たちはいくつか見られた。
どれも元気そうだ。
『六十年近く前に廃棄されたセクションらしい。』
彼の視界の片隅に小さな端末が在るのが見える。
『わたしはよく知らないのだが、キサラギ、という企業のものだったらしい。』

キサラギ。
世界最高の技術者集団。
奇人変人変態無職色々云々御用たちの変態企業。
でも其処の技術は何処も彼処もミラージュもクレストも使っている。
だから厄介事が起こるのには絶対この企業が関わっている。
古くにはUNION事件を筆頭に、
コンビナートの爆発や炉心溶解による放射能汚染。
あのサイレントライン事件だってそうだったらしいし、
最近でも生物兵器が大脱走を繰り広げた(伝統ある行事だそうだ)。
私は世界中の厄介事はキサラギによって
作られているんじゃないか本気で思う。
それを掲げて団体を組織すれば
それこそ沢山の人が集まるような気がすると私は本気で思う。
そして強化人間技術もキサラギの独擅場だ。
あの大二企業など足元にも及ばないほどの凄い技術を持っている。
私の性転換手術もそこで行った。
私の仕事のクライアントもそこが一番多い。
そういえば、トラックに積んであった荷物はどうなったのであろうか。
クライアントがちゃんと見つけてくれれば良いがその確立は低いだろうな。

『ふむ、キサラギ、とはそんな凄い企業なのか。まるで、ムラクモ、のようだな。』
私は、ムラクモ、という企業は聞いた事も無かった。
彼のようなAIが知っていることなのならば、
私が知っていてもおかしくは無いはずなのに。
私は記憶記憶喪失なのだ。
そうに違いない。
だから彼に心配をかけないようにムラクモのそれについては尋ねなかった。
その代わりに大事な事を告げる。
私は男だ。
彼は至極驚いていた。

その話は遡ること子供の頃に。
私の母は、私が生まれるとすぐ死んだ。
私の顔を見ないままだったそうだ。
そしてそれを悲しんだ私の父親は気が狂ってしまったのか、
私を女として育て上げた。
幼いうちはよかったのだが、
成長するにつれて男っぽさを増す私に腹を立てた父は、
私にキサラギにて性転換手術を受けさせたのだ。
しかし、父は、手術が終わるまで気が動転していたのか(気は狂っているのだが)、
手術料を払うお金がなかったわけだ。
キサラギはそれを見越していたのか、手術が終わるまで金を父に催促はしなかった。
そして、金を払えない父は蒸発、私はキサラギの実験台となった。
神経を試作品の光ファイバー製に変えられた。
脳にインプラントを埋め込まれた。
私は人間であり、人間で無い物に生まれ変わらされた。
でもキサラギは他の企業とは少し違って、
なぜだか私をACなどの機動兵器のパイロットにはしようとしなかった。
多分、強化人間が普通の生活に馴染めるかのテスト、見たいなものなのだろう。
だから私は脳に直接インプットされていたトラック運転技術を生かして
運び屋をやっていたわけだ。
クライアントにキサラギが多いのはその所為だ。
身体のほうはその当時から殆ど歳をとっていない。
だがキサラギ職員は言っていた。
ある一定期間が過ぎれば君は一気に老け込んで死ぬと。
まだその時期は来ていない。
まだ私は死ぬわけにはいかない。

『じょ…冗談じゃ!』
冗談なもんか。
『じゃあ、わたしの話を聞いてくれ。』
ああ、聞いてやる。
『聞いて驚くな。わたしは……超弩級高性能スーパーAIなのだ!』
その告白に私は、知っている、と返す。
彼はしょぼくれた。
私は彼を慰める。
よしよしと慰める。
彼は立ち直ったのか、急に空調から出る風が変わった。
嫌な風だ。どうやら立ち直った訳では無さそうだ。
メインスクリーンの右上にあるレーダーを見る。
先ほどまで無かった巨大な赤い三角。
その三角に表示されるデータには《生態兵器》とある。
やはりキサラギは厄介ごとを、持ち込んできた

彼は私に逃げることを進めるが私は逃げない。
私は操縦桿を握る。
彼は彼自身の情報処理をする。
運命で決まっていたかのように私達のポジションは決まる。
そして、私達の初戦闘がはじまった。

敵との距離は1000。
敵の速度は遅いがレーダーに映る三角は巨大だ。
彼の二倍近くあるだろう。
私は各部の補助ブースタを軽く吹かせ、
機体をホバリングさせる。
機体は軽々と浮き上がる。
頭の中が焼けるように熱い。
腕や足の末端まで電気が走ったような感覚に包まれる。
敵との距離は800。
私は右肩のクラスターミサイルを選択。
FCSは敵を完全にロックオンする。
私がトリガーを引くと凄まじい音と閃光を発し、
ミサイルは垂直に飛び敵の頭上へと飛び、小さく弾ける。
その小さくはじけたものがもっと小さく弾ける。
その小さな小さな爆弾の飛礫が敵の真上から雨のように突き刺さる。
暴焔が晴れると固い装甲のような殻が所々窪み、醜い緑色の体液を流している。
それで私達の存在を確認したらしく此方を睨む。
そして頭頂部の突起から何かが散布された。
レーダーに砂嵐が混じる。ECMだ。
敵はECMを使ってきたのだ。
これではミサイルが使えない。
あと残っている武装は右手のレーザーライフルに左手のブレード、そして左肩のグレネード。
私は有視界戦闘がしやすい近距離戦を仕掛けることにした。
構えるのは左手のブレード。
敵は近づいてきた我々に触手を伸ばす。
私はそれをブレードで叩き切る。
汚らしい体液が辺りに飛び散ろうとするが、液体はブレードに触れて蒸発、
辺りは緑色の濃霧に包まれる。
私はそれを晴らす為に武装を変更。
グレネードを選択し天井付近まで上昇し、垂直目下めがけて放った。
グレネード砲弾特有の球状爆発が起こる。
爆発は濃霧だけでは飽きたらず、周りの木々にも牙を剥く。
薙ぎ倒された木々には火がつき、化け物の足をとめる。
そして化け物の真上までホバリングし、レーザーライフルを放つ。
化け物はあっけなく死んだ。

天井に設置されたスプリンクラーが火災を感知し、地上に雨を降らせる。
見る見るうちに消えていく火。
我々の勝利だ。




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