「【亡者】」(2006/11/22 (水) 11:30:48) の最新版変更点
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ぼくは、ここでなにを……
まっくら、暗いくらい暗いくらい、狭いしどこなんだろう?
真っ暗、やみの中だけど温かい風がはいってくる。
暖房でもはいってるのかな?
じゃあこのせまさはなに?
そもそも、ここ部屋なのかな?
あ、ひかりが……まぶし い ……
ここはどこだろうか、結構おおきな街みたいだけど。
あ、あのMT、ガードの治安MTだ!
すいません、ここどこですか?
イタイイタイ!なんでぼくをそんな撃ってくるんですか?
って、あれ?、MTだとおもったんだけど、ずいぶんちいさいね。
あ、わかった、おもちゃのMTなんだ。だから撃たれてもそんなに痛くないんだね!
でも、ちょっとだけ痛いよ……えいっ!!
あ、あれれ?、ちょっと左手でどけようとしたら、横にまっぷたつになっちゃった。
あっれー、おかしいな。っていうか、誰のおもちゃかわからないけど、持ち主に怒られちゃう!!
逃げなきゃ!!
ん、体がすごくかるい。それどころか、あれ、ぼく飛んでるよ!!
うわーーなんか、楽しいな、空ちゅう飛こうだぁ!
そういえばMTもそうだったけど、この街なんだか小さいなぁ。
そっか、わかったよ。こノまち全体がおもチゃの街なんだ!!
ぼく以外にだれもいないんなら、なにしても大丈夫だねきっと!!
あー空飛べるのはおもしろいんだケど、もっと速く飛べないかな。
ずっと飛んでるとすぐ疲れちゃうよ……
あ、なんか背中が熱い……って、うわーーー!!
すごいすごい!!、すごいスピードで飛んでる!!
ちょっと体が熱いけど、でもすごいすごい!!!
って、うわああああああああ!!!!
いてて、ビルに突っ込んじゃった……
あ、ぼくを見て驚いてるよ。あ、逃げてる逃げてる。
小さいなぁ、なんか昔、石をひっくり返したらいろんな蟲がうじゃうじゃ出てきたのを思い出しちゃった……
気持ち悪いんだよなぁアレ、気持ち悪いきもちわるい気持ちワルい……
ああああぁぁぁ!?!あああああぁっぁぁあああ!!!!!
まとわりつくなよ!!!きもちわるいって、こんな蟲、むし!!むしむし!!!しねっしねしねね死ねしね死しねぇあああああ!!!!!
気持ち悪い。気持ち悪い、気持ち悪い……
なんか知らないけど、ビルの中、誰も動かなくなっちゃった。
真っ赤に染まってるけど、どうしたんだろう?
さっきまで人がいたんだけどなぁ。誰かいないもっとよく探してみよう。
いたたた、なに、いま、ぼく とっても イソガシいんだけど。
なんだよそのMT、そんなおもちゃのてっぽうで、ぼくをころせるとでも?
死ね、しねしね!!こわれちゃえよ!!ほら、ほらほら、おまえもさっきのやつみたいに、ばらばらにされたいのか?!
ああああうざい、うざいなぁ!!!よく見たらわらわらいっぱいイうジャないか。
もうおこったぞ、ぼくはおマエらみんな いらない こわして おもいシラせてあげ てふふ、ふふふふふふふうふふうふふうふふ!!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『まずは、一機……二機…サん機め……よん……五機……八機目……十機メ……』
雪上の大型トレーラー車内のモニター室には、彼の放つかすかな言葉が響いていた。
彼が何かをぶつぶつと喋るたびに、ガード部隊がひとつ、またひとつと消えていく。モニターには、マシンガンを的確に当て、レーザーブレードでMTを次々と破壊していくACが映し出されていた。
「今回の実験体は中々調子よさそうですね。」
モニター室には、白衣の男たちが数人、その惨劇を見ていた。どの男たちも、この凄まじい惨劇を前にして実験の成り行きをとても満足そうに見ていた。
「少し精神に異常をきたしてしまい、ところどころ幼少化しているところもあるのですが、まあこの結果を見ていただければ充分規定レベルに達しているかと。」
「ファンタズマ計画、ようやく次の段階へと移れそうだな。」
「ちょうどスティンガーが持ち帰ってきた、プロトタイプ・ファンタズマも2体残っています。本当は完全なオリジナルファンタズマを使いたいところなんですがねぇ。」
「完全に破壊されてしまった。アビスも入り口を塞ぎ、もう未来永劫日の目を見ることはない。」
「スティンガーの裏切りさえなければ、順調に計画も進められたのに……」
「まあ、機体は損失してしまったが、その代わり戦闘データの回収は出来たのだ。それだけでもヨシとするしかないな。」
「お話中のところ、失礼します。」
「どうした?。」
「ACが二機、このノルトハイランドに接近しているとの情報をキャッチしました。」
トレーラーの通信士から二機のAC、と聞くないやな、一番年長の研究者はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「やつら、この場所を嗅ぎ付けてきたか……周辺部隊にやつらを足止めさせるように言っておけ。」
「了解しました。」
「その実験体と、アンバークラウンでも実験させていた実験体も呼び戻せ。試作ファンタズマで出撃させろ。ここでレイヴンを殲滅する、この実験の総仕上げだ!。」
かくして、ノルトハイランドの雪上で一人のレイヴンと、二体の試作ファンタズマの激戦が繰り広げられた。
研究者――ウェンズデイ機関はこの戦いに確実に勝利できると思っていた。しかし、ファンタズマに搭乗した実験体が、突如暴走、ACに怯えたように動きを止めてしまい、ファンタズマは大破してしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『イタイ…こわい……タスけて……しにたく…ないよ……あつい…もえて…まう……』
「こんな、馬鹿な……」
『彼は鬼のように恐ろしく強い男よ。』
敗北が決定的になり、逃走していくトレーラーの車内に女の声で通信が割り込まれた。
「スミカ……ユーティライネン……!!」
『被験者は通信で怯えたような声を出していたけど、精神が子供に戻ってしまったのかしらね?』
雪上を走行する、スノーモービルトレーラーの進路上に一体のACが降り立った。
『中身が子供なら、彼には怯えもするわ……なにせ味方の私ですら恐ろしいと思うもの。』
ACはマシンガンの銃口をトレーラーに向けたのを車内から見ていた研究員達は見た。死刑執行は目の前に。
「た、たのむ、殺さないでくれ!!。」
『……貴方達は、そう悲願した被験者達を何人殺してきたの?。』
「……。」
『さようなら、罪の無い人たちの体も心も弄ぶ貴方達には、人として生きる資格は無いわ。』
「ちょっと、ま……!?。」
銃口から何発もの銃弾が飛び、トレーラーは蜂の巣と化した。おそらく、彼らの死に顔は親しかった物にもその本人だとは気づいてもらえまい。
「これで、本当に終わったのね……それにしても、格安でお願いねって言ったはずなのに、結局割高な報酬を払うことになってしまったね。」
やれやれ、とため息ひとつ、彼女はもう一人のレイヴンとの合流地点へ戻り、これで全てが本当に終わったことを告げるのであった。
ぴんぽーん、ぴんぽーん。
人差し指がインターホンのボタンを押すたびに、ドアの向こうで音が鳴る。しかし鳴らしてみても反応しない部屋の中。物音ひとつしない。
「……おかしいなぁ、いないのかしら。」
先ほどからカーティアはインターホンを鳴らしていた。一瞬で押して離す「ピッポン」や、押しっぱなしで溜める「ピーーン…………ポーン」など、バリエーション豊かにやっているのだが、まるで反応が無い。
ひょっとしたら、自力で病院に行ったのかもしれない。そうも思ったのだが、ブラウの「あいつは連絡、報告に関しては神経質なほうだ」という言葉が頭にこびりつき、カーティアは帰るに帰れなかった。
なので、先ほどからピンポン攻撃を繰り返している。
しばらくそうやっていると、不意に「あんたさっきからなにしとるか?」と声を掛けられた。
「なにって、さっきからインターホンをこうぴんぽんぴんぽんと……」
「他の住人から不審がられてるんだけどさ、なにをそんなに必死な形相でやってるんだい。」
カーティアが振り向いた先には、なにやらやや恰幅のよさそうな中年女性が立っていた。洗い物の途中だったのかエプロンをつけたままで、これでもかというほどの生活臭を漂わせていた。
「あんた、イルス君のお友達か何かかえ?」
「ま、まあそのお友達というか、競い合う相手というかなんというか……」
「ほーーん……」
なにやら不審そうな目つきで見られている。
「ところで、おばさん誰?」
「アタシかい?、アタシゃこのマンションの管理人さ。」
「あ、管理人さん……」
「名乗らせるなら自分の名乗らんかいっ!」
「あ、ごめんなさい、私はカーティアって言いま……」
「あー、あんたどこかで見たことあると思ったら、そうかそうか、グラスバードの……えーと……」
見たことあるといいつつ思案する管理人。
「広告塔のコンパニオン!」
「違いますッ!!」
「だよねぇ、その胸じゃ。」
「うるさい!!」
必死に反論した。
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「まあとりあえず、マスターキー持ってきてるから中に入ろうかね。」
「え、なんでそんな都合のいい……」
「さっきブラウさん……知ってるね、ブルーネメシスのブラウさん。その人が“カーティアっていうのが一心不乱にインターホン鳴らしていると思うから、鍵を開けてやってくれ”って言われてねぇ。」
「じゃあ最初から知ってて……」
「“面白いから様子見してから声掛けてやれ”と言われたものでね。」
管理人はいけしゃあしゃあと答えた。
「それじゃ、アタシはここらで失敬するよ。」
部屋の鍵を開けた管理人は、そのまま通路の奥へ消えようとしていた。
「え、ちょ、ちょっと、開けに来ただけ……?」
「アンタがお見舞いに来たんでしょ、アタシは関係ないよ。」
そう言って、通路の奥にあるエレベーターの中へと消えていった。
「……まあ、いっか。とりあえず、おじゃましま……す。」
ドアが開かれた。室内に入ろうとするカーティアは……内心緊張していた。
イルスをこのマンションに送ってあげることはよくあることだが、実際に部屋に入るのはこれが初めてであった。
まず玄関、普通である。すぐ横に下駄箱がある。玄関の先にすぐの通路脇にバスルームがあり、その先にキッチンと居間がある。
玄関から直線状にある居間が直接見えないように、途中に「A IDA(なぜか一文字欠けている)」と書かれた謎ののれんがぶら下がっていた。
「ふーん、結構小奇麗にしてるのね。イルスらしい……」
居間に来たカーティアは思わず呟いた。
床にほとんど物が置いておらず、棚とかを見ても小物すら置いていない。それほど広い部屋ではないが、余計な物が置かれていないので広々としている。
玄関から入ってきて左側の端にダイニングキッチンがあり、真ん中にテーブル、真正面にベランダへと続く大窓があり、カーテンの隙間から物干し竿が見えていた。
右手の壁に本棚と一体化したテレビラックがある。左右にスピーカーがあり、ラック下のコンポへと繋がっているように見える。
以前、イルスが「映画と音楽に必要なのは臨場感、だよ。」と言っていたのを思い出し、部屋の周りを見回してみるとなるほど、部屋の四隅にはサラウンドスピーカーが見える。
微妙に角度にズレがあるところを見ると、ずいぶんとこだわりがあるらしい。
本棚一体化テレビラックのすぐ横に、寝室に繋がるドアがある。初めての異性の部屋に関心している場合ではない。まずはイルスの無事を確かめねば。
カーティアはそっとドアノブに手を、ドアを押した――がびくともしない。「ふんっふんっ」と格闘していたらドアが開いて――ドアに頭をぶつけた。押すではなく引くだった。
「うっわー、いったーーーい……。」
こぶができそうな勢いでぶつけたカーティアが、頭をさすりながらドアの奥を覗き込んだ。
目的の人物は、いた。しかしドアを開けたときに鳴った「がっ」という音がしたのにもかかわらず、イルスは目を覚まさない。いや、それどころか……
「イルス、ねえ……おい、イルス、起きてってばっ!!」
なにかいやな予感をしたカーティアが駆け寄り、熟睡中と思われるイルスを揺さぶる。相当強く揺すっているのに、イルスはまったく目覚める気配を見せない。
「ちょっと、やだ、ねえイルスったら、ねぇ!!」
ガクガクとさっきよりも強めにしてみたが、まるで反応が無い。それどころか、手から伝わる体温が、明らかに異常であることにカーティアは気づいた。
「な、なんで冷たいの、やだ、こんな、うそ……起きてよ、イルスッ起きなさいよッ!!」
明らかにただ事ではない状態のイルスを前に、既に半泣きになったカーティアは必死にその名を呼ぶが、イルスが目を覚ますことは無かった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ところで、対戦相手のアーキテクトは誰なの?。」
よく考えると、これから自分が戦う相手のチームのアーキテクトがいったい誰なのか、知らないままであることに気がついた。
『ああ、そのことだがちょうど君と挨拶をしておきたいと言っていたところだ。』
「ちょうど挨拶をしに現れたところだぜ、Mr.GR。」
突然イルスの背後から声を掛けらた。イルスは後ろを振り向くとそこには、ひとりの男が立っていた。
「俺があんたの対戦相手、ジェームズ・オックだ、よろしく。」
とジェームズと名乗ったその男は、イルスに対して右手を差し出していた。
「イルス・ブレームだ、よろしく。」
イルスはその握手を受ける。するとすぐに違和感を感じる。
「……ずいぶんと冷たいね、手。」
「そりゃそうさ、死んでるからな。」
自らを「死んでいる」というには不釣り合いな笑顔を浮かべながら、ジェームズは手をそっと離した。
「ちなみに、今回の対戦相手を君にしたのは、この俺の指名さ。」
「おかげさまで、こんな殺風景なところに連れ込まれたわけか……」
「おいおい、そんな邪険に扱わんでもいいじゃねえか。俺があんたを指名したのには訳があるんだ、それくらい聞いてくれないかね?。」
「訳?。」
「ああ、そうだ。そのためには、まず俺の事を知ってもらおうかね。まあすぐにわかると思うがな。」
とは言われたものの、イルスは目の前にいるジェームズという男の、このちょっと冴えない顔には見覚えがない。
「僕はあなたの顔を見たことは無いよ?。」
「まあそうだな、でも名前に聞き覚えがあるはずだ。ヒント1、俺は元Bリーグチームのアーキテクト。」
「元、ね。」
「死んじまったから元、だ。そしてヒント2、チーム・イリオモテ。」
「!」
イリオモテの名を出したとき、思い出した。
イリオモテ、それはもう解散してしまった、かつてBリーグに所属していた弱小チームのひとつ。フォーミュラFに参加しているくせに、スポンサーの重役がフォーミュラFに対しての理解がまるでなく、チーム運営すら危ぶまれていた、今にも荒波に飲まれそうだったチーム。
かつてのイルスが、チームリーダーとして所属していたチームである。そして、彼がチームのアーキテクトとして来る前に前任のアーキテクトがいた。その人物は……。
「その顔を見ると、俺のことについて見当がついたようだが、ヒント3、俺は……旧ナイアー産業区のボロアパートで首を吊って……独り身でこの世を去った。」
「そうか、あなたが……。」
僕の前任の、チームと自分の境遇に絶望して、“自殺”という形で自分を解放した男。
「……まあ、俺はそうやって自分で自分の人生に幕を下ろした、あまりに自分の境遇が辛かったもんでな。生涯一度もまともにアーキテクトとして真っ当できたことなんて出来なかったんだぜ。」
虚しさを目に浮かべた男が語る。その顔が、悔いが残ったまま志半ば自らの人生を諦めたことを物語っていた。
が、その回答はあっけない。
「あっそ。」
「冷たいッ!?」
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『……これ以上無いくらい場が冷え切ったところでちょうどよさそうだな、そろそろ時間だ。』
イルスの心無い一言に場が完全に冷えたのを見て、GRは切り出した。
『オック、おまえは自分のモニタールームへ戻れ。』
「わかったぜ。クソッ、目にもの見せてやるからな!」
それだけを捨て台詞に、ジェームズ・オックは部屋から退場していった。
「自殺した男にしては、ずいぶんと暑苦しい男だね、彼。」
『あれでも、私と出会ったときは完全に意気消沈していたんだぞ。』
「ふーん。ま、気持ちがわからないでもないけどね。」
自分もかつて同じ境遇で、同じような絶望感を味わったこともある。明日が来るともわからない、綱渡りの日々。
「あのチームは、というかスポンサーが本当にひどいモノだったからね。」
『そこまで言うくらいひどかったのなら、もう少し優しく声をかけてやったらどうだ……』
「畜生、同じ釜の飯を食った仲じゃねえか……もう少し愛嬌ふるまけってんだ、バーカバーカ。」
“同じ飯を食った”わけじゃなく正しくは“同じ釜で別の飯を食った”わけだが。
薄暗くライトが暗滅を繰り返す通路をひとりでとぼとぼ歩きながら、ジェームズ・オックは不満を独りでぶちまけていた。
しかし、その表情は意外にも……楽しそうだ。
「だがまあ、俺様の後釜で、うまく成功しちゃうようなヤツだしな。u-ACの整備も万全の状態でそんな強いヤツと戦える……」
「ホント、“死んでる”って最高だぜ。生きてたらこんな最高の舞台はやってこねぇしな。」
彼はこれからの戦いを心から楽しみにしていた。生前の彼には決して叶わなかった夢。それが死後の彼には軽く手の届く。
「ま、死んじまって初めて掴める“夢”ってなんなんだろうな……。」
そんなことを少し自嘲気味に呟き、ため息ひとつ自分のモニター室へと消えていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
グリッド1 u-AC DATA
アーキテクト:ジェームズ・オック
AC1:ゴールドシャーク
全身金塗りの目に優しくない四脚AC。
リニアライフルと同時に降り注ぐガトリングガンの威力は中々のもの。
AC2:ポイズンウォール
赤と紫の毒々しい極彩色のOB搭載タンク型AC。
インサイドECM、火炎放射器とじわじわと追い詰める武装がメイン。
AC3:キラーファイア
真っ赤に燃える重二脚AC。
両手に火炎放射器、インサイドナパームロケットと、武装も真っ赤に燃え上がる。
AC4:サンダーニードル
他のACと比べるとやや目に優しい重装タンクAC。
背中に背負った大口径レーザーキャノンは、全てを圧倒的な一撃で粉砕する。
AC5:メテオバレット
恐らく移動を放棄したタンクAC。
その理由は、肩に積まれた通称コンテナ・WB29M-ECHIDNAが物語っている。
グリッド2 u-AC DATA
アーキテクト:イルス・ブレーム
AC1:重二脚強行型(以下AC名は適当)
重量二脚とコア-SELENAをベースにしたAC、APと防御力がやや高い。
左右にグレネードランチャーを装備した、実弾高火力が特徴。
AC2:重四脚中距離型
重四脚に重コアとかなりの高防御力を誇るように見えるが、武器腕装備につき防御力は並。
高威力高反動の武器腕リニアキャノンがどう生きるか。
AC3:中二脚強行型
中距離二脚にまさかの武器腕大型ミサイル搭載。
残りはレーダーのみとある意味男らしい。対ECMが強い。
AC4:逆間接跳躍型
名が体を現している、飛び跳ねると予測されるミサイル中心の逆間接AC。
が、天井のあるこのドームで垂直上昇ミサイルを搭載しているのが謎。
AC5:中二脚平凡型
“平凡”の名のとおり、平凡な二脚AC。
ただし、右腕にハイレーザーライフルKRSWが装備されているので、火力は“平凡以上”。
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[対戦ステージ Collapse dome]
ECMレベル 180
かつて繁栄を極めたそのドームは、しかしその歴史をちょうど一年で幕を下ろしてしまった。今ではただの廃墟と化し誰も近寄ることはない、記憶の奥底に忘れられてしまった場所。
いたるところに陥没、障害物となり得る残骸、脆い遮蔽物があちこちに存在する。
ぼろぼろになったドームは、激しい対戦の度にその姿を変えてしまう。
当区画の住民には「亡霊が夜な夜な宴の祝砲をあげている」等、心霊スポットとしての噂が絶えない。現に心霊現象を目撃したという情報もあるが、所詮は噂である。
ごく一部の心霊マニアには人気である。
何時新たな倒壊が起こるか判らないため、AC対ACのような大規模兵器の衝突には本来不向きな場所。
現在、近く解体される計画がある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
今を生きるアーキテクトと、生きることを放棄したアーキテクト。
だがアーキテクトとしての本質、アーキテクトとしての意気込みはどちらも負けてはいない。
フォーミュラフロントの英知の女神が微笑むのは、イルスか、それとも。
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