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あらすじ
寺杷(てらわ)牧場を経営する寺杷は、牛泥棒を撃退するため、牧場を守るため、自らレイヴンになってACを手に入れたのだった、、!
第四話 涙
「うわわ、またあのACだ!逃げろ!!」
『ふぅ、これであれから15回目か、、どうなってるんだ?』
寺杷がレイヴンになってから、数週間が経っていた。
寺杷が防衛にあたってから、既に15回も、牛泥棒たちを追い返した。
『輸送機はちゃんと破壊しているんだがな、、。』
寺杷は牛泥棒たちが二度と牛を盗めぬように、来るたびに彼らのトラックやホバー車を確実に破壊していた。
普通の牛泥棒なら、足が壊された時点で、そうすぐに立ち直れはしないのだが、彼らは休まず連日寺杷の牧場を襲っていた。
『どこかがスポンサーについているのだろうか、、。』
寺杷は、他の牧場がそういう事をしないか調べてみたが、他の牧場がそうしている気配はなかった。
『まぁ、なんどでも撃退してやる、、。』
寺杷のACは、広い場所を効率よく単機で長時間防衛が可能なように全体的にアセンブルされていた。
弾薬費のかからないエネルギーマシンガン、装甲の消耗を抑える事ができる範囲の広いエネルギーシールド、
自機がもしも守らなければならない地点を離れなければならないとしても、安心してその場を離れられるように設置型オービット、
短距離をすぐに移動できるようにオーバードブースト搭載コアと、
まさにテラワロースは牧場を守るために作られたACといえた。
だが、テラワロースには致命的な弱点があった。
対AC戦が極端に苦手なのだ。
しかし、牧場を襲うレイヴンなど、そして企業などがいるはずがないと、寺杷は考えていた。
そして実際に、牧場をレイヴンが襲う事などそうある事ではないのだ。
「ご苦労様、レイヴンさま。」
テラワロースに通信が入ってきた。娘のカナミからだ。
「ねぇねぇ、そろそろ声くらい聞かせてくれてもいいんじゃない?レイヴンさま~。」
牧場のACガレージには通信装置があり、そこからカナミは通信していた。
寺杷はカナミに、レイヴンの仕事の邪魔になるからと、通信をする事は禁止していたのだが、
カナミがそんな事を守るはずがなかった。
「レイヴンさま、この間の約束、守ってくれたね♪」
約束とは、絶対にこの事を寺杷に告げ口するなとの事だった。
テラワロースに乗っているのは寺杷自身だったが、告げ口されたとカナミを叱る事は絶対にできなかった。
テラワロースのパイロットであるレイヴンは、人前に絶対に姿を現さず、
プライベートでの付き合いはまったくしないから自分も会った事がないと、カナミに言ってしまったためである。
「ねぇねぇ、レイヴンさまが毎日食べてる食事、私が作ってるんだよ?すごいでしょ!!」
『、、、。』
「今日もテラワロースは無傷だね!」
『、、、、、、。』
「レイヴンさま、すっごく強いよねー。私、ほれぼれしちゃう、、。キャッ、私ったらなんてことを、、オヨヨ。」
『、、、、、、、、、。』
よくもまぁ、わが娘ながらこうも喋り続けてられるものだと、寺杷は思った。
むしろ黙れば黙るほど、カナミはヒートアップしているように見えた。
カナミ専用のラジエーターがあったら買ってきたいよ、とも寺杷は思った。
「、、、。」
突然、カナミが静まった。何事なのだろうと、寺杷が耳を傾けると、カナミは泣いていた。
「お願い、何か喋ってよぉ、、。私、寂しいの。
おとうさん、毎日仕事でほとんどいないし、、。最近は、食事の時にもいない事が多いの。
私、どうしたらいいんだろう。
こんな事言ったら悪い子だけど、、、
牧場なんてどうでもいいから、私、おとうさんと一緒にいたいよ、、。」
寺杷は、それを聞いて涙が出てきた。知らずにこんなに悲しい想いを娘にさせていたのだと。
「、、、レイヴンさま?もしかしてレイヴンさまも泣いてるの?どうしてレイヴンさまが泣くの?」
寺杷はもう、流れ的にも娘を無視する事ができなくなった。仕方ないので、寺杷は文字を娘に送信した。
『-チョット キミ ノ チチオヤオモイ ニ カンドウ シタダケ-』
送信した瞬間、なぜか通信から笑い声が聞こえる。何がおかしかったのだろう。
「レイヴンさま、いつもすごくクールに決め込んでるクセに、このくらいで感動して泣くんだねぇ。
あぁ、おかしい。寂しさも吹き飛んじゃったよ。」
どうやらカナミの中の、"レイヴンさま"のイメージを裏切ってしまったらしい。
さっきまですごく寂しそうに泣いてたくせに、その直後に自分でその事を このくらい呼ばわりするとは、
思いのほか自分の娘はしたたかだ、女の涙に騙されたと、寺杷は思った。
寺杷は、絵文字で怒り顔マークを送信した。
「ごめんごめん、怒っちゃった?ごめんね~。
お父さんには、こんな事言ってたなんて言わないでね。心配するから。」
寺杷は今度、牧場の仕事を休んで娘と一緒にいてあげようと思った。
-三日後 休日
その日寺杷は、ACを手に入れてから費用を節約するため停止していた警備システムを復活させ、
牧場の牛の世話を従業員と管理システムだけにまかせ、休日にする事にした。
かなみが何の風の吹き回しだろうと、寺杷の顔を覗き込むが、理由がカナミの涙というのは秘密だった。
「毎日牧場が一番のおとうさんが、仕事を休んで私と遊んでくれるなんて、、
突然死んだりしないよね?おとうさん。」
そこまでかまっていなかったのか、と寺杷は少し反省した。これからは休日を多くしようと思った。
15回目の攻撃から、牛泥棒も気配を見せないし、これからは大丈夫かもしれないとも、寺杷は思っていた。
だがしかし、それは嵐の前の静けさなのだった、、、。
続く
あらすじ
寺杷(てらわ)牧場を経営する寺杷は、牛泥棒を撃退するため、牧場を守るため、自らレイヴンになってACを手に入れたのだった、、!
第四話 涙
「うわわ、またあのACだ!逃げろ!!」
『ふぅ、これであれから15回目か、、どうなってるんだ?』
寺杷がレイヴンになってから、数週間が経っていた。
寺杷が防衛にあたってから、既に15回も、牛泥棒たちを追い返した。
『輸送機はちゃんと破壊しているんだがな、、。』
寺杷は牛泥棒たちが二度と牛を盗めぬように、来るたびに彼らのトラックやホバー車を確実に破壊していた。
普通の牛泥棒なら、足が壊された時点で、そうすぐに立ち直れはしないのだが、彼らは休まず連日寺杷の牧場を襲っていた。
『どこかがスポンサーについているのだろうか、、。』
寺杷は、他の牧場がそういう事をしないか調べてみたが、他の牧場がそうしている気配はなかった。
『まぁ、なんどでも撃退してやる、、。』
寺杷のACは、広い場所を効率よく単機で長時間防衛が可能なように全体的にアセンブルされていた。
弾薬費のかからないエネルギーマシンガン、装甲の消耗を抑える事ができる範囲の広いエネルギーシールド、
自機がもしも守らなければならない地点を離れなければならないとしても、安心してその場を離れられるように設置型オービット、
短距離をすぐに移動できるようにオーバードブースト搭載コアと、
まさにテラワロースは牧場を守るために作られたACといえた。
だが、テラワロースには致命的な弱点があった。
対AC戦が極端に苦手なのだ。
しかし、牧場を襲うレイヴンなど、そして企業などがいるはずがないと、寺杷は考えていた。
そして実際に、牧場をレイヴンが襲う事などそうある事ではないのだ。
「ご苦労様、レイヴンさま。」
テラワロースに通信が入ってきた。娘のカナミからだ。
「ねぇねぇ、そろそろ声くらい聞かせてくれてもいいんじゃない?レイヴンさま~。」
牧場のACガレージには通信装置があり、そこからカナミは通信していた。
寺杷はカナミに、レイヴンの仕事の邪魔になるからと、通信をする事は禁止していたのだが、
カナミがそんな事を守るはずがなかった。
「レイヴンさま、この間の約束、守ってくれたね♪」
約束とは、絶対にこの事を寺杷に告げ口するなとの事だった。
テラワロースに乗っているのは寺杷自身だったが、告げ口されたとカナミを叱る事は絶対にできなかった。
テラワロースのパイロットであるレイヴンは、人前に絶対に姿を現さず、
プライベートでの付き合いはまったくしないから自分も会った事がないと、カナミに言ってしまったためである。
「ねぇねぇ、レイヴンさまが毎日食べてる食事、私が作ってるんだよ?すごいでしょ!!」
『、、、。』
「今日もテラワロースは無傷だね!」
『、、、、、、。』
「レイヴンさま、すっごく強いよねー。私、ほれぼれしちゃう、、。キャッ、私ったらなんてことを、、オヨヨ。」
『、、、、、、、、、。』
よくもまぁ、わが娘ながらこうも喋り続けてられるものだと、寺杷は思った。
むしろ黙れば黙るほど、カナミはヒートアップしているように見えた。
カナミ専用のラジエーターがあったら買ってきたいよ、とも寺杷は思った。
「、、、。」
突然、カナミが静まった。何事なのだろうと、寺杷が耳を傾けると、カナミは泣いていた。
「お願い、何か喋ってよぉ、、。私、寂しいの。
おとうさん、毎日仕事でほとんどいないし、、。最近は、食事の時にもいない事が多いの。
私、どうしたらいいんだろう。
こんな事言ったら悪い子だけど、、、
牧場なんてどうでもいいから、私、おとうさんと一緒にいたいよ、、。」
寺杷は、それを聞いて涙が出てきた。知らずにこんなに悲しい想いを娘にさせていたのだと。
「、、、レイヴンさま?もしかしてレイヴンさまも泣いてるの?どうしてレイヴンさまが泣くの?」
寺杷はもう、流れ的にも娘を無視する事ができなくなった。仕方ないので、寺杷は文字を娘に送信した。
『-チョット キミ ノ チチオヤオモイ ニ カンドウ シタダケ-』
送信した瞬間、なぜか通信から笑い声が聞こえる。何がおかしかったのだろう。
「レイヴンさま、いつもすごくクールに決め込んでるクセに、このくらいで感動して泣くんだねぇ。
あぁ、おかしい。寂しさも吹き飛んじゃったよ。」
どうやらカナミの中の、"レイヴンさま"のイメージを裏切ってしまったらしい。
さっきまですごく寂しそうに泣いてたくせに、その直後に自分でその事を このくらい呼ばわりするとは、
思いのほか自分の娘はしたたかだ、女の涙に騙されたと、寺杷は思った。
寺杷は、絵文字で怒り顔マークを送信した。
「ごめんごめん、怒っちゃった?ごめんね~。
お父さんには、こんな事言ってたなんて言わないでね。心配するから。」
寺杷は今度、牧場の仕事を休んで娘と一緒にいてあげようと思った。
-三日後 休日
その日寺杷は、ACを手に入れてから費用を節約するため停止していた警備システムを復活させ、
牧場の牛の世話を従業員と管理システムだけにまかせ、休日にする事にした。
かなみが何の風の吹き回しだろうと、寺杷の顔を覗き込むが、理由がカナミの涙というのは秘密だった。
「毎日牧場が一番のおとうさんが、仕事を休んで私と遊んでくれるなんて、、
突然死んだりしないよね?おとうさん。」
そこまでかまっていなかったのか、と寺杷は少し反省した。これからは休日を多くしようと思った。
15回目の攻撃から、牛泥棒も気配を見せないし、これからは大丈夫かもしれないとも、寺杷は思っていた。
だがしかし、それは嵐の前の静けさなのだった、、、。
続く
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