「18:00 モリ・カドルVSキサラギ驚異のメカニズム」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「18:00 モリ・カドルVSキサラギ驚異のメカニズム」(2006/12/27 (水) 14:51:42) の最新版変更点
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「ついに……ついに完成したぞ!」
長めの椅子から一人の男が立ち上がる
「こいつらさえいれば、クレストやミラージュ、そしてバーテックスをも殲滅できる」
「これで……我らキサラギの時代がやってくる!」
部屋中に男の笑い声が響き渡る
アライアンスが三つに分裂した
クレストとミラージュとキサラギに……
「アライアンス所属のレイヴンは全員確保したのだが……」
モリはこの非常事態にアライアンスが分裂する事に疑問を覚えていた
「これじゃあバーテックスの思うつぼじゃないか……」
本部…いやクレストが三社の分裂の理由を話してくれた
「……それじゃあ首脳陣がおやつの100円ガムを奪い合ってこの様な事態に!?」
なんてくだらない理由なのだろう、これくらいなら嘘だと信じたい
「モリ、ピンチベックの左腕を交換しておいた、交換したと言ってもギミックは使えるぞ」
ピンチベックは先ほどの戦闘において左腕が破損したのだ
「それとピンチベックに増加装甲を施しておいた、機動性は低下するが相手は何をしてくるかわからん」
「付けておいた方が身のためだろう」
何かのフラグを感じるのだが……
「それでは本題に入ろう、キサラギが生体兵器の実験をしているのは猿でも考えられる話だが今回は少々厄介なことになった 」
「キサラギがレイヤード時代の生体兵器を造ったとの報告が来ている」
レイヤード時代の生体兵器……厄介や奴らが揃っている気がするよ……
「先ほどトライトン環境開発研究所に偵察隊を送り込んだのだがそれらしい施設に近寄れなかったとのことだ」
「そこで君にその施設を破壊して貰おうと言うことだ」
トライトン環境開発研究所に侵入したモリ、辺りに敵反応は見受けられない
地下の大きなホールにたどり着く、この先のゲートの向こうに施設があるらしい
ピンチベックを操作しゲートを解放する
そこには地下に繋がる物資搬送用のエレベータがあった
ピンチベックがエレベータに乗るとエレベータは動き出す、キサラギ派が見ているのだろうか
一分も経たないうちにエレベータが止まる、目の前に物資搬送用の大型車両が見える
クレストから通信が入る
「それでは、その車両の中に入ってくれ、キサラギ派の施設に向かえるかも知れん」
大丈夫だろうか……罠だったときのために戦闘態勢を整えておくか……
モリは大型車両に乗り込む
それをモニタ越しに見つめる研究員達
「さて、あれが私たちの息子達の最初の餌だな」
「最初の餌をMTどもにするのはもったいない」
「見せて貰おうか、クレストのACの性能とやらを」
動き出す大型車両、内部には物資が入っていると思われるコンテナが散乱している
横には後どれ位でキサラギの施設に着くかといった感じのボードが付いている
ボードの一番左には矢印が点滅している、一番右の矢印が点滅したら到着するといった感じだろう
突然上から換気口の蓋が落ちてくる、敵襲だろうか
「ちょっと待て、ま…まさか」
換気口から大きめのクモが何匹か侵入してくる、生体兵器である
「や…やっぱり!」
車両に侵入して来る蜘蛛型生体兵器をライフルを用い一体一体打ち落として行く
「ゴキブリは苦手なんだよぉ~」
生体兵器がゴキブリでもないのにそんなことを言い放つモリ
しかし、そんな情けない男の泣きっ面に蜂が襲いかかる
散乱しているコンテナが爆発し、中から蜘蛛型生体兵器が出てきたのだ
「う……UWAAAAAAN!!!!!」
最早声にならない叫び声を出しながらライフルを乱射し、生体兵器を踏みつぶすモリ
その姿はゴキブリを見つけてしまい、スリッパを持ってくる主婦に相当するだろう
「ハァ…ハァ…ハァ…終わった…のか……」
気がつくとボードの矢印は真ん中辺りを指し、辺りは蜘蛛型生体兵器の死骸が散乱している有様であった
モニタ越しに見つめている研究員達はそんなモリの有様を見て皆腹を抱えて笑っていた
そんな中、主任と思われる研究員が叫ぶ
「モリ君、キサラギハザードはまだ終わらんよ、存分に恐怖してくれ」
ガシャンと車体が急に揺れる
そして車体の左側が開き蜘蛛ともダニともつかない生体兵器が出てきたのだ!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
あんな出来事の直後でもある、ビックリしない筈がない
「消えろ、消えろ、消えろぉぉぉぉぉ!!!!!!」
生体兵器に向かって必死にダガーを振り回すモリ
しかし、その生体兵器はいくら斬られようともくたばる気配がない
それをモニタ越しに見ている研究員達
「……AC相手には十分な耐久力を持っているようだな、ルシャナ弐式部隊を配備しろ!」
「この前地中から掘り出した人型兵器三機ですか?」
どうやらキサラギは秘密裏に過去の人型兵器を掘り出していたようだ
「ルシャナに似ていませんけど……」
「と言うかこれって20年程前に放映されたアレに出てきた……」
その人型兵器はACと比べると遙かに大きく、装甲は若草色にペイントされていた
「ハァ…ハァ…ハァ…今度こそ終わりだよな?」
ついに生体兵器が息絶えたときには大型車両は終点のキサラギの施設に着いていた
施設に潜入するとクレストから通信が入ってくる
「モリ、正面のゲート以外は閉ざされている、罠だろうが正面突破を頼む」
「了解、今度は何が来るんだよ……」
正面のゲートを通過していくと今までのキサラギの偉業を示すかのように生体兵器のサンプルが並んでいる
「うわぁ……やっぱりキサラギはどうかしているよ」
広場に到達したその時、突然警報が施設内に響く
「急げ、ルシャナ二式部隊を配備しろ!」
左、右のエレベータからルシャナには全く似ていない人型兵器が降りてきた
左からは装甲が若草色にペイントされた大型マシンガンを持つ単眼のスキンヘッド兵器
右からは装甲が紫にペイントされた巨大なバズーカを持つ単眼のピザデブスカート兵器
そのどちらもが僕の予想を超える兵器であった
「……何だこいつら!?」
こんな兵器はテレビでしか見たことがない、キサラギの意欲作か!?
でも良かったよ、生体兵器が相手じゃなかったんだから
「こいつの性能を試すのにも良い機会だぜ」
「ここで消えて貰うぞ!」
ピザデブスカート兵器が発射してくるバズーカを避け、お返しと言わんばかりにガトマシを撃ち込む
しかし、遠距離からの攻撃である
当然集弾率も落ちるため、攻撃力の低下に繋がる
「そんなものが効くものか!」
背面から敵機が接近との警告が入る
「敵機を落とすなら後ろからってね!」
後ろからマシンガンを撃ち込んでくるスキンヘッド兵器
多少被弾する物の装甲に損傷は無いので良しとする
「嘘だろ、このマシンガンが効かないなんて!」
「そこっ!」
振り向きざまに動揺するスキンヘッド兵器の腰にダガーを斬りつける
「うわぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」
直後に大爆発を起こすスキンヘッド兵器
それを見たピザデブスカート兵器が斬りかかってくる
「ヤマダが殺られたか!」
「これでもッ!」
迫ってくるピザデブスカート兵器にグレネードを直撃させる
「チッ…脱出する!」
ピザデブスカート兵器も大爆発を起こした、増援が来ないうちに先に進む
長い廊下を擬似OB装置で駆け抜ける
増加装甲のせいで速度が多少落ちているが気にしないことにする
「……敵機…さっきの同型機か!?」
正面を見ると何かが急接近してくる、さっきの兵器の一種だろうか
擬似OB装置を使っていることもあって余計に速く見える
二機はお互いすれ違ったところで止まる
装甲が青にペイントされ、AC一機と張り合えるほどの武装を施された単眼の全身スラスター兵器
おまけに角まで付いている
見たところ、機動戦もこなせそうである
「こいつか……侵入者ってのは」
「レイヴン相手に不足はねぇッ!」
こっちはリボハンで牽制する物の全身スラスター兵器は尋常じゃない速度でかわしてくる
さらにかわしている間に手持ちのショットガンを撃ってくる余裕っぷりである
こちらは被弾してしまう物の装甲に損傷は見られない
「これで終わらせてやる!」
全身スラスター兵器が何かを投げつけてくる
「何だ!?」
その何かはピンチベックに巻き付き……これは地雷!?
途端にその地雷が大爆発を起こす、そして他の地雷にも連鎖していく
しかし、全身スラスター兵器のパイロットは予想もしなかった光景を目にする
「まだ増加装甲がやられただけだ!」
「な…なんだと!?」
ピンチベックのボロボロになった増加装甲がパージされ、傷一つ無い漆黒の装甲がその身をさらけ出したのだ
「蜂の巣になれ!」
動揺する全身スラスター兵器に容赦なくガトマシを撃ち込むモリ
全身スラスター兵器は全身を打ち抜かれ、スクラップと化してゆく
当然コクピットはミンチより酷い状態になっているだろう
中ではウイスキーボトルが弾丸に踊らされているのだろうと想像しているモリ
モリ……あのOVA見たろ……
全身スラスター兵器を撃破したのもつかの間、クレストから通信が入ってくる
「モリ、そこからまっすぐ進むと生体兵器試作プラントがあるはずだ、そこを叩いて欲しい」
「後、謎のACが大型車両に侵入し、そっちに向かっている、詳しいデータは少ししたら送るから用心しておけ」
そんな……またあの蜘蛛やらダニやらなんたらと戦わないといけないなんて……
大型車両に侵入した謎のAC、機体の基本構成はピンチベックと瓜二つ、しかしカラーリングは白一色
そして赤く光る単眼、一目見たら亡霊なのではと思わされてしまう
「……モリ・カドル……」
「こいつに私の機を託したのは間違いではなかったようだな……」
薄暗い通路を突き進むモリ
「今までのルートから考えるとここは地下深くの機密施設に当たるからきっとこの施設には動力炉の類があるはずだ」
「それを叩けばこの施設は爆発する!」
マップからの情報と施設内のエネルギー量から見てこのプラントの最深部には大規模な発電施設があるはず、モリはそう判断した
モリの目の前に数体の蜘蛛型生体兵器が立ちはだかる
「来るなよッ!」
蜘蛛型生体兵器をガトマシで破砕し、先を急ぐモリ
そしてそれをモニタ越しに見つめる研究員達
「ルシャナ二式隊長機もとい、ケンプファーが撃破されました!」
「もう遅いわ!」
研究員達の顔に焦りが浮かんでいる
「間違いない、奴はこの先の発電施設を狙っているな」
「3番ゲート閉めろッ、奴に最大の恐怖を教えてやれ!」
「主任、大変です!」
「どうした!」
研究員が異変を感じ取った様だ
「基礎フレームが酷似した白いACが入口のの一番ゲートを破壊しています!」
「ダニ型を出せ、2番、15番、18番ゲートを全て閉めろッ!」
「了解ッ!」
「12番通路に通信をつないでくれ、奴に本当の恐怖を味わって貰う!」
「ゲートが閉まっている……」
今、モリの目の前には3番ゲートという名の壁が立ちはだかっている
オートマップの情報によるとここを通らないことには発電施設に辿り着くことは不可能である
「やあモリ・カドル、よく来てくれたね」
天井のスピーカーから声が聞こえる
しかも通常では考えられないほどでの大音量である、スピーカーを潰したくなって来るじゃないか!
「いいか、よく聞い……」
しまった、うるさいとしか言いようのない声だからついスピーカーを撃ってしまったよ……
「ちょっと待ってくれ、何故撃……」
おっと、手が滑った
「これが最後のスピーカーだから聞いてくれ、一生のお願いだ!」
友達じゃあるまいし……
まあ、最後のスピーカーだと言うのならしょうがない、真偽ははっきりしないのだが……
「よく聞いてくれ、お前の左側にドアが見えるだろう」
左を向くと確かに人1人が通れるくらいのドアがある
「そこに入り、3番ゲート開放スイッチを押してきてくれたま……」
やっぱり撃っちゃったじゃないか……
クレストから通信が入ってくる
「モリ、仕方ないが先に進むためにそのスイッチを押してきてくれ」
「……了解」
コンソールにパスを入力し、ピンチベックをスリープ状態にする
次に僕がここに座ればわずか2秒(パス入力時間も含めて)でピンチベックは起動する
もっとも、どのACでもそこは同じなのだが……
ピンチベックから降り立つ男の影
レイヴンの中では比較的ほっそりとした体つきだ
腰のホルダーには護身用のハンドガン、生体兵器相手に互角に渡り合えるような装備ではない
せめて頼りになりそうな物と言えばホルダーの左側に付いているグレネードくらいだろう
パイロット用のヘルメットに顔が隠れているのでモリの表情を確認できないが
肩をぐったりと落としているところから見て相当スイッチを押しに行きたくない様だ
「依頼と言っちゃあ依頼だから仕方ないけどさぁ……はぁ~」
重い足取りで地獄への門に向かうモリ
そして若干躊躇いながらもドアを開けるモリ
この先に一体どんな恐怖が待っているというのか
開けてみればどっこい大きめの通風口と机が一つという殺風景な倉庫ほどの大きさの部屋である
机の上を見てみると無印良品のノートが置かれているじゃないか
読んでみますか? →はい いいえ
『私たちはついにここまで辿り着いた
何人かテスト中に試験体に食われたが問題はない、給料泥棒を一掃できたのだからな
この試験体を培養すれば隣の古代文明発掘プラントの奴らが掘り出したという人形などケチョンケチョンに出来る!
これさえあれば他企業を潰し、私が社長となるのも時間の問題となるのだ!』
これを書いた人は主任か誰かか、それにしても字から狂気が滲み出ている気が……
次のページにはモリが遭遇したレイヤード時代の生物兵器の特徴が細かく記されていた
そしてモリが遭遇した蜘蛛型生体兵器の親玉とも言える生体兵器も記されていた
しかし、そこから先は消しゴムで字が消されていて読めない状態であった
「あれ?」
ノートを裏返してみると誰かがいたずらしたのか、『夏休みの宿題』と書かれていた
……なんだよこれは、せっかくのやばい雰囲気が台無しじゃないか!
思わず机にノートを叩き付けるモリ、しかし彼はある物を発見する
「これって……スイッチかな?」
カチッ
その音と共に主任の罠がモリの居る部屋にゆっくりとその脚を進めていった
さて、スイッチも押したことだし、急いでピンチベックにってあれ?
ドアが全く動かない……閉じこめられたか?
なにやらイヤな感じがするが……
モリはハッと後ろの通気口を振り向く
「やだ…嫌だ~~~!」
通気口をぶち破り、AMIDA♂が一匹、部屋の中に侵入してきたのだ
つ…使えそうな武器は……グレネードだけ、そしてこいつを倒してもドアが開かない可能性がある
となったらやるべき事は一つだけ
「このドアを破壊してやる!」
……とは言っても……このドア、金属製じゃん
見たところ、このドアはグレネードでは破壊できそうにない
爆破するにしても、もっと破壊力のある爆弾でないと爆破できないだろう
グレネードで爆破したとしても、せいぜいドアをへこませるくらいが関の山だろう
モリは自らの頭をフル回転させる、そして、いくつかの選択肢の中から望みを賭けられる方法を見つけた
「これならッ!」
モリはドアの前に立ち、グレネードのピンを抜き取る、そして迫り来るAMIDAに向かって投げつけた
グレネードはAMIDAの眼前で破裂した、それを見たAMIDAはACが撃ってきたのかと勘違いし、酸を吐いてきたのだ
モリは間一髪で酸をかわし、AMIDAに言い放つ
「よ~し、良い子だ!」
そしてモリはすかさず酸によって溶けたドアをくぐり、愛機の元に駆け寄る
「見てろよ、キサラギの重役たちめ……」
モリは愛機のコクピットに乗り込み、パスを入力する
動き出すピンチベック、ちょいとお世話になったAMIDA♂を踏み潰し、先を急ぐ
クレストから通信が入ってくる
「謎のACの詳細が判明した、よく聞いてくれ」
「そのACはピンチベックと基礎フレーム、武装が同じ、そして色は真っ白だとのこと」
誰だよそんな物好きは
クレストはモリにとんでもないことを話した
「これは憶測なんだが……聞きたいなら30円払え」
宣伝コーナー
貴方も聞きたい?
クレストの憶測
一回30円
「吉田○車かよ!」
モリは呆れながらも30円を払う約束をした
「旦那、もしかしたらあのAC、死んだはずのジノーヴィが乗っているかもしれませんぜ」
モリはその憶測を聞き、お約束であるかのようにこう言い放った
「お、憶測でものを言うな!」
ちゃっかりクレストの憶測を聞いていたキサラギの研究員たち
主任はその憶測が本当にそうであることを確信していた
「ジノーヴィ、奴が生きていたとすればこの侵攻スピードにも納得がいく」
主任は眼鏡を外し、こう言い放った
「こうなったらザ・ハウス・オブ・アミダを実行するしかないな……」
近くにいた研究員がさりげなく突っ込みをかける
「主任、一体下のゲームセンターでどれだけ4をやってきたんですか……」
通路を突き進むモリはやがて分かれ道にぶつかった
「どっちに行こうか……うわっ!」
モリの正面に突然AMIDAの大群が現れたのだ
しかも人間の姿をしているじゃないか!
だが、その動き方からして人間と言うよりゾンビである
「なんだこれは、ふざけているのか!」
そう言い放ち、ガトマシを取り出すモリ
しかし、このガトマシには主任の罠が仕掛けられていたのだ!
「これでも食らえ!」
ガトマシを発射するモリ
体を蜂の巣にされバッタバッタと倒れていくAMIDA
ここでとんでもないアクシデントが発生した!
途端に弾を吐き出さなくなるガトマシ
「そんな……ここで弾切れ!?」
その時、上に取り付けられていたスピーカーからまたあの甲高い声が流れてきた
【どうだねモリ君、君がAMIDAと遊んでいる間にちょっとした小細工をさせてもらったよ】
チクショウ、このガトマシのことか!
主任はそのまま言葉を続ける
【これからはそのガトマシの弾が切れた際に振ってもらおうか】
確かにガトマシを振ってみると再び弾が飛び出すようになっている
キサラギの奴らも酷い真似をしてくれるものだ
AMIDAの大群を撃破するとT字路の奥が見える
右には人間体AMIDAの大群が待ちかまえているではないか
左には何もいないようだが伏兵が潜んでいるかもしれない
続く 更新ペースが遅いな……
「ついに……ついに完成したぞ!」
長めの椅子から一人の男が立ち上がる
「こいつらさえいれば、クレストやミラージュ、そしてバーテックスをも殲滅できる」
「これで……我らキサラギの時代がやってくる!」
部屋中に男の笑い声が響き渡る
アライアンスが三つに分裂した
クレストとミラージュとキサラギに……
「アライアンス所属のレイヴンは全員確保したのだが……」
モリはこの非常事態にアライアンスが分裂する事に疑問を覚えていた
「これじゃあバーテックスの思うつぼじゃないか……」
本部…いやクレストが三社の分裂の理由を話してくれた
「……それじゃあ首脳陣がおやつの100円ガムを奪い合ってこの様な事態に!?」
なんてくだらない理由なのだろう、これくらいなら嘘だと信じたい
「モリ、ピンチベックの左腕を交換しておいた、交換したと言ってもギミックは使えるぞ」
ピンチベックは先ほどの戦闘において左腕が破損したのだ
「それとピンチベックに増加装甲を施しておいた、機動性は低下するが相手は何をしてくるかわからん」
「付けておいた方が身のためだろう」
何かのフラグを感じるのだが……
「それでは本題に入ろう、キサラギが生体兵器の実験をしているのは猿でも考えられる話だが今回は少々厄介なことになった 」
「キサラギがレイヤード時代の生体兵器を造ったとの報告が来ている」
レイヤード時代の生体兵器……厄介や奴らが揃っている気がするよ……
「先ほどトライトン環境開発研究所に偵察隊を送り込んだのだがそれらしい施設に近寄れなかったとのことだ」
「そこで君にその施設を破壊して貰おうと言うことだ」
トライトン環境開発研究所に侵入したモリ、辺りに敵反応は見受けられない
地下の大きなホールにたどり着く、この先のゲートの向こうに施設があるらしい
ピンチベックを操作しゲートを解放する
そこには地下に繋がる物資搬送用のエレベータがあった
ピンチベックがエレベータに乗るとエレベータは動き出す、キサラギ派が見ているのだろうか
一分も経たないうちにエレベータが止まる、目の前に物資搬送用の大型車両が見える
クレストから通信が入る
「それでは、その車両の中に入ってくれ、キサラギ派の施設に向かえるかも知れん」
大丈夫だろうか……罠だったときのために戦闘態勢を整えておくか……
モリは大型車両に乗り込む
それをモニタ越しに見つめる研究員達
「さて、あれが私たちの息子達の最初の餌だな」
「最初の餌をMTどもにするのはもったいない」
「見せて貰おうか、クレストのACの性能とやらを」
動き出す大型車両、内部には物資が入っていると思われるコンテナが散乱している
横には後どれ位でキサラギの施設に着くかといった感じのボードが付いている
ボードの一番左には矢印が点滅している、一番右の矢印が点滅したら到着するといった感じだろう
突然上から換気口の蓋が落ちてくる、敵襲だろうか
「ちょっと待て、ま…まさか」
換気口から大きめのクモが何匹か侵入してくる、生体兵器である
「や…やっぱり!」
車両に侵入して来る蜘蛛型生体兵器をライフルを用い一体一体打ち落として行く
「ゴキブリは苦手なんだよぉ~」
生体兵器がゴキブリでもないのにそんなことを言い放つモリ
しかし、そんな情けない男の泣きっ面に蜂が襲いかかる
散乱しているコンテナが爆発し、中から蜘蛛型生体兵器が出てきたのだ
「う……UWAAAAAAN!!!!!」
最早声にならない叫び声を出しながらライフルを乱射し、生体兵器を踏みつぶすモリ
その姿はゴキブリを見つけてしまい、スリッパを持ってくる主婦に相当するだろう
「ハァ…ハァ…ハァ…終わった…のか……」
気がつくとボードの矢印は真ん中辺りを指し、辺りは蜘蛛型生体兵器の死骸が散乱している有様であった
モニタ越しに見つめている研究員達はそんなモリの有様を見て皆腹を抱えて笑っていた
そんな中、主任と思われる研究員が叫ぶ
「モリ君、キサラギハザードはまだ終わらんよ、存分に恐怖してくれ」
ガシャンと車体が急に揺れる
そして車体の左側が開き蜘蛛ともダニともつかない生体兵器が出てきたのだ!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
あんな出来事の直後でもある、ビックリしない筈がない
「消えろ、消えろ、消えろぉぉぉぉぉ!!!!!!」
生体兵器に向かって必死にダガーを振り回すモリ
しかし、その生体兵器はいくら斬られようともくたばる気配がない
それをモニタ越しに見ている研究員達
「……AC相手には十分な耐久力を持っているようだな、ルシャナ弐式部隊を配備しろ!」
「この前地中から掘り出した人型兵器三機ですか?」
どうやらキサラギは秘密裏に過去の人型兵器を掘り出していたようだ
「ルシャナに似ていませんけど……」
「と言うかこれって20年程前に放映されたアレに出てきた……」
その人型兵器はACと比べると遙かに大きく、装甲は若草色にペイントされていた
「ハァ…ハァ…ハァ…今度こそ終わりだよな?」
ついに生体兵器が息絶えたときには大型車両は終点のキサラギの施設に着いていた
施設に潜入するとクレストから通信が入ってくる
「モリ、正面のゲート以外は閉ざされている、罠だろうが正面突破を頼む」
「了解、今度は何が来るんだよ……」
正面のゲートを通過していくと今までのキサラギの偉業を示すかのように生体兵器のサンプルが並んでいる
「うわぁ……やっぱりキサラギはどうかしているよ」
広場に到達したその時、突然警報が施設内に響く
「急げ、ルシャナ二式部隊を配備しろ!」
左、右のエレベータからルシャナには全く似ていない人型兵器が降りてきた
左からは装甲が若草色にペイントされた大型マシンガンを持つ単眼のスキンヘッド兵器
右からは装甲が紫にペイントされた巨大なバズーカを持つ単眼のピザデブスカート兵器
そのどちらもが僕の予想を超える兵器であった
「……何だこいつら!?」
こんな兵器はテレビでしか見たことがない、キサラギの意欲作か!?
でも良かったよ、生体兵器が相手じゃなかったんだから
「こいつの性能を試すのにも良い機会だぜ」
「ここで消えて貰うぞ!」
ピザデブスカート兵器が発射してくるバズーカを避け、お返しと言わんばかりにガトマシを撃ち込む
しかし、遠距離からの攻撃である
当然集弾率も落ちるため、攻撃力の低下に繋がる
「そんなものが効くものか!」
背面から敵機が接近との警告が入る
「敵機を落とすなら後ろからってね!」
後ろからマシンガンを撃ち込んでくるスキンヘッド兵器
多少被弾する物の装甲に損傷は無いので良しとする
「嘘だろ、このマシンガンが効かないなんて!」
「そこっ!」
振り向きざまに動揺するスキンヘッド兵器の腰にダガーを斬りつける
「うわぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」
直後に大爆発を起こすスキンヘッド兵器
それを見たピザデブスカート兵器が斬りかかってくる
「ヤマダが殺られたか!」
「これでもッ!」
迫ってくるピザデブスカート兵器にグレネードを直撃させる
「チッ…脱出する!」
ピザデブスカート兵器も大爆発を起こした、増援が来ないうちに先に進む
長い廊下を擬似OB装置で駆け抜ける
増加装甲のせいで速度が多少落ちているが気にしないことにする
「……敵機…さっきの同型機か!?」
正面を見ると何かが急接近してくる、さっきの兵器の一種だろうか
擬似OB装置を使っていることもあって余計に速く見える
二機はお互いすれ違ったところで止まる
装甲が青にペイントされ、AC一機と張り合えるほどの武装を施された単眼の全身スラスター兵器
おまけに角まで付いている
見たところ、機動戦もこなせそうである
「こいつか……侵入者ってのは」
「レイヴン相手に不足はねぇッ!」
こっちはリボハンで牽制する物の全身スラスター兵器は尋常じゃない速度でかわしてくる
さらにかわしている間に手持ちのショットガンを撃ってくる余裕っぷりである
こちらは被弾してしまう物の装甲に損傷は見られない
「これで終わらせてやる!」
全身スラスター兵器が何かを投げつけてくる
「何だ!?」
その何かはピンチベックに巻き付き……これは地雷!?
途端にその地雷が大爆発を起こす、そして他の地雷にも連鎖していく
しかし、全身スラスター兵器のパイロットは予想もしなかった光景を目にする
「まだ増加装甲がやられただけだ!」
「な…なんだと!?」
ピンチベックのボロボロになった増加装甲がパージされ、傷一つ無い漆黒の装甲がその身をさらけ出したのだ
「蜂の巣になれ!」
動揺する全身スラスター兵器に容赦なくガトマシを撃ち込むモリ
全身スラスター兵器は全身を打ち抜かれ、スクラップと化してゆく
当然コクピットはミンチより酷い状態になっているだろう
中ではウイスキーボトルが弾丸に踊らされているのだろうと想像しているモリ
モリ……あのOVA見たろ……
全身スラスター兵器を撃破したのもつかの間、クレストから通信が入ってくる
「モリ、そこからまっすぐ進むと生体兵器試作プラントがあるはずだ、そこを叩いて欲しい」
「後、謎のACが大型車両に侵入し、そっちに向かっている、詳しいデータは少ししたら送るから用心しておけ」
そんな……またあの蜘蛛やらダニやらなんたらと戦わないといけないなんて……
大型車両に侵入した謎のAC、機体の基本構成はピンチベックと瓜二つ、しかしカラーリングは白一色
そして赤く光る単眼、一目見たら亡霊なのではと思わされてしまう
「……モリ・カドル……」
「こいつに私の機を託したのは間違いではなかったようだな……」
薄暗い通路を突き進むモリ
「今までのルートから考えるとここは地下深くの機密施設に当たるからきっとこの施設には動力炉の類があるはずだ」
「それを叩けばこの施設は爆発する!」
マップからの情報と施設内のエネルギー量から見てこのプラントの最深部には大規模な発電施設があるはず、モリはそう判断した
モリの目の前に数体の蜘蛛型生体兵器が立ちはだかる
「来るなよッ!」
蜘蛛型生体兵器をガトマシで破砕し、先を急ぐモリ
そしてそれをモニタ越しに見つめる研究員達
「ルシャナ二式隊長機もとい、ケンプファーが撃破されました!」
「もう遅いわ!」
研究員達の顔に焦りが浮かんでいる
「間違いない、奴はこの先の発電施設を狙っているな」
「3番ゲート閉めろッ、奴に最大の恐怖を教えてやれ!」
「主任、大変です!」
「どうした!」
研究員が異変を感じ取った様だ
「基礎フレームが酷似した白いACが入口のの一番ゲートを破壊しています!」
「ダニ型を出せ、2番、15番、18番ゲートを全て閉めろッ!」
「了解ッ!」
「12番通路に通信をつないでくれ、奴に本当の恐怖を味わって貰う!」
「ゲートが閉まっている……」
今、モリの目の前には3番ゲートという名の壁が立ちはだかっている
オートマップの情報によるとここを通らないことには発電施設に辿り着くことは不可能である
「やあモリ・カドル、よく来てくれたね」
天井のスピーカーから声が聞こえる
しかも通常では考えられないほどでの大音量である、スピーカーを潰したくなって来るじゃないか!
「いいか、よく聞い……」
しまった、うるさいとしか言いようのない声だからついスピーカーを撃ってしまったよ……
「ちょっと待ってくれ、何故撃……」
おっと、手が滑った
「これが最後のスピーカーだから聞いてくれ、一生のお願いだ!」
友達じゃあるまいし……
まあ、最後のスピーカーだと言うのならしょうがない、真偽ははっきりしないのだが……
「よく聞いてくれ、お前の左側にドアが見えるだろう」
左を向くと確かに人1人が通れるくらいのドアがある
「そこに入り、3番ゲート開放スイッチを押してきてくれたま……」
やっぱり撃っちゃったじゃないか……
クレストから通信が入ってくる
「モリ、仕方ないが先に進むためにそのスイッチを押してきてくれ」
「……了解」
コンソールにパスを入力し、ピンチベックをスリープ状態にする
次に僕がここに座ればわずか2秒(パス入力時間も含めて)でピンチベックは起動する
もっとも、どのACでもそこは同じなのだが……
ピンチベックから降り立つ男の影
レイヴンの中では比較的ほっそりとした体つきだ
腰のホルダーには護身用のハンドガン、生体兵器相手に互角に渡り合えるような装備ではない
せめて頼りになりそうな物と言えばホルダーの左側に付いているグレネードくらいだろう
パイロット用のヘルメットに顔が隠れているのでモリの表情を確認できないが
肩をぐったりと落としているところから見て相当スイッチを押しに行きたくない様だ
「依頼と言っちゃあ依頼だから仕方ないけどさぁ……はぁ~」
重い足取りで地獄への門に向かうモリ
そして若干躊躇いながらもドアを開けるモリ
この先に一体どんな恐怖が待っているというのか
開けてみればどっこい大きめの通風口と机が一つという殺風景な倉庫ほどの大きさの部屋である
机の上を見てみると無印良品のノートが置かれているじゃないか
読んでみますか? →はい いいえ
『私たちはついにここまで辿り着いた
何人かテスト中に試験体に食われたが問題はない、給料泥棒を一掃できたのだからな
この試験体を培養すれば隣の古代文明発掘プラントの奴らが掘り出したという人形などケチョンケチョンに出来る!
これさえあれば他企業を潰し、私が社長となるのも時間の問題となるのだ!』
これを書いた人は主任か誰かか、それにしても字から狂気が滲み出ている気が……
次のページにはモリが遭遇したレイヤード時代の生物兵器の特徴が細かく記されていた
そしてモリが遭遇した蜘蛛型生体兵器の親玉とも言える生体兵器も記されていた
しかし、そこから先は消しゴムで字が消されていて読めない状態であった
「あれ?」
ノートを裏返してみると誰かがいたずらしたのか、『夏休みの宿題』と書かれていた
……なんだよこれは、せっかくのやばい雰囲気が台無しじゃないか!
思わず机にノートを叩き付けるモリ、しかし彼はある物を発見する
「これって……スイッチかな?」
カチッ
その音と共に主任の罠がモリの居る部屋にゆっくりとその脚を進めていった
さて、スイッチも押したことだし、急いでピンチベックにってあれ?
ドアが全く動かない……閉じこめられたか?
なにやらイヤな感じがするが……
モリはハッと後ろの通気口を振り向く
「やだ…嫌だ~~~!」
通気口をぶち破り、AMIDA♂が一匹、部屋の中に侵入してきたのだ
つ…使えそうな武器は……グレネードだけ、そしてこいつを倒してもドアが開かない可能性がある
となったらやるべき事は一つだけ
「このドアを破壊してやる!」
……とは言っても……このドア、金属製じゃん
見たところ、このドアはグレネードでは破壊できそうにない
爆破するにしても、もっと破壊力のある爆弾でないと爆破できないだろう
グレネードで爆破したとしても、せいぜいドアをへこませるくらいが関の山だろう
モリは自らの頭をフル回転させる、そして、いくつかの選択肢の中から望みを賭けられる方法を見つけた
「これならッ!」
モリはドアの前に立ち、グレネードのピンを抜き取る、そして迫り来るAMIDAに向かって投げつけた
グレネードはAMIDAの眼前で破裂した、それを見たAMIDAはACが撃ってきたのかと勘違いし、酸を吐いてきたのだ
モリは間一髪で酸をかわし、AMIDAに言い放つ
「よ~し、良い子だ!」
そしてモリはすかさず酸によって溶けたドアをくぐり、愛機の元に駆け寄る
「見てろよ、キサラギの重役たちめ……」
モリは愛機のコクピットに乗り込み、パスを入力する
動き出すピンチベック、ちょいとお世話になったAMIDA♂を踏み潰し、先を急ぐ
クレストから通信が入ってくる
「謎のACの詳細が判明した、よく聞いてくれ」
「そのACはピンチベックと基礎フレーム、武装が同じ、そして色は真っ白だとのこと」
誰だよそんな物好きは
クレストはモリにとんでもないことを話した
「これは憶測なんだが……聞きたいなら30円払え」
宣伝コーナー
貴方も聞きたい?
クレストの憶測
一回30円
「吉田○車かよ!」
モリは呆れながらも30円を払う約束をした
「旦那、もしかしたらあのAC、死んだはずのジノーヴィが乗っているかもしれませんぜ」
モリはその憶測を聞き、お約束であるかのようにこう言い放った
「お、憶測でものを言うな!」
ちゃっかりクレストの憶測を聞いていたキサラギの研究員たち
主任はその憶測が本当にそうであることを確信していた
「ジノーヴィ、奴が生きていたとすればこの侵攻スピードにも納得がいく」
主任は眼鏡を外し、こう言い放った
「こうなったらザ・ハウス・オブ・アミダを実行するしかないな……」
近くにいた研究員がさりげなく突っ込みをかける
「主任、一体下のゲームセンターでどれだけ4をやってきたんですか……」
通路を突き進むモリはやがて分かれ道にぶつかった
「どっちに行こうか……うわっ!」
モリの正面に突然AMIDAの大群が現れたのだ
しかも人間の姿をしているじゃないか!
だが、その動き方からして人間と言うよりゾンビである
「なんだこれは、ふざけているのか!」
そう言い放ち、ガトマシを取り出すモリ
しかし、このガトマシには主任の罠が仕掛けられていたのだ!
「これでも食らえ!」
ガトマシを発射するモリ
体を蜂の巣にされバッタバッタと倒れていくAMIDA
ここでとんでもないアクシデントが発生した!
途端に弾を吐き出さなくなるガトマシ
「そんな……ここで弾切れ!?」
その時、上に取り付けられていたスピーカーからまたあの甲高い声が流れてきた
【どうだねモリ君、君がAMIDAと遊んでいる間にちょっとした小細工をさせてもらったよ】
チクショウ、このガトマシのことか!
主任はそのまま言葉を続ける
【これからはそのガトマシの弾が切れた際に振ってもらおうか】
確かにガトマシを振ってみると再び弾が飛び出すようになっている
キサラギの奴らも酷い真似をしてくれるものだ
AMIDAの大群を撃破するとT字路の奥が見える
右には人間体AMIDAの大群が待ちかまえているではないか
左には何もいないようだが伏兵が潜んでいるかもしれない
続く 更新ペースが遅いな……
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