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[AM 10:00 ルガトンネル]
――ルガトンネル。
先の特攻兵器により破壊された建造物の中で、かろうじてその形を残しているモノのひとつ。バーテックスが本拠地、サークシティへと繋がる道のひとつでもある。
このトンネルを走る線路は、あちこち崩落していて現在はほとんど使い物にはならない。
唯一、一本だけまともま線路が残されており、バーテックスがそれを修理し、輸送路として活用している。
――逆に言えばアライアンス側がこのルガトンネルを確保する事により、サークシティへの補給輸送路を確保できる、ということにもなる。
そして、バーテックスの襲撃予告があった数刻後、このルガトンネルはアライアンス戦術部隊の数多くの制圧ポイントのひとつとなり、戦術部隊はここにひとりのレイヴンを送り込んだ。
その名はトロット・S・スパー。白と黒と黄色のコントラストが美しい4脚AC、バリオス・クサントスを駆り、アライアンス戦術部隊の部隊長補佐として活躍している。
本来、彼が直接単独で戦場に赴くことは無い。
戦術部隊補佐という役職にいることもあり、通常は本隊と共に行動することが多い。
だが、今回は人手が足りず、しかもある理由によって彼が単独で行かざるを得なくなってしまった。
『トロット、仕事だ。例のレイヴンに依頼を回してみたのだが…どうやら振られてしまったようだ。』
今から一時間前、急襲を受けたファザード前線基地の処理を戦術部隊に指示していたところ、アライアンス戦術部隊隊長である、エヴァンジェから通信が入ってきた。
「回してみた…って、奴はこの基地を襲った張本人ですよ?受けるはずがない。」
『物は試し、と言うだろう。まあ結果的にはダメだったが、な。そこでだトロット、今からルガトンネルの制圧の命令をする。』
ルガトンネルはあちこち穴だらけ、バーテックスが修理中とのことで、制圧してしまえばこの輸送路を丸々横取りできる。しかもアライアンスの人手と順濁な資金と資源が
あれば、さらなる修理の加速も可能だ。
バーテックスは不思議なことに、この重要とも言える輸送ポイントを重視していないようで、最低限の防衛部隊と修理部隊しか配置していない。ただ単純に防衛ラインが行
き届いていないだけかもしれないが。
制圧するなら、今がチャンスということだ。
だが、今から数時間前に、とあるレイヴンにファザード前線基地を急襲され、さらにアライアンス本部管轄の無能共が、
それほど戦術上重要でなはいティルガン流通管理局の強行偵察の為に“強行的、かつ強制的に”戦術部隊の一部を持っていってしまった。
欲しいときに欲しいものというものはよく手に入らないもので、ルガトンネル制圧作戦には、ちょうど欲しいくらいの必要な人手がどうしても足りなかった。
トロットは、エヴァンジェの命令に「わかりました、これより至急制圧に向かいます。」と軽く返事をし、輸送機の手配をしてすぐさま乗り込み、目的地ルガトンネルへと
向かった。
――――――――――――――――――――――
ものの数十分後、トロットを乗せたAC、バリオス・クサントスは破損したルガトンネルの線路上空から落下していた。
『メインシステム、戦闘モードを起動します。』
頭部COMが、ACを戦闘モードへと移項させ、バリオスクサントスは空中で戦闘態勢に入る。
――レーダー内の敵反応は……わずか2機か。
線路に下りる前の上空から、トロットは敵の姿を視認する。
どうやら崩壊している路線の先と、制御アンカーの後ろにもう一機。合計2機のMTが見えた。
レドーム上のレーダーと一体型になっている大きなヘッドパーツが特徴のクレスト製MTは、両手に構える大型のスナイパーライフルをすぐさま落下してきたACに向かい
標準を合わせ、発砲してきた。
そのライフルのスピードと命中率、大きさ、攻撃力は中々高く、敵にとっては運良く、トロットにとっては運悪く一発その銃弾を受けてしまった。
一発程度の攻撃ではACはビクともしない。
トロットは冷静に右肩に装備している小型リニアキャノンを構え、左右に小刻みに歩行し敵の標準をずらしながらロックオン、高熱高反動のリニア砲弾を当てていく。
崩落した線路の先に配置されていたMTは、物陰に隠れる前にその砲弾を受け、転倒して谷底へと落ちていった。
あのMTは超長距離からの攻撃はできるが、移動に関しては亀そのものである。
もう一機は、一段高くなっている反対方向の線路上にいることは、すでにレーダーからわかっている。
すぐさまトロットは機体をジャンプ、ブースト移動でその線路を目指す。
ジュネレータの蓄積ENが少なく、空中移動には不向きのバリオス・クサントスだが、 EXTに装備されているJIRENがそそのEN不足を補っている。
ブースターで空中制御をしながら、もう一機のMTの頭に武器腕のエネルギーレーザーをお見舞いしてやった。
赤い2本の閃光がMTの身体を焼き尽くし、たまらず炎上する。
その間にバリオス・クサントスはJIRENを作動、EN回復を行い無事反対側に着地した。
炎上するMTの近くに、線路の制御用アンカーが設置されているので、トロットはいまだなお燃え続けているMTを先ほどの同MTと同じように奈落の底へと蹴り落とした
。
MTは崖にぶつかりながら花火を上げる。それを尻目に、トロットはさらにトンネルの奥へと進んでいく。
トンネルを抜けたそこには、上空に3機のMTが。AC用のホバーブースターを装着した非行型MTだ。
トンネルの出会い頭、トロットは集中砲火を浴びた。
が、ブーストでの高速スライドをしていたバリオス・クサントスはそれほど深刻なダメージを受けずに砲火ポイントを華麗にスルーする。
そしてスルーした先で、上空のMTに向かいリニアキャノンを発射した。
空中を飛んでいるとはいえ、ただの安物MT。強力なリニア砲弾を受けてまるでトンボ取りのように1機、2機と落ちていく。
最後の一機になったMTは、玉砕覚悟でバリオス・クサントスに突っ込んできた。
だが、ACとフラフラ飛んでいるMTとでは機動性に差がありすぎで、彼から見ればMTの動きは「眠くなる動き」そのもの。バリオス・クサントスは自分からブーストジ
ャンプでMTに激突させた。
突然の強襲にMTは空中で完全にコントロールを失った。その隙にバリオス・クサントスの武器腕がモードチェンジ、強力なエネルギーキャノンを発射させた。
先ほどのスナイパーMTに放った物よりも、高出力の物だ。
フラフラしていたMTは、フラフラするのを止め、下半身を吹っ飛ばされて制御を失い上半身とホバーブースターだけの姿で、風船のようにどこかへ飛んでいってしまった
。
「全ての敵反応の排除を確認。後続部隊、遅れるなよ。唯でさえ時間が無いんだからな。速やかに制圧しろ。」
残りは制圧部隊がやってくれるだろう。
任務は手際よく完了できた、この結果なら隊長っも満足だろう、いい土産ができたな。
トロットは、そんなことを思いながら、戦術部隊本隊と合流するために帰路へとついた。
この日、バーテックスからの襲撃予告から慌しい一日が始まった。
残った全てのレイヴンと、それに組する者達の生き残りをかけた、血生臭い生存競争の始まりである。
レイヴン達は、この24時間という短い時間の中、一体どのような運命を全うするのか。
そして、今回の主役であるトロット・S・スパーの運命は、果たして……?
[AM 10:00 ルガトンネル]
――ルガトンネル。
先の特攻兵器により破壊された建造物の中で、かろうじてその形を残しているモノのひとつ。バーテックスが本拠地、サークシティへと繋がる道のひとつでもある。
このトンネルを走る線路は、あちこち崩落していて現在はほとんど使い物にはならない。
唯一、一本だけまともま線路が残されており、バーテックスがそれを修理し、輸送路として活用している。
――逆に言えばアライアンス側がこのルガトンネルを確保する事により、サークシティへの補給輸送路を確保できる、ということにもなる。
そして、バーテックスの襲撃予告があった数刻後、このルガトンネルはアライアンス戦術部隊の数多くの制圧ポイントのひとつとなり、戦術部隊はここにひとりのレイヴンを送り込んだ。
その名はトロット・S・スパー。白と黒と黄色のコントラストが美しい4脚AC、バリオス・クサントスを駆り、アライアンス戦術部隊の部隊長補佐として活躍している。
本来、彼が直接単独で戦場に赴くことは無い。
戦術部隊補佐という役職にいることもあり、通常は本隊と共に行動することが多い。
だが、今回は人手が足りず、しかもある理由によって彼が単独で行かざるを得なくなってしまった。
『トロット、仕事だ。例のレイヴンに依頼を回してみたのだが…どうやら振られてしまったようだ。』
今から一時間前、急襲を受けたファザード前線基地の処理を戦術部隊に指示していたところ、アライアンス戦術部隊隊長である、エヴァンジェから通信が入ってきた。
「回してみた…って、奴はこの基地を襲った張本人ですよ?受けるはずがない。」
『物は試し、と言うだろう。まあ結果的にはダメだったが、な。そこでだトロット、今からルガトンネルの制圧の命令をする。』
ルガトンネルはあちこち穴だらけ、バーテックスが修理中とのことで、制圧してしまえばこの輸送路を丸々横取りできる。しかもアライアンスの人手と順濁な資金と資源があれば、さらなる修理の加速も可能だ。
バーテックスは不思議なことに、この重要とも言える輸送ポイントを重視していないようで、最低限の防衛部隊と修理部隊しか配置していない。ただ単純に防衛ラインが行き届いていないだけかもしれないが。
制圧するなら、今がチャンスということだ。
だが、今から数時間前に、とあるレイヴンにファザード前線基地を急襲され、さらにアライアンス本部管轄の無能共が、
それほど戦術上重要でなはいティルガン流通管理局の強行偵察の為に“強行的、かつ強制的に”戦術部隊の一部を持っていってしまった。
欲しいときに欲しいものというものはよく手に入らないもので、ルガトンネル制圧作戦には、ちょうど欲しいくらいの必要な人手がどうしても足りなかった。
トロットは、エヴァンジェの命令に「わかりました、これより至急制圧に向かいます。」と軽く返事をし、輸送機の手配をしてすぐさま乗り込み、目的地ルガトンネルへと向かった。
――――――――――――――――――――――
ものの数十分後、トロットを乗せたAC、バリオス・クサントスは破損したルガトンネルの線路上空から落下していた。
『メインシステム、戦闘モードを起動します。』
頭部COMが、ACを戦闘モードへと移項させ、バリオスクサントスは空中で戦闘態勢に入る。
――レーダー内の敵反応は……わずか2機か。
線路に下りる前の上空から、トロットは敵の姿を視認する。
どうやら崩壊している路線の先と、制御アンカーの後ろにもう一機。合計2機のMTが見えた。
レドーム上のレーダーと一体型になっている大きなヘッドパーツが特徴のクレスト製MTは、両手に構える大型のスナイパーライフルをすぐさま落下してきたACに向かい標準を合わせ、発砲してきた。
そのライフルのスピードと命中率、大きさ、攻撃力は中々高く、敵にとっては運良く、トロットにとっては運悪く一発その銃弾を受けてしまった。
一発程度の攻撃ではACはビクともしない。
トロットは冷静に右肩に装備している小型リニアキャノンを構え、左右に小刻みに歩行し敵の標準をずらしながらロックオン、高熱高反動のリニア砲弾を当てていく。
崩落した線路の先に配置されていたMTは、物陰に隠れる前にその砲弾を受け、転倒して谷底へと落ちていった。
あのMTは超長距離からの攻撃はできるが、移動に関しては亀そのものである。
もう一機は、一段高くなっている反対方向の線路上にいることは、すでにレーダーからわかっている。
すぐさまトロットは機体をジャンプ、ブースト移動でその線路を目指す。
ジュネレータの蓄積ENが少なく、空中移動には不向きのバリオス・クサントスだが、 EXTに装備されているJIRENがそそのEN不足を補っている。
ブースターで空中制御をしながら、もう一機のMTの頭に武器腕のエネルギーレーザーをお見舞いしてやった。
赤い2本の閃光がMTの身体を焼き尽くし、たまらず炎上する。
その間にバリオス・クサントスはJIRENを作動、EN回復を行い無事反対側に着地した。
炎上するMTの近くに、線路の制御用アンカーが設置されているので、トロットはいまだなお燃え続けているMTを先ほどの同MTと同じように奈落の底へと蹴り落とした
。
MTは崖にぶつかりながら花火を上げる。それを尻目に、トロットはさらにトンネルの奥へと進んでいく。
トンネルを抜けたそこには、上空に3機のMTが。AC用のホバーブースターを装着した非行型MTだ。
トンネルの出会い頭、トロットは集中砲火を浴びた。
が、ブーストでの高速スライドをしていたバリオス・クサントスはそれほど深刻なダメージを受けずに砲火ポイントを華麗にスルーする。
そしてスルーした先で、上空のMTに向かいリニアキャノンを発射した。
空中を飛んでいるとはいえ、ただの安物MT。強力なリニア砲弾を受けてまるでトンボ取りのように1機、2機と落ちていく。
最後の一機になったMTは、玉砕覚悟でバリオス・クサントスに突っ込んできた。
だが、ACとフラフラ飛んでいるMTとでは機動性に差がありすぎで、彼から見ればMTの動きは「眠くなる動き」そのもの。バリオス・クサントスは自分からブーストジ
ャンプでMTに激突させた。
突然の強襲にMTは空中で完全にコントロールを失った。その隙にバリオス・クサントスの武器腕がモードチェンジ、強力なエネルギーキャノンを発射させた。
先ほどのスナイパーMTに放った物よりも、高出力の物だ。
フラフラしていたMTは、フラフラするのを止め、下半身を吹っ飛ばされて制御を失い上半身とホバーブースターだけの姿で、風船のようにどこかへ飛んでいってしまった
。
「全ての敵反応の排除を確認。後続部隊、遅れるなよ。唯でさえ時間が無いんだからな。速やかに制圧しろ。」
残りは制圧部隊がやってくれるだろう。
任務は手際よく完了できた、この結果なら隊長っも満足だろう、いい土産ができたな。
トロットは、そんなことを思いながら、戦術部隊本隊と合流するために帰路へとついた。
この日、バーテックスからの襲撃予告から慌しい一日が始まった。
残った全てのレイヴンと、それに組する者達の生き残りをかけた、血生臭い生存競争の始まりである。
レイヴン達は、この24時間という短い時間の中、一体どのような運命を全うするのか。
そして、今回の主役であるトロット・S・スパーの運命は、果たして……?
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