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世界観SLPオリジナル(没シリーズ化)
「試験合格おめでとう。ここが君のガレージだ。」
無事に試験を突破した私はコーテックスの職員に案内され、ガレージに案内された。
「なにこれ?」
私は思わずそう声を漏らした。
見たことのないパーツが大量についたACが目の前にあるのだ。驚かないわけがない。
「君の機体だ。」
「なんていうかその!聞いてた機体と違うんですが?」
私が聞いていたのは一般的に"初期機体"と呼ばれる安価な機体だ。
「ああ、君は試験の結果が優秀だったからね。特別にこの機体を用意させてもらった。」
このコーテックス職員の笑顔はなんだろう。
「特別な機体なんですか?」
「特別だねぇ。なんといっても、まだ市場に出回ってない試作品満載だから。」
「試作品、ですか・・・」
「君、今市場に出回ってるパーツの知識はあるかな?」
「あ、はい。大体は把握しています。」
私は非公式のACオペレーターなどを経験していたので、ACの知識は一般レイヴン程度はある。
「じゃあこれを見てほしい。」
職員は私に書類の束を渡した。
私は書類に目を通す。
書類には頭部、腕部、脚部、ラジエーターのスペックが表記されていた。
「えっと、これに書いてあるスペックがあの機体のパーツの性能なんですか?」
「そう。明記されていない部位は既存パーツだ。」
私はまた書類に目を落として情報を整理する。
"CHD-GLITCH"「索敵能力と防御力を兼ねた実験型」頭部。
センサーやレーダーを完備しているのはすばらしい。
だが重量と消費ENに見合わないAPや防御の低さが気になる。
"MAL-303S"「ブレード使用時に安定した放熱率を誇る」軽量腕部。
重量と消費ENのバランスがよくブレード適正が非常に高いのが魅力。
しかし防御性能が致命的に低い・・・
"CLL-EM-070"「積載量を増加した軽量型」軽量脚部。
解説文の通り、中量二脚に迫る積載量を誇るのが特徴。
でも軽量パーツとはいえ防御性能が致命的に低く、旋回性能も低い。
"RIX-CR5000"「高性能だが極端に重い実験型」ラジエーター。
他の追随を許さない冷却性能なのだが、オーバースペックな気もする。
重量と消費ENがひどく、機体構成の足を引っ張る原因になりそうだ。
「うーん。」
書類をここまで読んでみて、私は思わず声がでた。
「どうしました?」
「え?いえ、なんでも!」
「気に入ってくれたかな?」
「私なんかがこんな機体を扱っていいかわかりませんが、うれしいです。」
「そうか。何か質問は?」
「えっと、じゃあ数点ほど。」
「なんだい?」
「コアはクレストの軽量OBタイプだと見てわかるんですけど、内装は?」
「ああ、確かにその資料には書いてなかったね。」
職員はそういいながら、私にまた新しい書類を渡してきた。
「それにその機体の構成と使用条件が書いてある。」
私は書類に目を落とす。
ブースターは最高出力最高EN消費の"CBT-FLEET"。
ジェネレーターは初期標準装備で低容量低出力の"CGP-ROV6"。
使用条件は"OPパーツ、FCSと武装のみ換装可。"とある。
「なにこれ・・・」
また思わず声に出してしまった。
試作機のテスト(?)なのだから、ベースの換装を禁止するのはわかる。
でもこのブースターとジェネレーターの組み合わせは・・・
「どうかしたかな?」
「私、この機体しか使っちゃいけないんですか?」
「うむ。できればそうしてほしい。」
「・・・」
私は言葉が出なかった。
確かに試作品のモニター役になるのはうれしい。
しかしEN管理などが致命的な一般的に"産廃"と呼ばれかねない機体で過ごせというのだ。
それも初期機体すらまともに扱ったことのない新米レイヴンに。(ただの新米と比べれば知識はあるが)
「この機体を使うことは、私にメリットはあるんでしょうか?」
「うーん、そうだねぇ・・・」
コーテックス職員は少し考え込む。
「この機体を使ってもらえるなら、別途に試作パーツも提供しよう。」
「ほかにも試作パーツがあるんですか?」
「武器が数点だったかな。市場には出回ってない。」
「じゃあこの機体、使います!」
"限定品"などの言葉に弱いのだ、私は。
例えそれがいずれ一般に普及するであろうものであっても。
「よし、じゃああとで追加パーツを送っておくからがんばってくれ。」
「あ、はい!」
職員がいなくなり、ガレージは私一人だけとなった。
「さて、使ってみるかなぁ。」
初期配布のライフルとブレードを機体に装備し、私はACに乗り込む。
「えーと、テストモード、テストモード・・・」
"メインシステム テストモードを起動します"
少し起動に戸惑ったが、テストモードが起動した。
重装備MT2機を相手にしたテストだ。
まだ操作に慣れていないが、とりあえずまずはブースターを吹かしながら飛び上がってみる。
「なにこれ、ふざけてるの?」
操作経験は試験で初期機体を少し使っただけだが、思わず愚痴をこぼしてしまった。
FLEETブースターなので瞬発力はあるのだが、とんでもない勢いでENが減っていき回復もとんでもなく遅い。
というか脚部が稼動状態だと全く回復しない。
機動戦主体の軽量ACにこれは酷だろう・・・
ENを回復させるために機体を休ませているとMTのバズーカが何度も当たった。
防御性能が低いのでAPがすごい勢いで減っていくが、オーバースペックなラジエーターのおかげで熱はあまりたまらない。
動いたり止まったりを繰り返しながらライフルでMTを撃っていく。
"ターゲットの消滅を確認しました システム、通常モードに移行します"
「ふう・・・」
気が抜けて思わずため息が出る。
私は基本操作はもう問題ないのだが、EN管理などの技術はまだ未熟だ。
操作だけでもいっぱいいっぱいなのに必要以上にEN管理に気を配らなければいけないので疲れる。
「武器変えようかな。」
気分転換も兼ねて、ACを降りてPCでアセンブルシミュレーターを起動する。
膨大なパーツが表示されるが、私が好きにいじれるのはFCSと武器だけだ。
フレームと内装のカテゴリのパーツには"LOCKED"と表示され、選択できない。
弾薬費を抑えるためEN武器が使いたいのだが、ジェネレーターが貧弱なせいで実質使用不可・・・
扱いやすく火力のある武器はないか?
そんなことを考えながらパーツを眺めていくとバズーカがいい感じに思えてきた。
バズーカは弾速は遅いがサイトは狭すぎないし、まあMT相手ならどうにかなるだろう。
重量と威力のバランスを考え、50発のものをチョイス。
FCSは最近評判のいいらしい"PLS-SRA02"をチョイス。
その2つを購入し、私は自室に戻ってその日はもう休んだ。
明日にはガレージにバズーカとFCSが届いているだろう。
次の日、ガレージに行くとコンテナが2つ届いていた。
1つは昨日買ったバズーカとFCS。もう1つは見たことがないパーツが数点。
「それが別途提供の試作品だよ。」
いつの間にか昨日のコーテックス職員が後ろにいた。
「使うかどうかは君次第だけどね。」
「そうですか。ところでそれをいうだけのために着たんですか?」
ACへのパーツ組み込み操作を行いながら職員に聞く。
「いや、君に依頼の紹介をね。」
「どんな依頼ですか?」
試作品の性能を確認しながら聞く。このブレードはよさそうだ、組み込もう。
「セクション517に集結している不審者の排除だ。」
「だけですか?」
「今のところは。その機体の実戦テストも兼ねてやってみてほしい。」
「わかりました。ブリーフィングファイルをください。」
「もうACの中で見れるはずだ。準備が出来次第、輸送ブロックに移動してくれ。」
職員はそういい残し、ガレージを去った。
私は大急ぎで機体の整備を終わらせ、ブリーフィングファイルを見ながら機体を輸送ブロックへ移動させた。
「レイヴン、はじめまして。」
「?」
輸送ブロックに到着すると突然通信が入った。
「私は、あなたの補佐担当者として任命されました、エマ・シアーズです。今後ともよろしくお願いします。」
どうやら私のオペレーターのようだ。
「よろしく。」
「輸送車の手配はすでに済んでいます。Bブロック輸送車内のハンガーに移動してください。」
「了解。」
事務的な感じがする女性だがこんなものなのだろう、ACのオペレーターなんて。
まあ、昔オペレーターやってた私も人のことは言えないか。
指示の通り、Bブロックの輸送車のハンガーにACを載せる。
「現地まで、ハンガーで機体をロックします。」
「了解。」
輸送車が動き出した。
私はもうすぐ実戦なんだ。改めてそう思い直して気を引き締める。
「それにしても、珍しい機体ですね。」
「え?」
突然エマから通信が入った。
「昨日試験に受かったばかりなのに、すごいですね。」
「ええ、まあ・・・試験の結果が優秀だったから特別に、とは聞きましたが。」
「そうですか・・・まもなく作戦領域です。幸運を。」
「了解。」
輸送車が止まった。
「ハンガーロック解除。エレベーターでセクション517へ降下してください。」
「了解。」
私は機体をエレベーターに移動させ、そのまま下降する。
もう戻れない。やられれば死ぬんだ・・・
改めてそう思いながら、覚悟を決めた。
セクション517。かつてクレストが本社を置いたセクションだが、今はただの廃墟。
何の用があって不審者がここにいるのかはわからないが、私はただ依頼を果たすのみだ。
「敵の戦力は不明です。慎重に行動してください。」
電力供給がなくなり照明もなくなっており、やや視界が限られている。
"メインシステム 戦闘モード、起動します"
レーダーを頼りに少し進むと、ロケットが飛んできた。
「うぐ・・・」
避けきれず被弾。突然の衝撃に嗚咽が漏れる。
どうやらもう察知されているようだ。
ロケットの弾道に注意しながら小刻みにブーストをしながら距離を詰めていく。
FCSがロックした対象にバズーカを慎重に撃ち込んでいく。
1発目HIT、2発目HIT、DESTROY。
「この耐久力、MTか。」
私はその調子で、周囲にいた残り2機のMTも排除する。
レーダーとマップを見ると、角を曲がったところに敵がいる。
角を曲がったらすぐ至近距離の位置だ。
そしてその先にもう1機。
被弾は避けられないだろう。
万全を期すため、脚部の待機状態を維持してENを回復させる。
角ぎりぎりまで歩行で移動し、曲がり角直前でブースト開始。
MT2機のロケットが連続で被弾するが、怯まずに曲がり角の1機をまずブレードで斬り捨てる。
DESTROY表示を確認した後、奥のMTをロック。
バズーカを撃つが、相手のロケットの狙いが正確でその反動で射線がずれてなかなか当たらない。
「くっ!」
無駄弾は撃ちたくなかったが、無駄なダメージ蓄積を抑えるために命中数を考えずに連射する。
ロケット掃射が止み、DESTROY表示確認。
また機体を落ち着かせ、EN回復の時間をとる。その間にマップとレーダーを確認する。
曲がり角の先には広場、敵反応3。
今度もまた、被弾は避けられないだろう・・・
私は手前のほうから撃破するプランを立て、FCSのロック対象を調整する。
(3、2、1、GO!)
頭の中でそう合図してブーストを吹かし突撃、攻撃開始。
予想通り被弾するが、ひるまずにバズーカを撃ち込む。
HIT、HIT、DESTROY。
ロケットの弾道とEN管理に気を配りながら次の対象を狙う。
HIT、HIT、DESTROY。
「これで最後!」
さっきまで無理やりロケットを回避しながら戦ってきたが、そろそろENが尽きそうだ。
レッドゾーンの警告音が耳障りだが、集中力を保ったままMTを狙う。
HIT、HIT、DESTROY。
レーダーにはもう敵影はない。
「ふう・・・」
「レイヴン・・・通信が入りました。」
私が一息ついたところで、エマからの通信が入った。
「武装犯の本隊が、隣の区画に集合しているとのことです。全て撃破してください。」
レーダーが更新され、隣の区画の方角に無数の敵影が新たに映る。
私はAPを確認する。あと50%といったところか。
バズーカの弾は30/50。なんとかなるか。
ENが回復しきるのを待って、ゲートを開く。
"セクションゲート開放中 セキュリティ維持のため、ゲートが閉じるまで待機してください"
レーダーを見る限りでは本隊といっても大して多くはなさそうだが、今のうちに一度緩んだ気を引き締めなおす。
そしてマップとレーダーを比べて状況分析、戦略プランを立ててみたが、敵戦力が不明では役にも立たないだろう。
数だけでいえば敵はゲートの直線上に3機と左右に3機ずつの計9機だ。
後方のゲートが閉まりきっているのを確認し、ゲートを開放する。
"セクションゲート開放中 セキュリティ維持のため・・・"
この放送を今度は最後まで聞く余裕はなかった。
すでに察知されていたらしく、ゲートが開くと同時に複数のロケットが飛んできたのだ。避けれずに被弾する。
回避を意識しながらバズーカで応戦してみるが、距離が離れておりなかなか当たらない。
遠距離からの回避だけでは埒が明かないので、OBで距離を詰める。
「ぐっ・・・!」
初体験の急加速によるGの衝撃で嗚咽が漏れる。
そして信じられない勢いで減っていくENゲージを見て、慌ててOBをカットする。
突然の加速でやや位置感覚が狂っているが、どうやらうまく敵の近くまで移動できたようだ。
近くのMTをブレードで排除したが、残ENが少ない。OBを使ったのは間違いだったか。
しかし目の前には攻撃をしてくる敵がいるのだ。後悔している暇などない。
残り2機もある程度近くなったので間を空けずにバズーカで排除し、EN回復の時間をとる。
ENが回復しきったら歩行で右側に移動し、前半最後の3機と同じ要領で排除。左側も同様に。
"作戦目標クリア システム、通常モードに移行します"
「ふう・・・」
「全目標の撃破を確認。レイヴン、お疲れさま。」
エマからの通信。
「昨日試験に合格したばかりなのに、すばらしい状況判断ですね。過去に何か経験でも?」
「オペレーターを少し。」
「え?貴方のようなオペレーターのことは聞いたことがありませんが・・・」
「アングラな活動だったから。コーテックスにはそのころの私の情報はないよ。」
「そうですか。でも私はただのオペレーター。これ以上の追求はしません。」
「うん。助かる。」
「それでは、作戦開始時のエレベーターで輸送車まで戻ってきてください。」
「了解。」
これでやっと帰れる。そう思うと私は一気に気が抜けた。
ACを修理に回してガレージに戻ると、昨日のコーテックス職員がいた。
「機体の具合はどうでしたか?」
「速度は十分だけど、EN周りが最悪。」
素直な感想を言った。
「そうですか。今後の活躍、期待していますよ。」
職員はそう言い残してガレージから去っていった。
何をしにきたんだあの人は。
そんなことを考えながらPCでアセンブルシミュレーターを起動する。
フレームと内装パーツはやはり"LOCKED"扱いのままだ。
昨日は試さなかったさまざまなパーツを組み合わせていくが・・・
「ああ、もう!」
思わず声が出てしまった。
どうやっても"重量過多"や"出力不足"の表示が頻繁に出るのだ。
原因はやはり試作品の頭部とラジエーターだろう。あと初期ジェネレーター。
これでは普通の機体で積めるものも積めない。
せめて内装だけでも変更できれば・・・
私は今後のことを考えながら頭を抱えた。
正直、あの機体ではいずれ私が死ぬ気がする。
「うーん、うーん・・・」
あの機体で使えるパーツ構成を考えながら意識が遠くなってきた。
そしてそのままPCの前で眠ってしまった。
「レイヴン、先ほどのミッションでの清算が済みました。」
「ZZZ...」
清算報告をしにエマがガレージを訪れると、PCの前で寝ているレイヴンがいた。
「まあ、しょうがない人・・・」
エマは自室から毛布を持ってきて、レイヴンの肩にかけた。
そしてレイヴンを起こさないように、こっそりPCに清算データを入力する。
「くすっ、かわいい寝顔。」
レイヴンの寝顔を見て声が出てしまった。
「それではおやすみなさい、レイヴン。ゆっくり羽を休めて。」
そういってエマはガレージの電気を消して去った。
派手な機械音で目が覚めた。
修理の済んだACの搬入作業が行われているようだった。
気がつくと、かけた覚えのない毛布が肩にかけてあった。
誰かわからないけど、ありがとう。
でもこの毛布、私のじゃないんだけど・・・
洗ったら返したいんだけど誰のでしょうか?
~Fin~
解説とか
当初はシリーズ化しようと思った作品なんだけど、シリーズ化は諸事情で廃止になりました。
主人公が元オペレーターというのはその名残。
ミッション内容や戦闘面での挙動は完全にゲーム準拠。
実際の自分のプレイを元に書き下ろしました。
このアセンはかなりピーキーで、慣れないとかなり扱いに苦戦します。
でもそのせいで「初期ジェネ&最高消費ブースター」の縛りプレイに目覚めました!
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