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「こちらシューティングスター、後は任せろ!」(2011/11/11 (金) 01:15:58) の最新版変更点
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「さーて。今日もお仕事お仕事!」
俺はいつものように陽気に気合を入れながら仕事へ出かける。
俺の仕事・・・それは基幹高速道での週間契約の警備だ。
1週間雇われ、あとは何も起こらなければ待機室で自由に過ごして終わるだけの簡単なお仕事だ。
簡単である以上は報酬は少ないのだが、それでもこの仕事に俺は満足している。
それほど治安の悪くはないこのご時世だ。
楽して報酬が手に入るならこんなおいしい仕事をしないという選択肢はない。
それに、少ないとはいっても一般人の収入に比べれば十分多い。
どうしてか?
答えは簡単だ、俺がレイヴンだからだ。
レイヴンへの報酬にはACの整備などを踏まえた上で多めに設定されている。
ACを動かせば整備費で手取りが減ってしまうが、平和なときには報酬が丸ごともらえる。
ACを動かした場合でもその活動に応じた追加手当が支給され、総額では平和なとき以上の報酬がもらえる。
普通の依頼をこなしたほうが当然報酬は多いのだが、俺はこれで満足している。
俺は危険を冒してまで大金を狙うほど、金の亡者じゃないからな。
大体はその地域の警備部隊がトラブルを解消してくれるため、俺の出番はほとんどない。
あくまでも有事の際の保険として雇われているだけだろう。
だが出番がないからこそ、俺はこの仕事を選んでいるんだ。
『レイヴン、緊急事態だ!至急B26区画へ向かってくれ!!』
珍しく俺の待機室に通信が入る。
「B26区画?」
その区画は俺の担当ではない。
『今この区画の周辺ですぐに動けるレイヴンは君だけなんだ!』
「報酬はどうなる?」
『当然、大幅に増額させてもらう。トレーラーの手配は済んでいる、今すぐ向かってくれ!』
「了解、出撃する・・・」
俺は乗り気じゃないが、報酬が掛かっているので仕方なく受諾する。
ここで断ってしまって契約も報酬もキャンセルになってしまったらたまったものじゃないからな・・・
急いで着替えて休憩室を出て、あらかじめトレーラーに積載してあるACに乗り込む。
「準備完了、出発してくれ。」
『了解、B26区画へ向かう。』
久々の仕事だ・・・
『目標地点到達、ACを降ろしてくれ。』
「了解、ミッションを開始する。」
[戦闘システム 起動]
移動中に確認したが今回の目標はこの区画で暴れているACの排除だそうだ。
俺はACを実戦で相手するのは初めてだが、何とかなるだろう。
俺に挑んでくる相手は俺にはいつも勝てないのだ。
上位への挑戦は常に負け続きだが、いつも試合で調子が悪いだけだ。
「目標まではまだ距離があるな・・・」
ここは一つ、格好よく登場してやるか。
そう思った俺はオープン回線を開く。
「こちらシューティングスター、後は任せろ!」
俺の名前はグローバルコーテックスに登録されている。
一般的な人間ならレイヴンの存在を敵に回すことほど恐ろしいものはないはずだ。
これは相手の降参も視野に入れた威圧だ。
素直に降参してもらえれば大した減額もなく俺は普段以上の報酬を得る。
降参した相手も怪我すらすることなく、ただ罰されるだけだ。
つまりこれこそが万事うまくいく流れだと俺は考える。
俺の考えはあっさりと突き崩された。
目の前には一般車両の残骸の山、そしてその残骸をさらに踏みにじるACが1機。
どうやら俺が来てもこのACは俺が来ても関係なく暴れ続けるようだ。
敵ACはコーテックスから支給された初期機体そのものだ。
コーテックスへの照会によるとこれはつい最近登録された新人レイヴンのものらしい。
「新人レイヴンが俺と戦場で相手になるとはな、運の悪いやつだ。」
俺はEOを展開し、パルスライフルとの一斉射撃で集中攻撃を加える。
基幹高速道は狭い空間だ。大した回避などできるはずもない。
ましてや相手が初期機体ならば。
だが俺の読みは外れた。
敵ACは集中攻撃をOBで回避し、さらに距離を詰めた上で俺のパルスライフルをブレードで破壊したのだ。
「新人のくせに!」
残されたロケットで敵ACを狙うが、予想外の事態に動揺した俺は狙いが定まらずに次々と弾が無駄になる。
その間にも敵ACの攻撃は俺のAC"キングフィッシャー"のAPを削り取り、蓄積された熱から熱暴走を開始する。
ロケットの弾がなくなる頃には展開しっぱなしのEOの弾も切れ、残された武装はブレードのみとなった。
「この俺が・・・新人レイヴンなんかに!」
必死にブレードで捕らえようとするが、ブレードだけの状態でOBとEOのコアの違いの差は大きい。
基幹高速道の中の狭い空間をその外見からは考えられない機動性で縦横無尽に飛び回る敵AC。
俺はそれに振り回されるのがやっとだった。
『レイヴン、援護する!』
通信が入る。
どうやらこの区画の警備部隊が俺の援護に現れたようだ。
だが、警備部隊が現れると同時に敵ACは撤退した。
多勢に無勢だと判断したのか?
『全く、今まで何をしていたんだ?』
機体中から火花を散らす俺の機体を見た警備部隊からの通信が聞こえる。
「ふん、今日は調子が悪かっただけだ!調子がよければこんなことには・・・」
警備部隊の苦笑が聞こえる。
だがそんなことなどどうでもよかった。
ともかく俺は助かった。
敵ACもどうにかいなくなった。
これで問題なく報酬が手に入るだろう、そう考えるだけで俺は十分に満足だった。
~fin~
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