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その二人は、
ごく普通の出会いをし
ごく普通の恋愛をし
ごく普通の結婚をしました
ただ一つ違っていたのは
奥様はレイヴンだったのです
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《朝》
ダーリン「んん~~。ハニー、なんだいこの音は……もう少し寝たいよ……」
ハニー(ジナイーダ)「そんなことを言っている場合かダー……ダーリ……ええい! さっさと起きろ!」
ダーリン「きゃぶっ!……ハニー、恥ずかしいからって僕をベッドシーツごと下に落とさないでくれよ……」
アハハハハハハ(アメリカのホームコメディーによくかぶさるスタジオの笑い声)
ダーリン「だいたい今日は日曜じゃないか。どうしてそんなに慌ててるんだい?」
ハニー「今日は急にお客がくることになってな。ファントムというんだ」
ダーリン「知らない人だね。もうすぐ来るのかい?」
ハニー「ああ。私が出撃しなければ、あと五分ほどでこの家がバズーカの射程内に入って粉みじんになる」
ダーリン「!?」
ハニー「安心しろ。残骸くらいは残る。ライウン砲ならば蒸発するからな。まだマシだ」
ダーリン「あんまり変わらないよハニー!」
アハハハハハハハハ
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《お給料》
ダーリン「ハニー、今日は給料日だよ! 42C入ったから、今日は外にご飯を食べに行こうよ!」
ハニー「そうか、たまにはいいな。お前もずいぶん痩せてきたからな。たまには外で思いっきり食べようか」
ダーリン「そうだね! うちでご飯を食べるとなぜかしょっちゅうおなかを壊して……」
ハニー「何か言ったか?」
ダーリン「何も言ってないよハニー! だからファシネイターのマシンガンを向けるのはやめてほしいな!」
アハハハハハハハハハ
ハニー「そういえば、私の給料も今日振り込まれているはずだ」
ダーリン「いくらだい?」
ハニー「たいしたことのない任務だったからな、たったの7800Cだ」
ダーリン「僕が働いている意味が分からないよハニー!」
アハハハハハハハハハ
ハニー「しかし、ACはずいぶんと金がかかるからな。修理費に4264C、弾薬費に1538C、
燃料、その他諸経費2000C…………あっ」
ダーリン「?」
ハニー「……すまん、2C貸してくれ」
ダーリン「高額のはずなのになんだか地味な貸し借りに思えてくるよハニー!」
アハハハハハハハハハ
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《ゲーム》
ハニー「このっ! このっ!」
ダーリン「どうしたんだいハニー? ゲームにずいぶん熱くなってるね」
ハニー「ああ、どうしてもAC4がクリアできなくてな。悔しくて熱暴走しそうだ」
ダーリン「4は操作性が違うと言われているしね。それで、どこがクリアできないんだい?」
ハニー「どうしても黄色中隊が落とせない」
ダーリン「面白いのは認めるけど、僕は君がそれをやっていることに違和感を覚えずにはいられないよ」
アハハハハハ
ハニー「まったく、ファシネイターさえあればあんな黄色いハエなんて一網打尽なのに」
ダーリン「怖いことを言わないでおくれよハニー。ACならロボットのほうをやろうよ」
ハニー「アナザーセンチュリーか?」
ダーリン「ACと略されることすら忘れられてたゲームを晒し上げるのはやめようよハニー」
ほら、僕のデータでラストレイヴン起動させたよ」
ハニー「すまないな。それじゃ、ファシネイターを作ってライウンでも倒してくるか
……って、全然勝てないぞ! どうなっているんだ!?」
ダーリン「ハンドレールガンを装備しているだけでも自機として駄目だと気づこうよ」
ハニー「腹が立ったから今からライウン潰して懸賞金もらってくる」
ダーリン「そんな理由で戦いに赴かないでよハニー!」
アハハハハハハハハハ
ライウン「え? もちろん負けましたよ」
アハハハハハハハハハハハハハハハハハ
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《旅行》
ハニー「お前と二人っきりで旅行なんて、初めてだな」
ダーリン「……………そうだね、ハニー」
ハニー「私は、あまりおしゃれなんかも知らないし、贅沢も好きじゃない
そのせいでお金がたまったら、お前とこうして遠出をしたいと思っていたんだ」
ダーリン「………そう………うれしいよ……」
ハニー「……おい、お前」
ダーリン「……………」
ハニー「迷惑ならそう言え! どうしてずっとそんな仏頂面をしているんだ! そんなに私と出かけるのが嫌か!」
ダーリン「そんなこと……ないけど………」
ハニー「ならなんだ!?」
ダーリン「できれば……僕は……AC以外の交通手段がよかったよハニー………」
アハハハハハハハ
ハニー「慣れれば快適だぞ」
ダーリン「僕はちっとも慣れてないよハニー……」
ハニー「復座式にするのは大変だったんだぞ」
ダーリン「それでも常時350km以上で動かされると……うぷ………胃の中身どころか、胃そのものが飛び出しそうだよ……」
ハニー「敵が来ても大丈夫だ」
ダーリン「夫婦水入らずの旅行で……敵とか考えたくないよ……」
ハニー「以外とわがままだな、お前」
ダーリン「反論する気力すら湧かないよハニー………」
アハハハハハハハハハ
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《ご挨拶》
ダーリン「き、緊張するよハニー……」
ハニー「そう固くなるな。父も母も優しい人だ。きっと暖かく迎えてくれるさ」
ダーリン「結婚してから、今日がはじめてのご挨拶だからね……でもどうして待ち合わせ場所がガレージなんだろう?」
ハニー「ああ、父も母もレイヴンだしな」
ダーリン「初耳だよハニー! 先に言ってよ!」
アハハハハ
ハニー「だからなんだ? 両親がレイヴンだと、なにか不都合があるのか?」
ダーリン「そういうわけじゃないんだけれど」
ハニー「まだるっこしいな、何が言いたいんだ」
ダーリン「ガレージの奥のACが僕にグレネードを向けてる理由が分かっちゃった気がして
あれ、ハニーは知ってるAC?]
ハニー「…………父のAC、デュアルフェイスだ」
アハハハハハハハハ
ダーリン「…………それで、たった今横からグレとショットガンで義父さんのAC転ばせて踏みつけて
コックピットから引きずり出して外部音声で怒ってる配色がよく似たACは?」
ハニー「……母のAC、ジオハーツだ」
アハハハハハハハハハ
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