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通路に車輪の回る音が響いていた。
王小龍の座った車椅子をリリウムが押していた。その横と後ろに、SP。
まっ黒なドアの前でリリウムはSPたちにお辞儀をし、その中へ車椅子を押して入った。
SPたちはその場で直立不動で立っている。彼らの表情は、無だ。
@@@
『なるほど、オッツダルヴァ。霞スミカの弟子があの改造ランドクラブをやったとな』
『ああそうだ、お前ら老人達も覚悟してもらはねばならない。
奴には注意が必要だ。少々強すぎる』
『なるほど、あの師匠あっての弟子、ということか』
「オッツダルヴァ様、王大人にそのような口のきき方、少し無礼かと」
リリウムはモノリスに向かって指摘した。王は彼女を手で制し、オッツダルヴァに向って言った。
『まあいい、オッツダルヴァ。その弟子には好きにやらせておけ。
きっとスミカが良い方向に修正してくれるだろう』
『だといいがな。あとはオールドキングだけか』
『奴は不安要素の塊だ。早めに摘み取っておくべきだった』
『同感だ。……アルテリア施設の図面は確かに受け取った。計画を始める。……邪魔はするなよ』
『邪魔などしないさ。お前の好きにすれば良い』
『契約成立か。そうかあとは……そうだな』
『なんだ?』
『俺は最早オッツダルヴァではない。テルミドール……マクシミリアン=テルミドールだ!』
『おおそうだったな。ではテルミドール……期待しているぞ?』
『……人類に栄光を!』
モノリスが薄れ、何も無くなった。リリウムが口を開く。
「このような約束、本当にするおつもりですか、王大人」
『ほうリリウム。俺が約束破りの嘘吐きであると言うのかな」
「いえ、そんなつもりでは……」
『ふふふ。まあそうなんだがな。……リリウム?』
「はい、王大人、なんでしょう」
『そろそろ此処を出たいんだがな』
「私も、そう思っておりました、王大人」
@@@
二人が部屋から出ると、相変わらずの直立不動でSPたちが待っていた。
二人は彼らに視線も合わせずただ通路を歩いて行く。SPは何も言わず、ただついて行くだけだった
リリウムは王を彼の自室へ連れて行き、ベッドに寝かせた。
この痩せこけた老人にどれだけ権力が集中しているのかは、見ただけでは分からないだろう。
BFFは勿論のこと。GAを手中に入れ、BFFを再建させたのも彼だ。
オーメルですら彼の掌にあり、イクバールやインテリオルにも根を張り始めている。
オーメルを介してORCA旅団に資金提供させたのも彼だ。
ネクストは最強の兵器だ。うまく使えば世界を破壊できる。たった一機でだ。
そしてそれを行った、いや、これから行う筈のオールドキング。彼の行いで世界は一度破滅したのだ。
ORCA旅団が接収したアルテリアは破壊され、エネルギー切れになったクレイドルは全て汚染された地上に落ちた。
アルテリアからの猛毒のコジマ粒子によって人類はつぎつぎと死滅していった。
オールドキングは最初、クレイドルを全機自分で落そうと考えていた。
しかしそれは不可能なことだ。だからORCAが押さえたアルテリアを破壊することによって、簡単に大多数の人類を殺すことが出来たのだ。
この作戦を考え出したのは彼ではない。彼は殺すことしか能がなかった。
彼に作戦を指示したのは誰を隠そう、王小龍その人だ。彼が人類抹殺計画の首謀者だった。
王小龍は計画後地上から姿を消した。そして地下に潜った。
地上は重コジマ粒子に汚染され、住めなくなったが、価値がない訳では無かった。
むしろ利用価値は高まった。地球全土が大規模コジマ汚染に侵されれば、地球全部がアルテリア施設となったも同じ。
全ては彼の仕組んだこと。計画通りだ。
王小龍はやがて衰え死んだが、リリウムに後を託した。そしてレイヤードは築かれた。
保存されていた人間や動物の卵子と精子を、遺伝子を書き換え交配、培養を繰り返し、出来上がる幾多の地下都市に植え付けていった。
姿形が元となった生物とは似ても似つかぬ様になったものもいた。だがそれで良かった。
王小龍の計画とは、真の意味での『人類』を培養すること。それを胞子とし宇宙へ放つことだ。
選び抜かれた胞子は宇宙へと進出し、新たな大地に根付くだろう。
彼は全てを支配したかった。全宇宙を手に入れたかった。
ちっぽけな人間の考え出したただ一つの宇宙征服。
これがその真相だ。
終わり。
通路に車輪の回る音が響いていた。
王小龍の座った車椅子をリリウムが押していた。その横と後ろに、SP。
まっ黒なドアの前でリリウムは屈強なSPたちにお辞儀をし、その中へ車椅子を押して入った。
SPたちはその場で直立不動で立っている。彼らの表情は、無だ。
@@@
『なるほど、オッツダルヴァ。霞スミカの弟子があの改造ランドクラブをやったとな』
『ああそうだ、お前ら老人達も覚悟してもらはねばならない。
奴には注意が必要だ。少々強すぎる』
『なるほど、あの師匠あっての弟子、ということか』
「オッツダルヴァ様、王大人にそのような口のきき方、少し無礼かと」
リリウムはモノリスに向かって指摘した。王は彼女を手で制し、オッツダルヴァに向って言った。
『まあいい、オッツダルヴァ。その弟子には好きにやらせておけ。
きっとあの師匠が良い方向に修正してくれるだろう』
『だといいがな。あとはオールドキングだけか』
『奴は不安要素の塊だ。早めに摘み取っておくべきだった』
『同感だ。……アルテリア施設の所在地と図面は確かに受け取った。計画を始める。
……邪魔はするなよ』
『邪魔などしないさ。お前の好きにすれば良い』
『契約成立か。そうあとは……そうだな』
『なんだ?』
『俺は最早オッツダルヴァではない。テルミドール……マクシミリアン=テルミドールだ』
『おおそうだったな。ではテルミドール……期待しているぞ?』
『ふん……人類に栄光を』
デジタルのモノリスが崩れ、何も無くなった。リリウムが口を開く。
「このような約束、本当にするおつもりですか、王大人」
『ほうリリウム。俺が約束破りの嘘吐きであると言うのかな」
「いえ、そんなつもりでは……」
『ふふふ。まあそうなんだがな。……リリウム?』
「はい、王大人、なんでしょう」
『そろそろ此処を出たいんだがな』
「私も、そう思っておりました、王大人」
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二人が部屋から出ると、相変わらずの直立不動でSPたちが待っていた。
二人は彼らに視線も合わせずただ通路を歩いて行く。SPは何も言わず、ただついて行くだけだった
リリウムは王を彼の自室へ連れて行き、ベッドに寝かせた。
この痩せこけた老人にどれだけ権力が集中しているのかは、見ただけでは分からないだろう。
BFFは勿論のこと。GAを手中に入れ、BFFを再建させたのも彼だ。
オーメルですら彼の掌にあり、イクバールやインテリオルにも根を張り始めている。
オーメルを介してORCA旅団に資金を提供したのも彼だ。
ネクストは最強の兵器だ。うまく使えば世界を破壊できる。たった一機でだ。
そしてそれを行った、いや、これから行う。彼はオールドキング。彼の圧倒的な暴力で世界は一度破滅したのだ。
ORCA旅団が接収したアルテリアは破壊され、エネルギー切れになったクレイドルは全て汚染された地上に落ちた。
発狂したアルテリアから噴き出すの猛毒のコジマ粒子によって人類はつぎつぎと死滅した。
オールドキングは最初、クレイドルを全機自分で落そうとした。
しかしそれは不可能なことだ。だからORCAに抑えられた後の警備の手薄になったアルテリアを破壊することによって、簡単に大多数の人類を殺すことが出来たのだ。
この作戦を考え出したのは彼ではない。彼は殺すことしか能がなかった。
彼に作戦を指示したのは誰を隠そう、王小龍その人だ。彼が人類抹殺計画の首謀者だった。
破壊者オールドキングは全てのアルテリア 及び全ネクストを撃滅した後、行方が知れなくなった。
王小龍も計画後地上から姿を消した。彼は地下に潜った。リリウムをつれて。
地上は重コジマ粒子に汚染され、住めなくなったが、価値がない訳では無かった。
むしろ利用価値は高まった。地球全土が大規模コジマ汚染に侵されれば、地球全部がアルテリア施設となったも同じ。
全ては彼の仕組んだこと。計画通りだ。
王小龍はやがて衰え死んだが、リリウムに後を託した。そして地下世界レイヤードは築かれた。
保存されていた人間や動物の卵子と精子を、遺伝子を書き換え交配、培養を繰り返し、出来上がる幾多の地下都市に植え付けていった。
姿形が元となった生物とは似ても似つかぬ様になったものもいた。だがそれで良かった。
王小龍の計画とは、真の意味での『人類』を培養すること。それを胞子とし宇宙へ放つことだ。
選び抜かれた胞子は宇宙へと進出し、新たな大地に根付くだろう。
彼は全てを支配したかった。全宇宙を手に入れたかった。
ちっぽけな人間の考え出したただ一つの宇宙征服。
これがその真相だ。
終わり。
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