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450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/24(日) 06:41:14.58 ID:qIor0DzT0
――E.D.261年――
正体不明の特攻兵器が引き起こした破壊と混乱は、レイヴンとその統括機構であるレイヴンズアークにも混乱と被害を与え、その機能を停止させてしまっていた。
これによりレイヴンへの依頼は激減。
特攻兵器の事件の所為もあり廃業するレイヴンも増えはじめていた為に、レイヴン絶滅説が流れだしていた。
レイヴンの仕事は更に減少していた。
しかし、この混乱に乗じて中小企業やゲリラの反抗活動が活発化しはじめてきていた為に、こう言った処からのレイヴンへの依頼は増えはじめていたが、俺は嫌な予感がしていて避けていた。
そもそも俺がわざわざ嫌われ者のレイヴンと言う職種を選んだのは、貧困街で生まれ育ち、三人の弟を俺が育てないといけないと言う責任感と―
何より、弟達にはもっと楽な暮らしをさせてやりたいと考えた時に、思い付いたのがレイヴンしかなかった―いや、思い付かなかったからだ。
別にACへの憧れや戦いに餓えていた訳じゃあない。
まあ、乗り物は嫌いじゃなかったし、寧ろ乗り物の操作は得意だった。とは言えレイヴンになると言う事は平凡な人生は捨てなければならないし、弟達の前にも簡単には姿を出せなくなると言う覚悟も必要だった。
ただ生きて行く事さえも厳しい貧困街なのに身内にレイヴンが居るなどと知れれば、まさに死神のように毛嫌いされ寝る場所すら失うかもしれない。いや、その程度で済めば幸いかもしれない。
レイヴンになるという事はそういう事だ。
結果的に弟達を見捨てたことになっているかもしれない…。
だが俺にはこういう形しか思いつかなかったのだから―。
そう言った事情もあり俺は簡単に命を捨てる訳にはいかないし、危険にも極力晒さないようにしている。
弟達に…
―『人』―
として認められる暮らしをさせてやれるまでは―。
451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/24(日) 06:42:11.05 ID:qIor0DzT0
──MISSION──
俺はとある中小企業からの依頼を請け現地に向かっていた。
依頼内容は例の特攻兵機の飛来による被害が大きく廃棄が決定した自社プラントにある書類やデータを取りに行きたいので護衛をしてほしいと言うものだ。
と言うのも、最近そのプラント付近にゲリラが出没しているらしいので、もしかすると最悪そのプラントを拠点にしている可能性もあるからだ。
プラントのある場所付近は特攻兵機による被害が激しくゲリラが隠れるには持って来いの場所なのだが、その地域はかなりの僻地で拠点にするにもあまり意味のない場所に思える。
そんなエリアに居るゲリラなど知れているだろうと言うのもこの依頼を請けた理由の一つだ。
命の安全性を一番に考えるならアリーナの方が良さそうだが勝てば勝ったで名が売れていき狙われるし、逆に負ければ修理費で赤字にならないとも限らないうえに命の保障もないしとリスクが高い。
それよりはチンケな依頼をちまちまこなしている方が効率が良い。
チンケな依頼とは言えレイヴンの仕事なのだから凡人からすればかなりの大金なので俺にはそれで十分だ。
弟達が裕福に暮らせればそれで良い。
しかし、ゲリラが居るかもしれないとはいえレイヴンを雇おうと言うのだ、書類やデータと言っても最重要機密なのだろう。何をするにもリスクは付き物だがこういった護衛依頼は多いし、嫌な予感はしなかった。
現地は特攻兵機による被害が激しいとは聞いていたが確かに酷い。こんな所に本当にゲリラがでるのか?と思うほどだ。
「レイヴン、先に入って道を切り開いてくれ。ついでに中の様子と侵入者の索敵も頼む。」
俺は了解と返答し中へ入って行く―。中は予想ほど破壊されてはおらず、このプラントが以外にしっかりと造られていることが判る。レーダーにも反応はない事を告げると
「そのまま索敵を続けながら待機していてくれ。」
との事だ。こういった依頼は大概がこんな感じだ。後はこのまま何事もなく終わって俺はレイヴンとしてはチンケな仕事でチンケな報酬を得るわけだ。しかし弾薬費-0、修理費-0と出費は無く丸々報酬が得られるのは大きい。
「レイヴン追加の依頼だ。」
突然だった。レーダーに反応はない。何事かと少し慌てると
「何者かが侵入した形跡がある。何かが盗まれたわけではなさそうだが見逃す訳にはいかない。速やかな侵入者の発見、排除を頼む。侵入者の規模、武装等全て不明だが何者であろうと排除してほしい。」
…嫌な予感は相変わらずしていない。大した相手ではないだろうと思いつつ俺は了解と返答しレーダーと目視による索敵に入った。
「侵入者を発見した!C棟からB棟方面へ逃走、人数は3~4人程度、レイヴンは逃走方面付近に移動しこれを速やかに排除してくれ!」
『了解。』
やはり大した事はないようだ。俺は予測される逃走ルート付近へ移動し監視を続けた。
「C-107付近で見失った。出口が近いのでC棟から外へ出るかもしれん、頼むぞレイヴン!」
C-107付近といえばすぐ傍じゃないか。俺はカメラと銃口をC-107付近に向けた―。
452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/24(日) 06:46:56.92 ID:qIor0DzT0
──レイヴン──
何か影が動いたような気がする。俺は更にカメラをズームさせる。
…侵入者発見。
生身の人間の為外さないように更にカメラをズームさせながらよく狙う。やはり生身の人間を相手にするのは気持ちの良いもんじゃないので見たくは無い。
生身の人間を見てしまうとその人間がどんな人間か見てしまい、余計な事まで見えそうな気がするからだ。が、見ないと当たらない。俺は眼を凝らした。
―瞬間、時間が止まる―
5~6歳の男の子の手を引き走る父親。3~4歳の女の子を抱えてそれに続く母親。
父親はボロボロの汗まみれで家族を心配しながら男の子をひっぱっている。男の子も必死に父親についていってる。
恐怖のあまり着いて行く事に必死で泣くことも忘れている、といった感じだ。
母親もボロボロになりながら女の子だけは絶対に守ると言わんばかりに必死に着いて行ってる。女の子は酷く泣いている。
逃げる事に必死でACにすら気付いていない程に必死に走っている。どう見ても迷い込んだ様にしか見えない。
もしかするとゲリラにでも追われて逃げ込んだのかもしれない。様々な事が頭を駆け巡りトリガーに掛ける指を躊躇させてしまう。
―越えてはいけない気がする―
良心とかそんなんじゃない、人として最後の一線のような気がする。
その時、男の子がACに気付き足が止まる。男の子の異変に気付いた両親もACに気付き足が止まる。
―絶望―と言う言葉しか思い付かない感じで家族揃ってこちらを呆然と眺めている。
男の子の顔から眼が離せない。
その隙を衝くかの様に父親が声を掛け再び走り出そうとする。
453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/24(日) 06:47:50.78 ID:qIor0DzT0
――俺は――
――俺は――
――トリガーを――
――引いた――
――俺はレイヴンなのだから――
454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/24(日) 06:49:33.33 ID:qIor0DzT0
弾薬が底を尽いた
撤退する
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