小石川中等教育学校

東京都立小石川中等教育学校


概要

1918年、大正時代を代表する自由主義教育者、伊藤長七によって創立された東京府立第五中学校を前身とする名門校です。都立中高一貫校の最難関校であり、創立以来、1000名を超える大学教授を輩出し続けるアカデミックでリベラルな校風です。創立者、伊藤長七が唱えた「立志・開拓・創作」の三校是と「科学の道」の建学の精神に基づき、「小石川教養主義」の言葉に代表されるリベラルアーツと、実験や観察などの知的探究を推奨する理化学教育に重点を置いています。生徒を紳士、淑女として信頼する自主性を重んじる気風があり、中等4年次からは制服がありません。中等6年次には大学のゼミを思わせる特別講座が開講され、大学受験対策にとどまらず、大学教養レベルの内容を扱う講座が開かれています「行事週間」には一切の授業が中断され、芸能祭、創作展、体育祭で学校全体が行事一色に染まります。


偏差値  男子63 女子62 (四谷大塚80%偏差値 2011年度版) 

著名な卒業生 鳩山由紀夫、小沢一郎、澁澤龍彦

主な併願校 武蔵 、開成、桜蔭、渋谷教育学園渋谷、鴎友学園、城北、明大明治、本郷、早稲田


 ■伊藤長七の建学の理想が今も息づく“私学”

創立者である伊藤長七が打ち立てた建学の精神が脈々と受け継がれている、公立学校としては稀有な存在です。どちらかと言えば、私学に近い学校といえます。伊藤長七は大正期から昭和期前半に活躍したリベラルな教育者。当時の旧制中学校がどこも官僚や軍人の養成に力を入れていたのに対し、府立五中は異例の「科学の道」を建学の精神として、どちらかというと学者や研究者の育成を目指しました。これが今日に至るまで多大な大学教授を世に送り出してきた理由でしょう。

「科学の道」とともに伊藤長七が生徒たちに熱弁をふるっていたのが、「立志・開拓・創作」の三校是です。現在においては、「自ら志を立て、自分が進む道を自ら切り拓き、新しい文化を創り出す」という意味で解釈され、小石川教育の柱となっています。大学受験に向けての学力だけでなく、生涯にわたって学問を続ける姿勢を育むことも、伊藤長七が理想とした教育です。

小石川の校歌は、創立当初から今日まで、歌詞がまったく変わることなく受け継がれている名曲です。作詞はもちろん、伊藤長七。その歌詞には、「科学の道に分け入りて」、「つるやここに創作の、真理をきそふ」「振るわんかなや開拓の」といったように、伊藤長七の思いが凝縮しています。

伊藤長七の生まれは信州です。校歌にも「羽音も高き飛騨の山」と信州の描写があるように、小石川と長七の故郷である信州のつながりは深いものがあります。伊藤長七は、信州の戸隠に土地を持っていて、後に小石川の同窓会である紫友会に寄付しました。それをきっかけに、現在小石川では夏休みに、「小石川と戸隠を結ぶ大地と生命」という浅間火山の観察と戸隠の地質や化石採取を毎年おこなっています。

 

■アカデミックな授業と万全の大学受験対策の二兎を追う教育

 入学後にもらう生物のテキストに、この学校が求めてきた教育の理想や伝統が感じられます。学校独自の教材であるそのテキストは、小石川がおこなってきた教育の集大成とも言えるものです。何十年も前に作られたテキストが、時代が移り変わり改訂を重ねながら受け継がれてきたのです。小石川では、中学1年次から化学・生物・物理・地学の専門にわかれた先生から指導を受けます。小石川の理科教育で目を引くのが実験の多さです。学校がSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されているだけあって、高度な実験器具も学校にそろっています。興味のある生徒を集めて放課後に実験したり、選択科目に実験だけをする科目があたりするのですから、小石川生の実験好きは相当なものです。今でこそ理科教育を売りにする学校は増えましたが、小石川は創立の大正時代から、初代校長である伊藤先生の理念のもと、理科教育を重視した教育をおこなってきました。小石川は理科教育の元祖と言っても過言ではないでしょう。

 アカデミックな授業で有名な小石川ですが、進学校として大学受験指導にも熱心に取り組んでいます。英語で教科書として使用するのは、麻布中学などの有名中学でも使われている「Birdland Junior English」で、都立一貫校の中では最もハイレベルな検定外教科書を使用。数学も「幾何」と「代数」の二科目にわかれ、検定外教科書とオリジナルの教材によって授業が進みます。カリキュラムはいわゆる先取り型で、5年次までに高校内容を完全に終わらせ、6年次は小石川伝統の特別講座となります。特別講座は、大学のゼミさながらの少人数による講義がおこなわれます。大学受験対策講座が中心ですが、実験講座や教養講座もたくさんあります。高校3年生の小石川生は、志望校に合わせた特別講座を選択しつつ、息抜きとして実験講座や教養講座を取っているようです。

 

■一期生だけで御三家中の合格辞退者が2ケタ

 週刊誌、東洋経済の調べによると、小石川の一期生10名以上が、男子御三家、女子御三家に合格辞退しても小石川を選んでいます。開成、武蔵、桜蔭の合格辞退者が特に多く、それぞれ4名以上の合格辞退者が一期生に含まれています。都立中高一貫校の中でも“別格”であることがよく分かる数字といえます。2011年度入試データによると、御三家のなかでは麻布中学との併願者は少なめで、武蔵中学校、桜蔭中学校との併願者は非常に多いというデータが出ています。最難関私立中学の合格辞退者は年々増え続け、2011年入学者は一期生の2倍以上にまで増えています。

 御三家をのぞく私立中学校の併願で多いのは、男子は早稲田中学校、早稲田実業、海城中学校、攻玉社中学校、城北中学校など。女子は豊島岡女子、鴎友学園、吉祥女子など。また男女ともに渋谷教育学園渋谷中学校との併願率が高くなっています。


 ■おすすめ問題集・関連本

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 『公立中高一貫校に入る!』(学研)

都立中高一貫校の最新情報が盛りだくさん。適性検査の最新傾向と対策や、学校情報など。都立一貫校志望者は買っておきたい。

 『公立中高一貫校・合格への最短ルール

 適性検査試験の攻略法が詳細に記述されている。
 『公立中高一貫校をめざす適性検査対策問題集  適性検査の出題内容を分野別に分けて収録した総合問題集。CDと模擬テストつき。
   

 


 ■入試データ

都立中高一貫校の最難関。都立武蔵、都立両国と共に「都立中高一貫校の御三家」と括られます。小石川らしく、理科と算数を特に重視した適性検査が課されています。また、記述量も都立中高一貫校の中で最も多く、都立中高一貫校のトップとしてふさわしい入試問題と言えるでしょう。全体的に私立の入学試験と類似した問題が多いため、入試準備として私立入試向けの問題集を使ったり、それ向けの塾に入れるのが良いでしょう。私立型の勉強が、小石川合格の近道となります。合格者は日能研やサピックス、四谷大塚などの大手中学受験塾が多く、私立対策をして受験に臨んだ生徒の優位性が示されています。


■小石川リンク集

 ・小石川中等教育学校公式サイト

小石川中等教育学校訪問記

名門校・小石川中等教育学校と創立者 伊藤長七

同窓会サイト 君は知ってる? 伊藤長七先生のこと

 

 

 

 

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最終更新:2011年06月29日 21:00
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