投稿1-68


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

柊家に遊びに行って、つかさと二人の時の過ごし方。
私がゲームをしてつかさがロム専。
もしくは私が縁側で寝転がって、隣でつかさが座ってる。
そんな、学校の様にボケツッコミの応酬も何も無くのーんびり過ごす時間。
こういう過ごし方も私は気に入ってる。

「つかさ何食べてんの?」
「スイカバーだよ。一個しかなかったけど、こなちゃんも食べる?」
「食べるー」

縁側に寝転がっているので、ごろんとつかさの方へ転がって上体だけ起こして、差し出されたスイカバーを一口。
種のチョコが時々奥歯に詰まったりするけど、やっぱ美味しい。
私はメロンバーよりもスイカバーの方が好きだし。

「あ、この袋に描かれてるスイカに入ったカバって、スイカバーのスイカとカバをかけてるんだね」

つかさがアイスが入っていた袋を見ながら感心したように呟いた。

「え、知らなかったの?」
「うん、今気づいた」
「遅いよつかさ。袋に名前書いてあるよ。『すいかば君』って」
「ホントだ~、よく見てるね」
「昔買ったスイカバーをずっと冷凍庫に入れてた時があってね。
 賞味期限大丈夫なのかと袋確認しまくったから。アイスって賞味期限無いんだよね」
「そうなんだ、なら何年前のアイスでも食べて大丈夫なんだ」
「でも昔の氷って何かヤじゃない? 冷凍庫の匂いっていうのかな? そう言うのがあって」
「あー、分かる分かる、冷凍食品ってその匂いするよね~」
「そうそう……って、つかさ!! アイス溶けてる溶けてる!!」

「どどんまい~」と、つかさが妙な奇声を上げてスイカバーをかじった。何でつかさそのネタ知ってるの?
いや、あと溶けてるの下の方だから。持つ部分のところに盛大に垂れてきてるから。
手に掛かってるよ。

「あーあー、持ってるからつかさティッシュ取ってきて」
「ご、ごめんねこなちゃん」

スイカバーをつかさから奪って、垂れてきてる部分を舐める。
つかさは慌ててティッシュを取りに行った。
要領悪いよね、つかさらしいけど。
崩れそうになってるからスイカバーをもう一口。
と、思ったらもうすでにボロボロだったのか、木の持つところからスイカバーが落ちていく。

「わー!! つかさ! 皿も持ってきて!!」
「わ、分かったー!!」
「焦って割らないでよー!!」

酷いかもしれないけど、言わないとお約束的に割りそうな気がする。
言っても割りそうな気はするけどね。
慌ててつかさが皿とティッシュを持ってきてはくれたけど、結局間に合わずに大半が私の手に落ちていた。
冷たい。非常に冷たい。あとべたべたする。
「私ほとんど食べれてないよ~……」
「私手がベトベトなんだけど……」

自分の手の上に落ちたやつを皿の上に乗せるのもなんだし、そのまま口の中へ。
つかさが皿の上に落ちたスイカバーの残骸を食べるもすぐになくなった。
羨ましそうにこっちを見つめてくる。いや、早く食べないつかさが悪いんじゃ……とは言えない。

「……食べる? 手の上に落ちたやつだけど」
「うん!」

まるで犬だ。
反射的にそう思った。
つかさは垂れ耳で人懐っこい犬だ。今は絶対しっぽをブンブン振ってると思う。
はい、と手の上のアイスを差し出すもニコニコとしてるばっかで。

「つかさ? 食べないの?」
「食べるよ?」

いや、ならどうぞってば。フォークもないんだし、手で取ってよ。
いい加減手が冷たいんだけど。
……まさか、本当に犬みたいに食べさせたほうがいいんですか?
あー、ま、いっか。どんどん溶けてきて本格的に手がベトベトするよりは。

「はい、口開けて」

溶けてきている手の上のアイスを指で掴んで、つかさの口へ放り込む。
犬だ。マジ犬だ。
でもそんな風にちまちま与えていたので、結局手は余計にベトベトになった。

「ちょっと勿体無いよね」
「つかさが早く食べないからだよ」

手の上の溶けた部分を少しだけ舐める。
つかさの尻尾がまた振られているような気がするけど、この手を差し出すのは色々とダメと思う。
だけど、飼い犬が飼い主に見せる構ってオーラみたいなつかさの視線がものすごく痛い。
勝手に手が動いていて、アイスが溶けたのでベトベトな手をつかさに差し出していた。
何をしてるんだろうか私は。
つかさはつかさで「いいの?」みたいに首を傾げてるし。
いやー、ダメとは思うんだけど体が勝手に。
とかなんとか色々考えてたのに、つかさは自己完結したのか私の指を舐め始めた。

「ぁく……っ!?」

犬に舐められるようなもの。そう考えてた時期が私にもありました。
違う、違ったよ。熱さやら動きやら、あと視覚から入ってくる情報やらが段違いだ。
反射的に手を戻そうとしたら、つかさががっちりと手を掴んでいた。
そんな風に掴んだらつかさも手がベトベトなるじゃん。
って、つかさ? 指からどんどん舌が上がってきてませんか?

「ちょっ、うぁっ!? つ、つかさストップ!!」
「……ダメ?」

何が!?
つかささん、そこ手首ですから。アイスそこにはかかってないから!!

「アイスって美味しいよね?」
「そ、そりゃそうだけどさ」
「だから、残すと勿体無いよね?」

でも人の指まで舐めるのおかしくない?
って突っ込むより先に、再び私の指を舐め始めるつかさ。
ちゃんと心の準備してたからさっきよりは平気だった。
くすぐったいし背徳感のようなものを感じるけど。

「あのさ、普通はしないとっ……思う、よ?」

指先から上がってきて、指の間を甘噛みされる。
つかさ、それ絶対アイス味わってないよね。
そこらへんは皮膚が薄いのかなんなのか、ちょっとそう言う事をされるとくすぐったい以上の何かが……っ

「うん、私も普通はしないよ」
「異議ありっ……今の、行動と矛盾してっ……ます」

ビシィッ! と青いトンガリ弁護士みたいに、舐められている手とは逆の指を突きつける。
実際はヘニャっとして弱弱しくなっちゃったけど。だって力入らないし。

「でもこなちゃんも逃げないよね? なんで?」
「つ、つかさが手を握ってるから」
「それでも嫌なら逃げれるよ?」

確かにそうなんだけど。
実際に逃げたとしたらつかさはシュンとしそうというか、捨てられた子犬みたいな瞳をしそうで。
そういう表情をされると思うとどうにも抵抗が出来ない。
わーいわーい、って喜んでるようなつかさの笑顔の方が好きだし。

「本気で逃げたくなるほどヤじゃない……し」
「……どこまで大丈夫?」
「は、はぃ?」
「これは?」

ぐいっと腕が引っ張られる。
そのまま顔が近づいてきて、唇の数センチ横をぺロッと舐められた。
キス、ではないけどキスのみねうちのような行為をいきなりされて驚かないわけがない。
つかさはニッコニコしてるし。口をもぐもぐしてるし。

「な、何したの? つかさ……」
「こなちゃん、口の横にチョコの種がついてたよ?」
「いや、それは言ってよ! いきなりそうされたらビックリするから!!」
「驚いただけ? 嫌じゃなかった?」
「……まぁ、女同士だしノーカンでしょ」

そりゃ驚くけど、子供が出来るわけでもあるまいし、そこまで目くじらを立てることでもない。
嫌じゃないんだし。つかさは何だか不服そうだけど。

「私は、ノーカウントじゃない方がいいな」

どうやら事実不服だったらしい。

「いや、ノーカウントじゃない方は軽軽しくしないほうがいいんじゃないかなー……なんて」
「それなら」

ずずい、とつかさが迫ってくる。
さっきまでの犬を連想させるような顔じゃなくて、かがみを連想させるようなきりっとした表情で。
かがみほど釣り目じゃないけど、つかさの真剣な表情は普段が普段だけになお更真剣さを伝えてきた。

「軽軽しくなければいいんだよね」
「ちょ、つかさ……?」

立ち上がろうとしたら、膝を押さえ込まれた。
この際アイスでベトベトしてるのはどうでもいい。
ジリジリと顔が近づいてきているけど足を押さえ込まれたので逃げようとすると自然と上体が倒れた。
真剣なつかさというのが、かなりギャップがある所為か、見慣れないつかさに不覚にもドキドキした。
私はギャップ萌えだったのか。知らなかった。

「私は、こなちゃんが、好きだよ」
「ふ、ぁ」

生まれて初めての告白は同性の、最初の友達からでした。思わず変な声が出ました。
一句一句区切って真剣に伝えてくれているのは分かっているから
「私も好きだよー、友達として」なんて茶化すつもりなんてない。
考える。私はつかさを恋愛感情で見れるか否か?
結果として……見れる。嫌ではない。受け入れ可能だ。
けど、そんな消去法的思考で「好き」と言っちゃっていいんだろうか。

「私にとって……つかさは高校で最初に出来た友達で。いや、中学の時は友達も同類だったから、
 まったく違うタイプの人ではつかさが人生の中で初めての友達なんだよ。
 話すようになったきっかけはあれだけど、その前から話したいと思ってたし……」

なに恥ずかしいこと言っちゃってるんだろ。
つかさは真剣な表情だけど何だか口元が緩んでるように見える。

「と、とにかくつかさは特別なんだよ! ……多分。だから……好き。……かも」
「途中途中のセリフが嬉しくないよ……」
「だってさ……今まで友達と思ってたんだよ? 告白されたから好きになりますって……つかさに対して失礼になりそうで」
「なんで? それまでが恋愛感情じゃなくても、今好きで居てくれるなら嬉しいよ?」
「そういうもん?」
「だよ」
「……なら、うん。好きだよ、つかさ」

その言葉でつかさが急に爆発した。
おかしい、この場で赤面するのは色々おかしい。
私だって恥ずかしいのに。
幸せそうに笑わないで。余計に恥ずかしくなってきた。
つかさの笑顔は、犬を連想させるより先に、恋する乙女って単語を連想させた。
ああ、私はこの笑顔も……好き、みたいだ。

「ねぇ、こなちゃん」
「ん?」
「ノーカウントじゃないのは、軽軽しくしなければいいんだよね?」
「あー……うん、そう言っちゃったね、私」
「うん。私は真剣だよ」

逃げられそうに無いし、逃げるつもりはもうない。
小説やゲームで言われている通りに目を瞑ってつかさの行動を待つ。

私のファーストキスは、恋人の家の縁側でスイカバー味という、忘れられないキスになった。
|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|