老人は1人夜道を歩いていた。その足取りはゆっくりとしたものだが
決して危なっかしいといわけではなくそれどころか滑るように地を進む。

齢五百を数えるこの老人が何故、夜道を歩いているのか、
徘徊と言われれば否定できないものだが目的もなく
ただのボケ老人をしているわけではない。

老人は海鳴という街に一族の胎盤となるべき逸材を物色に来ていた。
この街は高い素質を持つ者がよく生まれる。
それ故老人は過去何度かこの街から選び抜いた素体を
胎盤として使用ことがあった。
今は古き魔術士の家系から養女をもらい胎盤としての教育を施している。
その養女は才能豊富にしていささかも問題はない。
が、常に不測の事態を想定し予備を準備しておくという行動してしまうのが魔術士の性であった。

そして今夜はそのよき素体が手に入る、そんな機会に恵まれた日のようだった。
念話による助けを求める声が響き渡る。
声の主の性別は判定できなかったがどうやら若いということは理解できた。
声の主が女ならよし、例え男であっても妖怪と呼ばれるこの老人にとっては
些細なことだ。作り替えればいい。
だが、事態を楽しむという癖もある老人は一計を案じた。
今の声に呼び寄せられる者を狙ってみよう、かと。
果たして、生け贄は現れた。
髪を振り暗き夜道を必死に走ってくる少女を見て老人は渇いた笑いを隠しきれない。
老人は弱々しく少女の前に進み出るとしゃがれた声で助けを求めた。

「おお、儂の声を聞いて助けにきてくれるとは優しい子じゃあ」

一種異様な臓硯の姿を見つけた高町なのはは一瞬ためらいを覚えたが
意を決して話しかける。

「さっきの声はお爺ちゃんなの?」
「そうじゃ、外出したはいいものの体が悪うて、帰れなくなってしもうてのう。
お嬢ちゃん、すまんが手を貸してもらえんかの?」
「うん、いいよ」

なのはが何の疑いもなく臓硯に手を差し出す、その様子に臓硯は
口の端に禍禍しい笑みを浮かべる。
なのはの手がまさに黒い欲望に捕らわれそうなる瞬間、
2人の前方で大きい破壊音とともに一匹の小動物が現れた。

「助けに来てくれたんだ!2人も!?ありがとう!」
「え!?」
「ムゥ…」

必死なにかをまくし立てるその物体の出現に高町なのは、間桐臓硯、
2人の運命に変化が訪れる…


魔導妖怪マキリックゾーゲン…始まったらいいなぁ。

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最終更新:2008年05月19日 15:58