「えーと、未知のエネルギー反応があったのは……」 


それは些細な変化――。


「と、この石? 何かしら、これ」


ある日、庭に落ちていた輝く石を拾った、月村忍――。


「あ、はい、解りました。明日にも伺います」

 受話器を下ろし、遠坂凛は呟く。

「魔力の塊のような宝石ねえ……」


海鳴へと呼ばれた魔術師、遠坂凛――。 


『上手くいけば聖杯戦争の足しになるかもですか? そんなタナボタ、あるんですかねー?』
「うっさいわね。あんたは黙ってなさい」


未知の宝石を求めて訪れた街で――。


「その石を、渡してください」


彼女は、運命に出会う――!


「――しまった」

「あぶなぁぁぁぁぁぁい!」
「駄目だ! 間に合わない!」

「え? 何、これ、は――」

 目前に迫る流れ魔法に対して、若くして一流の魔術師であるはずの凛はなんの反応もできなかった。
 あり得ざる事態に彼女の体は硬直して動けないままだった。
 そして、彼女の人生は聖杯戦争の始まる前に――。

『終わりませんよ♪』


「コンパクトフルオープン! 鏡界回廊最大展開!
 Der Spiegelform wird fertig zum transport―――!」


――そして、


「開けシュバインオーグ!我は我の望む場所へ、我は我の望む法を!
 せーの、Sesam, offne dich!」


――少女たちも、


「お待たせ! 魔法少女カレイドルビー、ここに誕生!」


――なんかへんなのに出会った!





   *魔法少女カレイドルビー ZERO 予告編





「つまり、貴女も魔法使いなんですか?」

 高町なのは。――幼い魔導師。


「違うわよ」
『魔法少女ですよね♪』
違うわよ!

 遠坂凛。――宝石の魔術師。


「ベルカ式にも由来しない、まったく未知の魔法体系……いえ、魔術でしたっけ。そんなのがあるなんて」

 ユーノ・スクライア。――ミッドの魔導師。


「そうですか。貴女も私たちの邪魔をするんですか」

 フェイト・テスタロッサ。――謎の少女。


「使い魔でなしにその耳、というか耳っぽい飾り、さすがに恥ずかしくない?」

 アルフ。――使い魔。


 ――彼女たちは、出会い、そして戦っていく――。


「管理局? また胡散臭いわね」
「そういう言葉には慣れてる。だけど、時空管理局は胡散臭い組織ではない」

 クロノ・ハラオウン。――管理局執務官。


「面白い子たちだったわね。うん。まあ、ちょっと抜けているところもあるけど、それが若いってことでしょ」

 リンディ・ハラオウン。――管理局提督。


 ――事態は時空と世界を超え、さまざまな人たちが関わっていく――。


「最近、なのは付き合い悪いと思わない?」
「うん」

 アリサ・バニングス。月村すずか。――なのはの親友たち。


「魔術師か。世界の裏、さらにその先の闇……まさか、最初に関わることになるのがなのはだなんてな」
「大丈夫ですよ。きっと。あの子なら。あの子たちなら」

 高町士郎。高町桃子。――なのはの両親。


「まだ、これだけ? これだけ時間がかかってまだこれだけしか集まっていないというの?」

 プレシア・テスタロッサ。――悲劇の大魔導師。


――全ては運命に導かれるままに――。


「ねえ! お願い! お話聞いて――!」

「君はまだ、私の邪魔をするつもりなのか」

「なのは、上だ!」

「フェイトの邪魔をすんな――!」

「プリズム転身――絶招・猛虎硬爬山!」


――戦いは激化していく――


「速い――ルビー! 防御2、身体強化8!」
『リンさん、速度に付き合うのは駄目ですよー。機動力を生かした空中戦は、あの子のステージなんです』
「うっさい! そんなの解ってる!」

「ディバインシューター!」
「なのは、その数は……」
《No problem!》
「シューーーート!」

「――君たちに、本当の、本物の戦闘魔導師の戦い方ってのを見せてあげるよ」

「墜ちろ――ッ!」


――その中で触れ合う魂――


「成り行きってのもあるけど、こうなるとあの子は弟子みたいなもんだし。いや、弟子っていうか妹分というか……いやいや、私には妹がいるんだけど。ああ、もう何言ってんだか私っ」
「妹?」
「――いっとくけど、なのはは別に私の妹には似てないから。むしろ、あんたの方がちょっと似ているかしらね。何処かうつむき加減でさびしそうな目が、なんとなく……」

 魔術師と魔導師の少女たち


「わたし、それは間違ってると思う!」
「なのは……?」
「そんな殺し合いとか、裏の世界だとかそういうの、当たり前に受け入れるのは絶対間違ってる!」
「――――――」

 似て非なる、それゆえに――


「母さん……」
「――ここにはくるなと言ったでしょ!」
「だけど……」

 二人の前には、ものいわぬ少女を収めたカプセル。


――ありえざる因縁――


「貴女、『魔法使い』……ああ、そう。そういうこと。
 ――初めましてね、トオサカリン」

「あんた、何を……」


――そして、運命は少女を絡めとる――


「これは……!?」
『おそらく世界が動いてるんですよ。
 魔術師風にいうのなら抑止力、もっと文学的にいうのなら【運命の選択】とかそういう感じのですよ』
「選択?」
『本来見えないはずですが、見えているのはリンさんがその渦中にあるからでして――
 渦の本体は、あの子です!』

 倒れている少女。
 倒れてから、立ち上がろうとする少女。
 絶対の強敵を前にして、倒されてなお立ち上がろうとする少女。

「なのは……!」


――それは、■■の誕生――


「立ち上がる前に、少し考えた方がいいわよ」

 片膝を立てたなのはに、かけられた声は静かだった。
 諦観していたのかもしれない。
 凛は俯く。

「そのまま立ち上がって戦うということは、あなたは人間の領域を超えた存在になるということを意味するわ。
 それはそのまま、人間でなくなるということ。
 あなたの、今、魂の底から湧き上がる力は、世界からの祝い(呪い)を受けた証よ。
 あなたは世界の一部として、これから戦い続けるということが宿命となるのよ」

 もしかしたら、と凛は思う。
 ■■が誕生する現場に立ち会ったという古えの賢者たち、例えば聖剣を前にしたアーサー王を見守っていた魔術師マーリンも、こんなことを言ったのではないだろうか。

 高町なのはは、微笑みを浮かべて首を振った。

「――みんなに、笑ってほしいから。笑っててほしいから。それができるのなら、わたしは……」
「なのは!」
「ありがとう、凛さん」


――そして、最終決戦――


「またなの! また世界は私の邪魔をするというの!」

「そうだ。プレシア・テスタロッサ。
 そんなことは解っていたことだろう。
 いつだってそうなのだと。
 いつだって運命は僕たちの前にたちはだかる。
 いつだって世界はこんなはずじゃなかったって。
 解っていたことだろう」

「スターライト………

「解ったわ。なのは、あなたが選んだ道、そして掴んだ力、目指すべき場所を。
 助けてあげるわよ。
 導くなんてガラじゃあないけど。
 やってあげるわよ。
 大船に乗った気でいなさい。
 私は、」

 ―――――ブレイカーーーーーー!」

「愛と正義の執行者! カレイドルビー!」




   Fate/stay night × 魔法少女リリカルなのは 長編SS

   魔法少女カレイドルビー ZERO




「プリズムメイクが、はじまるわよ♪」






 おまけ




「バーサーカー!?」

 吹き飛ばされ、墓地の中で二転、三転した巨人は、イリヤの声に反応したように、直ちに体勢を整えて立ち上がる。
 その体は、まったくの無傷。
 しかし、この場にいる誰もが気づいている。
 死の壁の如く立ちはだかるバーサーカーという規格外の怪物が、たった一人の少女に対して意識を集中しているということを。
 その眼中にはもはや俺や遠坂はおろか、セイバーとアーチャーですら入っていない。
 それを屈辱と思うことも、二人はなかっただろう。
 二人の英霊も、あの少女を見ているからだ。
 遠坂に襲い掛かるバーサーカーを、突然現れて桜色の魔力の光で弾き飛ばした、まだ幼いとすらいえる容貌の白い服の少女を。

「……なにしにきたのよ、いや――解ってる。もう! ……ありがとう」

 何か文句を言いたそうに口を開けてから、それが言うべきじゃないと解ったように、遠坂は顔をそらして感謝の言葉を出した。
 なんだか、すごく意外だ。

 少女は太陽のような笑顔を浮かべてから、やがてイリヤの方を見る。
 イリヤもまた不敵な笑顔を見せて、少女を見つめた。

「そう。あなた、遠坂の眷属なの? 凄いわね。私のパーサーカーを、魔力だけで吹き飛ばすだなんて。
 無傷だけど、それは問題じゃないわ。どんな英雄だって、私のバーサーカーを吹き飛ばすだなんてことはそれ自体が不可能だもの」

 そう………俺のセイバーも遠坂のアーチャーも、二人がかりであの大英雄を退けることはできなかった。
 セイバーが本調子でないとはいえ、アーチャーが接近戦が不得意とはいえ、それはまさにこのバーサーカーが英霊の中でも逸脱した存在であるということを証明している。

 だが、この女の子は、二人の英雄ができなかったことをしてのけたのだ。

 それはもはや、異常とか異端だとか、そんな言葉で言いあらわせる領域のことではない。

「こんなこと、誰にもするつもりはなかったんだけど――いいわ、名前を聞いてあげる。
 あなた、何者?」

 恐らく、この場で遠坂以外の誰もが知りたがっていたことを、イリヤは聞いた。

 少女は手に持っていた長い杖のようなものをバトンみたいにくるりと振り回し、見得を切るかのように構えなおす。


「――魔術使い、高町なのは


 Lyrical / Melty Night (仮題) 同時進行……はさすがにしません。