小高い山を少し越えた平野――――

「さて、何を見せてくれるのやら。 素手で熊とでも戦うのかね?」

「いや、それは流石に出来ない……」

見晴らしの良い一面の空を見上げながら魔法使いが二人、言葉を交わす。

「アナタならそのくらいやりかねん。 それとも、まさか人をここまで引っ張って来といて綾取りでも見せようっての?」

「うう……何かみるみるハードルが上がっている気がするよ」

「つまらなかったら即、帰るからよろしくー」

腕を組んで木陰に寄りかかりながら高町なのはを囃す蒼崎青子。
だが、ここまで来たら体当たり。 いつも通り、全力で言いたい事を伝えるだけだ。

桃色の尾を引いて今――――――魔導士が飛び立った!


――――――


――――――時は一刻ほど前に遡る


「うおっ! マジでかわいいじゃないの」

携帯電話の画像フォルダ内に保存されていた一枚の写真。
そこに写っている少女を見て、青子は感嘆の呻きを漏らした。
それを受けて満面の笑みを称えながら頷くのは高町なのは。
少女を褒められた事が本当に、自身の事のように嬉しいのだろう。

「うん……名前はヴィヴィオ。 高町ヴィヴィオ」 

「…………………富士重工製の何かか?」

「違うってば……」

軽い溜息を付いて、なのはは同居人のボケを相殺する。
この手の突っ込みは故郷の家族や友人達からも散々受けている。 もはや今更だ。

「いや何にしてもさ……私は母親なんて一生縁が無いと思っているけれど
 アナタに先を越されてるという事実は悔しい。 よしレン、今日から私の事は青子ママと」

「―――死ねば?」

「反抗期か……傷つくわー」

大仰に手を挙げて被りを振る青子に、魔導士は「たはは…」と苦笑を浮かべる。
だが次いで思いついたように、なのははつっけんどんな少女に目線を合わせて、中腰で言葉をかける。

「初めに青子さんじゃハードル高すぎたのかも……
 練習してみようか。 試しになのはママって呼んでみて」

「お前、今失礼な事言ったよね?」

「じょ、冗談じゃないわ……お断りよ」

鼻を鳴らしてそっぽを剥く少女であったが、目の前の女から何か異様な雰囲気を感じてハっとなる。
眼前の人間の目が心なしか非常にリリカルな輝きを放っているのだ……鼻息も荒い。

「何事もチャレンジチャレンジ! さあ……!」

「な、なのは……………マ、マ」

100年級の使い魔をして圧殺せんほどのプレッシャーを受け、反射的に言葉を漏らしてしまうレン。 

「~~~~~~~!」

「キャーーーーーーーーーーーーー!!!!???」

しかして――――上気して赤くなった顔を擦り付けながら、絞め殺さんばかりに白い少女をハグするなのはさん。

夢魔の絶叫が―――――――小屋内部に響き渡った。


――――――

「人の使い魔に何やってんだコラ」

「いや、つい……」

世界の終わりを感じさせる恐慌を身に帯びて一目散に逃げてしまった少女。 その背中を物惜しげに見つめる一児の母である。
彼女の声はとにかく愛しの娘ヴィヴィオに似ていて、特に先ほどの「なのはママ」はヤバ過ぎた。 100万ボルトの電気ショックに匹敵した。

「欲求不満かね? あんな不意打ちじゃなくて直接言ってやればガッポリ吸って貰えるのに」

「そういうのじゃないから……」

とまあ、前途多難な日常を思わせない和やかな昼下がりである。
談笑する二人の魔法使い。
同居生活も一ヶ月を過ぎ、だいぶ体にも馴染んで来た感がある。

(……………………)

だが―――なのはの胸の内には、とある秘めた思惑があった。 

自分は任務中に行方をくらませた遭難者なのだ。
そう、責任感のある彼女は、現状の馴染んでしまっている自分に対する危機感が常に先立っていた。
こんな所でくつろいでいてどうする? いつまでもふざけている場合ではないだろうという焦り。
付近の調査は続けているが悉く空振り、仲間とは相変わらず音信不通。
ならば今、少なからずやれる事は何か? 一つ一つでも片していける物はないのか?

そう思い煩っていた高町なのはは故に今日―――今日こそは大事な話を同居人としなければならない。
気難しい魔法使いの女性は、なのはにとって何処にスイッチがあるか分からない爆弾のようなものだ。
柔らかい笑みを灯している魔導士だったが、実はその表情に先ほどから緊張を称えているのもそのためだった。

「ところで青子さん、あとで時間を作れないかな? 一手だけ、胸を借りたいのだけれど……」

「またその話? 断る。 だるい」

彼女と同居を始めてから一ヶ月、模擬戦の申し込みは今日もあっさりと断られる。
でもあきらめるわけにはいかない。 教導官はあくまでも食い下がっていく。

「そんな事言わないで……異なる体系の使い手同士、お互いのレベルアップにも繋がると思うよ」

「キョーミないわね」

「なら、見学だけでも……まずは私が一人でトライアルをやって見せるから。
 とにかく青子さんもたまには体を動かさないと」

まずはどうにかして壁を壊していかなくては話にならない。
これなら展開によっては軽い手合わせ、という流れに持っていけるかも知れない。

そうして渋る青子を半ば引きずるように、なのはは外に連れ出した。


魔法使い達の教練は―――――こうして始まる。


――――――

「ええいっっっ!」

<Nice. Good shoot>

なのは自らが朝早くから準備していた特設コースにて、トラアルは既に始まっていた。
基本に忠実なマニューバから、飛行しながらの射撃を行う空戦魔導士特有の演習だ。
あらかじめ設置していたオートスフィアを仮想敵に、空のエースがその力を存分に発揮する。

   異世界の魔法使いの目に自分の戦技はどう移るのだろう?
   あれほどの使い手を満足させる技を見せる事が出来るのだろうか?

久しくなかった緊張は程よい高揚感となって、なのはの翼に躍動を与える。 それは武道の演舞の如し。
形だけを真似て行う未熟者のそれとは一線を画し、真に極めたものの気迫、闘気の篭った演舞は見る者の魂を震わせる。
古来より技を極めたものの術技は武道というより武「芸」として人々の胸を打ち、芸術として扱われて来た。
空戦における戦技もまた多聞に漏れるものではなく、空を舞う高町なのははまさに艶やかに咲き誇る一輪の花を思わせる。

(体は動く……良い感じ!)

決して器用では無い彼女が蒼崎青子に向けた、それは同盟の証でもあり
自身を超える術技を有した相手に対する挑戦状でもある。
そんなメッセージを技に込めつつ、彼女は大空を舞い続けるのだ。


トライアルも早くも中盤を過ぎ―――――


ミッドチルダの魔導士ならば一度は見たいと泣いて懇願する、エースオブエースの全力全開。
視界を覆うほどの魔弾の嵐が大空に飛び交い、重低音と空を切り裂くカン高い音が同時に大地を、鼓膜を叩き続ける。
凄まじい光景だ………これは人間一人が起こし得る現象を明らかに超えているといって良い。

だが、しかし……………

そんななのはが、今まさにメッセージを宛てている相手をチラっと見て―――
上げたテンションが行き場を失う羽目になる。


「………………ポテトチップス……」

カルビー銘菓のスナック菓子の名前をポツリと呟いたなのはさん。

そう、当のミスブルーは頭上に展開された華麗な技など興味ないとばかりに週刊誌を広げ
バリバリと暢気にスナックを頬ばる音を―――木陰の清涼とした空気に響かせていやがったのだった。


――――――

<Master!>

「きゃっ!?」

遺憾の念から言葉に詰まり、思考が凍った一瞬―――

空戦トライアルはその一瞬の油断が明暗を分ける。 
危うく設置したスフィアに直撃しそうになったなのはが、寸でのところで挙動を建て直す。
修正する白き翼が桃色の魔力光を場に散らす様は、突如として乱れた彼女の思考を体現するかのよう。

全く関心を持っていない? 心に響いていない? 
自分のトライアルは彼女にとってそんなに程度の低い、関心を示す価値もないものなのか?

「レイジングハート……本気出すよ。 なんとしても振り向かせてやる!」

戦場で刃を交し合う以外の戦いもある。
自身の演舞が相手の心を震わせるか否かを賭けた、これもまた紛う事なき戦いだ。
基本を踏襲した堅実な舞いが、荒々しく変化する。
ギリギリを通す攻防の見切り、高速で最短距離をカットする大胆なライン取り。
空気が変わる………なのはが――――――本気になった!

ピンク色のスフィアを周囲に纏いて空を駆ける彼女の様は、舞い散る桜の花びらを遊ばせる天女のようだ。
気は昂ぶっていても一糸乱れぬ挙動は美の極致。 流石としか言いようが無い。
あくまで優雅さはそのままに舞踏は戦舞となり、空に描く激しいリズムはロックバンドのドラムの激しさそのもの。

「仕上げ! おっきいの!」

アクセルシューターで全ての仮想敵スフィアを打ち抜きながら、なのはは規定位置に設けられた着地地点に舞い降りた。
勢い良くドズン!と地面に亀裂を作り、滑るように接地しつつ、設けてあったポイントに数分違わず降り立つ。
そしてレイジングハートを正面の山に向けると、標準を合わせた紅玉の杖の先端が集束された光の束を造り上げていく。

「スターライト……………!」

タイムロスはほとんど無し。
接地時の激しい衝撃の中で微塵も乱れぬ魔法詠唱。
ほぼ完璧なパフォーマンスを披露したエースの、最後の仕上げは当然これだ!

「ブレイカァァァァーーーーッッッ!!!!!」

彼女が得意の集束砲を今―――眼前の対象に叩き込んだ!!


――――――

華奢な女魔導士の脇に抱えられた、大口径カノンと化したインテリジェントデバイス。
その先端から極大と言って余りある砲撃が放たれた。

バックファイアが後方の大気を、大地を豪壮に抉り取る。
なのにそれほどの衝撃を支える彼女の両足は地面に根を張ったように微塵もぶれず、動かない。
対象である山が目の前で灰燼と化すまで約5秒―――全力斉射にて放たれた桃色の奔流が視界全域を覆い尽くす。



…………………………………!!!!!!!



前方の視界一杯を文字通りの更地へと変えてしまう程の――――Sランク空戦魔導士・戦技トライアルはこうして幕を閉じた。


破壊の化身と化したなのはが、デバイスの柄でタンと地面を突く。 
それは自らの戦舞の終了を示す挙動に他ならない。

「ふ、う………」

体力と集中力を限界まで注ぎ込んだ体は激しく酸素を求めていた。
だが乱れた息を周囲に悟られるのは三流の所業だ。
2、3、短い深呼吸だけで悲鳴をあげる肺に酸素を送り込み、戦技教導官は揺ぎ無くその場に佇む。
これだけの「動」の世界を体現したにも関わらず、一瞬で場を凛とした「静」の空気へと変えてしまう。
齢20にしてこの魔導士は既に玄妙の位―――達人の域へと足を踏み入れていると言えよう。

なのはが今見せたのは、スタンドアローンの魔導士に課せられるトライアルの最高峰の一つ 「キラー・ビー」
アサルト&デストロイ―――敵の砲火を掻い潜り、戦艦や要塞の中枢に無双の一撃を叩き込む
危険なミッションを想定した最も難しい型の一つである。

砲撃魔導士でこれが出来る者はそうはいない。 ここまで完璧にこなせる者となると局内部でも両手で数えるほどだ。
それを見事に完遂したなのはが、レイジングハートを優雅に回して胸の前で止め、残心の意を表す。
あれだけの全開運動を行ったのだ。
早鐘のように波打つ心臓がドンドンと彼女の胸の内をノックするが―――

(これでどう……?)

今、彼女が気にしているのは採点者の動向だ……それを待たずして気を緩めるわけにはいかない。
期待を込めて観覧者の方を振り向くなのは。 我ながら快心の出来だった。 
青子という人物が大仰な拍手を降らせてくれる人でない事は重々承知だが……
いくら何でもここまでやって無反応という事はない筈――――――


「…………」

だが―――――

上気して紅く染まった相貌を向けた、視線の先には――――

食べかけのスナック菓子がポツンと転がっているのみであった。


蒼崎青子は既にその場を立ち去っていたのだ…………


――――――

NANOHA,s view ―――

シュンと肩を落としながら丘を後にする自分の姿は、誰かが見ていたら相当みすぼらしく移ったと思う……

左手には一緒に頑張ってくれたレイジングハート。
右手には同居人が置いていった週刊誌とポテチの袋。
途中で帰るなら、せめて自分のゴミくらい片そうよ……青子さん。

「頑張ったんだけどなぁ……」

自分は不器用だし、彼女は決定的に私とは考え方やタイプが違う。
なら、上辺だけの言葉で飾り付けても伝わらない。
互いに戦いに従事する者同士、この方法が一番良いと思ったのだけれど、当てが外れたかなぁ。
正面から体でぶつかるという試みが常に功を奏すわけではないけれど、ちょっと……かなり残念。

空を飛んで帰れば小屋まであっという間なんだけど、どうもそんな気になれない。
頭を垂れて山を下る私………高町なのはは今相当、凹んでます。

「―――――――」

「…………!」

とその時、頭上に気配を感じて私は宙を見上げる。

「レン………」

覚えのある鈴の音を聞き間違えることはない。
木の枝に純白の少女が座っていた。

「――――つくづく大したタマね。 アレをああまで挑発してのけるなんて……
 知らずにやってるんだとしたら相当の天然よ。 貴方」

言葉を紡ぐ少女。 敵意と警戒心を称えた声色は変わらない。 
でも、挑発? 確かに挑戦的な意味は含めたけれど決して青子さんを愚弄するような感情を込めた覚えは無い。
それが途中で帰ってしまった原因なのだとしたら……一体何が気に入らなかったんだろう? 

「アレはアレなりに魔法使いなんて大層な肩書きを背負って周囲に振舞っているわ。 
 元がどんなに奔放な性格だって、魔法使いという言葉の重さを感じ取れないような奴があの域にはいられない。
 でも――――あれで芯はまだヤンチャな小娘なのよね………珍しく他人に対して反骨心を露にしてる」

「反骨心? 誰に?」

「貴方によ。 気を落とす事は無いわ。 
 メッセージは青子にちゃんと届いてる―――臓腑を抉る勢いでね」

オウム返しになってしまう私の問いかけに意味あり気な答えを返してくるレン。
青子さん……ああ見えて私の気持ちに気づいてくれたのかな? 

「でも、ポテチ食べてたよ?」

「ポーズに決まってるじゃない。 アンタなんかに興味ありませんよーっていう。
 貴方が<魔術>や<神秘>に対してアプローチをかけたい以上に、青子は貴方達の事を知りたがって……とと、今のナシ」

「………そっか。 有難うレン。 教えてくれて」

「別に……私はみっともなく右往左往する青子が珍しくて面白がってるだけ。
 せっかくだからもっともっとアレを引っ掻き回して欲しいわ―――笑えるもの」

クスクス、と意地悪い笑みを残して白猫は森の奥へと消えてしまった。

「…………首尾は上々、だったのかな?」

少し安心した……自分の意思はどうやら少しは彼女に届いていたようだから。 
そしてくたびれ損でなくてよかったと気を抜いた瞬間、ドっと疲労が沸いてきた。
うう~……ホントに疲れたよ。 あれは私の持ち技の中でも、とっておきだったんだから。
あれで届かなかったら正直、お手上げだっだ。

「とにかく……少し間をおいて、夕食時にでも改めて話を切り出そう」

そう思い立ち――――私は帰路につく。
その足取りは心なしか軽いものとなっていた。

ヴィヴィオと性格は全然違うけれど、やっぱりレンの声は凄く落ち着く。
私にとっては今や癒しそのもののあの少女ともう少し仲良くなりたいな、なんて思いながら―――私は山地を後にする。


――――――

――――――

そして今は夕刻の食事時―――

卓に並べられた簡素な夕餉を黙々と平らげていく二人。


――― 空気が……………重い…… ―――


租借し舌鼓を打つ音と、カチャカチャと食器の擦れる音だけがダイニングに木霊する。

野菜と炭水化物と蛋白質のバランスの取れた、調理者であるなのはの性格が伝わってくるような品揃え。
だが談笑に花を咲かせるでもなく、無言で箸を勧められては食材にも申し訳が立たないというものだ。

「青子さん……その、昼間の事なんだけど」

意を決してなのはは話を切り出した。

「……………」

「どうだったかな? 貴方ほどの術技を持った人から見たら全然未熟だったかも知れないけれど……
 出来れば今後のためにも忌憚ない意見を聞かせて欲しいんだ」

「……………」

「ねえ教えて青子さん。 私の戦力は………貴方の世界ではどの程度、通用するのか」

「……………………む」

「む?」

遠慮がちに、だけどはっきりと相手に言葉を投げかける高町なのは。
しかして――――


「むきゃーーーーーーー!!」

「ひゃあっ!?」


返ってきたのは怪鳥音と――――――ドレッシング。

プラスチック製の容器が、ダッキングで避けたなのはの頬を掠めて壁にぶっ刺さった…………


――――――

AOKO,s view ―――

――― ああ………嫌なもん見せられた ―――

全く持って苛々が収まらない。

対面にちょこんと座ってインゲン豆をポリポリ口に運びながら、しきりにこちらをチラ、チラ、と見てくる女。
我がむかつきの原因である魔法少女、高町なのはさん(20)である。
会話を切り出したくてしょうがないといった風体だが、どーせ昼間の事だろう……ああ、腹立つ。

「青子さん……その、昼間の事なんだけど」

―――――そら来た………

彼女が色々と悩んでいたのは知っていた。
暇さえあればああして出かけていって、汗だくになって帰って来て、玉ッコロと反省会などをしてた。
常にどこか陰を落とした表情は、遭遇した困難―――どうにもならない壁を目の当たりにして相当の衝撃を受けたのだろう。

この一ヶ月、互いに自身の手札を隠したまま何とか相手の情報を引き出そうという
ささやかながらの情報戦が狭い小屋内で行われていた。
両者とも秘匿せねばならない事項を抱えた身。 すんなり打ち解け、交流しましょうというわけにはいかない。
そして今日、相手がついに現状に痺れを切らしてアクションを起こしてきたってとこ。 
この子は今―――どうしても魔術の事が知りたいのだ。

………………

しかし昼間、ああして改めて奴の力を見させられたわけだが………コノヤロー。
一体、私と戦った時はどんだけ手加減してたっていうのよ………

結果、英霊と互角に戦ったという彼女の言葉の真偽はめでたく証明されたわけだが。
はっきり言って私と五分程度の力で英霊なんかと闘えるもんじゃない。 あれは基本、ヒトがどうにか出来るものじゃない。
十分な用意と下地と勝算を以って臨んだならばともかく、道端でばったり出会って戦闘になった場合、対応できる相手では断じて無い筈。
だからせいぜい方々の体で逃げてきたんだろうな、くらいに思ってた………昼の彼女のパフォーマンスを見るまでは。

結論、この女はマジでヤバイ―――英霊なんてモノと互角に戦い兼ねん力を本当に持っていた。
私との戦いは互いに遊びみたいなものだったけど、それでも私は「まあ、死ななきゃいい」くらいの気持ちで撃ち込んでいた。
だいたい5分~6分、といったところだろうが、対して彼女は蟻を摘むかのような細心の注意を払って私に臨んでいたに違いない。 
この私を………相手にして………ッ!!!

「むきゃーーーーーーー!!」

「ひゃあっ!?」

むかついたんでドレッシング投げてやった。 避けくさった。

魔力ダメージという便利な機能を有しているといっても、その効能はぶちかましや爆風の破片にまでは至らない。
衝撃波だけで戦闘ヘリの一つや二つ、簡単に吹っ飛ばせる奴が
BJとやらを纏っていない私を大怪我させずに無力化させるのにどれだけ苦心した事か……… 

高町なのはの「敵をなるだけ傷つけない」という制約を外した本来の動きが昼間のアレなのだろう。  
認めざるを得ない……まともに戦えば、私はなのはに到底、適わない。
いや、アレが向こうさんの技術力の賜物だというのならば、魔術師そのものがミッドチルダ式魔導士には適わない。
その事を今日、存分に思い知らされたのだ。

くそー……同世代で私をキッチリ殺せそうなのは姉貴くらいかと思っていただけに、はっきり言ってショックだわ。
これじゃ井の中の蛙じゃないの……悠々とあれだけの力を見せ付けておいて 「どの程度通用するのか♪」 だってさ。 

イヤミな奴め……お前なんかキライだ。

爆発してしまえ。


――――――
  目次   

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年09月07日 08:13