「凛、いいのか?生きてるとしられたらあの男はまた襲われるぞ」
「あっ?そういえば!……ていいわ。ほっとく」
一瞬しまったという顔をした凛だったがすぐに何かを思い出したように
落ち着きを取り戻した。男は凛の挙動に不審を覚え尋ねた。
「宝石一個無駄になるが?」
「いいのよあの狸の家にはサーヴァントもどきが四体もいるんだから!」
遠坂凛はそう、少しばかり腹立たし気に言い放った。
衛宮はやては家族六人プラスαの料理を作っていた。
「ザフィーラとヴィータは散歩、シャマルは蛍光灯を買いにか、シグナムはわからんな…
士郎は相変わらず人助けと…まぁみんなそろそろ戻てくるやろ」
てきぱきと具材を処理していく。それが一段落してはやてが一息いれようとした時玄関の方から物音がした。
「お、誰か帰てきよった。バタバタと
騒がしいなー。これは大河ちゃんかな?
はいはい、そんな急がんでもちゃんと用意しとる、よ…」
未だ少し不自由さの残る足付きで廊下に向かう。
そしてはやての前に現れたのは制服をボロボロにし顔面蒼白で荒い息を吐く衛宮士郎だった。
「は…はやて…」
「ど、どないしたん?そんなになって。
シグナムかてここまではせんやろ?」
安心できる相手を目の前にしたせいか士郎は脱力感に襲われその場に崩れ落ちた。
「わっ、とと。ほんましゃあないなぁ。何かあったんやね?
せやけどもう大丈夫や。私がそばにおるよ」
「俺は…」
崩れ落ちる士郎を抱きとめるとはやては士郎の胸元でその嗚咽を聞いた。
よしよしと士郎の頭を撫でると自然とはやては顔を綻ばせ
士郎はややばつの悪い顔をした。そして
「いい雰囲気のとこ悪いが死んでもらうぜ」
という天井からの声に室内は凍りつく。
最終更新:2008年05月10日 12:26