久しぶりの休日を挟んだ、機動6課のいつもの朝
スバルとティアナは定時通りに出勤し
朝の訓練の着替えのため、更衣室に向かっていた

おや?
更衣室に向かうその廊下の途中にはスターズ・ライトニング両隊長の姿が――
でも様子がおかしい、、ナニカがいつもと違う

「………………」
「なのは……なのはぁ…(オロオロ)」
「………………」

なのはさん――
いつも毅然とした態度を崩さない、その頼れる背中が
今日に限って信じられないほど小さく見える
心なしか足取りもフラついてるような…

その横で、無二の親友の肩を支えながら
必死で彼女の名前を呼びかけるフェイト執務官
ちなみに目には涙を溜めている

「おはようございます! なのはさん! フェイト隊長!」
「おはようございます…あの何か――て ちょ、なのはさん!? その髪型!??」

そうなのだ 
なのはさんのチャームポイントの一つ
あの見事なサイドテールが、 、 、 、 、 無いッ

「ずっと、伸ばしてきたんだよ……なのに 
 酷いよ、こんなの!」
「いいよもう……フェイトちゃん 髪なんてまた伸ばせば…」

はは…と笑うなのはさん  
でもよっぽど堪えたのだろう
傍から見ても目が死んでる

「でもショートもよく似合いますよ! 私とお揃いですねッ!!」
(ぶっ!? バカ、スバル!!?)

空気の読めないフォワードが地雷原に突撃した

「スバル…ごめん  今、ちょっといつも通りに振舞えないから…」
「はひっ!?」

なのはさんの声が反トーンほど下がる
硬直するスバル

「朝練はいつも通りに……先に体をほぐしておいて…」

でもいつもほどの迫力はない
トボトボという擬音が聞こえてくるほどの哀愁を抱いて 
その場を後にするなのはさんと、健気にその後についてくフェイト執務官

ハァ……と溜息一つ、二人はその場にへたり込む

「助かったぁ…」
「相変わらずの命知らずよアンタは……あと一歩踏み込んでたら間違いなく死んでた」

おおよその事の顛末を聞いたスバルとティアナ
どうやら休日中、故郷の海鳴に里帰りした時
その悲劇は起こったらしい

恩師であり尊敬するなのはさんをやられて
黙ってる二人ではない  仇を討つべく無断で出撃
海鳴の、なのはさんが襲われた地点に向かう

ここか………
二人が到着した、ちょうどその時

「カットカットカットカットカットォォォォ!!」
「うわあああああああああああああぁぁぁ!!!??」

その砦から、天をつんざくような悲鳴が聞こえる
この声はヴィータ福隊長!?

「キキキキキ! 7500円になります」
「こ、この野郎……誰が払うかタコォ!!」

怨嗟の叫びを上げて砦から出てくるヴィータを見て、絶句する二人

「ヴィ、ヴィータ副隊長……」
「そ、それは―――」
「て、てめえら……どうしてここに…」

紅い髪のお下げヘアーが愛くるしかった彼女―――

「み、見るな……見るなぁぁ!!」

自分の髪を手で隠すヴィータ
でもその小さな手では、到底収まりきらない
それは雄大かつ豪快、見事で無残なアフロヘアー

「…………」
「…………」

プッ  
あまりの惨劇に吹かざるを得ないフォワード二人

恥ずかしさで真っ赤に染まった顔に涙を滲ませながら――

「痛くねぇ……こんなの全然、、、痛くねぇぇ!!!!」

――前線にて幾多の敵を震え上がらせてきた鉄槌の騎士が
かぶりを振って八神邸の方に走ってく

悪い事をした……二人は反省する
ここは、どんな事をしても、命を賭しても笑いを堪える場面だったのだ

ごめんなさい副隊長
せめて、諸悪の根源は私達の手で!!

「突入するわよスバル! スターズメンバーとして隊長、副隊長の仇を討つ!」
「うん、ティア! 私が踏み込むから援護よろしく!!」

そして哀れな犠牲者がまた二人  悪夢の中に消えていく

新装開店 バーバー・藁気屋―― リリカル・マジカル・タタリます


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最終更新:2008年05月10日 12:47