「子供の頃、私は正義の味方に憧れてたの」
「なんだよそれ。憧れてたって、もう諦めちまったのかよ」
「ヒーローを名乗れるのは期間限定でね、大人になるとそれは難しくなるの。
そんなこと、もっと早くに気付けばよかった」
「そっか。それじゃ、仕方ないな」
「ええ、本当に仕方ないわね」
「仕方ないから、俺が代わりになってやるよ。
婆さんはもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。
安心しろって、婆さんの夢は俺が――」
言いきる前に、彼女は笑った。
続きなんて聞くまでもないって顔だった。
底冷えするような笑顔をこちらに向けて、
「学生時代からの決まりでね。
私のことを年増扱いした人は、例外なくぶちのめしているの」
……しくじった。なんだ、何を間違えたんだ、俺は。
本編が始まる前に脱落する。
さて―――オレはどうすれば、まっとうに先に目標を得られるのだろう……?
最終更新:2008年12月16日 01:41